北陸おでかけパス(ほくりくおでかけパス)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が発売していた前売り制の特別企画乗車券である。当項では北陸新幹線等の利用者向けに、着地型周遊乗車券として発売していた北陸周遊乗車券(ほくりくしゅうゆうじょうしゃけん)についても述べる。
北陸周遊乗車券
北陸周遊乗車券は、2015年(平成27年)3月14日の北陸新幹線・長野駅 - 金沢駅間延伸開業にあたり、東日本旅客鉄道(JR東日本)管内の東京駅 - 上越妙高駅間の各駅から、JR西日本管内の糸魚川駅 - 金沢駅間の各駅まで「新幹線eチケットサービス」[注 4]を利用する乗客と[3]、首都圏および京阪神圏から北陸方面への旅行商品のうち、往復の行程にJR線を含む商品を利用する乗客[4][5]向けのサービスの一環として、北陸おでかけパスと同一のフリー区間内を曜日に関わらず連続2日間利用できる企画乗車券である。
発売価格はおとな2,580円、こども1,030円で、「新幹線eチケットサービス」利用の場合は新幹線乗車当日か翌日に、糸魚川駅以西の新幹線5駅で当該乗車券の購入完了画面、もしくは利用履歴などを提示した場合に発売される。旅行商品利用の場合は発売対象となる旅行商品と同時にセットで購入する必要がある。
利用方法は北陸おでかけパス、北陸周遊乗車券とも概ね同一である。
- 自由周遊区間(フリーエリア)内では、普通列車(新快速列車・快速列車を含む)の普通車自由席に乗車できる。指定席や着席整理券制(あいの風とやま鉄道「あいの風ライナー」[注 5]など)の列車に乗車する場合は、当該の料金が別途必要となる。ただし、グリーン席に乗車する場合は無効となり、乗車券(運賃)とグリーン料金が別途必要となる[注 6]。
- なお、特急列車などの優等列車は本券だけでは利用できないが、特急券等を別途購入すれば自由席のほか、指定席やグリーン席についても乗車できる[2][注 7]。
- 有効期間
- 北陸おでかけパス:乗車当日限り。
- 北陸周遊乗車券:2日間。
- (※乗車日が有効期間の翌日にまたがる場合は、午前0時を過ぎて最初に停車する駅まで有効。以降の区間は別途乗車扱いとして乗り越し分の運賃が必要となる)
自由周遊区間(フリーエリア)となる路線は、西側から順に下記のとおりである。
過去の周遊区間
- 富山港線(富山駅 - 岩瀬浜駅間の全線)
- 北陸本線(金沢駅 - 谷浜駅間)
- JR西日本管内の周遊区間としては、2015年3月8日利用分までの取り扱いだった。なお同区間が第三セクターへ転換された同年3月14日利用分以降も引き続き、前掲のとおり周遊区間として設定されている。
いずれも運賃としては無効となり、別途乗車券などの購入が必要。
- JR西日本
- IRいしかわ鉄道
- あいの風とやま鉄道
- のと鉄道
- 日本旅行などの主な旅行会社
発売は利用日の1か月前から3日前までの間となっている。また、「e5489」では2019年4月1日以降の利用分から、利用日3日前の23時30分までに予約をすれば利用日当日の受け取りができるように変更されている[8][9]。
※北陸周遊乗車券については、前掲のとおり「新幹線eチケットサービス」利用の場合は、糸魚川駅・黒部宇奈月温泉駅・富山駅・新高岡駅・金沢駅のみどりの窓口で、新幹線乗車当日か翌日にJR東日本管内から対象となる乗車券類を利用した旨を証明する、画面プリントや購入履歴などを提示した場合に限り発売される。旅行商品利用の場合はJTB、日本旅行、近畿日本ツーリストなどの主な旅行会社等で、発売対象となる商品と同時にセットで購入する必要がある。
北陸おでかけパスは、乗車券本券のほか案内書とアンケート用紙が添付されている。なお、以下の利用者向けの特典は2019年時点ですべて廃止されている。
- 福井駅「プリズム福井」(現・くるふ福井駅)、金沢駅「金沢百番街」、富山駅「マリエとやま」・「とやマルシェ」館内の指定店
- 駅ビル来館時、指定されたサービスカウンターでおでかけパスを提示すると、館内で割引や景品進呈などのサービスを実施している対象店舗が記載されたリーフレットが進呈される。
- 「一日フリーきっぷ」(おとな800円、こども400円)の割引
- 福井駅、田原町駅、あわら湯のまち駅、三国駅の窓口でおでかけパスを提示すると、おとな600円、こども300円の割引価格で購入できる。
- 特急バス「永平寺ライナー」(福井駅東口 - 永平寺門前間・往復 おとな1,440円、こども720円)の運賃割引
- 福井駅東口の同社窓口でおでかけパスを提示すると、往復乗車券をおとな1,200円、こども600円の割引価格で購入できる。また片道乗車券(おとな720円、こども360円)もおとな600円、こども300円で購入できる。ただし割引は窓口での乗車前購入時のみ有効で、車内精算の場合は対象外となる。
- 「一日フリーきっぷ」(おとな800円、こども400円)の割引
- 車内でおでかけパスを提示すると、おとな500円、こども250円の割引価格で購入できる。
- 利用料金の割引
- 前掲のとおり、北陸おでかけパスは利用日の1か月前から3日前までの前売り制となっており、利用日2日前以降は発売されない。北陸周遊乗車券のうち「新幹線eチケットサービス」利用の場合は、対象となる乗車券類の購入履歴等が提示されない場合は発売されない。旅行商品利用の場合は、該当する商品と同時のセット購入が条件となっており、単体では発売されない。
- 購入後の利用日の変更はできない。有効期間内(利用日当日を含む)であれば未使用の場合に限り、発売箇所で払い戻しが可能で、手数料220円を差し引いた額が返金される。
- 使用開始後は乗り越し、方向変更、経路変更などの区間変更の取扱いは対象外で、別途乗車扱いとして乗り越し・変更分の運賃が必要となる。また使用開始後に災害等による列車の遅延や運休等が発生し、旅行を取りやめる場合でも、払い戻しや変更などは原則として認められない。乗車券を紛失した場合でも、再発行の取り扱いは行わない。
- なお、利用可能な区間と期日内であれば、事故・災害などで列車が運行不能になった場合の「代行バス」に乗車することも可能である[注 12]。
- 北陸おでかけパスは2006年4月のフリーエリア拡大に伴い、エリア外の琵琶湖線と湖西線の一部の駅でも発売されている。ただし、エリア外から乗車する場合は、琵琶湖線からは長浜駅まで、湖西線からは近江塩津駅までの運賃が別途必要となる。また、北陸周遊乗車券を黒部宇奈月温泉駅から利用する場合も、エリア内各駅へ接続する交通機関(富山地方鉄道本線、路線バス等)の運賃等が別途必要となる。
- 2017年度の発売分からは本券が小型化され、自動改札にも対応した仕様となっている。
JR西日本は2023年(令和5年)2月2日に「特別企画乗車券の発売および見直しについて」を発表し、企画乗車券の発売見直しが行われた[10]。この発表で北陸おでかけパスと北陸周遊乗車券を含む一部の企画乗車券は発売終了となった[11]。北陸おでかけパスと北陸周遊乗車券の発売終了日と利用期間の終了日は下記のとおり。
2022年(令和4年)11月18日から「北陸おでかけtabiwaパス」を発売している[注 13]。同企画乗車券の発売に併せて、北陸3県の各エリアを対象とした企画乗車券の発売も行われている[12]。詳細は下記のとおりであるが、ここでは県ごとに分類する。なお、自由乗降区間や観光施設の優待サービスに関する情報は省略する。
また、2024年(令和6年)には、同年1月に発生した能登半島地震によって影響を受けた北陸地区への送客・地域消費拡大の取り組みとして、利用条件緩和・特別価格での販売が実施されている[13]。
- 共通事項
- 各エリアとも有効期間は2日間となっており、エリア内の普通列車普通車自由席に乗車することができる[12]。なお、特急など、料金券が必要となる列車はその料金が別途必要となるが、北陸新幹線に乗車することはできない[12]。
- 各エリアに設けた観光施設でサービスを受けることができ、エリアによってはJR線以外の鉄道線や路線バス(※高速バスを除く)に乗車することもできる[12]。
- オプション券として「tabiwaチケット」[12][14]の発売や「tabiwaクーポン」[15]の配付も行っている(※購入・取得手続きが必要)。
注釈
谷浜駅 - 直江津駅間については、JR時代は東日本旅客鉄道(JR東日本)との社境にあたるため、自由周遊区間から除外されていた。えちごトキめき鉄道への移管直後の2015年度もその名残で、当該区間は自由周遊区間から除外されていた。
2015年3月8日利用分まではおとな2,060円、こども510円、2009年度までは基本的に大人2,000円、子ども1,000円の価格で発売されていたが、はじめて設定された2003年秋から3か月間はおとな1,500円、こども750円の特別価格で発売され、その後も2006年の夏休み期間など、何度か特別価格で発売されている。また2005年4月に福井駅が高架化され、プリズム福井が開業した際は、平日も含めた連続10日間が利用日として設定されたこともある。 2005年度発売分までの購入期限は利用日の7日前であった。
2020年10月現在、「あいの風ライナー」は平日のみの運行で北陸おでかけパスが利用できる土曜・日曜・休日には運行していない。
2020年10月現在、フリーエリア内の普通列車で適用される列車はない。
2015年3月8日利用分までは在来線の特急列車の乗車についても無効で、乗車券と特急券が別途必要となっていた。なお、2015年3月14日のダイヤ改正時点では定期列車としての設定はないが、個室や寝台は利用できない。
2006年4月以前のフリー区間は新疋田駅 - 谷浜駅間であった。 七尾線の七尾駅 - 和倉温泉駅間の普通列車は全て「のと鉄道」が運行しているが、同区間内であれば乗車できる。 前掲の通り、移管直後の2015年度までJR時代と同様に谷浜駅 - 直江津駅間は周遊区間に含まれていなかった。
越美北線は2004年(平成16年)の福井豪雨で被災し一部区間が運休となったが、復旧の間の代行バスについても利用可能となっていた。 2022年11月18日(※利用期間は同年12月1日) - 2023年3月23日は「北陸おでかけパス」と併売[12]。敦賀 - 長浜間が自由周遊区間(フリーエリア)から除外された[12]。
出典
“「北陸周遊乗車券」発売のお知らせ” (PDF). えきねっと. 東日本旅客鉄道 (2020年3月6日). 2021年2月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月4日閲覧。 “特別企画乗車券の発売および見直しについて” (PDF). News Release. 西日本旅客鉄道 (2023年2月2日). 2023年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月4日閲覧。 “(「5.発売を終了するきっぷ」を参照)” 『特別企画乗車券の発売および見直しについて』の「5.発売を終了するきっぷ」を参照。
“チケット 北陸エリア”. 観光ナビ「tabiwa by WESTER」. 西日本旅客鉄道. 2023年8月4日閲覧。 “クーポン 北陸エリア”. 観光ナビ「tabiwa by WESTER」. 西日本旅客鉄道. 2023年8月4日閲覧。