松本零士による日本の漫画 ウィキペディアから
『ガンフロンティア』 (Gun Frontier) は、松本零士による日本の漫画及び、それを原作とするテレビアニメである。1972年から1974年まで『プレイコミック』(秋田書店)誌上で連載。その後、秋田書店より文庫版全3巻(1976年 - 1977年)、文庫版全2巻(1999年)などが発行されているほか、2014年にeBookJapanにて全3巻で電子書籍化。秋田文庫(新版)の第2巻には、眼鏡のガンマン、トチローが登場する読み切り西部劇『西部長屋人別帖』が、“ガンフロンティア外伝”という副題付きで収録されているが、『週刊少年サンデー』1972年8月27号の雑誌初出時に副題はない。
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ガンフロンティア | |
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ジャンル | 青年漫画・西部劇・エロティック漫画 |
漫画 | |
作者 | 松本零士 |
出版社 | 秋田書店 |
掲載誌 | プレイコミック |
レーベル | 秋田文庫 |
発表号 | 1972年11月11日号 - 1974年12月14日号 |
巻数 | 全3巻(秋田漫画文庫、eBookJapan) 全2巻(秋田文庫、秋田コミックスセレクト) 全1巻(TOPコミックスシリーズ) |
話数 | 全31話 |
アニメ | |
原作 | 松本零士 |
監督 | 善聡一郎 |
キャラクターデザイン | 増永計介、仲田美歩 |
アニメーション制作 | ベガエンタテイメント |
放送局 | AT-X |
放送期間 | 2002年3月28日 - 6月24日 |
話数 | 全13話 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画・アニメ |
ポータル | 漫画・アニメ |
見慣れぬサムライサーベルを使うド近眼で小身の東洋人トチロー、その親友で早撃ちの名手ハーロック、謎の美女シヌノラの3人が、トチローの同族を探して西部を旅する西部劇である。トチローとハーロックの2人を除き、大半の登場人物や地名など固有名詞は、下ネタを利用したギャグっぽいネーミングで統一されている。
2年に及んだ青年誌での連載は性描写が多分に含まれ、ありとあらゆるノーマル、アブノーマルセックスを、各話のゲストキャラは勿論、メインヒロインが総てこなしたのも本作の特色である。
松本零士の愛猫ミーくんが本作の連載中に亡くなったため、死んだ飼い猫を抱く男として作者自身が最終話に登場し、吊るし首になりそうなトチローたちを助ける活躍をしている。
2016年から2017年にかけて、 島崎譲によるリブート作品『ガンフロンティア〜ハーロック&トチロー青春の旅〜』が『チャンピオンRED』(秋田書店)で連載[1]。あらすじなどは島崎によると「結構'まんま'」[注 1]であるが、舞台となる場所は「大宇宙のとある星」と濁されている。また、性表現が多用される作品が多い掲載誌ではあるが、オリジナル版に頻出する性行為は抑え気味となっている。リブート版は2017年5月19日に全1巻の単行本として発売された[3]。
ここは大西部のガンフロンティア。トチローとハーロックの男2人、そして金髪の美女シヌノラのいつ果てるとも知れない旅は続く。トチローとハーロックはアメリカに漂着した日本人の子孫であり、幼い頃に騎兵隊の襲撃で日本人集落イエロークリークを追われ、散り散りになった同胞を探すために旅を続けていた。同族を裏切って白人社会を楽しんでいる日本人や[4][5][6]、騎兵隊への怨みから悪事に走った者[7]にも幾度か出会い、トチローたちは心中複雑。シヌノラが日本民族の抹殺を企てる組織の一員と勘づくも、トチローたちは豪放にも3人旅を続けるのだった。
日本人の剥製を作っている女医サン・ダウナーズと関わったことで、イエロークリークを脱出した日本人のリーダーとされる老人ヒジカタの居場所を知るが、ヒジカタは追っ手から逃れるため腹を切って自決していた[8]。乱交まみれの町に立ち寄った際、トチローは黒髪の女性ミス・イザナミから、日本人の居場所を日本語で記した重要な地図を入手する。それを知った組織はシヌノラの数々の背信行為を見逃す条件に、地図を翻訳するか目的地を突き止めるよう指示するが、すでにトチローたちに情が移っていたシヌノラは、これを拒絶して組織の使者全員を射殺[9]。
旅を続ける中で、トチローとハーロックの人種を調べに来た日本人の女忍者と接触したり[10]、サムライを名乗り日本刀を持つ一党に遭遇するが[11]、人間不信になっている彼らになかなか信用してもらえない。また、シヌノラを誘拐した巨体の荒くれ者リトルビッグペニスを苦戦の末に倒すものの、彼が日本人の情報を持っていたことを後で知ったトチローは、殺してしまったことを後悔する[12]。
やがてイザナミの地図に書かれていた町を経由して出会った日本人孤児グループから、子どもらの姉や母親たちがロッキー山脈の向こうへ行ったことを聞かされ[13]、女だけで厳しい太平洋を渡り日本へ向かったことが分かる。孤児たちは元気よくロッキーを超える馬車の旅に同行するものの、山越えの厳しい寒さで全員死んでしまう。落ち込むトチローは海辺で、逃亡に失敗した日本人が遺した一隻の小舟と、そこにあった僅かな備蓄食糧を発見した[14]。トチローは死をも覚悟の上で、広大な太平洋を小舟で渡る決意をする。シヌノラの胎内に己の子を託し、ハーロックたちとニコヤカに笑いながら別れ、トチローは単身ガンフロンティアを船出するのだった。
※キャストは後述するアニメ版に登場した時の担当声優。
発行元はいずれも秋田書店
2002年にアニメ化され、アニメ専門チャンネルのAT-Xで全13話が放送された。ナレーションは梁田清之が担当。視聴年齢制限付きの放送にも関わらず、原作の性的要素は大きく後退している。アニメ化にあたってトチローの生き別れの妹・雫が新たに登場し、それに伴いトチローの旅の目的も、同族に出会うことの他に妹捜しが加わった。シヌノラが所属する組織がダークマイスターと命名されており、ダークマイスターはその頂点に立つ人物名にして、組織名でもあると語られている[33]。彼らは組織内で製造した武器を世界各地の戦争地に供給し、戦禍を拡大させている。また、武器を作る技術者を集めるために、日本人集落のイエロークリークを襲撃させ、雫をさらった。
原作と同じサブタイトル回は、大筋では原作の内容をなぞっているものの、アニメでは描きにくいセックス場面を削減するため該当部分を丸ごとカット、またはシチュエーションをソフトな内容に変更している。原作の複数エピソードを組み合わせて1話分に仕立てたり、ゲストキャラクターの役割や猥褻な固有名詞を変えるなど原作からの脚色も多い。アニメ第8話のゲストキャラ、ウタマロが「ダークマイスター様こそ世界統一の支配者」と、原作と違って組織の信奉者のように描かれているほか、原作では1回限りのゲストだった早撃ちの殺し屋シタルネンが、町の支配を任されているダークマイスターの幹部という大きな扱いで登場し、彼の末路も原作のそれとは変えられている。
最終話はトチロー一味とシタルネンの決闘が中心になって、原作終盤と全く異なるオリジナル展開である。雫は兄と再会を果たした後、再びさらわれてしまい、トチローは妹を救い出すべく旅を続けるラストになっている。組織の首領ダークマイスター本人は、雫をさらって行く場面で1シーンだけ姿を現すが、言葉は発しない。シヌノラはダークマイスターの内情を探るため行動していた、別の組織の二重スパイの素性が分かるシーンがある[34]。原作ではミス・イザナミから入手した地図が手がかりとなり、多くの日本人との出会いを経てトチローがアメリカを旅立つことになるが、アニメにイザナミの地図を出さなかったこともあって、同胞探しよりもトチローと妹の再会にドラマが収斂してしまった面が否めない。
トチローを演じた山口勝平は、本作の後も『SPACE PIRATE CAPTAIN HERLOCK』、『宇宙交響詩メーテル 銀河鉄道999外伝』で引き続きトチロー役を演じている。竹本英史は『コスモウォーリアー零』以来、2回目のハーロック役だが、『宇宙交響詩メーテル 銀河鉄道999外伝』で三度ハーロックを演じた。
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
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1 | ガンフロンティアへの出発 | 神尾麦 | 善聡一郎 | 嶋津郁雄 | |
2 | 酒のない町の崩壊 | 島津奔 | 三宅綱太郎 | はっとりますみ | |
3 | 大砂塵馬肉の歌 | 鹿島典夫 | 寺本幸代 | 高橋昇 | |
4 | 雨の殺し合い | 島津奔 | 吉田俊司 | 仲田美歩 | |
5 | ガニマタ賛歌 | 荒木憲一 | 所俊克 下田久人 | 下田久人 | 乙幡忠志 |
6 | 荒野のサムライサーベル | 鹿島典夫 | 島津郁雄 | ||
7 | 幻の閨 | 神尾麦 | 島津奔 | 三宅綱太郎 | はっとりますみ |
8 | ワイルド・ウタマロ | 寺本幸代 | 高橋昇 | ||
9 | ウンチシターとミダランド・シティーの血闘 | 石山タカ明 | 横田和善 | 桜井木ノ実 | |
10 | 怒りのチビ | 善聡一郎 | 吉田俊司 | 仲田美歩 | |
11 | ジャマシティのマッチロック | 鹿島典夫 | はっとりますみ | ||
12 | シタルネン | 石山タカ明 | 三宅綱太郎 | 高橋昇 | |
13 | 未来への足跡 | 善聡一郎 | 柳瀬譲二 |
テレビアニメのDVDとVHSが並行して株式会社マクザムから発売された(DVDの販売元はパイオニアLDC株式会社)。2002年8月から11月にかけて全7巻が順次リリース。各巻2話収録で、第7巻のみ1話収録。DVD各巻にはジャケットイラスト使用のポストカード封入と、静止画による設定資料を収録している。
2003年8月に、単品7巻のトールケースをそのままセットにしたDVD-BOXが発売。新規特典として描き下ろしイラストの収納BOXと、両面印刷のシヌノラ・セクシーピンナップ・ポスターが封入された。
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