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日本の東京都港区にある公益財団法人 ウィキペディアから
公益財団法人日本財団(にっぽんざいだん、英: The Nippon Foundation)は、公営競技の1つである競艇(ボートレース)の収益金をもとに、海洋船舶関連事業の支援や公益・福祉事業、国際協力事業を主に行っている公益財団法人。1962年(昭和37年)、笹川良一によって創立された。現会長は笹川陽平。なお以下名前を略す場合、混同を避けるため、下の名の「良一」「陽平」で記す。2001年、ペルー議会は、同財団が同国における強制不妊手術(1990年~2000年)に資金を提供していたと決定した[1]。
創立者 | 笹川良一 |
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団体種類 | 公益財団法人 |
設立 | 2011年4月1日 |
所在地 | 東京都港区赤坂1-2-2 |
法人番号 | 8010405009495 |
起源 | 財団法人日本船舶振興会(1962年10月1日 - 2011年3月31日) |
主要人物 |
笹川陽平(代表理事会長) 尾形武寿(代表理事理事長) |
活動地域 | 日本 |
基本財産 | 287億円(2023年3月31日現在) |
従業員数 | 119名(2023年3月31日現在) |
ウェブサイト | https://www.nippon-foundation.or.jp/ |
2011年(平成23年)3月31日までの名称は、財団法人日本船舶振興会(にっぽんせんぱくしんこうかい、英: SASAKAWA Foundation)。
総資産額は3000億円近くにのぼり[2]、日本最大規模の財団であるが、系列である笹川平和財団の方が日本最大の公益財団法人を標榜している[3]。
旧称日本船舶振興会時代の2010年(平成22年)決算時点で、資産総額2661億円。年間助成額226億円であり、当時日本全体の助成金およそ600億の内、3分の1以上を占めている日本最大の財団とされる。ただし、2010年(平成22年)時点で、特殊法人の側面が強かったために、助成財団センターが作成した「日本の上位20財団資産総額ランキング」からは掲載を除外されている[4]。
海事科学の普及を目的として、日本海事科学振興財団(船の科学館)、青少年の健全育成のためにブルーシー・アンド・グリーンランド財団(B&G財団)、海洋分野におけるシンクタンクである海洋政策研究財団など、多くの公益法人を設立してきた。日本のハンセン病問題の解決など、ハンセン病の世界的な差別撲滅活動に長年取り組んでいる。
財団法人ではあるが、モーターボート競走法(昭和26年法律第242号)第22条の2の規定によって設置された関係上、特殊法人の性格をも併せ持っていたが、2007年(平成19年)の競走法の改正により、完全な民間の財団法人になる。
モーターボート競走法は「国土交通大臣は、モーターボートその他の船舶、船舶用機関及び船舶用品の製造に関する事業並びに海難防止に関する事業その他の海事に関する事業の振興に寄与することにより海に囲まれた我が国の発展に資し、あわせて観光に関する事業及び体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に資することを目的とする一般財団法人であつて」「船舶等振興業務」に関し「基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国に一を限つて、船舶等振興機関として指定することができる」(第44条)としており、当財団は、国土交通大臣より「船舶等振興機関」として指定を受ける唯一の団体である。同法の規定により、船舶等振興業務規程、役員、事業計画、収支予算等について、国土交通省の認可を受けなければならない。財源には、競走法の規定によって、競艇の売上金の約2.6%(2007年(平成19年)3月、モーターボート競走法の改正がされる前は約3.3%)が充当されており、競艇と密接に結びついている。
1962年(昭和37年)に創立以来長らく、設立者の良一の指導力により、特殊法人の枠を超えた独自性のある活動を行ってきた。日本国政府全額出資の特殊法人である競馬(日本中央競馬会 = JRA)や、かつては社団法人が担当した競輪・オートレース(特殊法人日本自転車振興会・日本小型自動車振興会を経て現在は公益財団法人JKA)などの他の公営競技とは違って、民間の運営する財団法人であることから、所管官庁(当時は運輸省、現国土交通省)の干渉や天下りを受けない、独立的な傾向が強かった。
振興会が事業を実施するには所管の官庁である国土交通大臣(省庁再編前は運輸大臣)の許認可を得る必要があり、その意味では金銭の使途は制限されていた。また規則や規定により財団では支援することができない活動に対して、財団の事業とは別に、良一や陽平が自らの財産を寄付することもある。
1995年(平成7年)の良一死去後は、笹川色を薄める意見が出たため、財団の非常勤理事であった曽野綾子を2代目会長として迎え入れた。1996年(平成8年)から現在の正式名である「日本財団」を愛称として用いるようになった。2005年(平成17年)、第三代会長に良一の三男・陽平が就任。陽平の意向もあり、ハンセン病の世界制圧と彼らに対する差別撤廃と人権回復、ミャンマー政府と少数民族武装勢力との和解の実現にも注力している[5]。
2003年(平成15年)には、日本財団、海上保安庁の支援の下、海事、漁業関係者が一同に参加した民間沿岸監視団体「海守」が創設された。海守は主に密漁、密航対策を目的としている[6][7]。なお、海守の事務局業務は海上保安庁の外郭団体である海上保安協会が行っている[8]。
2011年(平成23年)4月1日に、公益財団法人になると共に、正式名も「日本財団」になった。これにより、国土交通省は所管官庁ではなくなった(ただし、モーターボート競走法上の監督は引き続き受けている)。
2016年(平成28年)4月16日に発生した平成28年熊本地震の影響を受け、同年4月19日に都内で緊急支援策第1弾発表会見を開き、日本三大名城「熊本城」再建支援金30億円など、計93億円の支援金を用意したことを発表した[9]。
2020年(令和2年)には、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う支援を発表したほか、「災害危機サポートセンターの設置」、「救急医療施設・医療従事者への総額50億円規模の緊急支援の実施」、「タクシーを利用した医療従事者等の移動支援」を表明した[10]。
日本船舶振興会時代は、当財団の広報活動として、良一会長自らが出演したテレビCMが盛んに放映された。笹川が子供たちとともに「一日一善」と喚呼するものや、笹川が慈善活動で海外訪問する様子を撮影したものが有名だった。各民放テレビ系列キー局の番組スポンサー(スポンサー自粛のものも含む)としてCMが流れることもあったが、主に各民放テレビ系列キー局の番組終了直後にヒッチハイクCMとして流れることが多かった。特に全国ネットのテレビ番組ではパーティシペーション扱いでスポンサーに付く番組も多数あった(特にテレビ朝日系が一番多かった)。またラジオCMでは、当財団の取り組んでいる活動内容について、笹川に直接話を聞く内容だった。
CMの最後には、「日本船舶振興会は、モーターボート競走の収益金を○○のために役立てています」(モーターボート競走の収益金は、○○のために役立てられています)というセリフで締めくくる。テレビCMの最後でこのセリフが出る時には、競艇シーンの映像が流れ、「ファンのみなさま ありがとうございます 日本船舶振興会」というテロップを出していた(CMによっては、「(財)日本船舶振興会」と表記されることもあった)。90年代になると、CMの最後に流れていた前述のセリフや競艇シーンの映像、テロップがなくなり、後述のイメージソングがBGMで流れるようになったほか、高齢者福祉を取り上げたCMが流れるようになった。
笹川死去後、近年は、財団が取り組んでいる身体障害者・高齢者福祉、聴覚障害者のための大学「ギャローデット大学」の支援、アフリカの飢餓救済、船舶航行の安全確保関連などの国内・国際援助活動事業など援助事業の風景を取り上げている。
ヒッチハイクCM(主に戸締り用心・火の用心シリーズ、海外の慈善活動報告シリーズ)に関して、民放キー局では特に、テレビ朝日(NET時代も含む)と日本テレビが比較的多く、逆にTBSとフジテレビは少なかった。多かった放映時間帯はいずれかの曜日の19時台~21時台の番組終了直後。
関連団体である日本海事科学振興財団が運営する船の科学館のほか、日本船舶振興会時代から多くの船舶・海洋系博物館や事業に対しての助成を行ってきた。また船舶開発・海洋開発分野の研究など各種事業を支援した(新愛徳丸及びヤマト-1については計画を主導)が、水中作業挺・深海調査船の開発など一定の成果をあげたものがある一方で、技術研究段階で終了、または事業として失敗したものも少なくない。
2024年現在も船舶・海洋系博物館や資料保存等の事業に対しての助成は行っているが、日本財団や関連団体における船舶・造船振興の取り組みは相対的に比重が少なくなっている。また船の科学館の本館については、建物の老朽化により2011年10月に休館し、その後2023年12月26日に、翌年2月より解体工事を開始することが発表された。今後移転候補地の検討およびリニューアル計画を進めるとしている[31]。
2005年4月に、中華人民共和国の甘粛省にある国立蘭州大学に1992年に設立した奨学基金の原資100万ドルについて、大学側が勝手に現地の投資信託会社で運用して失敗し回収不能に陥っている、と発表した。大学側は「高利の投資信託に移し奨学金を充実させたかった」と謝罪しているが、財団は大学に対し、投資信託会社から資金を取り戻して奨学制度を正常に復帰させるように求めている。
財団側の説明によると、1992年3月に大学が持つ中国銀行の口座に100万ドルを振り込み、その利息で大学院生向けに奨学金を支給することを規定。しかし大学側は、財団に基金の運用機関を変更する届け出をしないまま1993年10月、当時高利息だった甘粛省投資信託公司へ移し替えた。事態を重くみた財団は2004年12月、中華人民共和国政府に対し原状回復への協力を要請し、2006年11月に中華人民共和国の王毅駐日大使から「全額、元に戻すことが確認された」との連絡があり、本問題は解決をみた。
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