プラグインハイブリッドカー
ウィキペディアから
ウィキペディアから
プラグインハイブリッドカー (plug-in hybrid car) は、既存の内燃機関(インターナル・コンバッション・エンジン、ICE)を積んだハイブリッド式電気自動車(HEV)に、充電スタンドや家庭用コンセントから差込プラグを用いてバッテリーにも充電できるようにした自動車であり、PHV (Plug-in Hybrid Vehicle) またはPHEV (Plug-in Hybrid Electric Vehicle) と略されるプラグインハイブリッド式輸送機器の一種。
プラグインハイブリッドカーは、ハイブリッドカーより更に容量の大きなバッテリーを搭載し、充電ステーションや家庭用電源からプラグ(電気機器の電源コードの先に付いている差込器具)を利用して充電できるようにしたもので、ハイブリッドカーよりも電気モーターのみで走行できる距離が長い。給油のみで稼働する内燃機関自動車(インターナル・コンバッション・エンジン・ビークル、ICEV)やハイブリッドカーの利便性を残しながら、二次電池式電気自動車(BEV)により近いタイプのハイブリッドカーである。
二次電池式電気自動車(BEV)は、エネルギー効率が内燃機関自動車(ICEV)の数倍高く、燃費(電費)で圧倒的に優れ、走行中にCO2やNOxの排出が無いゼロエミッション車(ZEV)であることが最大のメリットであるが、同程度車格の内燃車(満タン時)に比べると航続距離や立ち往生時のエアコン稼働時間が短く、満充電にも時間がかかるため、長距離走行では、途中で短時間の継ぎ足し充電[1]と短距離走行とを繰り返す「ループ」に陥る。
一方、内燃機関で発電して一部を電動化した非プラグイン方式のハイブリッドカー(HEV)では走行用バッテリーを内燃機関の補助と割り切っており、車両自体の取り扱いは従来からの一般的な内燃機関自動車(ICEV)に近い性質で、航続距離の長さや給油回数の少なさなどの実用性は、同車格のICEVよりも優れている。これら双方の利点を取り込むため、従来のHEVに比べ大容量の走行用バッテリーと、十分な出力を持つ内燃機関の両方を積むことによってエネルギー効率の向上とエネルギー充填頻度および速度に関する不便さを低減させたのが、プラグインハイブリッドカー(PHEV)である。車両の遊休時間を利用して外部電源から走行用バッテリーに充電し、短距離であれば電気モーターのみで二次電池式電気自動車(BEV)と同等に走行できる。走行用バッテリーの残量が不足した場合にはHEV同様、エンジンを用いた充電しながらの走行となり、排気が発生するため、ゼロエミッション車(ZEV)には含まれない。
海外では2008年に中国で政府機関向けに発売された比亜迪汽車(BYDオート)のプラグインハイブリッドカー「F3DM」が世界初の量産型PHEVとなった。F3DMの二次電池容量は20 kWであり、最長60マイル(約96 km)を電池のみで走行可能である。したがって片道40キロ程度の移動距離で、冷暖房を使わず渋滞にも巻き込まれなければ、ガソリンを使わずに往復できる。F3DMの価格は14万9800元(200万円弱)[2]と中国における一般的なガソリン車の2倍以上もするため、販売台数は2010年12月時点で500台未満にすぎなかった。
ゼネラルモーターズは、2010年12月よりシボレー・ボルトを北米市場に投入し、2011年10月までに5,329台を販売している[3]。また、アメリカの新興自動車メーカーフィスカー(Fisker Inc.)は、2011年11月より100,000ドルを超える高級PHEスポーツカー、カルマの一般顧客向け販売を開始したが、走行用リチウムイオンバッテリーの生産を委託していたA123・システムズが品質不良による大量リコールを抱えて2012年10月に経営破綻、これにより、生産継続が不可能となったフィスカー社も、2013年11月、連鎖的に経営破綻している。
日本では2017(平成29)年度に435万台の新車乗用車が販売され、そのうち約3.4万台(0.78 %)がPHEVであった[4]。
レーシングカーでは2009年のニュルブルクリンク24時間において、元F1ドライバーのハインツ=ハラルド・フレンツェンが立ち上げたプロジェクトで、グンペルト・アポロをベースとする4WDのプラグインハイブリッド車両が投入されたことがある。しかしレース序盤以降はトラブルでピット (サーキット)ピットに籠もり、規定周回数を満たせなかった。
また、2022年以降の世界ラリー選手権(WRC)の「ラリー1」規定において、プラグインハイブリッドカーが導入された。SS(競技区間)とSSの間となるリエゾン(移動区間)の一部において、「一切エンジンを使用せず電気モーターのみで走行する」ことが義務付けられる。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.