第二次世界大戦中に広島駅と軍港であった宇品港との間の輸送力強化を目指して建設された路線で、建設のための線路は宮島線を単線化して捻出した。紙屋町・八丁堀地区を経由せず比治山通り・宇品通りを経由して京橋川沿いにショートカットする路線となっている。全線が広島県広島市南区内を走行する。
現在は届出上の正式名称である「皆実線」として案内されるが、かつて比治山線(ひじやません)という路線名を用いていた時期があり[1]、電車の行き先表示は現在も「比治山下経由」と案内されている。電停[2]番号の頭文字がHとなっているのもこれらの理由によるものである。
運行形態
5号線(広島駅 - 的場町 - 比治山下 - 皆実町六丁目 - 広島港(宇品))の系統のみが運行される。すべての電車が本線および宇品線に直通する(早朝・深夜のみ宇品二丁目での折り返し運行が存在する)。
広島駅・広島港の両電停では、他の系統と異なり紙屋町を経由しないルートで運行されることから、5号線とそれ以外の系統の乗車ホームが分けられている。また、乗り換え電停である的場町・皆実町六丁目の両電停も方向別ホームとなっている。広島駅から宇品線方面へ直行するには紙屋町経由の1号線よりも所要時間は短いため、単独路線ながら重要な役割を果たしている路線である。
運行車両は基本的に単行車両(日中帯については700形や800形、1000形による運行がほとんどである)であるが、平日の朝・夕ラッシュ時には連接車両も多く運行される。また、超低床車両1000形も2014年2月よりこの路線へ配置された。それまで皆実線内の超低床車両は平日の朝ラッシュ時に5100形が運用に就くのみであり、これにより日中帯でも全線において、超低床車両が運行されることとなった(車両検査などによる離脱時は運行休止となる場合がある)。
当路線への連接車両については1998年より本格的に投入されたが、それ以前には元ドルトムント市電の70形が運用に就いた時期もあった。本格投入時には3950形導入に伴い、宮島線から余剰となった3000形が5編成転入した。
歴史
- 1944年(昭和19年)12月27日 的場町 - 皆実町三丁目(現在の皆実町六丁目)間が開業。
- 1945年(昭和20年)8月6日 広島市への原子爆弾投下により被災。
- 1948年(昭和23年)7月1日 運行を再開。
- 1971年(昭和46年)12月20日 5号線が朝ラッシュ時をのぞいてワンマン運転開始。
- 1975年(昭和50年)4月30日 5号線が終日ワンマン運転開始。
- 1982年(昭和57年)1月30日 的場町電停の比治山下寄りに渡り線を設置。
- 1994年(平成6年) ラッシュ時の輸送力増強として連接車両1編成投入。宮島線より元ドルトムント市電70形を転入。
- 1998年(平成10年) 平日朝ラッシュ時に連接車両を本格的に投入。宮島線より3000形5編成転入。
- 2002年(平成14年)5月1日 平日夕方ラッシュ時の広島駅行きに連接車両を2便投入。
- 2004年(平成16年) 11月16日 ダイヤ改正実施により、広島駅発の最終便が、宇品二丁目止めから皆実町六丁目止めに短縮される。
- 2011年(平成23年)
- 2014年(平成26年)2月1日 超低床車両1000形を2編成導入し運用開始(「GREEN MOVER LEX」の1003号・1004号)。
電停一覧
今後の予定
2014年(平成26年)9月2日 、広島市が「広島駅南口広場の再整備等に係る基本方針」を策定し公表した。この中で、本線が広島駅 - 稲荷町間を駅前大橋経由で短絡するルートになり、皆実線についても稲荷町 - 比治山下間で駅前通りを南下して松川町交差点で市道松川宇品線に入り、比治山町交差点間に至るルートに軌道を新設してルート変更し、松川町交差点付近には電停が新設される計画が示されている[4]。的場町 - 比治山下間の現行路線については、紙屋町東 - 八丁堀 - 稲荷町 - 的場町 - 段原一丁目 - 皆実町六丁目 - 紙屋町東のルートによる環状運転案が示されており、特に運転系統の再編について、広島市と広島電鉄との間で細かな協議を詰めていくことになっている。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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