『喰いしん坊!』(くいしんぼう)は、土山しげるによる日本の漫画作品、および、それを原作とした実写映画。2007年に第36回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した[1]。
2004年10月から2009年2月まで『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)にて連載されていた[注 1]。土山の、同誌で連載された『喧嘩ラーメン』、『食キング』に続く料理漫画である[1]。
それらの料理漫画とは異なり、主人公は料理人ではない。また勝負の要素として、料理を作るのではなくで食べまくることに主題を置き、大食いで勝負するさまをメインテーマとして描かれている。前二作よりさらにスケールアップした、ケレン味あふれる演出等が特徴的である。
2007年には『喰いしん坊 -大食い開眼編-』の題で実写映画化され、同年8月に公開された[3]。
主人公・大原満太郎はグルメな会社員[1]。ある日、カウボーイのような格好をした大食いの男と出会い、その男のアドバイスで巨漢との大食い勝負に勝利[1]。アドバイスをくれた男は、プロの食闘士(フードファイター)・ハンター錠二と名乗り、満太郎に名刺を渡して立ち去る[1]。
錠二は財界の大物、丹下御前こと丹下孝之介が大食いのプロ競技化のため立ち上げた競技団体・TFF(丹下フードファイター)に協力し、ナンバー1の実力を誇っていた[1]。満太郎はふとした事から関西の大食い団体・OKFF(大阪食い倒れフードファイター)との勝負に巻き込まれ、TFFへの妨害に対する義憤からTFF代表のような形で仙台の大食いイベントに出場。しかし満太郎もOKFFの卑怯な妨害にあって敗れてしまう。自らの甘さを認めた満太郎は、退路を断つために会社を辞め、錠二やTFFとの関係も断ち、独り大食い修行の旅に出る[1]。
※注:漫画ゴラク本誌や単行本では固有名詞にもルビが振られていないことが多いため、一部で読み方が一致していない可能性もある。
- 大原満太郎(おおはら まんたろう)
- 本作品の主人公。連載開始当初は会社員だったが、大食いの素質を錠二に見出されたことから大食いの道に入ることに。後に「素浪人」の異名を取る食闘士となる。
- 当初は食べることが大好きなだけで、割合軽い性格だった。が、初めて出場したイベントでOKFFの罠にかかり惨敗(というより勝負にもならなかった)し、錠二に甘さを指摘された事をきっかけに仕事を辞め、大食い修行の旅に出る。それからは冷静沈着になり実力も向上し、徐々に目標であるハンター錠二に近づいていく。
- 食べ物を味そのままに美味しく食べることをモットーにしており、彼が大食いに挑む姿や理念は非常に美しく、見る者を魅了する。食べ方も変幻自在で、メニューによっては周囲の客のよだれを誘う。好物はナポリタンと牛丼(ビーフボウル、喰輪杯の際に自己記録として申告している)、エビチリや酢豚など。唯一の弱点は八角で、これを香辛料に使用されている料理は身体が受け付けないため食べられない。味噌煮込みうどんについても、苦手とは言わないまでも「一杯で十分(≒大食いの対象にはできない)」としている。
- OKFF等の行う「邪道喰い」を激しく憎悪しているが、一方でTFFのスタンスにも「温室育ち」と疑問を抱いており、両者が和解・合一することで新設されたAJFFに対してすら参加を拒否している。ストイックな面があり、金銭にも執着しない。ただし、賞金のない勝負は出来る限り避けている様子。喰輪杯では優勝するが、副賞であった満福像は、それを取り戻すべく(もともとは美麗の家にあったものだった)喰輪杯に参戦していた準優勝の美麗に渡す。
- 帰国後、ハンター錠二と再会。双方「この勝負に敗れたら大喰い界から去る」と宣言し、因縁のカツ丼勝負に挑む。
- 名前は料理漫画の大御所・ビッグ錠の料理漫画「一本包丁満太郎」の主人公、風味満太郎からとった。
- 身長175cmで体重は60kg。(ちなみにこの身長と体重はかなりの痩せ型であるが、作中では特に触れられていない)。
丹下フードファイター(TFF)
- ハンター錠二/獅子戸錠二(ハンターじょうじ/ししど じょうじ)
- TFF最強の食闘士で、筋骨隆々とした元トラッカー。ウエスタンスタイルにサングラスといういでたちで、本人曰く「サングラスをかける時は勝負の時と不味いものを食い続ける時」。
- 丹下御前の大食いのスポーツ化という理想に賛同し、協力している。
- 喰いワングランプリでは唯一の招待選手として出場。決勝戦で僅差で満太郎を敗るものの、優勝を目前にし焦りが出た自分の未熟さを痛感し、AJFFには籍を置かなかった。喰輪杯では決勝戦を観戦し、満太郎に無言のエールを与えた。最終話では満太郎とのカツ丼勝負の後、トラックを運転している様子が見られる。
- 得意料理はカツ丼などの丼料理だが、両手で箸を持って食べる「二丁食い」を駆使した麺類の早食いも得意としている[1]。明確な好き嫌いはなく、食材及び食のテクニックに関しては死角がない。
- トラックドライバーとして全国を回っていた経験から、全国の美味いものにも詳しい。
- 名前は俳優の宍戸錠から。『漫画ゴラクネクスター』(日本文芸社)では、彼が主役の外伝も存在する。『流浪のグルメ 東北めし』(週刊大衆連載)にも登場している。
- 丹下御前/丹下孝之介(たんげごぜん/たんげ こうのすけ)
- 巨大企業「帝王グループ」の創業者にして、元産業連合会長。隠居した後に「大食いのスポーツ化」のためTFFを設立、奔走する。
- 基本的には穏やかな人格の持ち主だが、「邪道喰い」を推奨し、大食いを格闘技イベント化しようとするOKFFには激しい敵意を抱いており、言葉を荒げることも。
- 喰いワングランプリ後、TFFとOKFFを統合し、新団体全日本フードファイター(AJFF)を設立する。
- 犬丸 研(いぬまる けん)
- TFFのトレーナー。食闘士ではないが、独自の大喰い理論を駆使して仲間にアドバイスを送る、食闘士達の頭脳及び補佐役。
- 常にノートパソコンを所持、科学的な分析もこなす解説役。満太郎のトレーナーを務めていたが、他のTFF食闘士の調整のため満太郎から離れた時期に満太郎が調子に乗りOKFFの罠にはまってしまう。
- 鳥飼 飛男(とりかい とびお)
- 「麺喰いの鳥飼」「鵜喰い」の異名を取る食闘士。本業はデザイン事務所の社員。
- 資産家の家に育つが、親の敷いたレールの上を行く生活に我慢ができなくなって(大学卒業後、大手企業に就職したが3か月で辞め)反抗、引きこもりになっていた。が、インターネットで偶然知ったハンター錠二の勇姿に刺激され、自らも大食いを試しているうちにその世界に魅せられる。ある日彼の父親がハンター錠二を家に呼び寄せた際、素麺での対決で全力のハンター錠二に一度だけ勝利(ただし、その際の錠二はイベントで一勝負終えた直後だった)して、その実力を認められTFF加入に至った。大食いの世界への扉を開いてくれた錠二に尊敬の念を寄せる一方、負けたくないという対抗心をも燻らせていた。
- 麺料理が得意(反面、パンが苦手)で、TFF内では総合力で3番手、麺に限れば錠二に次ぐ実力者だった。が、自尊心を突かれてOKFFの罠に落ち、満太郎とのカレーうどん対決を経て、満太郎や錠二を超える目的のためにもとOKFFへ転属した。
- 胃の中がいっぱいになると両手を数回交差させたあとにジャンプすることで胃の中を整理するという技、立ち上がって麺類を一気に啜り食う技(OKFFスカウト・淀川に「通天閣喰い」と名付けられた)を持つ。
- 喰いワングランプリではあくまで自分が錠二・満太郎を超えるためにOKFFに転属したということもあり、遠山に食材への仕掛け無しのガチンコ勝負を依頼するなど、OKFFメンバーの中でも一線を画した言動を見せていた。決勝の一回戦では素麺で錠二と再び対決し、両者が実力を出し切った結果惜しくも敗れるが、試合は壮絶なもので、負けた鳥飼にも満場の拍手が送られた。錠二に正道喰いを極めることを誓い、AJFFに所属後はメインファイターを務める。
- 熊田 剛/熊田軍兵衛(くまだ つよし/くまだ ぐんべえ)
- TFFに所属するフードファイター。大喰いの実力は非常に高いものを持っているが、お人好しなためしばしばOKFFの罠にかかる。
- 仙台で行われるイベントの前の調整中にOKFFの桂三四郎と野試合を行い、邪道喰いの前に惨敗したあげく私文書偽造により出場できなくなったことを機に、自分を鍛えなおすべく熊田軍兵衛と改名、修行の旅に出るも、喰いワングランプリの予選でマジック坂多にまたもや騙され、マスクで素顔を隠し「ミスターマスクマン」として出場する羽目となった。
- 喰いワングランプリ本戦で桃子との羊羹勝負に挑む。血糖値の急激な上昇により意識を失い敗れるものの、その闘志あふれる戦いぶりは観客を魅了し、満太郎にも励みになった。決勝戦を鳥飼と共に観戦、その後結成されたAJFFではメインファイターとなる。
- 外見はドラえもんの剛田武(ジャイアン)がモデル。
- 鹿内 健次(しかない けんじ)
- TFFに所属するフードファイター。喰いワングランプリには予選で蝶野・猫田との作戦でマジック坂多に敗れOKFFの汚さを世間に広めようとするが、満太郎の叱咤により中止。その後満太郎のアドバイスにより大阪の大食い人と対決するもののプレッシャーにより敗北。予選でリタイアする羽目に。喰輪杯では下記の蝶野・猫田と共に観戦していた(その際、満太郎のことを『満太郎さん』とさん付けで呼んでいる)。
- 蝶野 武(ちょうの たけし)
- TFFに所属するフードファイター。甘味ではTFFでもトップの実力を誇る。喰いワングランプリでは予選で満太郎とたこ焼きで対決するものの完敗。その後は野試合で高丘桃子と戦うが桃子のケーキ邪道食いの前に自分を見失い敗北。集めたスタンプを0にされてしまい予選でリタイア。
- 初登場時は「正弘」(つまり当初の名前は蝶野正洋がモデル)という名前だった。
- 猫田 安彦(ねこた やすひこ)
- TFFに所属するフードファイター。喰いワングランプリでは予選で蝶野と共に満太郎とたこ焼きで対決するものの完敗。その後は前述の2人同様野試合をするものの、養成所の訓練が全く役に立たないまま敗北し予選でリタイア。AJFFでは、鹿内・蝶野とメインファイターに登録される。
大阪食い倒れフードファイター(OKFF)
- 遠山金次郎(とおやま きんじろう)
- 丹下孝之助の友人で、浪速鉄道グループの社長。丹下の提唱する大食いのスポーツ化に賛同し、OKFFを設立する。OKFFの設立後に急死し、以後未亡人の響子が継承することになる。
- 遠山 響子(とおやま きょうこ)[注 2]
- 遠山金次郎の未亡人。夫・金次郎の死後、浪速鉄道グループのすべてを継承し、OKFFのトップに君臨する。夫は丹下の口車に乗せられて早死にしたと思い、丹下およびTFFを恨んでいる。夫の死を機に大食いの興業化を考え「喰いワングランプリ」を開催。強欲で邪道喰いに固執するも、決勝戦での錠二と満太郎の健闘ぶりに心を打たれ改心。大食いのスポーツ化に賛同するようになり、AJFFの設立や活動に協力することになる。
- 名前は遠山景織子がモデル。
- 船場(せんば)
- 遠山の秘書。遠山の指示をスカウトや食闘士に伝えたり、TFFの動きや喰いワングランプリの状況報告などを行う。
- 淀川 渡(よどがわ わたる)
- OKFFのスカウト部長。得意技は私文書偽造。好きなことは「食闘士の特異な食い方に、思いつきで土地の名物(建物・祭り)などから○○喰いなどと名づける」こと。登場当初は単なる悪徳スカウトマンだったが、満太郎を付け狙ううちに、次第に満太郎の大食いに対する意識やその実力に期待するようになり、他のOKFFスカウトに満太郎の喰いワングランプリ予選通過を妨害しないよう説得する。かつてはOKFFにスカウトされるほどの大食いが自慢だったが、年を重ねるごとに食える量が減っていく自分を自嘲する一面も。喰輪杯編では死闘を終えて気持ちが乗らず燻っていた満太郎に喰輪杯の情報を伝えて参加のきっかけを作り、滞在中の満太郎のマネージャー役に。OKFF所属ではあるが、遠山金次郎にスカウトされた頃の食闘士のため、作中では一度も邪道食いをしていない。
- 外見は笑福亭鶴瓶、名前は淀川長治がモデル。
- 横川 安男(よこかわ やすお)
- OKFFに所属するフードファイター。通称「ドンブリ喰いの安」。満太郎が最初に対決した邪道食いの相手で、タイプとしては早食い。食材を分解し、ドンブリに入れて水などを加え、流し込む様に食べることを得意技とする。食べ方が汚く、見ているものにも不快を催させるため、大食いの実力とは裏腹に人気は芳しくない。性格も悪く、大食いチャレンジ目当てに訪れる店からも嫌われている。
- 満太郎を油断させて罠に嵌めるため、一時OKFFを脱会したかのように見せかけて、完平太と組んでグルになる。喰いワングランプリでは決勝ラウンドまで進出し、満腹時に幽門が開く現象・感覚を体得していたものの、肉まんにて満太郎と因縁の対決を繰り広げるも僅差で敗れる。その後は、ドンブリ喰いを封印して正道喰いでリベンジをすると満太郎に宣言する。
- 関東風の濃いめの味付けを嫌い、東京のうどんは水で薄めて食べる。AJFFではメインファイター。
- 外見や名前は横山やすしがモデル。
- 桂 参四郎(かつら さんしろう)
- OKFFに所属するフードファイター。通称「うな茶の参四郎」。うな重に茶をかけてすすり食う邪道喰いが得意。喰いワングランプリ本選2回戦は勝ち抜けず補欠に回ったが、決勝の補欠決定戦で黒兵衛に敗れる。その際、得意の邪道喰いが遠山に「汚らしい」と非難され、勝敗に関係なくクビを言い渡された。AJFFではメインファイター。
- 外見や名前は桂三枝(現・6代桂文枝)がモデル。
- 冨津 政(とみづ まさ)
- OKFFに所属するフードファイター。通称「万力の政」。林檎丸1個を一口で食べてしまうほど大きな口と強靱な顎を持つ。かつては小さな工場で働いていたが、経営不振による突然の工場閉鎖に伴い、路頭に迷ったところを淀川にスカウトされた。当初は純朴な青年だったが、OKFFの養成所で大食いの才能が開花するにしたがって尊大な性格へ変わっていった。
- 喰いワングランプリでは優勝候補の一角と目されており、決勝ラウンドまで進出。西山とハンバーガーで対決を繰り広げる。序盤こそハンバーガー4個を纏めて潰して食べる「万力食い」で優位に立っていたが、着実かつ不気味に追い上げて来る西山の早さについて行けず、「得意の先行逃げ切りの展開に持ち込めない場合、受けるプレッシャーに弱い」という弱点を露呈、自分の食のフォームを大きく崩した挙句まさかのTKO負けを喫してしまう。AJFFではメインファイター兼トレーナー。また、最終幕では二丁食いを体得している。
- 外見や名前はトミーズ雅がモデル。
- 間 完平太(はざま かんぺいた)
- OKFFに所属するフードファイター。横川と組んで満太郎を罠に嵌めた。喰いワングランプリ本選1回戦で満太郎におでん対決で勝利を狙うも失敗し、遠山にクビを言い渡される。AJFFではメインファイター。
- 外見や名前は間寛平がモデル。
- 尾暮 太郎(おくれ たろう)
- OKFFに所属するフードファイター。通称「スッポンのオクレ」。肉料理を得意とする。ミキサーを使い、何でもかんでも液状にして流し込むという邪道食いは見るものを最悪の気分にするため、大食いチャレンジを開催する店からも、フードファイターからも、観客からも嫌われている。満太郎が遠因で尾暮の被害を受けた店でステーキ早食い勝負を行い満太郎に敗北、リベンジを誓うも、喰いワングランプリ本選2回戦ではピザを邪道喰いしようとして失敗し、リタイヤする羽目になる。しかし大食いの実力が皆無というわけではなく、AJFFではメインファイターとなり、正道喰いでラーメンの大食い大会で優勝する場面も見られた。
- 外見や名前はMr.オクレがモデル。
- 坂多 利彦(さかた としひこ)
- 通称マジック坂多。大喰いの実力はさしたるものは無いが、手品を応用した卑怯な手を使って熊田の心を折った。しかし満太郎に敗れ、さらに手品の師匠と自分の妻に叱咤されたことで目が覚め、OKFFを脱退する。その後は喰いワングランプリにて娘である桃子の応援に駆け付けている。初登場時に20歳の運転免許証を見せていたが実際には42歳の厄年である(免許証に関しては公文書偽造の疑いがある)。
- 外見や名前は坂田利夫(アホの坂田)がモデル。
- 高丘 桃子(たかおか ももこ)
- OKFFに所属するフードファイターで、坂多利彦の長女。通称アンコ。甘味類(どら焼き、ケーキなど)を得意とする。大喰いの実力もさることながら、敵に心理的ダメージを与える手腕に長けた猛者。その反面家族思い(実家寄り)な性格でもある。結婚しているが、嫁ぎ先の家族は作中に出てこない。喰いワングランプリでは家族旅行を夢見て決勝まで進むも、途中でリタイヤした。AJFFではメインファイター。
- 外見や名前はハイヒールモモコがモデル。
- 西山 清志(にしやま きよし)
- 「OKFFの秘密兵器」と遠山未亡人に称されるフードファイター。通称「極道喰い」の清志。生前の遠山社長と付き合いがあった暴力団の元組員で、破門後に無銭飲食を繰り返したために服役。刑務所を出所後、OKFF所属のフードファイターとなる。
- OKFF所属ながら邪道食いをせず、正道食いとしての恐るべき実力を持っており、単純に底なしに食べ続けることが出来る。そのひたすら喰い続ける姿は敵であるはずの丹下に「大食いの理想型」と讃えられた。生来の大食いに加え、「暴食モード」と呼ばれる状態に突入することによりさらに超人的なスピードで食べることが可能。
- しかしどこかフードファイターとしてのモラルが欠如している面があり、無銭飲食、大食いチャレンジの店で暴走し厨房に乗り込んでまで食い散らかす、「お代わり自由」の店とはいえ本当に際限無しにお代わりする、噛みつき攻撃で人の食事を奪う…など、食に対する執着そのものが邪道。
- なんでも食べるが、過去の体験から特に太巻きに思い入れが深い。こと大食いに関しては無敵だったが、決勝においてふとしたことから閉所恐怖症という弱点を露呈しリタイヤしてしまう。喰いワングランプリ後、AJFF設立を新聞で読むシーンがあったが、その後の消息は不明。AJFFにも所属していない。
- 外見や名前は西川きよしがモデル。普段はモデルと異なり目を細めているが、怒った時や本気を出す時などはモデル同様の大きな目をカッと見開く。
喰輪杯(クイリンピック)出場選手
五腹星(ごふくせい)
喰輪杯台湾代表。テレビの大食い番組『大胃王選手権大会』の上位5名で作られたグループ。各メンバーがテレビ局の付けた感情五表現喰いを駆使する。全員そろいのジャンパーを着ている。喰輪杯予選前、チャンの敗北をきっかけに自主解散。メンバーは個人参加を決意する。
- 張(チャン)
- 五腹星のメンバーで恨み喰い。職業・不明 大喰い記録は10分で大盛牛肉麺7杯完食(自己ベストかどうかは定かではない)。
- 夜市(屋台街)で田舎から出てきた者を騙して小銭稼ぎをしていた店に難癖をつけ、自分の持つ大喰い記録に挑戦する。が、丁度同じ夜市で大喰いをしていた満太郎にギャラリーを奪われる。直後満太郎を挑発するが、淀川の言葉もあってその場は治まる。その後、『左頬に傷のある白人』(ニコライ・カバレフスキー)と大喰い勝負をし敗れ、ポケットに敗北写真を入れられた五腹星ジャンパーが台北の寺の屋根に晒される。美麗には「相手かまわず勝負を挑み自己アピールして、いい気になっていた」と評される。苦手料理は汁無しそば(炸醤麺など)。
- ジャッキー・楊(ジャッキー・ヤオ)
- 五腹星のメンバーで怒り喰い。職業:銀行員 自己ベスト:鶏肉飯35杯。
- 襟足を伸ばした巨漢の男。台南の店で粥を食べている時にチャン敗北の連絡を受ける。苦手料理はトウモロコシだったが、密かに特訓を重ねて克服した。喰輪杯では決勝戦の残り5人まで残る。限界を感じたことと、林に勝利を譲るため、捨石となる覚悟でロコモコを怒り喰いし、ブラジル代表のカルロスとドイツ代表のラインハルトのペースを乱した。
- 李(リー)兄弟
- 五腹星のメンバーで喜び喰いと楽しみ喰い(どちらが喜び・楽しみかは不明)。
- 兄・大虎
- 職業:コメディアン、自己ベスト:愛玉40杯。高雄でトウモロコシの屋台で大喰いしている時にチャン敗北の連絡を受ける。苦手料理はパン。予選通過後の1対1の勝負にて、楊とトウモロコシの大食い対決に挑むが、得意食材が出た事に驕っていたのが災いし、僅差で楊に敗れた。
- 弟・小虎
- 大虎と同じく、高雄でトウモロコシの屋台で大喰いしている時にチャン敗北の連絡を受ける。苦手料理はカレー。予選では、カレー弁当を連続で引き当ててしまったため、結局通過できなかった。
- 林(リン)美麗
- 五腹星のメンバーで哀しみ喰い。職業:マッサージ師 自己ベスト:牛肉麺40杯
- 「大食いは自分との戦い」という考えを持つ故に、馴れ合いを嫌う。他の選手とは違い、「家族を取り戻す」ために優勝を目指している。決勝戦では満太郎と共に最後まで残る。五腹星メンバーで唯一、克服すべき苦手料理がない。
各国代表
- チャーリー・アボット
- イギリス代表、職業・ロックミュージシャン。自己ベスト:フィッシュ&チップス48皿。
- パルマー・ラインハルト
- ドイツ代表、職業・国家公務員。自己ベスト:ソーセージ105本。優勝の目的は政界進出のための資金。
- ブルーノ・カルパッチョ
- イタリア代表、職業・作家。自己ベスト:ピザ25枚。
- ミセス・エミリー・フォスター
- アメリカ代表、職業・専業主婦。自己ベスト:ホットドッグ52本。優勝の目的は家族への車・農場・家の購入。
- トーマス・ヨハンセン
- ノルウェー代表、職業・漁師。自己ベスト:スモークサーモン120枚。
- ニコライ・カバレフスキー
- ロシア代表、職業・アマチュアレスラー。自己ベスト:ピロシキ81個。優勝の目的は金儲け。
- カルロス・ジルベルト
- ブラジル代表、職業・サッカー選手。自己ベスト:フェジョアーダ25杯。優勝の目的は少年サッカースタジアムの建設。大食いチャレンジ中に錠二と出会ったことがある。
- ソッド・ワンチャイ
- タイ代表、職業・キックボクサー。自己ベスト:トムヤムクン35杯。
- アントニオ・マルティン
- スペイン代表、職業・画家。自己ベスト:パエリア26人前。優勝の目的は恋人への結婚指輪の購入。
- ジェフ・ノーマン
- オーストラリア代表、職業・教師。自己ベスト:オージービーフステーキ5.5㌔。
- ホセ・ゴンザレス
- メキシコ代表、職業・警察官。自己ベスト:タコス20人前。優勝の目的は金儲け。
- ゴーミット・リー
- シンガポール代表、職業・学生。自己ベスト:フィッシュヘッドカレー15杯。
- アンドレ・ダバディ
- フランス代表、職業・俳優。自己ベスト:ブイヤベース15人前。
- テオドール・ヴァンゲリス
- ギリシャ代表、職業・新聞記者。自己ベスト:タラモサラダ84人前。優勝の目的は喰輪杯レポート本出版と古代遺跡保護の費用確保。
- シレシ・アレム
- エチオピア代表、職業・プログラマー。自己ベスト:インジェラ70個。
- ハサン・トゥラン
- トルコ代表、職業・コック。自己ベスト:シシカバブ30本。
その他の人物
- 安田
- 東都大学柔道部。柔道三段の超巨漢。カツ丼10杯30分のチャレンジに負けた先輩の仇うちのためにカツ丼屋に現れる。錠二の提案で満太郎との10分間の大食い勝負になるが僅差で敗北を喫する。満太郎が大食いの世界に足を踏み入れるきっかけになった男。外見のモデルは安田大サーカスのHIRO。
- ニチブン商事社長
- かつて満太郎が勤めていた会社の社長。ニチブン商事・吉本商事両社社員を使って肉まんの大食い勝負に参戦させるべく、満太郎を代表として招致する。「ニチブン」の名は版元である日本文芸社の略称に由来する。
- 吉本商事社長
- ニチブン商事社長と幼なじみ。同じく肉まんの大食い勝負に参戦させるべく、大阪支店で勤務の横川を代表として招致する。「吉本」の名は吉本興業に由来する。
- 田中 五郎(たなか ごろう)
- 通称ずんだ。仙台の生んだ大喰い人(本人談)。ずんだ餅30個、牛タン定食10人前、鮭イクラ弁当10個を平らげたのが自慢。故郷仙台をこよなく愛している。最近では全国を旅して大喰い大会に出場する生活を送っているらしい。事ある毎にやかましくて迷惑な自己紹介をする癖があるが、注意されると素直に聞き入れておとなしくなるという一面も。猫舌で熱い食べ物は苦手。
- 喰いワングランプリは予選でリタイヤ。また、熱くなると周囲が見えなくなるのか、菊子が喰いワングランプリのピザ対決でリタイアしたと知った途端に、観客席から会場に乱入して菊子の代わりに自分が食おうとし、警備員に取り押さえられて醜態を晒した。
- 喰輪杯本選出場者を除く一般食闘士の中では唯一満太郎と複数回対戦しているが、いずれも大敗しており、大言壮語の気が否めない。喰輪杯には、満太郎の応援として訪れていた(その際『実力は俺と五分』という独白をしているが、前述のとおり満太郎に勝ったことはない)。
- 青葉 菊子(あおば きくこ)
- 仙台出身。本職はモデルの美女。しかしながら大喰いの実力は高く、先述の田中五郎よりはるかに上。二貫の寿司を同時に頬張る「二貫喰い」を得意とする。喰いワングランプリでは本選出場し、握り寿司部門で優勝。2日目の巨大ピザ対決は途中でリタイヤ(本人曰く、醜態をさらしたくないとのこと)。
- 最終回ではどうした心境の変化か、それまで鼻も引っかけていなかった五郎とのペア大会出場に向けて、五郎に二貫喰いの稽古をつけていた。
- 猪瀬黒兵衛(いのせ くろべえ)
- 満太郎が舞阪の賭け大食い勝負が行われている食堂のメインイベンターで、満太郎が対決した相手。マグロ丼10杯分を巨大なボウルに入れ一気にかき込む「鯨食い」という得意技を持つ。一時はOKFFにスカウトされるも、邪道喰いを示唆された際激昂して参加を拒否し、独自で大食いを極める道を進む(邪道喰いが自らの信念に反するため)。
- 鯨食いを封印して挑んだ喰いワングランプリでは、本選出場を果たし海鮮丼部門で優勝。2日目の巨大ピザ対決は勝ち抜けず補欠に回り、決勝の補欠決定戦で参四郎に勝利している。AJFFでは最終回時点で準ファイター(メインファイターに次ぐランク)。
- モデルは安田大サーカスクロちゃん。
- 湖池(こいけ)
- 満太郎が舞阪から名古屋への移動途中、トラッカーに案内してもらったドライブイン「いこい食堂」のラーメン賭け食いにおいて無類の強さを誇る、通称「ラーメンマン」。朝・昼・晩、そしてその合間のおやつとしてラーメンを食べるほど無類のラーメン好きなトラッカーで、満太郎と特盛りチャーシュー麺(5玉)の早食い勝負をする。
- 外見や名前は藤子不二雄の漫画で登場する、ラーメン好きな小池さんがモデル。
- いこい食堂の大将
- 豊橋市にあるトラッカーに人気のドライブイン、いこい食堂の大将。若いころ一流レストランで修業をし、いこい食堂を継いだが、自己満足に過ぎない料理を出していて本来の客層(トラッカー)には不評だった。錠二の叱咤と助言により、大盛りで低料金、さらに美味いというトラッカーに愛されるドライブインへと生まれ変わり、成長した。悪食三兄弟の件も含め、二度にわたって錠二に窮地を救われており、その面影を見て取った満太郎に興味を持つ。
- 悪食三兄弟(あくじきさんきょうだい)
- 尾平走一・走二・走三の三兄弟。一部の同業者の間で悪名高いトラッカーだった。カレーライスとぜんざい、ラーメンとショートケーキをちゃんぽんにするなど、料理の味を無視した食べ方を好み、周囲に不快感を与える。このため他の客に来店を敬遠され、「いこい食堂」など、一時期閑古鳥が鳴いた食堂もあった。
- 錠二に負かされたのと兄弟の悪食を習慣づける原因となった父親の説得により現在は改心して、走一・走二は全国を走り美味いもの巡りをしつつ、いこい食堂への仕入れもし、走三は同食堂で料理人として修行中。満太郎との会話から、現在も錠二を尊敬していることがうかがえる。走一・走二は喰いワングランプリの本選に出場しており、走二がパスタ部門で優勝している。2日目の巨大ピザ対決で、錠二(の食べていたピザ)の異変に気づき、錠二のピザ(OKFFの手により妨害の企みをされたピザ)をわざと食べ、大会本部に不正とみなされ失格。結果的に錠二は走二のピザを食べることとなり決勝進出を果たす。応援に来ていた走三曰く「錠二さんへの恩返しをした」。
- モーニング娘/後藤亜紀子( モーニングむすめ/ごとう あきこ)
- 名古屋市に住む巨漢の中年女性。「モーニング娘」という通称の由来は名古屋名物のモーニングサービス(特に食べ放題を実施している店)にやってきて大量に食べていくため。以前は昼夜問わず大食いをしていたが、ダイエットのためモーニングサービス以外では食べ物を口にしなくなった(それでも相変わらず太っている)。
- そのせいか、モーニングサービスが終わる11時30分になるとピタッと食が進まなくなるという、フードファイターとしてはかなり致命的な弱点を抱えてしまっており、カレーうどん対決も途中でリタイヤした。
- 喰いワングランプリでは本選出場し、初日食パン部門で優勝しており、決して実力は低くなかった。しかし2日目の巨大ピザ対決では、体内時計を調整した甲斐もなく、午後開始の試合のために眠気に襲われリタイヤした。
- 先述の遠山が密かに目を付けていた人材であったためか、AJFFではTFF、OKFF出身者以外で唯一メインファイターに抜擢されている。
- 名前の由来は元モーニング娘。の後藤真希。髪形や衣装はモーニング娘。が出演した清涼飲料水「飲茶楼」のCMを参考にしている。
- 南京 善次(なんきん ぜんじ)
- 坂多利彦に手品を教えた師匠。坂多を叱咤し、OKFFから脱退させ演芸の道に戻させる。
- 外見や名前はマジシャンのゼンジー北京がモデル。
- 空念(くうねん)
- 滋賀県の寺で修行中の小坊主。お調子者で大食らい。法事で振る舞う食事20人分をつまみ食いしてしまい、罰として食事代10万円を集めるまで托鉢を命ぜられると共に寺を追い出される。ひょんなことから出会った満太郎を師と慕う。かなりはた迷惑な性格だが、憎めないところもある。満太郎対OKFFの戦いを、「満太郎がOKFFに仏罰を下すための戦い」と解釈している。
- 喰いワングランプリは予選でリタイヤ。本選では久々に再会した満太郎のサポートに回り、胃にやさしい精進料理の店を手配したり、OKFFの妨害工作を避けるべく満太郎を自らが修行する寺に招いたりしている。また同じ世界観の作品「大食い甲子園」でも登場、滋賀県長浜市の萬福寺の住職となっており、名も空界に変わっている。寺は全国の大食い部やフードファイターの合宿所として使われている。作中で肉を食べるが、彼の宗派では(少なくとも肉・魚は全般的に)問題ないらしい。
- 片岡 鶴吉(かたおか つるきち)
- 喰いワングランプリ本選1回戦で満太郎や完平太とおでんに挑んだフードファイター。
- 外見や名前は片岡鶴太郎(おでんを食べさせられて熱がっていた若い頃)がモデル。
- ミスターマスクマン
- 喰いワングランプリ本選に現れた謎の食闘士。実力はかなりのレベルで、周囲のフードファイターからも警戒されていた。2日目の巨大ピザ対決をクリアし決勝進出。顔面にマスクをしているため正体・本名は不明のままであったが、決勝ラウンドで意識が朦朧とした状態でマスクを脱いだことで素顔を露呈し、正体がTFFのフードファイター、熊田剛(軍兵衛)と判明する。
- 釜田 十蔵(かまだ じゅうぞう)
- 熊田が罠にはまり、代わって満太郎が出場することになったハンバーガー大食い大会の予選のおにぎり大食い大会に現れたオカマのフードファイター。おにぎり大食い大会では、16皿、32個を完食した(この記録は、満太郎よりもいい成績だった)。
- 喰いワングランプリでは、予選通過して本戦に出場、バッテラ部門で16本完食し部門賞を獲得する。しかし2日目の巨大ピザで、ビジュアル的によくない(観客やテレビ受けをしない)として、ピザ生地にふくらし粉を仕込まれる妨害工作に遭い、途中リタイアこそしなかったものの上位4名に入れなかった(満太郎・錠二以外では唯一の妨害を受けたフードファイターである)。ただし妨害工作は現場の独断で、遠山響子には気に入られており、「これからはああいうのが受けるんや」といってOKFFにスカウトするよう部下に命じている。AJFFでは最終回時点で準ファイター。
- マッチャ
- 喰いワングランプリ一日目の客席西側のリポーター。
- 外見や名前は、まちゃまちゃがモデル。
- 秀麻呂(ひでまろ)
- 喰いワングランプリの一日目の客席東側のリポーター。
- 外見や名前は、彦摩呂がモデル。
- 城田 信行(じょうた のぶゆき)
- 喰いワングランプリ一日目、二日目の解説席ゲスト。時代風俗研究家。いろんなことを解説しようとするたびに、ことごとく食闘士の紹介や他のゲストへの話にすりかえられ(一度、アナウンサーにふられて解説を始めたのに、話をすりかえられたことも)、解説を最後までさせてもらえなかった。
- 名前は、ジャイアント白田がモデル。
- パイン石坂(パインいしざか)
- 喰いワングランプリ一日目の解説席ゲスト。本人曰く、「品数は多いが、胃袋の大きさは普通のため量はそれほど食えない」らしい。
- 外見は石塚英彦、名前は石塚とパパイヤ鈴木がモデル。
- ラーメン「よしつね」主人
- とんこつラーメン「よしつね」店主。店では替え玉の大食いチャレンジを実施しており、錠二や鳥飼がしばしば訪れている。
- 風貌は「喧嘩ラーメン」の主人公・源田義経そっくり。他にも「食キング」に出てくる「さらりぃ麺」店主そっくりのキャラなど、スター・システムのように同一作者の他作品に登場するキャラに似た風貌の人物が何人か出てきている。
土山しげるの描く原作を元に『喰いしん坊! 〜大食い開眼編〜』及び『喰いしん坊! 〜大食い苦闘編〜』の題で実写映画化された作品で、2007年に公開された。
2008年、続編の『喰いしん坊!3 〜大喰い敵対篇〜』『喰いしん坊!4 〜大喰い激闘篇〜』がオリジナルビデオとして発売:コンセプトフィルム、販売:GPミュージアムソフトでリリースされた。尾暮太郎との野試合までを描く。全4作。
DVD
- 喰いしん坊! 大喰い開眼篇(2007年10月25日)[4]
- 喰いしん坊!2 大喰い苦闘編(2007年12月25日)[5]
- 喰いしん坊!3 大喰い敵対篇(2008年8月25日)[6]
- 喰いしん坊!4 大喰い激闘篇(2008年12月25日)[7]