Remove ads
静岡県島田市に本社を置く鉄道事業者 ウィキペディアから
大井川鐵道株式会社(おおいがわてつどう)は、静岡県島田市に本拠を置き、大井川流域を基盤とする鉄道事業を主たる業務とする陸運業や観光業[6]を営む企業である。大井川本線と井川線の2つの鉄道路線を運営している[1]。略称は大鉄[注 1](だいてつ)。
新金谷駅(本社所在地) | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
市場情報 | 非上場 |
略称 | 大鉄(だいてつ) |
本社所在地 |
日本 〒428-8503 静岡県島田市金谷東二丁目1112番地の2[1] (新金谷駅[2]) 北緯34度49分34.26秒 東経138度8分13.20秒 |
設立 | 1925年3月10日 |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 1080001013422 |
事業内容 | 旅客鉄道事業 |
代表者 | 代表取締役社長 鳥塚 亮 |
資本金 |
1億円 (2018年3月31日現在[3]) |
売上高 |
16億7,649万3,000円 (2018年3月期[3]) |
営業利益 |
1億310万円 (2018年3月期[3]) |
純利益 |
△4,754万4,000円 (2024年3月期)[4] |
純資産 |
28億1,665万6,000円 (2024年3月期)[4] |
総資産 |
48億3,458万円 (2024年3月期)[4] |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 |
エクリプス日高 100 % (2019年3月31日現在[5]) |
外部リンク | https://daitetsu.jp/ |
運営する鉄道路線のうち、大井川本線は蒸気機関車 (SL) の動態保存、「南アルプスあぷとライン」の愛称がある井川線は現在日本唯一のアプト式ラック鉄道として知られる。他に2015年(平成27年)まで寸又峡線の路線バス事業を手がけていたが、こちらは子会社の大鉄アドバンスに移管されている。
元々は大井川鉄道という会社名であったが、2000年(平成12年)10月1日に子会社の大鉄技術サービスを存続会社とする形で合併し、翌2日に大井川鐵道と商号を改称した。
1976年(昭和51年)に日本で初めてSLの動態保存を始めた鉄道で、現在でもほぼ毎日運行されている。また、SLの保存運転を行っている縁から、1977年(昭和52年)12月19日にスイスのブリエンツ・ロートホルン鉄道と姉妹鉄道提携を結んでいる。1996年(平成8年)8月10日に本社所在地の金谷町(現・島田市)がブリエンツ村と姉妹都市提携を結んだのも、この縁によるものである。1986年(昭和61年)1月25日には台湾の阿里山森林鉄道とも姉妹鉄道提携を結んでいる。
大井川本線で運行されるSL列車(かわね路号)に旧型客車を使用していることや沿線の風景から、第二次世界大戦の戦前・戦中に時代設定されているドラマや映画のロケーション撮影でよく使用される(沿線で撮影が行われた作品は「大井川鐵道大井川本線#大井川鐵道沿線でロケが行われた作品」を参照)。
なお、井川線は当初からSLが運用されてはいなかったが、イベント列車として千頭駅 - 川根両国駅間に並行していた側線[注 2] で走行したことがある[注 3]。
大井川鐵道の鉄道事業収入は、沿線人口の減少などから、2010年代にはその9割をSLを目的とする観光客から得る構造となっている[9]。定期券利用は収入ベースで1割以下、乗客数で約2割である[10]。しかし、東日本大震災発生後には団体バスツアー客などが減少し続けていることから、2011年(平成23年)度からは2期連続で最終赤字を計上した[11]。加えて、2013年(平成25年)8月に施行された貸切バス走行距離規制強化により、首都圏から沿線自治体のうち島田市北部および川根本町の距離が、規制強化後の走行距離制限値(1日当たり670 km)をわずかに上回ることになり、首都圏の大部分からの日帰りバスツアーが不可能となった[12]。これによって同年4 - 12月期の団体ツアー客は前年同期より46 %減少し、収益をさらに悪化させる要因となった[13]。
このため、大井川鐵道では2014年(平成26年)2月3日に記者会見を開き、経営合理化の一環として同年3月26日にダイヤ改正を実施することを明らかにした[9][13]。大井川本線では改正前[注 4]に1日14往復設定されていた電車を、全線運転8往復と金谷 - 家山間区間運転1往復に削減。また井川線では改正前[注 4]に全線運転4往復ならびに区間運転3往復(うち1往復は季節運転)設定されていた列車を、全線運転4往復と区間運転(1本)に削減。その一方で、大井川本線におけるSL列車の運転に関しては改正後も現行通りとすると発表された[13][注 5]。
この会見に先立ち、大井川鐵道の伊藤秀生社長(当時)が同日午前中に島田市役所を訪れ、沿線自治体である島田市と川根本町の両首長に対して存続について[13]や、経営支援策を検討する協議会の設置を要請[9]。これに対し島田市と川根本町は、静岡県などにも参加を呼びかけて早期に協議会設置にこぎつける方針を示した[11]。なお、このダイヤ改正で2014年(平成26年)度に約2,300万円のコスト削減を見込むも「劇的な改善効果はない」(伊藤談)として、前記の島田市と川根本町に対して補助金拠出や固定資産税減免などを要請する見通しと報じられた[11]。
2015年(平成27年)5月、地域経済活性化支援機構の支援のもと、静岡銀行とエクリプス日高[注 6]による再生計画が決定した[16]。エクリプス日高が名古屋鉄道が所有する株式の譲渡および第三者割当増資により大井川鐵道株式の約90 %を所有し、主要銀行から金融債権放棄を受けた上で再建にあたることになる。
2015年(平成27年)8月31日より名鉄グループを外れ、エクリプス日高の支援下で経営再建をスタートさせた[17][18]。2017年(平成29年)6月16日にはエクリプス日高の完全子会社となった[19]。
2019年(平成31年)4月、静岡市内にツアーセンターを開設し、2020年(令和2年)には1月2日にフジドリームエアラインズなどと協力して、富士山静岡空港発着の遊覧飛行と奥大井湖上駅訪問などを組み合わせた「富士山周遊フライトツアー」を開始[6]。同年には中部電力およびJTBの協力を得て、通常は非公開の施設(井川ダム内部など)を見学できるツアー[20]を予定したり、沿線にある川根温泉ホテル宿泊と組み合わせた鉄道・バス2日間フリーきっぷを発売[21]したりするなど、観光利用を重視した経営努力を続けている。
企業以外の大鉄沿線振興の協力者としては、NPO法人クロスメディアしまだ(島田市)が「UNMANNED 無人駅の芸術祭/大井川」を毎年3月ごろに開催し、芸術家の現地滞在と作品展示による集客を行っている[10][22]。観光客向け事業については「#イベント」の節も参照。
2020年(令和2年)11月12日、島田市とともに複合施設「KADODE OOIGAWA」を開業。あわせて隣接する大井川本線に新駅「門出駅」を開業し、同時に五和駅を「合格駅」に改称した[23][24]。
2024年6月12日、いすみ鉄道やえちごトキめき鉄道で経営再建に取り組んだ鳥塚亮が同月28日から社長に就任することが発表された[25]。
各鉄道線の沿革については「大井川本線」、「井川線」の各項を参照のこと。
以下の2路線を経営している。各路線の運行形態などはそれぞれの項目を参照。
大井川本線と井川線は軌間が共通しており線路自体は接続しているものの、建築限界が極端に異なることから直通運転は行われていない。この分断は運賃にもみられ、両線を乗り継いで乗車する場合でもそれぞれの運賃額を合算して運賃を算出する。
乗車券は基本的には硬券で発売され、軟券、補充券も用意されている。また、JR線の特定の駅(静岡県内の駅や東京駅、名古屋駅など)との間には連絡乗車券も発売されており、1枚の乗車券でJR線と大井川鐵道を乗り継いで乗車することが可能である[28]。
大井川鐵道にはかつて以下の鉄道計画が存在したが実現することはなかった(未成線)。
上記の通り大井川本線と井川線は軌間こそ同じであるが、車両寸法などが大きく異なる。このため、大井川本線用の車両と井川線用の車両を別に記載する。
現有車両は、一部の電気機関車を除いたすべてが他社からの譲受車両である。SL列車用の蒸気機関車・客車の一部は鉄道車両としては大井川鐵道に在籍しているが、日本ナショナルトラストが所有している私有車である。
導入予定の車両については大井川鐵道での形式名が未発表であるため、便宜上の名称として譲受元での形式を記載する。
現有車両はいずれも自社で導入したものとなっている。貨車については鉄道車両としては大井川鐵道に在籍するが、所有は中部電力であり形式名に「c」が冠されている。
大鉄アドバンス(だいてつアドバンス)はバス事業やタクシー事業を中心とする大井川鐵道の子会社である。
以前は大井川鐵道本体で大井川本線の沿線に路線バス事業を展開していた。千頭駅 - 寸又峡温泉間の寸又峡線1路線のみの時期もあったが、2012年(平成24年)4月28日より、井川線に並行する形で閑蔵線の運行を開始し、2014年(平成26年)12月時点では寸又峡線と閑蔵線の2路線のみとなっていた。2015年(平成27年)1月から両路線とも関連会社の大鉄アドバンスに移管され、大井川鐵道本体はバス事業から撤退した[38]。寸又峡線は2019年(令和元年)3月で廃止され同年4月からは川根本町営バスとして運行している[39]。
大井川本線と接続するダイヤになっており、観光客利用が多い場合には続行便なども設定される。
また島田市コミュニティバス(大代線、金谷循環線、菊川神谷城線)および川根本町営バス(千頭・家山線、寸又峡線)の運行を受託している。
このほか、かつては静岡井川線を静岡鉄道バスと、静岡浜松線を遠州鉄道バス・静岡鉄道バスと共同運行していた。また掛川市内にも路線を有していたが、こちらは1988年(昭和63年)に掛川バスサービスに全路線を譲渡して撤退している。他にも旧榛原郡金谷町内にも路線を有していたが、こちらも2004年(平成16年)に撤退し、金谷町自主運行バスを経て現在は島田市コミュニティバスが代替している。
2011年(平成23年)の東日本大震災による観光需要の低下や2012年(平成24年)の関越道高速ツアーバス事故に伴う高速バス規制の強化[注 8]などの影響でSL列車の利用者が激減して経営再建問題が浮上した2014年(平成26年)より、期間限定でテレビアニメ『きかんしゃトーマス』に登場する機関車「トーマス」や、その他のキャラクターの意匠を施したSLの運行および展示 (デイ・アウト・ウィズ・トーマス) を行っている[40]。また、2015年(平成27年)度より、クリスマス期間の運行も開始した[40]。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.