仮想移動体通信事業者

無線通信回線設備を開設・運用せずに自社ブランドで移動体通信サービスを行う事業者 ウィキペディアから

仮想移動体通信事業者(かそういどうたいつうしんじぎょうしゃ、英語: Mobile Virtual Network Operator(MVNO、モバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレーター)とは、無線通信回線設備を開設・運用せずに、自社ブランド携帯電話PHSなどの移動体通信サービスを行う事業者のことである。通信サービスの提供には移動体通信事業者(MNO)の卸売をうけたり、仮想移動体サービス提供者(MVNE)の機能を利用したりする。携帯電話サービスプロバイダまたは単にサービスプロバイダと呼ばれる。ワイヤレス コミュニケーションズ サービス プロバイダ(wireless communications services provider)とも呼ばれる。

なお、総務省の特定のガイドラインにおいては、「MNOの提供する移動通信サービスを利用して、又はMNOと接続して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者であって、当該移動通信サービスに係る無線局基地局)を自ら開設しておらず、かつ、運用をしていない者」と便宜的に定義される[1]

概略

移動体通信サービスにおけるOEM製品ともいえる。MVNOは、物理的な移動体回線網設備の負担なくサービスを提供できる(ただし、MVNOは間接的に、MNOが物理的設備にかけるコストの一部を負担している)。

MVNOとMNOとの契約形態は、大きく卸売(卸電気通信役務)か相互接続(事業者間接続)に分けられる。両者は、MVNO側が個人等の利用契約者に対して契約上提供する電気通信サービス(SIMカードからインターネット等まで)の範囲が異なる。すなわち、前者においては電気通信サービスの各部分のうち、本来であればMNOのみが提供できる部分(SIMカードや無線基地局等)も含め、MVNOが(利用契約者との契約上は)提供している(MVNOは、MNOから当該部分の電気通信サービスを卸で購入している)。よって、利用契約者はMNOと契約する必要はない。一方後者は、本来であればMNOのみが提供できる部分については利用契約者とMNOが、それ以外の部分は利用契約者とMVNOがそれぞれ契約を結んで、電気通信サービスが提供されている。

最終的に電気通信サービスを利用する個人等から見たとき、どのサービスを利用するのか選択するにあたり「このサービス提供会社がMNOなのかMVNOなのか」やMVNOサービスの中でも「このサービスはどのMNOを経由するものか」が比較のための属性の一つとなる場合がある。また、MVNOに分類される会社によっては、複数のMNOと卸等の契約を結んでおり、それにより経由するMNOが異なる複数の通信サービスを提供しているものもある(例:2019年現在、株式会社インターネットイニシアティブは、MNOであるNTTドコモを経由するサービスプラン、およびMNOであるKDDIを経由するサービスプランを有する)。

2019年現在においては、最終利用者から見たとき、無線通信そのものの質では同程度の通信サービスについて、MNOと契約するよりもMVNOと契約する方が安価となるケースが存在している。このような安価となりうるMVNOサービス全般を指して「格安SIMサービス」という言葉が使われることもある。

日本におけるMVNO

要約
視点

日本でのMVNOは2001年に始まり[2]、これは「ノートPCPDA(通信機器)にPCカードCFカード(通信端末)を挿入することでPHS回線(通信網)を介してデータ通信が可能になる」というものであった。

その後、情報通信の発展とともに「通信機器」はスマートフォンタブレットIoT端末へ、「通信端末」はSIMカードモバイルWi-Fiルーターへ、「通信網」は3G回線[3]4G回線[4]へと、それぞれ多様化していった。また、当初はデータ通信のみであった通信方法も、のちに音声通話が可能になった。

通信端末には、当該MVNOの対応するMNOが発売した端末、または、SIMフリー端末を使用することができる。ただし、MNOにより使用周波数帯が異なるため、使用する端末が対応しているかを当該MVNOのウェブサイト等であらかじめ確認する必要がある。

2014年頃から「格安SIM」と「SIMロックフリースマートフォン」を組み合わせた「格安スマホ」が色々な事業者から提供され始めた。

分類

MVNOには様々な分類が存在する。

事業形態による分類[1][5]
  • 単純再販型 - MNOが提供するサービスと同内容のMVNOサービスを提供しているもの
  • 通信モジュール型 - 特定の業務の用に供する通信に用途が限定されているモジュール向けに提供しているもの
  • SIMカード型 - SIMカードを使用してMVNOサービスを提供しているもの(SIMカードが製品に組み込まれている場合を含む)
  • 再卸 - 他のMVNOに対し、MVNOサービスを卸電気通信役務として提供しているもの
ネットワーク設備による分類[6]
  • 単純再販型 - MVNO側にネットワーク設備がないもの
  • レイヤー3接続 - MNOとMVNOのネットワーク設備がレイヤー3で接続しているもの
  • レイヤー2接続 - MNOとMVNOのネットワーク設備がレイヤー2で接続しているもの
回線の提供元による分類[7]
  • 一次MVNO - MNOから直接回線の提供を受けるMVNO
  • 二次以降のMVNO - 他のMVNOから回線の提供を受けるMVNO

NTTドコモ系

さらに見る 名称, MVNO ...
名称MVNOMVNEサービス開始系統備考
ASAHIネット LTE朝日ネットNTTコミュニケーションズ2013年3月4日ISP
@モバイルくん。SORAシム2013年6月1日ISP系
NifMoニフティ2014年11月26日ISP系
やまとモバイルネクストパワーやまと2016年12月6日独立系
LINEモバイルLINEモバイル
ソフトバンク
2016年9月21日独立系2021年3月31日新規受付終了
イオンモバイル タイプ2イオンリテール2016年12月15日流通系
インターリンクLTE SIMインターリンクNTTPCコミュニケーションズ2014年7月8日ISP系
mineo Dプランオプテージオプテージ2015年9月1日電力系関西電力グループ
ピカラモバイル DプランSTNet2016年2月15日電力系四国電力グループ
NUROモバイルソニーネットワークコミュニケーションズミーク2016年10月1日ISP系
ロケットモバイル DプランIoTコンサルティング2016年5月16日独立系
スマホドックモバイルバルテック2017年4月1日ISP系
イプシムWITH Networks2017年10月2日ISP系
IIJmio タイプDインターネットイニシアティブインターネットイニシアティブ2012年2月27日ISP系
BIC SIM タイプDラネット2013年6月14日流通系ビックカメラの完全子会社
Tikimo SIM タイプDエヌディエス2015年6月26日ISP系
エキサイトモバイルエキサイト2016年7月1日ISP系
919モバイル タイプDイーエムアイ
→エクスゲート
2017年6月1日ISP系
hi-ho LTEハイホー2012年3月1日ISP系2024年10月31日新規受付終了
Toppa! Value SIMHi-Bit
→ハイホー
2012年5月15日ISP系2015年2月5日新規受付終了
エックスモバイルエックスモバイル2014年10月10日独立系
DMM mobileDMM.com
→楽天モバイル
2014年12月17日独立系2019年8月27日新規受付終了
G-Call SIMジーエーピー2016年7月1日独立系
ECJOY!モバイルアイ・アンド・ティー2017年7月1日独立系
QTmobile DタイプQTnet2015年3月2日電力系九州電力グループ
イオンモバイル タイプ1イオンリテール2016年2月26日流通系
U-mobile PREMIUMU-NEXT2016年7月1日ISP系2017年6月30日新規受付終了
ケーブルスマホケーブルテレビ各局CATVJCTAIIJが提供するプラットフォーム
BIGLOBEモバイル タイプDビッグローブビッグローブ2012年8月1日ISP系
FUJI Wifiレグルス
→LINK
→HUMAN LIFE
2020年7月1日独立系2022年1月17日新規受付終了
b-mobile日本通信日本通信2010年4月5日独立系
日本通信SIM2020年7月15日
HISモバイルH.I.S.Mobile2018年2月15日独立系H.I.S.と日本通信の合弁会社
ヤマダ ニューモバイルY.U-mobile2017年4月1日独立系ヤマダ電機とU-NEXTの合弁会社
U-mobile MAXU-NEXT2016年10月17日ISP系2020年2月6日新規受付終了
DTI SIMドリーム・トレイン・インターネットフリービット2015年9月17日ISP系フリービットの完全子会社
トーンモバイルトーンモバイル
ドリーム・トレイン・インターネット
2015年5月5日ISP系
スマモバガゼル
→スマートモバイルコミュニケーションズ
2015年2月20日ISP系
AIRSIMモバイルエア・コミュニケーション2016年7月19日ISP系
y.u mobileY.U-mobile2020年3月12日独立系
U-mobile 通話プラス/データ専用U-NEXT2013年9月1日ISP系2020年2月6日新規受付終了
FREETEL SIMプラスワン・マーケティング
→楽天モバイル
丸紅ネットワークソリューションズ2015年7月15日独立系2017年12月4日新規受付終了
REMOモバイルRemoSpace2021年9月2日独立系
どこでもフィットSIMフォーバルテレコム2022年3月17日独立系
楽天モバイル楽天モバイル楽天モバイル2014年10月29日中継電話2020年4月7日新規受付終了
ワイヤレスゲート SIMワイヤレスゲートレンジャーシステムズ2014年9月1日ISP系
レキオスモバイルレキオスレキオス2015年10月1日ISP系
LIBMOTOKAIコミュニケーションズTOKAIコミュニケーションズ2017年2月23日ISP系
LinksMateLogicLinksLogicLinks2017年7月1日独立系Cygamesの子会社
GMOとくとくBB SIMGMOインターネットグループ2016年3月31日ISP系
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au系

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名称MVNOMVNEサービス開始系統備考
J:COM MOBILEJCOMJCOM2015年10月29日CATVKDDIの子会社
BIGLOBEモバイル タイプAビッグローブビッグローブ2017年10月10日ISPKDDIの完全子会社
FUJI Wifiレグルス
→LINK
→HUMAN LIFE
2020年7月1日独立系2022年1月17日新規受付終了
mineo Aプランオプテージオプテージ2014年6月3日電力系
ピカラモバイル AプランSTNet2016年2月15日電力系
QTmobile AタイプQTnet2015年8月3日電力系
NUROモバイルソニーネットワークコミュニケーションズミーク2019年5月9日ISP系
ロケットモバイル AプランIoTコンサルティング2019年9月17日独立系
LINEモバイルLINEモバイル
ソフトバンク
2019年4月22日独立系2021年3月31日新規受付終了
IIJmio タイプAインターネットイニシアティブインターネットイニシアティブ2016年10月1日ISP系
BIC SIM タイプAラネット2016年10月1日流通系
Tikimo SIM タイプAエヌディエス2017年6月15日ISP系
エキサイトモバイルエキサイト2020年11月4日ISP系
919モバイル タイプAイーエムアイ
→エクスゲート
2017年6月1日ISP系
楽天モバイル楽天モバイル2018年10月1日中継電話2020年4月7日新規受付終了
イオンモバイル タイプ1イオンリテール2018年3月1日流通系
ケーブルスマホケーブルテレビ各局CATV系JCTAIIJが提供するプラットフォーム
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ソフトバンク系

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名称MVNOMVNEサービス開始系統備考
Hitスマホ飛騨高山ケーブルネットワークSBパートナーズ2016年8月22日CATV
mineo Sプランオプテージオプテージ2018年9月4日電力系
ピカラモバイル SプランSTNet2021年12月1日電力系
QTmobile SタイプQTnet2018年2月1日電力系
NUROモバイルソニーネットワークコミュニケーションズミーク2017年12月19日ISP
ロケットモバイル SプランIoTコンサルティング2018年7月18日独立系
b-mobile S日本通信日本通信2017年3月22日独立系
HISモバイルH.I.S.Mobile2018年2月15日独立系
U-mobile SU-NEXT2017年3月22日ISP系2020年2月6日新規受付終了
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楽天モバイル系

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名称MVNOMVNEサービス開始系統備考
ロケットモバイル RプランIoTコンサルティング楽天コミュニケーションズ2024年9月13日独立系
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サービス終了又は事業撤退

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サービス終了MVNO
名称MVNOMVNEMNOサービス系統備考
開始新規加入停止廃止
J:COM MOBILEジュピターテレコムウィルコム2006年3月1日2010年7月1日2013年3月31日CATV事実上、ウィルコム定額プランの再販
.PhoneユビキタスNTTコミュニケーションズウィルコム2007年10月25日2018年3月8日2020年3月31日[8]ISP系NTTコミュニケーションズや無料通話先プロバイダを通話相手とした音声通話定額制
楽天モバイル for Businessフュージョン・コミュニケーションズウィルコム2009年4月15日2018年3月9日2021年1月31日[9]ISP系自社IP電話回線と併用する形でのFMCサービス
bitWarpソニーコミュニケーションネットワーク ウィルコム2003年5月28日2009年7月31日2013年2月28日[10]ISP
イー・モバイル2008年2月28日2012年11月12日2017年11月30日[11]
BIGLOBE高速モバイルNECビッグローブイー・モバイル2007年12月13日2013年6月30日2018年1月31日[12]ISP系
DTI高速モバイルドリーム・トレイン・インターネットイー・モバイル2008年8月1日2012年5月31日2018年1月31日[13]ISP系
OCN高速モバイルEMNTTコミュニケーションズイー・モバイル2008年8月18日2013年2月28日2018年1月31日[14]ISP系
IIJmio高速モバイル/EMインターネットイニシアティブイー・モバイル2008年12月1日2015年8月28日2016年5月31日[15]ISP系
WILLCOM CORE 3Gウィルコム日本通信NTTドコモ2009年3月9日2010年9月30日2017年11月30日[16]キャリア日本通信の協力を得てサービスを開始したが、IIJに移管
ソフトバンクモバイル2010年10月1日2015年9月30日2021年1月31日[17]PHSとの組み合わせを音声でも提供開始
EMOBILE 4G-Sイー・アクセスソフトバンクモバイル
Wireless City Planning
2013年8月20日2014年7月31日キャリア系自社回線を一切利用しない
ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンクウォルト・ディズニー・ジャパンソフトバンクモバイル2008年3月1日2015年9月30日2017年11月30日[18]独立系プランはソフトバンクのものと同様
ECナビケータイECナビインフォニックスKDDI2009年8月3日2012年7月27日2013年2月28日[19]独立系初期投資での資金不足により基盤ごとKDDIに移管
Tigersケータイ阪神タイガース2010年5月24日独立系
GIANTSケータイ読売ジャイアンツ2010年6月30日独立系
JALマイルフォン日本航空インターナショナル2010年6月1日2013年6月30日独立系
VERTUノキアNTTドコモ2009年9月1日2011年7月31日2011年8月31日[20]独立系国際ローミングサービスWORLD WING対応
銀座旗艦店をオープン。プラチナ宝石螺鈿をちりばめた職人手作りの端末、電話やメールでホテルやレストラン、航空券の予約などを行える"VERTU Club"コンシェルジュも展開
ベネッセモバイルFREOベネッセコーポレーションソフトバンクテレコムソフトバンクモバイル2010年2月9日2010年5月15日2011年2月28日[21]独立系進研ゼミ会員を対象
R-skyアールストリーム日本通信NTTドコモ2011年1月20日2012年10月10日独立系
So-netモバイル3GソネットエンタテインメントソネットエンタテインメントNTTドコモ2011年10月3日2015年4月15日2017年7月31日[22]ISP系
BIGLOBE 3GNECビッグローブNECビッグローブNTTドコモ2012年2月1日2013年1月31日2019年6月30日[23]ISP系
楽天ブロードバンド LTEフュージョン・コミュニケーションズ日本通信NTTドコモ2012年10月4日2015年10月30日2021年1月31日[24]ISP系
ぷららモバイルLTENTTぷららNTTコミュニケーションズNTTドコモ2013年11月1日2017年5月2日2017年11月30日[25]ISP系NTTコミュニケーションズの関連会社
SANNET LTEフュージョン・コミュニケーションズNTTPCコミュニケーションズNTTドコモ2014年3月3日2015年10月30日2020年3月31日[26]ISP系
ポインティSIMアクセリアNTTPCコミュニケーションズNTTドコモ2014年4月22日2018年7月31日[27]独立系
Wonderlink LTE IシリーズパナソニックマーケティングジャパンインターネットイニシアティブNTTドコモ2014年9月18日2018年4月24日2025年3月31日[28]独立系
Wonderlink LTE Fシリーズパナソニックマーケティングジャパン富士通NTTドコモ2014年11月19日2024年3月26日2025年3月20日[28]独立系
スマOFFMXモバイリング丸紅無線通信NTTドコモ2015年1月28日2017年12月27日2018年5月31日[29]独立系ブックオフと提携して提供するサービス
シナプスモバイルグッドコミュニケーションズNTTPCコミュニケーションズNTTドコモ2015年5月1日2018年11月30日[30]ISP系
G-Phonegeanee mobileビッグローブNTTドコモ2015年5月16日2018年12月31日独立系
ファンダム支援SIMアイストリームNTTドコモ2015年7月14日2018年3月31日[31]独立系
イモトのケータイエクスコムグローバルインターネットイニシアティブNTTドコモ2015年10月19日2016年6月12日独立系
0 SIMソネットソネットNTTドコモ2015年12月25日2020年2月17日2020年8月31日[32]ISP系
トドックスマホコネクシオNTTドコモ2016年5月1日2018年1月31日独立系コープさっぽろと提携して提供するサービス
@Sモバイル静岡新聞SBSNTTコミュニケーションズNTTドコモ2017年2月1日2023年9月13日2024年3月30日[33]メディア
ピクセラモバイルピクセラ楽天コミュニケーションズNTTドコモ2017年3月22日2023年5月1日2023年7月31日[34]独立系
アイサポモバイルギアソニーネットワークコミュニケーションズNTTドコモ2018年3月12日2025年3月31日[35]独立系
ソフトバンク
CBCスマホ中部日本放送NTTコミュニケーションズNTTドコモ2018年11月1日2022年9月30日2023年3月31日[36]メディア系
donedoneビッグローブビッグローブKDDI2021年7月1日2023年8月31日[37]ISP系
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なお、MVNOとは称していなかったが、現在で言うMVNOに近いものとして、次のサービスがあった。

  • YOZAN時代末期のアステル東京が2004年9月より「全国コールサービス」としてDDIポケット(当時)網に接続するサービスを開始したが、その実態はアステル電話機にDDIポケットの番号を書き込むというものであった(旧番号への着信は1ヶ月間無料で新番号に転送された)。これにより自社網は一切使えず、通話以外の機能は使えなかった。対象者は同年8月末時点での契約者に限られ、2005年2月18日までに受付終了、同年11月30日にアステル東京自体がサービス終了した。同サービス利用者のウィルコムへの移行は番号変更なしでできた。

契約数

総務省の統計による、MVNOの契約数は以下の通り[7][38]

さらに見る 時期, サービスの契約数 (万件) ...
MVNO(MNOであるMVNOを除く)サービスの契約数の推移[注 1]
時期サービスの契約数
(万件)
移動系通信の
契約数に占める
比率(%)[注 2]
携帯電話
PHS
BWA
+WiMAX
SoftBank 4G
合計
2013年9月 4881276154.2
2013年12月 5411326734.6
2014年3月 5991437425.0
2014年6月 6481477955.3
2014年9月 6911548455.5
2014年12月 7401588985.8
2015年3月 7911669586.1
2015年6月 8451601,0056.4
2015年9月 9101611,0726.8
2015年12月 9991631,1617.3
2016年3月 1,1021671,2697.8
2016年6月 1,1761691,3468.3
2016年9月 1,2561711,4278.7
2016年12月 1,3141711,4859.0
2017年3月 1,4091771,5869.4
2017年6月 1,4541821,6369.7
2017年9月 1,5011861,68710.0
2017年12月 1,5751881,76410.3
2018年3月 1,6611881,84910.7
2018年6月 1,7501881,93711.1
2018年9月 1,8121861,99811.3
2018年12月 1,8831862,06911.6
2019年3月 1,9681902,15712.0
2019年6月 2,0411942,23512.3
2019年9月 2,1061962,30212.6
2019年12月 2,1981962,39513.0
2020年3月 2,2712002,47113.2
2020年6月 2,3232062,53013.4
2020年9月 2,3502092,55913.4
2020年12月 2,3762092,58513.4
2021年3月 2,4062042,61013.4
2021年6月 2,4001972,59713.2
2021年9月 2,4311882,61913.2
2021年12月 2,4661802,64613.2
2022年3月 2,4811732,65413.0
2022年6月 2,5251672,69113.2
2022年9月 2,5971632,76013.4
2022年12月 2,7141612,87513.8
2023年3月 2,8541623,01614.3
2023年6月 2,9301613,09114.8
2023年9月 3,0341593,19315.1
2023年12月 3,1651573,32215.5
2024年3月 3,2871583,44515.8
2024年6月 3,1281573,28515.2
2024年9月 3,2411563,39715.6
2024年12月 3,4621563,61816.3
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事業者別シェア

総務省が公表した、2024年12月末時点でのMVNOの「SIMカード型の契約数における事業者別シェア」では以下の通り[7]

MMD研究所の『2025年2月 MVNOのシェア・満足度調査』による、「メイン利用のMVNO」では以下の通り[39]

法規制

MVNO/MVNEの提供役務に関しても、音声通話が可能となる通信端末やSIMカード等は、携帯電話不正利用防止法の規制対象となり、契約者の本人性確認の義務付けや、不正な譲渡の禁止等がなされている。その為、契約において身分証明書の提出が必要となり、解約の際には違約金が発生する。なお、データ通信専用となる通信端末やSIMカード等は、同法の規制対象外である。

一部のMVNO/MVNEでは、データ通信専用となる通信端末やSIMカード等について本人確認書類の授受を省略しているものがある(空港等で販売している、訪日観光客向けのデータ通信専用のSIMカード等)。

格安SIMとしてのMVNO

国内では2010年代初頭にSIMカードの単体販売が始まった[40]。これはNTTドコモの3G回線を利用するものであり、ここにISP系の事業者のいくつかが参入することで、現在では格安SIMと呼ばれるサービスがスタートした[41][42][43]。しかし、この頃SIMフリーの端末はごく少数であったこと、キャリアの端末に対するSIMロック解除が努力目標でしかなく各キャリアで対応が分かれたこと、キャリアとの契約について「携帯電話・スマートフォンの購入と回線契約をセットで行い割引を受ける」方式が主流であったことなどから、一般の消費者が自分の所持する端末に購入したSIMカードを挿入して運用するような場面はほとんどなく、格安SIMが注目されることもあまりなかった。

2010年代中盤に入るとこの状況が変化する。端末(スマートフォン)に関しては国内で圧倒的なシェアを誇るiPhoneを筆頭にSIMフリーの端末が増加したことや[44]、SIMロック解除の義務化によってキャリアの端末をMVNOで利用する機会が増えたことが[45]、サービス(SIMカード)に関してはKDDIソフトバンクの回線を利用したMVNOが開始したことや[46][47]、MNOのサブブランドが登場したことが[48][49]、それぞれ要因となり格安SIMの注目度が高まった。家電量販店でスマートフォンとSIMカードのセット販売が行われるなど販売方法・経路にも変化が表れたことや[50]VoLTEDSDSなどの利便性を高める新技術が登場したことも追い風となる[51][52]。その結果、利用者の増加とともに多数の事業者が参入しシェア争いが勃発。それぞれ独自のサービスで差別化を図った[53]

2010年代終盤には、市場での激しい競争の中でMNO・MVNO双方に業界再編の動きが起こる。MVNOにおいては、事業を他社に売却する事例や[54][55]、MNOの傘下に入る事例が発生[56][57]。一方で、MNOにおいては、大手のMVNOであった楽天モバイルがMNOに参入[58]。三大キャリアによる寡占状態であった国内の携帯電話市場に一石を投じた。このような流れの中で、官房長官(当時)の「4割値下げ」発言[59]に端を発して、SIMロック解除条件の緩和、端末代金と通信料金を分ける分離プランの義務化、今後の展望となるアクション・プランの公表など、総務省による携帯電話市場への介入が続いた[60][61][62]。こうして三大キャリアへの値下げ圧力が強まった結果、2020年には三大キャリアがオンライン申し込み専用などこれまでとは異なる独自の料金プランを発表。サブブランドの新料金プランと合わせて、これらは格安SIMの大きな武器である「安さ」に切り込むものとなっている[63]。格安SIMまたは格安スマホへの乗り換えで後悔していない人の割合が80.7%という調査結果も出ており、三大キャリアの通常プランを契約する必要性が薄くなっているという状況もある。[64]

欧米におけるMVNO

GSMA Intelligence(2015年)の統計によると2014年の全世界のMVNOのうち最も多いのがヨーロッパであり59%となっている[65]。ヨーロッパは域内の移動が自由であり、パスポートなしで容易に隣国を訪問できる。そのため、知らず知らずのうちに海外ローミングを使ってしまい、気がついたら多額の請求書がやってくる「Bill Shock」がほかの地域より先行して話題になった。このBill Shock問題を解決するため、多国籍化したMVNO事業が普及していった。

イギリスやイタリアなどでは、郵便局のMVNO参入が行われた一方、アメリカでは、MVNOを保護する法規制は存在しないため、ネットワークを安価に調達することが難しく、価格面でのMNOとの差別化が困難になっている[66]

ドイツ

欧州地域ではMVNOの普及率が高いが、ドイツは主要国の中でも特にMVNOの普及率が高い[65]

2003年12月現在、ドイツの移動通信市場(契約件数)の約27%はMVNOであり、2004年以降もMVNOへの事業参入が増加[67]。2015年9月時点ではドイツの移動体市場の契約数の約半数をMVNO契約が占める[65]

イギリス

イギリスでは2000年代にMVNOによるサービスが活発化し、ヴァージン・グループ傘下のヴァージン・モバイルは2004年3月末に400万弱の加入者を獲得した[67]

また、小売業者のテスコや移動体事業を分離したBTなどMVNOへの新規事業者の参入が相次いでいる[67]

アメリカ

アメリカでは、全国展開を行う移動体通信事業者特定の市場のみの地域事業者、データサービス事業者、衛星移動体通信事業者などとともに仮想移動体通信事業者(MVNO)も移動体通信サービスを提供している[68]

南米におけるMVNO

ブラジル

ブラジルでは電気通信庁(Anatel)が2010年11月に仮想移動体通信事業者(MVNO)事業を解禁した[69]。しかし市場活性化されなかったことから、2016年3月に仮想通信網による個人向け移動体通信サービスの提供に関する規則を改正して市場競争を阻害するMVNO事業者の認可取り消しを可能にした[69]

ペルー

ペルーでは2013年9月に移動体通信市場における競争力強化法が制定され、仮想移動体通信事業者(MVNO)が制度化され、2015年12月にから施行された[70]

中国におけるMVNO

中国では工業・情報化部(MIIT)が2013年5月に「移動転売サービストライアル案(MVNOトライアル案)」を公表した[71]

脚注

関連項目

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