丹波市
兵庫県の市 ウィキペディアから
兵庫県の市 ウィキペディアから
丹波市(たんばし)は、兵庫県の東部に位置する市である。丹波県民局管轄区域。
丹波市は兵庫県の東部、内陸部に位置し瀬戸内海と日本海のほぼ中間部の山間にある。加古川水系の最上流、由良川水系の最上流に位置し、北海道と末端部を除けば日本で一番標高が低い中央分水界がある。また子午線(東経135度線)が通る町でもある標高100m前後の盆地に、田畑が広がり、霧の出ることも多い。積雪は近年では年数回程度であるが、旧青垣町は豪雪地帯に指定されている。また面積は県下5位である。
平成22年(2010年)国勢調査で前回調査からの人口増減を見ると4.28%減の67,780人であり、増減率は県下41市町中27位、49行政区域中35位である。
丹波市と全国の年齢別人口分布(2005年) | 丹波市の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― 丹波市
■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
丹波市(に相当する地域)の人口の推移
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||
総務省統計局 国勢調査より |
柏原の気候 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 17.2 (63) |
20.8 (69.4) |
24.6 (76.3) |
30.2 (86.4) |
32.8 (91) |
36.2 (97.2) |
37.9 (100.2) |
39.2 (102.6) |
37.3 (99.1) |
32.0 (89.6) |
27.6 (81.7) |
21.8 (71.2) |
39.2 (102.6) |
平均最高気温 °C (°F) | 7.9 (46.2) |
8.9 (48) |
12.9 (55.2) |
19.0 (66.2) |
24.1 (75.4) |
27.1 (80.8) |
30.8 (87.4) |
32.6 (90.7) |
27.9 (82.2) |
22.1 (71.8) |
16.3 (61.3) |
10.5 (50.9) |
20.0 (68) |
日平均気温 °C (°F) | 3.2 (37.8) |
3.8 (38.8) |
7.2 (45) |
12.8 (55) |
18.0 (64.4) |
21.8 (71.2) |
25.8 (78.4) |
26.9 (80.4) |
22.7 (72.9) |
16.5 (61.7) |
10.6 (51.1) |
5.4 (41.7) |
14.6 (58.3) |
平均最低気温 °C (°F) | −0.7 (30.7) |
−0.5 (31.1) |
2.0 (35.6) |
6.8 (44.2) |
12.5 (54.5) |
17.6 (63.7) |
22.2 (72) |
22.8 (73) |
18.7 (65.7) |
12.0 (53.6) |
6.0 (42.8) |
1.3 (34.3) |
10.1 (50.2) |
最低気温記録 °C (°F) | −9.6 (14.7) |
−8.9 (16) |
−9.9 (14.2) |
−2.3 (27.9) |
0.3 (32.5) |
7.6 (45.7) |
13.1 (55.6) |
14.8 (58.6) |
7.4 (45.3) |
1.1 (34) |
−2.2 (28) |
−8.7 (16.3) |
−9.9 (14.2) |
降水量 mm (inch) | 63.6 (2.504) |
74.0 (2.913) |
116.2 (4.575) |
127.6 (5.024) |
152.8 (6.016) |
185.6 (7.307) |
220.2 (8.669) |
169.2 (6.661) |
217.6 (8.567) |
141.4 (5.567) |
80.4 (3.165) |
68.2 (2.685) |
1,616.7 (63.65) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 9.9 | 10.5 | 11.2 | 10.4 | 10.0 | 12.2 | 12.8 | 9.7 | 11.0 | 9.1 | 7.6 | 9.7 | 124.0 |
平均月間日照時間 | 105.0 | 104.2 | 143.0 | 173.0 | 178.3 | 125.4 | 133.1 | 175.4 | 129.1 | 139.9 | 126.6 | 111.3 | 1,644.1 |
出典:気象庁 |
古代の丹波国の西端に位置する氷上郡の地である。4 - 5世紀の著名な遺跡としては親王塚古墳(氷上地区)、二間塚古墳(春日地区)が残る。古社としては春日町の兵主神社(式外社)が知られている。
戦国時代には「丹波の赤鬼」として知られた赤井直正が春日地区の黒井城に拠って三丹に武威を轟かしている。織田信長麾下の明智光秀による丹波攻めは赤井直正討伐が主眼となっていたが、直正は病没するまでの3年間、明智軍の猛攻に屈しなかった。この頃、柏原八幡神社など明智光秀の丹波攻めによって焼かれたという寺院もある。このため今でも光秀に対する恨み言を聞くことがあり、現代でも光秀が敬慕されている京都府の亀岡市や福知山市とは歴史観を異にしている。
江戸時代の氷上地域は、別所吉治が但馬八木領より丹波北由良領一万五千石に国替えになり、北由良陣屋を築き北由良藩を立てた。吉治は大坂の陣の功により五千石を加増され、北由良藩二万石の領域が確定したものの、その後改易された。
また、柏原地域は、織田家(織田信雄系)二万石の支配下となるが、城主格は与えられず柏原陣屋が建てられた。幕末には柏原藩、三田藩、鶴牧藩の領地や旗本領が市域全体に複雑に入り組んでいた。明治維新後の1871年に豊岡県へ統合され、1876年に兵庫県に属した。この他、徳川家光の乳母・春日局は春日地区に生まれたとされている。
氷上郡6町の合併にあたっては、新市名候補の公募がなされた。この結果では「氷上」の応募が最多となったほか、「ひかみ」が3位となるなど郡名(あるいは町名)に因んだ応募が比較的多かった。これに対し、氷上郡合併協議会は「ブランド力の活用」などの理由で応募数では2位の「丹波市」を合併協議会委員の投票により選定した。これに対して地元住民のほか、当時の篠山市(現・丹波篠山市)[5]や綾部市[6]など丹波地域内の周辺自治体などから見直しを求める声が上がった。これを受けて合併協議会は改めて検討を行ったが、「公募は人気投票ではなく、応募数は参考に留めるものである」「公正なルールに従って選定された」「旧国名を採用している事例はほかにも多い」といった理由により見直されることはなかった[7]。
なお、一連の経緯については竹内正浩が平成の大合併で誕生した各地の地名を考察した著書『日本の珍地名』[8]の中で「京都府をはじめ全国的な反発を買ったという“事件”」と評価している。
篠山市は、当市名により「丹波産」として出荷していた篠山市産商品が当市産と誤解されているなどとして、当市に対抗して、2019年に市名を「丹波篠山市」に改称した[9][10]。
「丹」を図案化し、当市のキャッチフレーズである「人と自然の交流文化都市」を表し、色は自然を表す緑色が指定された。一般公募により、2004年3月23日から2004年4月30日まで募集し、選定結果で大阪府大阪狭山市在住のグラフィックデザイナーによって2004年7月21日に決定し[11]、合併日の2004年11月1日に制定された[1][2]。
農林業中心ではあるが、工業も盛んである。パルプ、ベッド、釣り針、自動車ケーブル、携帯電話、菓子などを生産する。また、かつては毛皮の生産地でもあった。このほか、ぼたん鍋用猪や神戸牛など食用肉の飼育も行われている。
あずきほかこしひかり、ゆめたんば、但馬強力、五百万石、兵庫北錦といった水稲やヤマノイモ、黒大豆(黒豆)、ゴマ・丹波ひかみネギの栽培が盛んである。市内の春日町は、丹波大納言小豆の発祥地とされる[12]。
市内の市島町は農業の先進的地域で、全国40か所の「有機農業モデル地区」のひとつに選ばれている。2008年、市島有機農業研究会(市有研)の呼びかけで「丹波市有機農業研究会(丹有研)」が発足。2008年より、丹有研を中心とし「丹波市有機の里づくり推進協議会」が設立された。市有研が発足した1975年は、有吉佐和子の小説『複合汚染』が発表された年にあたり、国民の間で公害問題や食品汚染を追及する消費者運動が盛り上がった時期であった。神戸大学の保田茂(現・名誉教授)の講演を聴いた愛農会の近藤正の呼びかけで、30数軒の農家により市有研が結成された。しかし、農薬を一切使わない有機農法は、労力がかかるとともに害虫の発生に悩まされる。有機農法を支持する消費者が手伝いに来ることもあり、阪神・淡路大震災の際には、生産者が消費者宅を訪問し水や食糧を配布するなど、消費者と生産者の産消連携運動が有機農法を支えている[13]。
JAS認証有機米をはじめ、野菜、ブルーベリーなどの果実などが有機農法により生産されている。また丹波地方は豆の生産でも知られるが、こやま園が「丹波なた豆」として商標登録し、2008年には兵庫県認証食品に認定された。近年は古くより丹波地方で健康に良いとして飲まれ、高血圧、腎臓の機能回復などに効能があるとされるナタマメを使った「丹波なた豆茶」(「こやま園」が初めて製品化)が、百貨店や通販サイトでも売られるほか、アメリカ、香港、ベトナムにも輸出されるなど、新たな特産品となっている[14][15][16]。
ゆめタウン丹波(イズミ)やコープこうべのショッピングセンターなどの大規模小売施設のほか、市内各地にスーパー(さとう、ニチリウグループ)やコンビニエンスストアなどがあり、市内の日常的な購買需要はほぼ満たされている。北近畿豊岡自動車道氷上インターチェンジ周辺にはロードサイド店舗が立地している[17]。しかし、市東北部の市島町は福知山都市圏に位置しており、隣接する京都府福知山市の商業・産業に多くを依存しているほか、福知山市の商業施設や病院などの利用は特に多い。その一方、市南部の山南町は隣接する播磨北東の中核都市西脇市との関連が深い。
稲畑人形は、丹波市氷上町稲畑に暮らしていた赤井若太郎忠常が、京都の伏見人形を模して作り始めたと伝わる。親しみやすい素朴さを特徴とし、経済的事情でひな人形を買うのが難しい農民たちがひな祭りを祝えるよう、作り始められた土人形。一般的なひな人形は男びなと女びなが対であるが、稲畑人形は赤い装束を身にまとった「練天神」1体を飾って祝う。子どもが賢く、健やかに育つようにと、練天神は菅原道真をモデルにしている。その他、お多福、舞妓、金太郎をモチーフとしたものなど約200余種がある。明治時代に最盛期を迎え、農閑期の副業に集落内の7,8軒で作られ、播州や但馬方面にまで広く売られていた[18][19]。
指定金融機関:丹波ひかみ農業協同組合
出典[35]
通学区域の指定は市HP「丹波市内小中学校区域一覧」[36]による。氷上中と青垣中は氷上西高との連携型中高一貫教育を実施している[37]。丹波市教育委員会は山南支所内に所在する。
救急患者の半数が市外へ搬送される現状から、「医療崩壊」を指摘する報道もなされていたが、丹波医療センターが開院し、医療センターの常勤医師も50名を超え救急受入人数も医療崩壊前の人数を超えているが、救急搬送人数が増えているため、市内収容割合は6割代を推移している[38]。
鉄道(JRの特急こうのとり)を利用した場合、大阪駅より約1時間10分程度で柏原駅まで到達できる。高速バスは但馬方面発着の一部系統が春日IC・氷上バスストップ・青垣IC各バス停に停車する。市内発着便としては関西記念墓園発着便が存在する。
日本の大都市以外の場所で散見されるように、当市においても全域にわたり公共交通機関網は細部に及んでいないほか、運行本数も少なく利便性に乏しい。
1990年代半ば頃までは、中国ハイウェイバス(新大阪駅 - 西脇 - 柏原)や福知山高速線(大阪駅 - 福知山駅)といった路線が市域を介して運行され停車していたが、前者は運行区間短縮、後者は全線が廃止となった。また、特急バス(三ノ宮 - 佐治・柏原)は運行経路が変更されたうえで土日・祝祭日・ゴールデンウィーク・お盆・お彼岸・年末年始にかぎり市域にある「関西記念墓園」までの運行となった。これらの施策により、広域の利用については一部の利用機会を喪失している。
一方、2005年4月よりそれまで市内を通過していた大阪・神戸から城崎・湯村温泉への特急バスが停車するようになった。
2005年4月17日、春日ICから氷上ICの供用が開始された。同道路はのちに、丹波市(春日IC)から朝来市(和田山IC)まで結ばれ、自動車専用道路として供用されている。なお、当道は国の直轄事業として整備されたことから通行料金は無料となっている。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.