おくさまは18歳

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おくさまは18歳』(おくさまはじゅうはっさい)は、本村三四子作の少女漫画。およびこれを原作としたテレビドラマと劇場用映画。

少女漫画

集英社週刊マーガレット』に1969年8月より1970年8月まで連載された。ラブコメディの典型的なスタイルを生み出した作品とされる。

舞台はアメリカのカレッジ「スイートピー学園」。青年教師のリッキー・ネルソンと女学生のリンダ・ネルソンは結婚していることを隠して学園生活を送っているが、次々に事件に巻き込まれ、秘密がばれそうになるというもの。

テレビドラマ(1970年版)

要約
視点
概要 ジャンル, 原作 ...
おくさまは18歳
ジャンル テレビドラマ
原作 本村三四子
脚本 佐々木守
監督 湯浅憲明
出演者 岡崎友紀
石立鉄男
音楽 萩原哲晶
言語 日本語
製作
プロデューサー 春日千春
制作 TBS大映テレビ室
放送
音声形式モノラル放送
放送国・地域 日本
放送期間1970年9月29日 - 1971年9月28日
放送時間火曜19:00 - 19:30
放送枠TBS火曜7時枠の連続ドラマ
放送分30分
回数53回
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1970年9月29日から1971年9月28日までTBS系列で全53回が放送された。

企画

1969年秋、取材先の北海道網走の食堂で、偶然週刊マーガレットに連載中の原作を見出した脚本家の佐々木守は、設定を日本の高校に移し替えたドラマの制作を思いつき、企画を大映テレビ室のプロデューサー、春日千春に持ち込み、TBSで放映が決定した[1]

佐々木の構想では、本作は恋愛が成就するまでを描く「青春ドラマ」とも、結婚生活から始まる「ホームドラマ」とも違う、密かに結婚したカップルが共に学園生活を送るという、かつて無かった「思春期ドラマ」であり、“笑いとサスペンスに満ちたライトコメディ”としている。

佐々木の当初の案は、イメージキャストの第一候補として、主役の高木飛鳥役と高木哲也役にそれぞれ吉沢京子西郷輝彦を充て、放送時間も夜9時台を予定していたが、春日はコメディ演技に関しては未知数だった岡崎友紀石立鉄男を敢えて起用し、放送時間も子供にも見てもらえる時間帯として夜7時台に変更された。そのため露骨な性描写は抑えられ、演出もリアリティよりもメルヘン的な雰囲気を強調したものにされた。なお、高木飛鳥という役名は、当時佐々木が関心を持っていた日本古代史から飛鳥地方に因んだものである[1]

しかし、石立はこのオファーに難色を示した。理由はそれまで自分に来る役と言えば好青年役ばかりだったので「もっと大人の役がやりたい」ということだったが、海外放浪の旅に出ていた頃にニューヨークで出会った友人から言われた「俳優なら仕事はナルシシズムで選ばず、まず有名になれ。みんなに楽しんでもらえることで初めてプロの俳優と言えるんだ」という言葉を思い出し、まずはやってみようと最終的にはこのオファーを受けたという[1]

脚本・演技・演出

佐々木の用意した脚本は型破りなもので、ト書きまでが砕けた会話調で書かれたポップな乗りで、スタッフや出演者のイメージを喚起し、演出プランやアドリブ演技が次々と生み出されていった。

石立は、本作を単なるドタバタ劇に終わらせまいと、台詞のやり取りで面白さを表現するファルス(笑劇)の効果を狙った演出プランを提案し、台詞のメリハリとリズム感を強調して対話のスピードを通常よりも大幅にテンポアップした。それを受けて、佐々木たちは30分ドラマに1時間ドラマに相当する分量の台詞を盛り込んだ。最初は気後れしていた岡崎も天性の感性の良さを発揮して、すぐに石立の演技に喰らいついてゆき(ルシル・ボールの演技を参考にしたと発言している)、絶妙な夫婦コンビを作り上げていった(後年、石立は岡崎の演技について「2週間で僕の芝居を覚えてしまった。僕がこれまでに会った女優さんの中で一番感性のいい人だった。」と回想している)[1]

メイン監督の湯浅憲明は「三段落ちショット」とも呼ばれる、シーンの変わり目に女性スキャットをバックに小道具の花や人形などの約1秒間のアイキャッチを3ショット連続で挿入し、場面の状況を明示してテンポ良くストーリーを展開する演出法を作り上げた。そのほか、湯浅の「コメディは三拍子が面白い」という持論から生まれた、うつみみどり(現・うつみ宮土理)演ずる花咲ユメ子が発する「くやしいわ、くやしいわ、なんだかとってもくやしいわ(様々なバリエーションあり)」という台詞も評判を呼び、流行語となった。

ドラマの後半では、佐々木が本作とかけもちで手掛けていたドラマ「お荷物小荷物」(1970年 朝日放送)で使用された、ドラマの中で出演者が唐突に視聴者に語りかける「脱ドラマ演出」も試みられている。この演出法は次回作の「なんたって18歳!」でも取り入れられた。

なお、本作のシチュエーション・コメディとしての「主人公にまつわる秘密を巡り、騒動が巻き起こる」という“黄金の設定”による構成に米国ドラマ『奥さまは魔女』からの影響を指摘する向きもある(『動画王 vol.02 スーパー魔女っ子大戦』「特撮魔法少女列伝」二神啓通 )。

反響

  • 本作は放送が始まると同時に人気を獲得し、最高視聴率33.1%を記録。このため2クール26話の最初の放送予定が、1年間53話に延長された(全体の平均視聴率は25%)。
  • 岡崎友紀は本作によって1970年度テレビ大賞新人賞を受賞した。
  • 現在でも知名度の高い人気作品であり、再放送も多くされている。後にソフト化もされておりこれまでにVHSビデオ・LD・DVD版が全話分発売された。
  • 本作によって国民的アイドルの座を確立した岡崎の人気とキャラクターに立脚した「18歳シリーズ(ライトコメディシリーズ)」(-1974年)が後続番組として製作され、さらに本作の設定を一部変更した「秘密のデカちゃん」(1981年)、「だんなさまは18歳」(1982年 以上TBS)、「お願いダーリン!」(1993年 フジテレビ)といった実質的リメイク作品が新たに製作されるなど、主人公にまつわる秘密を巡って騒動が展開するという黄金の設定による和製シチュエーション・コメディ/ラブコメディの典型的王道的スタイルが定着した[2]。「日本のテレビ史上に燦然と輝くライトコメディの傑作、どれをとっても空前絶後の出来栄えだった」(花崎真也)[3]

あらすじ

飛鳥は高校三年の18歳。病床にある祖母に花嫁姿を見せるために、父親同士が決めた婚約者・高木哲也と田舎で結婚し、哲也の勤める北辰学園に転校することとなった。しかし、学園長は二人の事情を認めつつも、同じ学校の教師と生徒が婚姻関係にあるのは、教育上問題があるとして、学園の精神に則り、二人の関係を秘密にすることを厳命、もしばれたら哲也は即刻解雇、飛鳥も同様に退学だと約束させられる。かくして哲也は表向きは独身となり、毎日のように司書の小山先生や渋沢先生、女生徒たちからもアタックされてしまう。飛鳥はそんな哲也をやきもきしながら見守るが、自分も男子生徒たちの人気の的となり、担任の男性教諭・海沼からも慕われてしまう始末。さらには自宅の隣に住むおばさんも哲也と飛鳥を兄妹だと思い、たびたび哲也に縁談を持ち込むので、二人は学校でもプライベートでも常に波乱に巻き込まれるのだった。

データ

  • 製作:大映テレビ室TBS
  • 放送局:TBS系列
  • 放送期間:1970年9月29日~1971年9月28日
  • 放送時間:毎週火曜日、19:00~19:30
  • 放送回数:全53回
  • 放送形式:カラー・16mm

スタッフ

  • プロデューサー:春日千春ほか
  • 撮影:山本修佑
  • 美術:仲美喜雄
  • 照明:田熊源太郎
  • 音楽:萩原哲晶
  • 録音:古山常夫
  • 編集:田賀保
  • 記録:中井妙子
  • 結髪:伊藤きくよ
  • 衣裳:富士衣裳
  • 助監督:岡屋竜一
  • 制作主任:野木小四郎
  • 効果:櫂の会
  • タイトル:広岡正勅
  • 現像所:東京現像所
  • 協力:西村の家具、カワサキラケット、オンワード樫山

主題歌・挿入歌

主題歌
「おくさまは18歳」(EPレコードは「おくさまは18才」)作詞:岡崎友紀、作曲:長沢ロー、編曲:荒木圭男、歌:岡崎友紀、発売:東芝レコード
挿入歌
「小さなお城」作詞:岡崎友紀、作曲:T.パインフィールド、歌:岡崎友紀

キャスト

  • 高木(志村)飛鳥:岡崎友紀
  • 高木哲也:石立鉄男
  • 海沼先生:寺尾聰
  • 渋沢民子:冨士眞奈美
  • 大山園長:森川信
  • 小山美矢子:秋山ゆり
  • 山本達子:横山道代
  • 花咲ユメ子:うつみ宮土理
  • 芦野史郎:内田喜郎
  • 松木エミ:松坂慶子 ※第41話 -
  • 水川佐知子:高橋まゆみ
  • 吉本ジュン子(島田ジュン):伊原静江(現・大和なでしこ
  • ヨッコ:清水京子
  • チャコ:早乙女ゆう
  • 山之辺ケンイチ(山崎):小池正史
  • 田辺タカシ(中原タケシ、坂崎):本橋敏和
  • 山田ヤスコ:宇津明子
  • 小林千代子:本田圭子
  • ヨーコ:香美カコ
  • トシコ:田尻晶子
  • 遠藤トシオ:前田充穂
  • ダメージ:梅沢正康
  • サムライ:ピーター・みのわ
  • オフクロ:三浦康晴( - 第20話)→高野浩幸(第22話 - )
  • 飛鳥の祖母:北林谷栄

放送リスト

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回数放送日サブタイトル脚本監督ゲスト
11970年
9月29日
結婚したことヒミツなの!佐々木守湯浅憲明
210月6日シットしちゃおう燃えちゃおう
310月13日おとなってなあに
410月20日押しかけ女房がきーちゃった枝川弘
510月27日私、ミスじゃないのに
611月3日結婚してくれですって多々良純伊東昭夫
711月10日ニクイあのひと坂倉晴恵市村俊幸
811月17日負けてたまるか坂倉晴恵、市村俊幸
911月24日こっち来ちゃイヤン宮内婦貴子坂倉晴恵、市村俊幸
1012月1日あなたなんかキライ才賀明坂倉晴恵
1112月8日未成年お断り青木敏荻島真一
1212月15日あなた テストの問題教えて佐々木守枝川弘
1312月22日あなたは左 わたしは右よ
1412月29日そこに胸があったのよ青野暉木島進介
151971年
1月5日
お夢は白い船の中
161月12日台風が来ーちゃった才賀明枝川弘若水ヤエ子
171月19日ラブレターが来ちゃった佐々木守湯浅憲明
181月26日病気なんてイヤよ石井富子
192月2日はじめてのデート才賀明枝川弘
202月9日子分にしてくれ佐々木守青野暉
212月16日アルバイトはたいへん才賀明増田順司
222月23日別々はイヤ岡屋竜一
233月2日哲也 誰にもふれないで佐々木守伊藤高
243月9日邪魔なアイツ才賀明湯浅憲明東野孝彦
253月16日ホントのこと言っちゃった佐々木守枝川弘鈴木やすし
263月23日もう一人の飛鳥才賀明岡屋竜一大和田伸也高見エミリー
273月30日すてきに悲しい日曜日佐々木守青野暉
284月6日ヤキモチはやきません才賀明枝川弘
294月13日全員ハンターイ!
304月20日花と海と太陽と…青野暉
314月27日まったく不愉快!!北村篤子峰岸隆之介
325月4日一日だけの夫婦岡屋竜一松岡きっこ
335月11日てんでブルーな誕生日佐々木守
345月18日イヨオ!マンガねえちゃん帯盛迪彦
355月25日花嫁学校落第生田村魚菜
366月1日困ったお隣さん才賀明枝川弘中村俊男 ( 現・ 中村ブン)
376月8日わたしまじめな奥さんなのよ石松愛弘帯盛迪彦平泉征原泉
386月15日PTAでーす才賀明宮下泰彦
396月22日娘さんよく聞けよ岡屋竜一中山千夏
406月29日イヤミなじいさんと高原だョーン佐々木守帯盛迪彦柚木れい子
417月6日ライバル参上才賀明枝川弘
427月13日キッスがいっぱい
437月20日夢はもういや山本修佑帯盛迪彦
447月27日隣りの男にご用心才賀明岡屋竜一野呂圭介
458月3日離婚しまーす長野洋桑山正一
468月10日真ッ黒こげの季節です才賀明青野暉
478月17日お芝居でーす石松愛弘枝川弘
488月24日恋文泥棒長野洋岡屋竜一片山豊
498月31日占いなんて当たらない才賀明青野暉金内喜久夫
509月7日魔女・まじょ・マジョ長野洋枝川弘
519月14日海沼先生やめないで才賀明吉田義夫
529月21日ゴキブリ・尼さん・PTA佐々木守湯浅憲明文野朋子宗形智子
539月28日始めよければ終りよし
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放送局

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TBS系列 火曜19:00枠
前番組 番組名 次番組
おくさまは18歳
【本番組よりドラマ枠
TBS系列 岡崎友紀ライトコメディシリーズ
(なし)
おくさまは18歳
なんたって18歳!
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劇場用映画

概要 監督, 脚本 ...
おくさまは18才 新婚教室
監督 山本邦彦
脚本 石川達人、山本邦彦
原作 本村三四子
製作 本木荘二郎、吉野達弥、長沢ロー
出演者 岡崎友紀石立鉄男
音楽 荒木圭男、長沢ロー
撮影 鷲尾馨
製作会社 国際プロデュースセンター、ロープロモーション
配給 東宝
公開 1971年6月5日
上映時間 84分
製作国 日本
言語 日本語
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テレビドラマのヒットを受けて『おくさまは18才 新婚教室』のタイトルで映画化された。当時大映は経営危機で映画製作は不可能な状態だったため、東宝が製作・配給を請け負った。そのため主演の岡崎・石立以外のキャスト・スタッフはテレビドラマとは異なっている。

  • 製作:国際プロデュースセンター、ロープロモーション
  • 配給:東宝
  • 製作 / 公開年:1971年6月5日
  • 同時上映:恋人って呼ばせて(主演:吉沢京子)
  • カラー・シネマスコープ
  • 上映時間:84分

スタッフ

キャスト

テレビドラマ(2011年版)

2011年3月27日から西川貴教夏菜の出演によるリメイク版がフジテレビTWOで放送。90分×4話。

本作では哲也(西川)が臨時教師として勤務していた北辰学園(都内の男子校という設定)が、少子化に伴う経営難により飛鳥(夏菜)の通う女子高と経営統合して共学化したため(学校名は「北辰学園」だが、校舎等は女子高のものを使用し校長も女子高側から出されるなど、事実上は女子高が北辰学園を吸収合併した形)、同じ学校に通うことになったという扱いになっている。

キャスト

スタッフ

主題歌

メインテーマ
「Merry-go-round」作詞:牧野由依、作曲・編曲:佐々倉有吾、歌:牧野由依

脚注

関連項目

外部リンク

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