株式会社三井住友フィナンシャルグループ(みついすみともフィナンシャルグループ、英語: Sumitomo Mitsui Financial Group, Inc.)は、メガバンクの三井住友銀行(SMBC)などを傘下に置く三井グループ・住友グループの金融持株会社である。東証プライム市場およびニューヨーク証券取引所(NYSE)上場企業であり、日経平均株価およびTOPIX Core30、JPX日経インデックス400の構成銘柄の一つ[4][5][6]。略称はSMFG。上場銘柄としての略称は、単に「三井住友」としている。
当社を中核とする金融コングロマリットとしては「SMBCグループ」と称する。2018年3月まではグループ全体の名称も「三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)」と称していた[7]。なお、三井住友信託銀行を中心とした三井住友トラスト・ホールディングスはこのグループに所属しない(三井住友銀行と三井住友信託銀行は直接的な資本関係はなく、互いに独立した存在となっているため)。
三井住友銀行(メガバンク)、三井住友ファイナンス&リース 、SMBC信託銀行 、三井住友カード(クレジットカード会社)、SMBCファイナンスサービス (ファクタリング、信販会社)、SMBCコンシューマーファイナンス(消費者金融会社)、日本総合研究所、SMBC日興証券などを傘下に置く。既存子会社と持株会社を設立した背景に、三井住友銀行の財務状況の改善がある。2005年から、SMFG社長(SMBC会長)は旧さくら銀行(三井系)出身の北山禎介、SMBC頭取(SMFG会長)は西川善文の後継者として有望視されていた奥正之、それぞれが就任して旧行が分担した。
2007年は中期経営計画「LEAD the VALUE」の初年度にあたるが、規模では同グループを凌駕する三菱UFJフィナンシャル・グループに通期純利益で肉薄する勢いであり、サブプライム問題で後退を余儀なくされたみずほフィナンシャルグループを大きく上回る結果を残した。2009年5月には金融危機で経営難に陥ったシティグループから日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)、日興シティグループ証券の事業を取得すると発表した[8]。
2011年4月現在、都市銀行と信託銀行を傘下とする金融持株会社ではりそなホールディングスとともに全国銀行協会の持株会社会員ではなく、メガバンク系列で唯一の非加盟持株会社である。
消費者金融部門はプロミス(現SMBCコンシューマーファイナンス)に出資[注釈 2]し、提携として合弁事業アットローンを展開していた。現在はプロミスを完全子会社化した上でアットローンを吸収合併させている。2006年5月に事業者金融ニッシンの第三者割当増資80億円超を引き受け、中小企業向け無担保ローン市場で提携予定である。
証券部門は、従前は大和証券と提携、ホールセール証券を行う大和証券SMBCを共同出資で運営したが、2009年10月に日興コーディアルグループを買収・子会社化して大和証券との提携は解消した。
外資金融機関は、旧住友銀行時代よりゴールドマン・サックス(GS) と関係が深い。邦銀が海外進出に積極的だった1980年代後半に住銀はGSに出資したが、後年の金融不安を経て関係は逆転してSMFGの自己資本増強のための優先株発行1503億円をGSが引き受けた。年率4.5%の配当を25年間保証、普通株式へ転換条項[注釈 3]、SMFGがGSの投資業務損失を21億ドルまで信用補完、GSの債券13億ドルをSMFGが購入、と種々の条件が付与するGSに有利なものであった。交渉は金融当局の指導をうけて水面下で進められ、取引企業を引受先とする1兆円を増資したみずほフィナンシャルグループとともに批判が多く上がった。
東海地区の基盤強化
東海銀行(→UFJ銀行→現三菱UFJ銀行)ならびにその系列企業が圧倒していた東海地区の金融事情であるが、MUFG発足伴う三菱系企業主導による再編でそれを嫌う旧東海銀行系企業のMUFGからSMFGへの異動が見られる。三井住友銀行も従来手薄だった東海地区(中京圏)の支店を順次開設していたり、新たに名古屋銀行とATM相互開放して手数料引き下げたりするなど基盤強化に務めている。
関西地区グループ会社の再編
三井住友フィナンシャルグループの中核子会社である三井住友銀行の前身行である住友銀行およびさくら銀行の前身行の一つである太陽神戸銀行は、いずれも関西地区に本社など基盤や拠点を有した銀行である[9]。特に住友銀行は在阪三大都市銀行(関西都銀)の一角を占めていた。関西地区は第二地方銀の関西アーバン銀行およびみなと銀行がグループ内に存在し、グループ全体で強固な基盤を有しており、歴史的な関わりも深く、取引先も多い[9][10]。その一方で、バーゼルⅢなどの国際的な金融規制の対象となっており、それらの規制強化により、資産の効率化による資本効率の向上が最重要課題となっていた[11][12]。この規制への対応という観点では、関西アーバン銀行および、みなと銀行という2つの第二地銀をグループに抱えることは重荷となっており、早々に両行を売却することで自己資本比率を0.5%程度に引き下げ、この課題をクリアすることが求められていた[11][12]。
2017年2月20日に日本経済新聞及び読売新聞などが、「りそな銀行を中心とするりそなホールディングスが設立する中間持株会社に関西アーバン銀行、みなと銀行、りそなホールディングスの完全子会社である近畿大阪銀行をぶら下げる経営統合を、三井住友フィナンシャルグループが検討している」[注釈 4][15][14][13][16]と報じた。2017年2月25日に日本経済新聞が「三井住友フィナンシャルグループとりそなホールディングスは系列の関西の地銀3行を来春に経営統合することで大筋合意した」[9]と報じた。
2017年3月3日に、三井住友フィナンシャルグループ、りそなホールディングス、近畿大阪銀行、関西アーバン銀行、みなと銀行各社は近畿大阪銀行、関西アーバン銀行および、みなと銀行の経営統合で基本合意した[17]。関西アーバン銀行及びみなと銀行の三井住友フィナンシャルグループ傘下の2行と、りそなホールディングスの完全子会社である近畿大阪銀行がぶら下がる形で、新たな金融持株会社をつくる[17]。金融持株会社は、りそなホールディングスの連結子会社となり、三井住友フィナンシャルグループの持分法適用会社となる[17]。
2017年9月26日に、統合計画について三井住友フィナンシャルグループ、りそなホールディングス、近畿大阪銀行、関西アーバン銀行、みなと銀行の間で最終合意したこと、金融持株会社の社名を関西みらいフィナンシャルグループとすること、それぞれを公表した[18][19][20]。関西みらいフィナンシャルグループは、東京証券取引所に上場している関西アーバン銀行および、みなと銀行と株式交換を行い、両行の既存株主に関西みらいフィナンシャルグループの株式を割り当てるとともに、東京証券取引所に上場する予定[21]。2017年11月14日、関西みらいフィナンシャルグループが設立され[22]、今後段階を踏んで経営統合、システム統合並びに近畿大阪銀行および関西アーバン銀行の会社合併を行うことが公表されている[18][23][24]。2018年2月20日、りそなホールディングスによる株式公開買付けに応じた結果、みなと銀行が連結子会社から持分法適用関連会社となった[25]。
株式の状況
- 発行可能普通株式総数 - 3,000,000株
- 第五種優先株 - 167,000株
- 第七種優先株 - 167,000株
- 第八種優先株 - 115,000株
- 第九種優先株 - 115,000株
- 発行済普通株式総数 - 1,373,171,556株
- 普通株主数 - 327,658名
大株主
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株主名 |
持株数(百株) |
持株比率(%) |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) |
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日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) |
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日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口9) |
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日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口7) |
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NATSCUMCO |
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日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口5) |
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JP MORGAN CHASE BANK 385151 |
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SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT |
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State Street Bank WEST CLIENT - TREATY 505234 |
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日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口1) |
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バークレイズ証券株式会社 |
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重要な親会社及び子会社などの状況
- 議決権比率の括弧内の数字は、間接議決権比率である
- 資本金の円換算額は、決算日の為替相場により算出
- 大和住銀投資顧問株式会社は、2019年4月1日に三井住友DSアセットマネジメント株式会社と合併した為、持分法適用から除外
使用人数(連結)
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報告セグメント |
使用人数 |
ホールセール事業 |
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リテール事業 |
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国際事業 |
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市場事業 |
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本社管理 |
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- 使用人数に、海外現地採用及び嘱託・臨時従業員(当期末16,604名,前期末19,432名)は、含まれていない。
- ホールセール・・国内の大企業及び中堅企業の顧客に対応した業務
- リテール・・・・国内の個人及び中小企業の顧客に対応した業務
- 国際事業・・・・海外の日系・非日系企業の顧客に対応した業務
- 市場事業・・・・金融マーケットに対応した業務
- 本社管理・・・・上記各事業部門に属さない業務
企業集団の設備投資の状況
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会社名 |
報告セグメント |
金額(百万円) |
株式会社三井住友フィナンシャルグループ |
本社管理 |
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株式会社三井住友銀行 |
ホールセール,リテール,国際事業,市場事業,本社管理 |
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株式会社SMBC信託銀行 |
ホールセール,リテール,国際事業 |
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SMBC日興証券株式会社 |
ホールセール,リテール,国際事業,市場事業,本社管理 |
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三井住友カード株式会社 |
リテール |
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株式会社セディナ |
リテール |
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SMBCコンシューマー ファイナンス株式会社 |
リテール |
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株式会社日本総合研究所 |
本社管理 |
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三井住友アセットDSマネジメント株式会社 |
本社管理 |
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その他 |
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会社名 |
報告セグメント |
内容 |
金額(百万円) |
株式会社三井住友フィナンシャルグループ |
本社管理 |
店舗関連設備など |
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株式会社三井住友銀行 |
ホールセール,リテール, 国際事業,市場事業,本社管理 |
店舗関連設備投資など ソフトウェア |
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主要な借入先
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企業集団の主要な営業所などの状況
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会社名 |
報告セグメント |
主要な営業所(国内) |
主要な営業所(海外) |
店舗 (当年度末) |
店舗 (前年度末) |
株式会社三井住友銀行 |
ホールセール,リテール, 国際事業,市場事業,本社管理 |
本店,東京,大阪,神戸各営業部ほか |
ニューヨーク支店ほか |
906 |
935 |
株式会社SMBC信託銀行 |
ホールセール,リテール, 国際事業 |
本店ほか |
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35 |
35 |
SMBC日興証券株式会社 |
ホールセール,リテール, 国際事業,市場事業,本社管理 |
本店ほか |
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三井住友カード株式会社 |
リテール事業 |
東京及び大阪の各本社ほか |
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株式会社セディナ |
リテール事業 |
本店,東京本社ほか |
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SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 |
リテール事業 |
本社ほか |
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株式会社日本総合研究所 |
本社管理 |
東京及び大阪の各本社ほか |
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三井住友アセットDSマネジメント株式会社 |
本社管理 |
本社ほか |
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2018年4月からグループ全体の名称を「三井住友フィナンシャルグループ」から「SMBCグループ」に改めており、ロゴもグループロゴとしては「三井住友フィナンシャルグループ」や「SMFG」の使用を止め、トラッドグリーンをベースにした「SMBC」「SMBC Group」に統一している[7][32]。
SMBCグループの上昇カーブを描くマークは「ライジングマーク」と名付けられており、「グループが提供する一層価値あるサービス、先進的・革新的なサービスにより、お客さま、株主、社会と共にグループが発展していく願い」が込められている[7]。
コーポレートカラーの2色のうち「フレッシュグリーン」は「若々しさ、知性、やさしさ」を、もう一方の「トラッドグリーン」は「伝統、信頼、安定感」を表現している[7]。
三井住友銀行に統合される前の旧住友銀行は、住友財閥の社章が採用されていた(旧さくら銀行は旧太陽神戸三井銀行時代からさくらのマーク、旧三井銀行は1984年から五十嵐威暢による青地に白で楕円に「三」の字を基調としたマーク[33]を使用していた)。
注釈
三分の一まで転換価格を下方修正可能なMSCBの一種。
これについて、ロイター通信は、大手銀行傘下の地方銀行が系列の垣根を超えて統合することは珍しいとコメントしている[13]と報じた。日本経済新聞の報道によると、今般の統合は、2016年からの日銀のマイナス金利政策で金利の引下げ競争がより激しくなり、地銀の収益環境が悪化しているものの、顧客に選ばれる商品やサービスを提供し続けるためには収益力や預金量などの課題克服が必要であることから、規模を拡大して関西市場を共同で開拓していく必要が生じたためになされるものであるという[14]。
存続会社であるわかしお銀行が三井住友銀行に商号変更した、いわゆる逆さ合併である。
出典
『三井住友・りそなの関西3地銀、来春統合で大筋合意』(日本経済新聞 2017年2月25日朝刊5頁)
『第14期有価証券報告書』2016年6月29日提出 2017年2月20日確認
『関西みらいFG波高し(上)3行連携、実力は未知数――本店所在地、妥協の選定』(日本経済新聞 2017年9月26日朝刊9頁 関西経済面)