コートコーポレーション

日本のゲイポルノビデオ制作会社 ウィキペディアから

コートコーポレーション

株式会社コートコーポレーション英語: Coat Corporation Ltd.)は、1991年平成3年)に設立された日本ゲイビデオ製作会社である(本項目における「ゲイ」とは「男性同士」の意味)。

概要 種類, 略称 ...
株式会社コートコーポレーション
Coat Corporation Ltd.
種類 株式会社
略称 コート
本社所在地 日本
155-0031
東京都世田谷区北沢3-23-14
コートファーストステージ1F
設立 1991年
業種 情報・通信業
法人番号 3010901003964
事業内容 映像制作、販売
代表者 代表取締役 江島隼人
外部リンク http://www.coat.co.jp/
テンプレートを表示
閉じる

概要

1991年(平成3年)に「POWER GRIP」を創刊し[1]、以降毎月コンスタントに8タイトル程度の作品を発売し、扱うジャンルも変えつつ現在までに200本以上のタイトルを数えている。『朝日新聞』『読売新聞』によれば男性同性愛者向けのアダルトビデオを専門に撮影しており、1993年(平成5年)ごろから1996年(平成8年)10月までの間に、計約90本のビデオ作品を制作[2]、約9億7000万を売り上げていた[3]。またテレビの視聴者参加番組に出演して人気が出た女性が出演者の勧誘に関わるなどしており[2]、判明しているだけで大学生約390人、高校生70人の出演が確認されていた(後述[3]。関連会社として有限会社「蔵建」(KURATATSU)、有限会社「COAT WEST」(大阪)があり、KURATATSUは1997年(平成9年)ごろから、COAT WESTは2003年(平成15年)から同名ブランドの作品をリリースしている。

初期の作品は「POWER GRIP」を代表に体育会系学生が出演するものがメインだったが、その後多くの新レーベルを立ち上げ、現在40以上のレーベルを有している。アスリート系・ジャニーズ系・リーマン系・ガチムチ系・SM系など、モデルや企画の幅は広く、ソフトなものからハードなものまで様々なジャンルの作品がある。

同じ頃、コートコーポレーションとしては初のシチュエーション・ゲイビデオ「Babylon」が創刊された(2021年までに65号)。1997年にはKURATATSUから「OUT STAFF」よりもヘビーな体育会系レーベル「danGet」と、ジャニーズJr.系レーベル「Fine」が設立された。danGetはvol.25(2008年)で打ち切られたが、Fineは現在もリリースされており、タイトル数は70を超えている(2021年まで)。その他にも多種多様なレーベルが設立された。その中の一つ「EXFEED」は後に独立している。

主なシリーズ

  • POWER GRIP
  • BABYLON
  • DANGET
  • OUT STAFF
  • 変態面接官
  • DISCOVERY
  • SCOOOP!!!
  • Fine
  • COAT WEST
  • NUMBER

『真夏の夜の淫夢』

要約
視点
Thumb
コートファーストステージ正面入口。本作を含め、他のCOAT作品でもしばしば撮影に使われる。

正式なタイトルは『Babylon 34 真夏の夜の淫夢 ~the IMP~』で、COATのブランドである「Babylon」シリーズの34作目にあたり、2001年(平成13年)7月20日に発売された[4]。これはストーリーに繋がりを持たない4つの章から成るオムニバス形式の全90分の作品である。タイトルはシェイクスピア戯曲真夏の夜の夢』から[5]

同作は2019年令和元年)時点で、インターネット上でカルト的な人気を誇る作品であると評されている[6]。中でも第四章「昏睡レイプ!野獣と化した先輩」に登場する「田所」(たどころ、通称:野獣先輩[注釈 1]〈やじゅうせんぱい〉)の台詞はインターネット上で人気となっている[5]

2002年平成14年)の夏ごろから2ちゃんねるなどのインターネット上で、本作の第一章に当時東京六大学野球プロ入りが確実視されていた多田野数人立教大学野球部)そっくりの男優が野球部の後輩たちとともに出演しているという噂が流れるようになり、『週刊現代』の取材に対して当時の同部監督・齋藤章児がその事実を認めた[7]。この事をきっかけとして、インターネット上において本作の存在が広く知られるようになり[4]、やがてその出演者の1人だった「野獣先輩」が注目を集めるようになっていった[8]。動画投稿・配信サイト「ニコニコ動画」においては2010年(平成22年)ごろからこの作品を題材とした動画投稿が急増し、増加の一途を辿っている[4]。人気の動画のランキングとも言える「ニコ動人気タグトレンド」の2014年(平成26年)3月4日から10日においては、他のあらゆるジャンルを差し置いて関連動画の人気は1位となり[4]2015年(平成27年)5月においても5位にランクインした[9]

また、本作やその関連作品中の台詞、音声(通称「淫夢語録」[8])や動画を用いた「MAD動画」もしくはそれに類するものや、全く関係の無いゲームの実況プレイ動画に台詞や音声を入れた動画が製作されるなど、日本のインターネット社会、特にニコニコ動画界隈における人気は高く[4]、「淫夢語録」はインターネットスラングとして浸透していると評されている[6]。また人気のアニメニュースなどに「淫夢」との一致部分を見出して楽しむ(通称「問題シリーズ」)などといったことも、ネットニュースで取り上げられている[10]

「真夏の夜の淫夢」に関連するネットスラングとして「微レ存」(「微粒子レベルで存在している」の略)がある[注釈 2][11][12]Amebaが行っている「JCJK流行語ランキング」(JCは女子中学生、JKは女子高生の意味である)では、2014年に「淫夢語録」である「微レ存」が10位にランクインしている[13][14]

当初は先述の経緯から多田野に対する注目が大きかったが、その後は第四章の野獣先輩の他の出演作がインターネットユーザーに発見されたことなどから野獣先輩の人気が徐々に上昇し、2016年(平成28年)には8月10日を「野獣の日(や→8、じゅう→10)」と掛け[5]、当日はTwitter上で、元ネタがゲイビデオであると知らないユーザーまで巻き込み、「#野獣の日」のハッシュタグが終日トレンド入りする事態となった[4][5]。同年にはネット配信番組において、タレントの大島薫が野獣先輩が現在何をしているのかを突き止めようとする企画を立ち上げるも、プライバシーの侵害に当たるとして中止されるといった事も起きている[15]

日本大学法学部新聞学科専任講師の平井智尚は、ニコニコ動画において『真夏の夜の淫夢』に関連する動画を「一定の視聴を集めながらも、特定の圏域以外での言及がはばかられてきた」とした上で、その理由として「性的マイノリティを対象としたポルノグラフィであるがゆえに倫理的制約が高くなること」「動画の大半が元ネタに関連する人物を笑いものとして扱っていること」を挙げている[16]

2023年(令和5年)7月25日、コートコーポレーション公式サイトが「8月10日に関するお願い」というタイトルの注意文で、8月10日は会社が定めた記念日ではなく、当日に限らず聖地巡礼などと称した北沢三丁目やその近隣への来訪はやめるよう付言した上で、毎年この日に会社の前に大勢の人が集まって大声で騒いでいることにより、無関係の近隣住民が迷惑や恐怖を感じているとして、悪質な迷惑行為には然るべき処置を取る事を告知した[17]

2024年(令和6年)下半期頃から、当作品の発言を元にしたAI楽曲「YAJU&U」が爆発的な人気を誇っており[注釈 3]2025年(令和7年)4月16日時点でYouTubeにて3000万回以上、ニコニコ動画にて120万回以上再生されている。2024年(令和6年)6月8日にはXにてこの曲の振り付けが考案され[18]、その後から「野獣先輩ダンス」「YAJU&Uダンス」としてTikTokを中心に若年層がこのダンスを踊る結果となった。2025年3月3日、フジテレビ『ネタパレ』の公式TikTokアカウントが「インポッシブルが野獣先輩ダンスに挑戦!!!」と題して、お笑いコンビのインポッシブルがこのダンスを踊る動画を投稿した。しかし、その後動画は削除された[19]。また同月19日、人気タレントのあのがこのダンスを踊る動画がTikTokに投稿された[20]。同月22日、ミュージシャンの広瀬香美は、Xにて「野獣先輩 #野獣先輩  #流行ってる #良い曲だけど経緯がわからん」と投稿した[21]

事件など

1995年(平成7年)2月、世田谷区北沢の路上で[3]男子高校生3人を勧誘し、同性愛者向けのアダルトビデオに出演させていたとして[2]、翌1996年(平成8年)10月14日[2]、コートコーポレーションの当時の社長や社員の女、都立世田谷工業高校定時制教諭の男ら6人が[3]職業安定法違反(有害業務就業目的募集)容疑で警視庁生活安全特捜隊町田警察署に逮捕されている[2]。この6人のうち、社員の女(当時23歳)は逮捕の数年前までテレビのバラエティ番組に出演していたことがあり、路上で若い男性をスカウトしていたという[3]。また『産経新聞』では、社長らはテレビ番組『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』に出演したことがあるタレント(当時23歳)をスカウトとして雇い、高校生には撮影に応じるたびに1万円程度を支払っていたことや、高校教諭の男は新宿区歌舞伎町の同性愛専門店で共に逮捕された男の1人と知り合い、面接担当をしていたことが報じられている[22]

脚注

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.