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アメリカの映画作品 ウィキペディアから
『エクソシスト』(The Exorcist)は、1973年のアメリカ合衆国のホラー映画。監督はウィリアム・フリードキン、出演はリンダ・ブレア、エレン・バースティン、ジェイソン・ミラーなど。
エクソシスト | |
---|---|
The Exorcist[1] | |
監督 | ウィリアム・フリードキン |
脚本 | ウィリアム・ピーター・ブラッティ |
原作 | ウィリアム・ピーター・ブラッディ |
製作 | ウィリアム・ピーター・ブラッティ |
製作総指揮 | ノエル・マーシャル |
出演者 |
リンダ・ブレア エレン・バースティン ジェイソン・ミラー マックス・フォン・シドー リー・J・コッブ |
音楽 |
マイク・オールドフィールド ジャック・ニッチェ |
撮影 | オーウェン・ロイズマン |
編集 |
ノーマン・ガイ エヴァン・A・ロットマン バド・S・スミス |
製作会社 | ホヤ・プロダクションズ |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 |
1973年12月26日 1974年7月13日 2000年11月23日(DC版) |
上映時間 |
122分(劇場公開版) 132分(ディレクターズカット) |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $12,000,000 |
興行収入 |
$441,071,011[2] $232,671,011[2] 17億円(DC版)[3] |
配給収入 |
27億3000万円 (1974年洋画配給収入1位)[4] |
次作 | エクソシスト2 |
少女に憑依した悪魔と、自らの過ちに苦悩する神父の戦いを描いたオカルト映画の代表作であり、その後さまざまな派生作品が制作された。本国において1973年の興業収入1位を記録した。第46回アカデミー賞の脚色賞と音響賞を受賞。
題名となっているエクソシストとは、英語で"悪魔払い(カトリック教会のエクソシスム)の祈祷師"という意味である。
イラク北部で古代遺跡の発掘調査に参加していたランカスター・メリン神父(マックス・フォン・シドー)は、悪霊パズズの像を発見する。彼は「この邪悪な宿敵と再び対峙する日が近い」と予感する。
女優のクリス・マクニール(エレン・バースティン)は体制側と対峙する若者を描いた学園映画撮影のためにワシントン近郊のジョージタウンに家を借り、一人娘のリーガン(リンダ・ブレア)と幸せに暮らしている。
同じくジョージタウンに住むデミアン・カラス神父(ジェイソン・ミラー)は時おりニューヨークに住む母親のもとを訪れている。ギリシャからの移民である母親は小さなアパートで日がなラジオのギリシャ音楽を聴いて過ごしている。
教会の援助で一流大学で学んだカラス神父は、貧しく孤独に暮らしている母に申し訳なさを感じる。プラグマティストの精神科医であるカラスは、医者として稼げば母に楽をさせられるが、現実には清貧の誓いに縛られ赴任地も遠く、母の世話もできない身の上だった。身体を鍛える一方で、神父の仕事にやり甲斐を持てず悩むカラス神父。やがて母は体調が悪化して入院する。設備の整った私立病院に移したいと思ってもその費用がない。病院に押し込められたと嘆いたまま母は死に、カラスは更に自分を責める。
クリスの家では屋根裏から不気味な音が聞こえるようになるが原因がわからない。やがてリーガンの行動に異変が現れる。ベッドが激しく揺れだし、リーガンの部屋だけが異常に寒いなど謎の現象も起こるようになる。又、近くの教会ではマリア像を冒涜する事件が起きた。
リーガンは病院でさまざまな検査を受ける。検査機器を付けられ血液を抜かれ、酷な体験をするがそれでも異常を見つけることは出来ない。臨床検査でリーガンはカウンセリングをする精神科医に暴力を振い罵り始めるが、その声は少女のものではなかった。
マクニール家の周辺では更に異変が起き、クリスの友人である映画監督のバーク・デニングズ(ジャック・マッゴーラン)が、マクニール家の裏手に位置する階段で転落死した。首が180度ねじ曲げられたデニングズの死に様に疑問を抱いたキンダーマン警部補(リー・J・コッブ)は、怪死事件と教会の冒涜事件の関連を調べるためにカラスに会う。
リーガンに対する治療方法が見つからない病院の医師のひとりがクリスに対して、荒療治のひとつとして〈悪魔払い〉を提案する。患者が「自分は悪魔に取り憑かれた」と信じている場合、それによって心が平静を取り戻すこともあるというのがその理由だった。
リーガンの異常はますますエスカレートし、十字架で自慰行為をし、止めに入ったクリスを殴りつけると、首を180度後ろに向け、デニングズの声を使って嘲笑った。
リーガンが悪魔に憑りつかれたと確信したクリスは、知人のダイアー神父を通じてカラスにコンタクトをとり、悪魔払いを依頼する。当初は悪魔憑きに否定的なカラスであったが、何度もクリスの家を訪れてリーガンの異常な姿を目にする。だがカラスの心を揺さぶったのは醜悪な姿になった少女の皮膚に浮かび上がる、助けて欲しいとのメッセージだった。彼は悪魔払いの儀式を行うことを決意し、大司教に許可を求める。儀式の責任者には悪魔払いの経験のあるメリンが選ばれた。
霧の立ちこめる夜、クリス宅を訪れたメリンはカラスを従えてリーガンから悪魔を取り払う儀式に臨む。二人の神父は祈りの声を少女に掛け続け、悪魔も、また抗い神父たちの動揺を誘い緊張が続く。リーガンが苦しむ様子にカラスは心を痛めるが、メリンは「悪魔は我々に人間が救うべき存在ではないと思わせようとしている」のであり最後まで諦めないように励ます。
しかし、戦いの途中でメリンは持病の心臓病の発作を起こして急死してしまう。一人残されたカラスは、ほくそ笑むリーガンを殴りつけ、悪魔を自分の身体に乗り移らせた上で窓から飛び降り、命と引き換えに悪魔をリーガンから引き離すのだった。
カラスの友人だったダイアー神父はジョージタウンを離れるクリス親子を見送りに来たが、異常な体験の記憶をリーガンは無くしていると知る。挨拶をするリーガンは神父の襟カラーを見ると、彼を強く抱きしめるのだった。
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | ||
---|---|---|---|---|
劇場公開版 | ディレクターズ・カット版 | |||
TBS版 | 日本テレビ版 | ソフト版 | ||
リーガン・マクニール | リンダ・ブレア | 冨永みーな | かないみか | 柚木涼香 |
クリス・マクニール | エレン・バースティン | 中西妙子 | 藤田淑子 | 竹村叔子 |
デミアン・カラス神父 | ジェイソン・ミラー | 岸田森 | てらそままさき | 菅生隆之 |
ランカスター・メリン神父 | マックス・フォン・シドー | 松村彦次郎 | 久米明 | 石森達幸 |
キンダーマン警部 | リー・J・コッブ | 宮川洋一 | 大塚周夫 | 有本欽隆 |
ジョセフ・“ジョー”・ダイアー神父 | ウィリアム・オマリー | 岩崎ひろし | ||
シャロン・スペンサー | キティ・ウィン | 信澤三惠子 | 弓場沙織 | 大坂史子 |
バーク・デニングズ | ジャック・マッゴーラン | 阪脩 | 原康義 | 牛山茂 |
サミュエル・クライン医師 | バートン・ヘイマン | 納谷六朗 | 伊藤和晃 | |
カール | ルドルフ・シュンドラー | 松岡文雄 | 松井範雄 | 小山武宏 |
ウィリー | ジーナ・ペトルーシュカ | 沼波輝枝 | 斉藤昌 | 火野カチ子 |
タニー医師 | ロバート・シモンズ | 小山武宏 | 手塚秀彰 | |
チャック | ロン・フェーバー | 秋元羊介 | 宗矢樹頼 | |
メアリー・カラス | バシリキ・マリアロス | 麻生美代子 | 磯辺万沙子 | |
悪魔の声 | マーセデス・マッケンブリッジ | 飯塚昭三 | 石塚運昇 | |
その他 | 金尾哲夫 大方斐紗子 | 後藤哲夫 佐々木敏 小島敏彦 坪井智浩 伊藤和晃 小野塚貴志 重松朋 倉持良子 斉藤恵理 | 長克巳 岩田安生 星野充昭 紗ゆり 西宏子 緒方文興 丸山純路 | |
日本語版制作スタッフ | ||||
演出 | 中野寛次 | 佐藤敏夫 | 岩浪美和 | |
翻訳 | 高瀬鎮夫(字幕) | 佐藤一公 | 久保喜昭 | |
調整 | 高久孝雄 | 菊地一之 | ||
録音 | ||||
効果 | サウンドボックス | |||
プロデューサー | 熊谷国雄 | 米屋林太郎 尾谷アイコ | ||
制作 | 東北新社 TBS | 東北新社 | ワーナー・ホーム・ビデオ プロセンスタジオ | |
日本語版
賞 | 部門 | 候補者 | 結果 |
---|---|---|---|
アカデミー賞 | 作品賞 | ウィリアム・ピーター・ブラッティ | ノミネート |
監督賞 | ウィリアム・フリードキン | ノミネート | |
主演女優賞 | エレン・バースティン | ノミネート | |
助演男優賞 | ジェイソン・ミラー | ノミネート | |
助演女優賞 | リンダ・ブレア | ノミネート | |
脚色賞 | ウィリアム・ピーター・ブラッティ | 受賞 | |
撮影賞 | オーウェン・ロイズマン | ノミネート | |
編集賞 | ノーマン・ゲイ バド・スミス ジョーダン・レオンドポウロス エヴァン・ロットマン | ノミネート | |
音響賞 | クリス・ニューマン ロバート・ニュードスン | 受賞 | |
美術賞 | ビル・マーレイ ジェリー・ウンダーリヒ | ノミネート | |
ゴールデングローブ賞 | 作品賞(ドラマ部門) | -- | 受賞 |
監督賞 | ウィリアム・フリードキン | 受賞 | |
主演女優賞 | エレン・バースティン | ノミネート | |
助演男優賞 | マックス・フォン・シドー | ノミネート | |
助演女優賞 | リンダ・ブレア | 受賞 | |
脚本賞 | ウィリアム・ピーター・ブラッティ | 受賞 | |
新人女優賞 | リンダ・ブレア | ノミネート |
脚本を書いたウィリアム・ピーター・ブラッティは、1949年アメリ力合衆国メリーランド州マウント・レイニアで起こった悪魔憑依事件を新聞で知り長らく小説にしたいと思っていたが、当時の関係聖職者らに取材を試みたものの箝口令が出ているとのことで取材できなかったため、結局この作品を当時の新聞記事をもとに自身の感覚で書いたという。なお、このメリーランドの悪魔憑き事件は少年が憑依されたという事件で、その後の調査研究が進むに連れ、超常現象のようなことを実際に目撃した者は居ず、当の聖職者の証言からも悪魔払い中にそのようなことはなかったことが今日では明らかになっている。そのため実際の事件の少年は単に悪戯好きの子どもで、教会が信徒獲得の手段として宣伝したものではないかとの見方もある。[6]
また、作品の内容について、ポーランドの小説家ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチが17世紀フランスの小都市ルーダンのウルスラ会修道院で起った悪魔憑き事件を舞台をポーランドに置き換えて描いた短編小説(1946年)と同小説を同国の映画監督イェジー・カヴァレロヴィチが映画化した作品(1961年)である『尼僧ヨアンナ』や、やはりこの17世紀フランスの悪魔憑き事件を詳細に調べたとするアメリカの作家オルダス・ハクスリーの著述『ルーダンの悪魔』(1952年)との関係性がよく指摘される[6]。ハクスリーは悪魔憑きとなった尼僧院長ジャンヌ・デ・サンジュの自伝を偶然に古書店で発見したことで興味を持ち、資料・研究書を集め出し、1942年頃『ルーダンの悪魔』を着想、徹底的な調査の上で上梓したものとされ、ハクスリー自身は歴史小説としているが、いわば実録になぞらえる捉え方もある[7]。この『ルーダンの悪魔』は60年代、70年代の全ての悪魔祓い映画に影響を与えたとされている[6]。しかし、作品中において、憑依された人物が空中に浮揚すること、悪魔が周囲の人物に揺さぶりをかける為にその罪業を暴くこと、悪魔が最初は正体が明らかでないものの正体が分かることによって真に祓えるといったこと等が重要なモチーフとなっているが、よく似たモチーフが日本の怪談『累が淵』の元となった江戸時代の僧侶祐天の怨霊祓いを伝えたとされる『死霊解脱物語聞書』(1690年)においても既に見られる。映画『エクソシスト』において脚本家ブラッティが下敷きにしたレイニアの事件で起きたとされる現象と『死霊解脱物語聞書』中の憑依された少女に起こった現象の共通性を、脳炎の症状として理解しようとする試論もある[8][9]。しかし、超常的な現象の発生や物語内容としての共通性について、『死霊解脱物語聞書』とこれら映画『エクソシスト』・小説『ルーダンの悪魔』との相互の関係性について調べたものは管見の限り見当たらない。
この節の加筆が望まれています。 |
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