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動物の雌性生殖器の一部 ウィキペディアから

膣
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または(ちつ、: vagina: Vagina)とは、動物における雌性の生殖器のうち、体内にあって体外の開口部に連なる末端部の名称である。この項目では便宜上、女性という語を使用し、性別に言及する。

概要 膣, ラテン語 ...
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動物一般

一般的に雌性生殖器のうち、体表面と内部の子宮等の生殖器をつなぐ管状構造のこと。交尾出産に使われる。無脊椎動物を含め、体内受精を行う動物ではこの構造を持つ例は少なくなく、下等な方では無腸動物にもその例がある。鳥類や幾つかの爬虫類、および単孔類など一部の哺乳類における膣は総排出腔(=総排泄腔)であり、昆虫無脊椎動物においては卵管(=輸卵管)の末端部である。

哺乳類の場合

哺乳類においては雌の子宮から体外に通じる管状の器官であり、交接器と産道を兼ねている。また、膣の開口部(膣口)は外陰部に位置する。

役割

膣の役割は以下のものがある。

処女膜

処女膜Hymen)は、哺乳動物ではモルモットゾウハクジラアザラシジュゴンキツネザルなどに存在する。多くの場合は膣口を完全に覆うものではなく、処女膜は膣口周囲を縁取る、もしくは部分的に覆う構造をしている。帯下(おりもの)や月経期間中の経血は、処女膜に空いた穴を通り排出される。処女膜の役目は「未成熟な内性器を細菌などから守るものだ」など諸説あるがはっきりしていない。ヒトにおいての処女膜はやや薄く、性交の経験がなくとも破れることはある[1][リンク切れ][2]。また、破れる際に必ずしも出血や痛みを伴うものではない[3][出典無効]

子宮頸部

子宮頸部およびその周りを取り囲む膣円蓋が膣の行き止まりを形成する。子宮頸部のほぼ中央部に子宮口(外子宮口)が開口しており、子宮頸管・子宮へとつながる。ヒトにおいて子宮頸部は約2〜3cm程度膣内に突出しており、周産期以外は子宮口のサイズは数ミリ以下である。膣の真上ではなく斜め前方についていることが多い。これは子宮が通常は前傾している事による。ただし、子宮が後屈している場合などはこの限りではない。

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ヒトにおける膣

ヒトにおいては、子宮頸部の周りを囲む膣円蓋部から体表面をつなぐ筋肉でできた伸縮性のある管状構造をしている。膣内は分泌液によって酸性に保たれ[4][リンク切れ]、細菌などの有害な異物の侵入を防いでいるが、いわゆる無菌状態ではない(代表的な菌として、デーデルライン桿菌がある)。この膣の自浄作用により、精子も大半が死滅するほどである[5](もちろん、妊娠を望まない性交を行う際には避妊が必須である)。膣の長さは約7〜9cm程度とされてはいるが[6]、個人差も大きく膣自体に伸展性もあるため必ずしも平均に当てはまるものではない。月経周期[7]や年齢によって子宮・膣を支える骨盤底筋の強さに変化が現れ、膣の長さが変化することもある。

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膣のひだ(Rugae)

女性の外性器の解剖学

女性の外性器は、よく「膣」であると言われるが、厳密には外陰部(=Vulva(ウルウァ:ラテン語の「子宮」に由来する)または、Pudendum(プデンドゥム:ラテン語で「恥るべき」を意味するpudendlus(プデンドゥス)から派生))のことである。外陰部を構成する小陰唇に挟まれた膣前庭部に膣口が開口している[8]。膣は、厳密には体内の部分を指す医学用語である。

膣は性教育で示される模式図(断面図)のように空洞になっているわけではなく、通常は膣圧によって閉じられた状態である。性交(膣性交)はこの閉じられた膣を陰茎亀頭で押し広げながら、陰茎を奥へと挿入する行為であり、勃起が不充分な場合は膣圧によって押し戻されてしまい挿入が困難である。また、膣分泌液の分泌が不充分な場合は摩擦が強すぎて挿入が困難であり、女性が痛みを感じたり、膣壁を裂傷する場合もある。強姦などの場合、顕著な出血や外傷を伴う場合が多く、とりわけ初交であった場合被害者は処女喪失を強く意識し、重篤な精神的後遺症を伴いやすい。中には外科的に処女膜を縫い合わせて再生する美容整形手術を受ける例もある[9]

膣内壁は皺襞(ひだ)状になっており、挿入された陰茎や亀頭を刺激し射精を促す。また、出産の際に胎児が通れるように広がるためでもある。

一部医師によって膣内壁の皺襞、疣贅(いぼ)の形状が尖圭コンジローマによるものと誤診されることがある[10]

尿道口肛門に挟まれて位置するため、大腸菌の侵入や、排尿後に局部に残った尿を栄養源に繁殖した雑菌により感染症を起こす場合がある[11]

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語源

」は大槻玄沢が『重訂解体新書』を訳出する際に作成した新字である[12][13]。「肉が生じる」という意味を持つ「腟」という字は本来「ちつ」という音だったが[12][注 1]、玄沢はこれを「しつ」と読ませてVaginaに対応させた[15]

ではなぜ「」と「腟」が並行して使われているのかについて、医師の水田正能は腟”は“膣”の略字であり、“膣”の方が古い字体で正式だと誤解されていると主張している[16]。小川鼎三は著書で『大言海』を引き、以下のように書いている[12]

「ちつ(名)腟、膣(腟ハ肉室の合字、音志つナルベシ)、玉篇『腟チツ、丑一切、音抶、肉生也』トアルハ異義ナリ。膣ハ篇海『音窒、肉生也』ト。今ハ腟ト同ジク用ヰル[17]

『篇海』という本は金の時代にできたというので、『玉篇』(梁の時代に起源)よりは新しい。

医学用語の起り

また、古来より中国語では女性器のことを「陰道」と言う[12][18]が、小川は中華民国4年の辞源に「膣」が女性器の意味を持って記載されていたことと、『玉篇』や『篇海』では「腟」や「膣」が女性器の意味を持たなかったことから、重訂解体新書の影響を受けたものとしている[12]。水田はこれらから漢字は中国が本場という先入観が、“膣”を本家扱いして誤用しているのであると主張している[16]

Vaginaラテン語や植物の葉鞘子房といった鞘状の構造一般を意味するvāgīna(ワーギーナ)に由来し、解剖学では膣を含めたさや)(包膜、包被としての役目を担っている構造)を意味する。膣粘膜は、vagina mucosaと呼ぶ。

脚注

参考文献

関連項目

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