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テラ (医療サービス)

日本の東京都新宿区にある医療支援事業を行う企業 ウィキペディアから

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テラ株式会社: tella, Inc.)は、かつて東京都新宿区に本社を置き、樹状細胞ワクチン療法の研究開発とそれに基づく医療支援事業を行っていた企業。2004年設立、東大医科学研究所の技術・ノウハウの権利を独占した期待の療法支援として注目され上場もしたが、業績悪化とともに法令違反や新型コロナ治療薬虚偽開示が発覚し、2022年に倒産した[3]

概要 種類, 機関設計 ...
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概要

東京大学医科学研究所発のベンチャー企業で、2004年平成16年)6月24日に大株主で元医師の矢崎雄一郎を代表取締役社長に設立。樹状細胞ワクチン療法および再生医療の研究・開発や樹状細胞ワクチン療法等の技術・ノウハウの提供などの医療支援事業を行っていた企業。[5] 企業理念は「医療を作る」。

社名の由来はtera(兆)、terra(地球、グローバル)、tell(伝える、発信する)から構成された造語であり、「人体を構成する60兆個の細胞を科学する企業」、「世界に向けて発信する、グローバルなヘルスケア企業」という意味が込められている。

沿革

  • 2004年平成16年)6月24日 - 設立。
  • 2005年(平成17年)5月 - 樹状細胞ワクチン療法等の技術・ノウハウの提供を開始。
  • 2007年(平成19年)8月 - 株式会社癌免疫研究所とWT1ペプチドの細胞療法への応用に関する独占実施許諾契約を締結。
  • 2009年(平成21年)3月26日 - ジャスダックNEOに株式を上場。
  • 2010年(平成22年)
  • 2011年(平成23年)
    • 1月 慶應義塾 慶應義塾大学医学部と共同研究契約を締結。
    • 2月1日 - バイオメディカ・ソリューション株式会社の第三者割当増資を引き受け連結子会社化。
    • 7月 国立大学法人九州大学と共同でナチュラルキラー細胞に関する特許を出願。
    • 7月11日 - 株式会社バイオイミュランスの第三者割当増資を引き受け[6]
    • 9月 旭化成株式会社とがん治療を目的とした細胞プロセッシング装置の共同研究開発を開始。
    • 12月 学校法人慶應義塾 慶應義塾大学医学部と腫瘍浸潤リンパ球療法に関する共同研究契約を開始。
    • 12月6日 - 旭化成株式会社を割当先とした第三者割当増資を実施[7]
  • 2013年(平成25年)
    • 4月 株式会社日本網膜研究所(現:株式会社ヘリオス)へ出資。
    • 4月 国立大学法人九州大学と共同研究契約を締結し、樹状細胞ワクチンのがん治療用再生医療等製品開発実現に向けた活動を開始。
    • 5月 子会社タイタン株式会社を設立[8]
    • 11月 東京都港区赤坂に本社を移転。
  • 2014年(平成26年)
    • 1月テラファーマ株式会社を設立[9]
    • 2月株式会社ジナリスと共同で子会社株式会社ジェノサイファーを設立[10]
  • 2016年(平成28年)
    • 3月 東京都新宿区西新宿に本社を移転。
  • 2020年令和2年)
  • 2021年(令和3年)
  • 2022年(令和4年)
    • 4月4日 - 東京証券取引所スタンダードへ移行。
    • 6月20日 - 新宿区中のシェアオフィスに本社を移転。
    • 8月5日 - 東京地方裁判所から破産手続開始決定を受ける[2][3]
    • 8月23日 - 東京証券取引所スタンダード市場上場廃止[16]
    • 12月27日 - 子会社のテラファーマ株式会社が手掛けていた再生医療等製品の製造事業を、アルフレッサの子会社であるセルリソーシズ株式会社へ譲渡[17]
  • 2023年(令和5年)
    • 4月5日 - 子会社のテラファーマ株式会社と株式会社オールジーンが東京地方裁判所から破産手続開始決定を受ける[18]
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歴代社長

  1. 矢崎雄一郎(2004.6-) ‐ 1972年生。東海大学医学部卒、同大附属病院勤務医、ヒュービットジェノミクス株式会社社員、東京大学医科学研究所細胞プロセッシング寄付研究部門研究員を経て当社設立。子会社のテラファーマ、ジェノサイファー、オールジーンの代表取締役社長、テラ少額短期保険の取締役会長なども務めた[19][20]。2009年にはテラ支援の癌免疫療法専門「セレンクリニック」(医療法人社団医創会)を設立(2021年倒産)[21]
  2. 遊佐精一(2018.9-) ‐ 1970年生。東大大学院修了後、米フォックスチェイス癌研究所研究員などを経て2008年テラ入社[22][23]。退職後茨城県立つくば工科高等学校副校長に採用されたが、2024年2月、有印私文書偽造・同行使容疑などで逮捕された[23]
  3. 平智之(2019.3-)
  4. 真船達(2021.7-) ‐ 1970年生。亜細亜大学経営卒、大正製薬、ヘルスネットを経て、2012年テラ執行役員、2021年3月取締役[24][25]
  5. 木内清人(2022.3-) ‐ 1990年生。PwCあらた有限責任監査法人入所、アジアンブロードキャピタル・インベストメント合同会社代表社員、木内公認会計士事務所、木内清人税理士事務所開設ののち就任。 [26]

過去在籍

  • 小塚祥吾 元取締役CFO

技術・事業

事件

要約
視点

2021年3月3日、警視庁証券取引等監視委員会によるテラの合同強制捜査が行われた。

2020年よりテラが公表していた、CENEGENICS JAPAN社と共同開発の新型コロナウイルス感染症の治療薬がメキシコ・イダルゴ州にて承認されたという一連のリリースが虚偽であった疑惑に関連するものであり、その後2021年9月27日にテラが開示した「追加調査となる社内調査報告書の受領のお知らせ」によると、そもそもメキシコの州において医薬品が衛生登録されるという制度は存在せず、事実に反する開示であったとされる[27]。不正についてはCENEGENICS JAPAN社の顧問であった瀧本憲治が2021年初頭よりブログなどで内部告発していた(瀧本は同年5月に自殺)[28]

「プロメテウス」と名付けられたこの治療薬は、鳩山由紀夫元首相バラク・オバマ元米大統領を発起人とする「国際新型コロナウイルス細胞治療研究会」が中心となって開発したものであり、エクソソームを含む子宮内膜由来幹細胞であるとされる[12]。しかし、子会社であったプロメテウス・バイオテックそのものが架空の企業であったことが上記調査結果により判明した。

東京証券取引所は2021年10月14日、虚偽の開示行為を続けていたことや内部管理体制が不十分として、テラ株式を特設注意市場銘柄へ指定した[14][15]

2022年2月4日、テラの新型コロナウイルス感染症治療薬などに関する未公開情報を基に株取引を行ったなどとして、警視庁捜査2課が建設会社社長ら3人を金融商品取引法違反(インサイダー取引)で逮捕した[29][30]。25日には、テラの株価をつり上げる目的で虚偽の情報を公表したとして、業務提携先の医療関連会社「CENEGENICS JAPAN」(破産手続き中)の元役員ら3人を金融商品取引法違反(偽計)などの疑いで逮捕した[31][32]。CENEGENICS JAPANがテラの新株を約35億円で購入すると公表しながら、支払いが滞り大半を取得していなかった。テラ側に入金されたのは約100万円にとどまっていたという[33]。同日、東京地方検察庁特別捜査部が建設会社社長ら3人をインサイダー取引の罪で起訴した[31]。3月3日、第三者割当増資のために預金通帳のデータを偽造したなどとして、警視庁捜査2課が私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで不動産会社社長を逮捕した[34]

7月4日、東京地方裁判所は、建設会社社長にインサイダー取引の罪で懲役1年6月、執行猶予3年、罰金100万円の判決を言い渡した。法人としての同社には罰金100万円、被告と同社にも追徴金約2500万円とした[35][36]

その後テラは第三者割当増資や金融機関からの資金調達を目指していたが、資金繰りが悪化。テラは2022年8月5日に東京地方裁判所から破産手続開始決定を受けた[2][3]。上場していた東京証券取引所スタンダード市場も、同年8月23日に上場廃止となった[16]

2023年3月24日、東京地方裁判所はCENEGENICS JAPANの元役員に偽計などの罪で懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡した[37][38]

他にも、2006年から経済基盤となるクリニックの医療法人に幼馴染の人物を名義貸しで理事長に就任させるなどの問題が伝えられた。また、そもそも2016年時点で純損失約9.1億円を記録するなど、とても上場企業に相応しい経営状態ではなく、この時点で前述の独占実施許諾契約もすでに崩壊していた。フリーキャッシュフローを見ても上場以来自転車操業と呼べる状況であった。

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脚注

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外部リンク

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