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消化器を構成する器官 ウィキペディアから
ただし大きさ・位置に関しては個人差があり、胃が垂れ下がった胃下垂の状態になることもある。
胃は消化管を成す管状の器官であり、入口と出口が狭く途中がふくらんで袋状の構造になっている。全体の形状は死体と生体で大きく異なり、生体では多くの場合、鈎形である。
食道に繋がる部分を噴門部、十二指腸につながる部分を幽門部、それ以外の部位を胃体部と言う[1]。全体が左側に弧状に湾曲しており、噴門から幽門までが大きくふくらんでいる左側を大彎(だいわん)、ふくらみが小さく逆に反った形になっている右側を小彎(しょうわん)と呼ぶ。なお、胃底部と呼ばれるのは、胃の上部で噴門に近い部分のことで、この名は、かつて胃の検査をするときに臥位で行っていたため、そのときに見ると胃底が一番下側(背側)に位置することから付けられた。胃底部は横隔膜に接する。中身がない状態では、内側の壁は襞を作り縮んでいる(容積は約50ミリリットル)が、食後に食べ物でふくらんだ状態のときは、腹部前面に張り出したのが感じられる程度に膨らむ(いわゆる「満腹」の状態では、容積は1.5から1.8リットル)。幽門は第1腰椎右側に位置する。
胃の壁(胃壁)は、3層構造をしている。胃壁は内側から粘膜層、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜から成る。筋層の外側は腹膜で覆われている。なお、胃癌は胃壁のどの部位まで浸潤したかで進行度が判断される。
粘膜には、胃小窩(いしょうか)と呼ばれる微細な穴が無数に並んでいる。胃小窩の底には、胃腺(胃底腺)とよばれる管状の分泌腺が開口し、この腺が粘膜の最下層までのびている[2]。この分泌腺からは、主に、塩酸と消化酵素のペプシノゲンが分泌される(胃液)。胃腺の細胞のうち、壁細胞(傍細胞)は胃酸(塩酸)[3]および内因子を分泌し、主細胞はペプシンの前駆体であるペプシノゲンを分泌する[4]。ペプシノゲンは生理活性が無いが、塩酸に反応することで活性型のペプシンに変化する[4]。
なお、壁細胞から分泌される塩酸(胃酸)は胃の幽門前庭部に存在するG細胞から産生されるガストリン、副交感神経末端から分泌されるアセチルコリン、肥満細胞などから分泌されるヒスタミンによる刺激で内分泌される[5][6]。胃の粘膜の表面をおおう副細胞は、塩酸の酸性とペプシンによる消化から細胞自身を守るため、粘液を分泌している。
などの機能を持つ。
強酸性の胃液が胃を自ら消化してしまわないのは、胃の副細胞から分泌される粘液で胃が覆われており、さらに胃液を中和する重曹も生成されているからである。また常にプロスタグランジンという活性物質の働きで細胞増殖を活発にして胃壁の損傷を最小限に抑えている。しかしストレスなどで副交感神経のバランスが崩れたりすると、胃液や消化酵素のコントロールが利かず自分自身を消化してしまう、つまり胃に穴が開く状態である「胃潰瘍」を引き起こす。
多くの動物も人間と同じ単胃を持つが、ヤギや牛などの反芻類や鳥類は複胃を持つ。複胃のうち食道に近い胃を前胃、遠い胃を後胃と呼ぶ。
反芻類の複胃は前胃(第一胃、第二胃、第三胃)と後胃(第四胃)に分けられ、第一胃と第二胃はあわせて反芻胃とも呼ばれる。第四胃だけが消化液を分泌する腺を持つ本来の胃(腺胃)である。第一胃から第三胃までは食道が発達したもので咀嚼した食物を発酵させ、第四胃における消化を容易にすることが主な役割である。
これら家畜の胃は幅広い地域で食材としても用いられる。特にその空洞性から詰め物料理として用いられることも多い。
鳥類の胃は前胃と筋胃に分かれ、前胃が消化腺を持つ腺胃に該当する。筋胃は砂嚢とも呼ばれ、前胃で消化液と混合された食物をすりつぶす機能を持つ。
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