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サイトロン・レーベル(Scitron Label)とは、かつて存在した日本のレコードレーベルである。
ゲームミュージックを中心に、多数の音楽・映像作品をリリースした。
1984年、イエロー・マジック・オーケストラのA&Rやプロデューサーだった小尾一介が、アルファレコード株式会社の¥ENレーベルで細野晴臣と、『ゼビウス』や『マッピー』、『ニューラリーX』などのBGMを収録した日本初となるゲームミュージックのレコード『ビデオ・ゲーム・ミュージック』を制作した。それに手ごたえを得た小尾は、後にアルファレコード内にゲームミュージック専門レーベル「G.M.O.レコード」を立ち上げた。
1986年、小尾が独立し、遠藤雅伸のゲームスタジオのメンバーと合流してサイトロン・アンド・アート株式会社を設立。ゲームミュージック音楽ソフトの制作を開始。
1988年6月、サイトロン・アンド・アートがポニーキャニオンと「サイトロン・レーベル」を設立して、音楽・映像・ゲームソフトの制作・発売を開始。それまでG.M.O.レコードでサウンドトラックを発表していた多数のゲームメーカーと、レーベルのファンクラブ[1]が移籍した。第1弾作品はZUNTATAによる『ニンジャウォーリアーズ -G.S.M.TAITO 1-』。
以後、G.M.O.レコードと同様に大手のみならず中堅ゲームメーカーの作品も積極的にリリース。ジャレコや日本物産、UPLのゲームミュージックは、サイトロン・レーベルにより初めてアルバム化された。
またメディアミックスも積極的に行い、1989年頃、開局したばかりのFM富士で、同社提供のラジオ番組「サイトロン・デジタル・プレス!」や「GAME MUSIC LAND」を放送していた。ディスクジョッキーは木場剛(後のバッキー木場)だった。さらに、ゲームの最新情報を収録したビデオマガジン「サイトロン・デジタル・ビデオプレス!」を発刊、全国のレンタルビデオ店にて無料レンタルを行っていた(第2号にて終了)。
1989年には、CDにゲーム1 - 2タイトルの楽曲のみを収録し、1500円の安価で販売する「G.S.M.1500シリーズ」を開始。
第2弾作品『ギャラクシーフォース -G.S.M.SEGA 1-』にて、セガのバンド「S.S.T.BAND」がデビュー。後にメンバーを揃えて実際にライブを行うに至り、ゲームミュージックバンドの代表格となった。
また、G.M.O.レコード時代から活動していたタイトーの「ZUNTATA」やカプコンの「アルフ・ライラ・ワ・ライラ」(後に「ALFH LYRA」に改名)が参加したほか、新たにデータイーストの「ゲーマデリック」、SNKの「新世界楽曲雑技団」、ADKの「ADKサウンドファクトリー」といったゲームミュージックバンドが、続々とデビューした。
1990年には、ZUNTATAとS.S.T.BANDが出演する「ゲームミュージックフェスティバル'90」が開催され、以後夏の風物詩として定着する。
しかし1993年、S.S.T.BANDが「ゲームミュージックライブ電撃'93」のステージを最後に解散。同年12月には、セガが東芝EMI(後のEMIミュージックジャパン)・ユーメックスレーベルに移籍する。さらに、1994年にカプコンがソニーレコード(後のソニー・ミュージックエンタテインメント)に移籍し、同年東亜プランが倒産。1996年にはタイトーが自社レーベル「ZUNTATA RECORD」を立ち上げ、サイトロン・レーベルを離脱するなど、レーベルの看板メーカーが相次いで去っていった。
代わって、当時対戦型格闘ゲームのヒットで隆盛を誇っていたSNKの作品が、リリースの大半を占めるようになる。キャラクター人気に着目したドラマCDや、声優によるラジオ番組「子安・氷上のゲムドラナイト」の放送など、サイトロン・レーベルのメインコンテンツに成長していった。
また、1996年には「ファンタスティックキャラクターシリーズ」が立ち上がる。いわゆるギャルゲーを題材にしたシリーズで、『悠久幻想曲』シリーズを中心に展開されていった。
1999年、ファンクラブが解散。同年12月、ソニー・ミュージックエンタテインメントと新レーベル「サイトロン・ディスク」を設立し、以降はそちらで作品を発表することとなる。
サイトロン・レーベル最後の作品は、2000年4月19日発売の『AGNOIA ドラマCD II「Phrase1〜ルシフェル〜」』であった。
ゲームミュージックのフルアルバムシリーズ。G.S.M.とは「Game Sound Music」の略。
ゲームのビデオ作品シリーズ。G.S.V.とは「Game Simulation Video」の略。
収録ゲームを1 - 2タイトルに絞り、CD1枚で1500円[2]という低価格で販売したシリーズ。第1弾は1989年9月21日[3]発売の『ゼロウイング』『原始島』『天聖龍』『レジェンド・オブ・ヒーロー・トンマ』『マルサの女』の5作品。後に、すでにサウンドトラックとして発表済みのタイトルを、再レコーディングして1500シリーズでCD化する「1500名盤シリーズ」もリリースされた。
収録内容は、オリジナル・バージョンの楽曲に加え、ボイス集やSE集など、ゲーム基板から収録された素材で占められる。アレンジ・バージョンの楽曲は収録されないか、収録されても1 - 2曲程度という構成が多い。
ライナーノーツは、四つ折りの紙の表面にトラック名、作曲者コメント、雑誌「ゲーメスト」編集者のコメントを掲載。裏面には楽譜が掲載されているという、共通のフォーマットが長く使われていた。のちに中綴じのものになる。
長年発売されたシリーズだったが、1998年4月1日発売の『堕落天使』を最後に、サイトロンORシリーズ(後述)に移行した。
1989年、雑誌「ゲーメスト」の企画「ゲーメスト大賞」にて、ベストVGM部門にランクインした上位10タイトルを、翌年オムニバスアルバム『GAME MUSIC BEST OF THE YEAR 1989』に収録してリリース。当時すでにビクター音楽産業(後のビクターエンタテインメント)にてCD化されていた、ナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)の2タイトルも収録された。
翌年以降は、同大賞ランクイン作品のうち、サイトロン・レーベル作品のみを集めた『サイトロン・ビデオゲームミュージック年鑑』シリーズとして発売された(1992年まで)。
アレンジバージョンのみを収録したシリーズ。第1弾は1991年11月21日発売の『ストリートファイターII イメージアルバム』。
その後はSNK、ADKの対戦格闘ゲームを題材として7作品発売。1994年8月19日発売の『ワールドヒーローズ2JET イメージアルバム』を最後に、アレンジサウンドトラックス(後述)に移行した。
定価を2000円[4]に設定し、1500シリーズと比べてライナーノーツなどの装丁に注力したシリーズ。第1弾は1994年4月21日発売『レイフォース』。
ほとんどがタイトーのタイトルで占められており、それ以外のメーカーでは、データイースト『ヘラクレスの栄光IV〜神々からの贈り物』、サンソフト『アルバートオデッセイ外伝〜LEGEND OF ELDEAN〜』など、少数に限られる。
イメージアルバムの後継となるシリーズ。英語表記は「ARRANGE SOUND TRAX」。第1弾は1994年11月18日発売『ザ・キング・オブ・ファイターズ'94 アレンジサウンドトラックス』[5]。イメージアルバム同様、収録曲はすべてアレンジ・バージョンで、オリジナル・バージョンは収録されない。また、声優によるドラマパートが収録されることもある。
1998年5月20日発売の『リアルバウト餓狼伝説2 アレンジサウンドトラックス』からは、「サイトロンARシリーズ」とも表記された。
ギャルゲーを題材にした作品。バラのつぼみをモチーフにしたマークが付けられていた。第1弾は1996年9月4日発売『プリンセスメーカーゆめみる妖精』。内容はサウンドトラック、アレンジバージョン、ドラマパートなどが混在しており、価格は2500円前後。
声優によるドラマのみを収録したシリーズ。第1弾は1996年11月7日発売の『ザ・キング・オブ・ファイターズ'96 ドラマCD』。
1998年5月20日発売の『ひざの上の同居人ドラマCD〜恋する乙女編〜』からは、「サイトロンDRシリーズ」とも表記された。
SNKの対戦格闘ゲームに登場するキャラクターにスポットを当てたシリーズ。第1弾は1997年7月18日発売の『草薙京』。
複数のゲームタイトルから、各キャラクターのテーマ曲のみをピックアップし、さらにオリジナルのドラマパートを収録しているのが特徴。第11弾の『八神庵』まで発売された。
G.S.M.1500シリーズの後継となるシリーズ。第1弾は1998年4月17日発売の『メタルスラッグ2』。
内容は1500シリーズとほぼ同じだが、定価が1890円(税抜価格1800円)となっている。
ゲームミュージック作曲者による作品では、S.S.T.BANDの完全オリジナルアルバム『BLIND SPOT』、ナムコ退社直後の細江慎治・佐宗綾子・相原隆行によるオリジナルアルバム『escape goat』[7]、ゲームミュージック作曲者のインディーズ活動であったOMYやまにきゅあ団のアルバムを発売している。
それ以外では、クラブサウンドを集めた『ヴァーチャルドラッグ』シリーズ(映像版も発売)、立体音響“バーチャルサウンド”を用いたドラマCD『意外なくだもの』(原作・原田宗典、出演・余貴美子、大谷亮介ら)、F1カーのエンジン音などを収録した『バーチャルオーディオ F-1 GP ザ・エグゾーストサウンド』(1991年版と1992年版が存在)といったタイトルもリリースされている。
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