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少年少女たちが活躍するSF映画で、VFXが駆使されて話題になった。山崎貴の映画監督デビュー作でもある。
作中の未来から来たロボットであるテトラが、その愛くるしい動作と言動から女性からも人気を得て、大きなプロモーション効果を挙げた。また、公開前(公開中?)に『朝日新聞』の1ページを使いテトラのペーパークラフトが載った。また、『別冊コロコロコミック』で読みきりとして漫画化された。また、監督自ら執筆した小説版もメディアファクトリーより出版されている。
2000年7月イタリア・ジフォーニ映画祭子供映画部門でグランプリを受賞。ニフティ映画大賞(現・日本インターネット映画大賞)2000の日本映画部門映像効果賞を受賞した。
白組で日本の妖怪を題材とした映画『鵺/NUE』を企画していたが、制作費が30億円必要な規模の作品であったため頓挫し、これに代わる新人監督である山崎貴の腕試しとなる作品として本作品が立ち上げられた[1]。
当初は制作費1億5000万円程度で6月ごろの公開を予定しており、撮影はオールロケでVFXを一箇所に集約するという小規模なものが想定されていた[1]。しかし『鵺/NUE』から携わっていたROBOT社長阿部秀司の尽力により、制作費5億円で全国東宝系夏休み公開、香取慎吾の出演も取り付けるなど大規模な作品へと発展した[1]。
本編終盤の2020年パートで登場する主人公の少年たちの大人になった姿を、将来的に2000年パートと同一のキャストで再撮影し「完全版」を制作する構想が2000年当時から存在していた[3]。この構想は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響もあり実現しなかったが、代わりに2022年公開の映画『ゴーストブック おばけずかん』で、遠藤雄弥と鈴木杏が主人公の両親役として本作と同一の役名で友情出演し、テトラも劇中に登場している[4]。
2000年の夏休み。坂本祐介、木下岬、大野秀隆、松岡俊也の四人は、キャンプ場で超高性能ロボット「テトラ」と出会う。テトラが「ユースケに会った」という言葉を発したこともあり、テトラはひとまず祐介の家に置くこととなる。テトラに乞われるまま四人は電子機器類の廃品を集め、それを材料にテトラは自分の体を改造し、二足歩行できるようになる。近所に住む天才物理学者・神崎も巻き込んで四人とテトラの夏休みは過ぎていった。だが、ある日テトラは祐介たちの前から姿を消してしまう。
そのころ、地球上空には「生態系を完備した海」という注文を異星の住民から受けた宇宙の商人・ボイド人の巨大宇宙船団が飛来していた。彼らは船団から4隻の宇宙船を太平洋に降下させ、宇宙船を組み合わせて1辺6キロの巨大三角錐状構造物とした「シースナッチャー」を構築し、海の回収の準備を人知れず進めていた。
シースナッチャーに先んじて地球へと潜入していた「地球上陸・オーバーテクノロジー調査破壊班」のリーダーは、日本で初遭遇した人間である岬の従兄弟の範子の姿を模倣して地球の情報を収集していた。そしてオーバーテクノロジーの可能性が高いテトラを破壊するため、岬を人質に取った。パニックに陥る祐介たちの元に、姿を消していたテトラが戻ってきた。テトラはボイド人と戦うために戦闘用ロボット「ガンゲリオン」を作っていたのだ。祐介は岬を救うため、ガンゲリオンに乗り込み、テトラと共にボイド人と戦う決意をする。
オーバーテクノロジー調査破壊班が陣取った漁港へ辿り着いた祐介は、ボイド人からの奇襲攻撃をバリアで防ぐとそのまま反撃に転じるものの、優れた技術を持つボイド人相手に終始不利な戦闘を強いられる。だが、偶然とボイド人のミスが重なった結果、太平洋上のシースナッチャーを崩壊へと追い込み、さらにテトラの機転により岬を奪い返すことに成功する。そしてシースナッチャー崩壊を受け、ボイド人達は地球からの即時撤退を決定する。だが、オーバーテクノロジー調査破壊班は出航までの時間的猶予が無い中、一度きりのチャンスに賭けて大気圏外から祐介への報復攻撃を行う。祐介を的確に狙った狙撃を直前に察知したテトラは、彼を庇う形で撃たれ、機能を停止してしまう。そして、テトラから排出された記憶メディアが「2000TBディスク」という2000年には存在しない大容量製品であったことから、テトラを修理する技術はまだ存在しないことが判明する。失意の中、祐介はロボット工学を志し、自らの手でのテトラの修復を誓う。
時は流れ、2020年。祐介はロボット工学のエンジニアとなり、岬と結婚していた。ロボット工学を志す契機となったテトラは既に少年時代の思い出となり、「テトラを修復する」という誓いもいつしか思い出の一つと化していた。だが、テトラの記憶メディアに採用されていた「2000TBディスク」の製品発表資料をネット上に発見する。祐介は時代がテトラの技術に追いついたこと、そしてテトラと同型のロボット製品が登場するであろうことに期待を寄せる。その一方で、自分でテトラの修復を成し遂げられなかったことに寂しさを感じていた。その時、神崎からタイムマシンの完成を知らせる連絡があり、さらにタイムマシンで過去に送り込むためにテトラを開発するよう依頼される。テトラの開発を手掛けるのが自分であったことに歓喜し、祐介は様々な技術的課題を乗り越えて、かつてキャンプ場で出会ったあのテトラを完成させる。
テトラを2000年へと送り込む日。祐介、岬、秀隆、俊也はタイムマシン施設で久しぶりの再会を果たす。そこに祐介は、かつて自分を庇ってボイド人に狙撃されたテトラを修復して持ち込んでいた。テトラとの再会を4人で果たそうと考えていたのだ。テトラのボディに記憶ディスクを挿入し、諦めかけるような長い時間が過ぎたとき、テトラは再起動する。テトラは狙撃された瞬間から20年の経過を認識しておらず、祐介の身を案じていた。そして祐介が大人になったことに驚くとともに、20年の経過を認識するのだった。
再会を喜びあった4人とテトラは、2000年へのテトラの転送に立ち会う。タイムマシンの起動が進む中、タイムマシン上の「新品のテトラ」は不安げに目を覗かせて祐介たちを眺めていた。それを見たテトラは、かつて自分が2000年に送り込まれる時、同じように祐介たちを眺めていたことを語る。「新品のテトラ」がタイムマシン上のワームホールへ突入し、2000年へ送り込まれる瞬間、祐介達の心は少年少女時代へと戻っていた。
くじら座タウ星第3惑星ボイド星が母星。宇宙の商人とも言われ、他の星の住民から注文を受けたものは何でも手に入れ、発注した星に引渡す。劇中に登場したボイド人たちは「大いなる前進」という名の企業に属している。発注を受けたものと引き換えの報酬を元に発展していく。今回発注を受けたのは「生態系が完備された海」。地球の海亀に酷似した生物から進化した種族で、名残として背中に小さな甲羅を持つ。そのため海亀の映像をテレビで目にした際には強い関心を示していた。背中には触手を4本持ち、そのうち2本は腕のように扱える。地球上で行動する際にはボイドスーツというパワードスーツを下半身にまとい、運動能力を高めている。一度聞いた音声は完璧にコピーできるため、語学力に非常に優れる。非常に高度な文明を持つ種族で、宇宙開発技術、遺伝子改造技術、映像技術、物理学、ロボット工学など、さまざまな面において地球人の上を行く。使用する機器類や乗り物は有機的なデザインをしており、とくに乗り物はみな惑星ボイドに棲息する生物を遺伝子改造して利用している。劇中には「オーバーテクノロジー調査破壊班」の3名が主に登場する。
小型完全自律型AIロボット。2020年、祐介によって開発されて神崎の開発したタイムマシンで2000年のキャンプ場に転送される。完成当初は完全な球体だが、2000年に着いた時から祐介たちの持ち寄るジャンクなどを使い2本足歩行が可能になる。記憶デバイスは2000TBディスク。電源は水素電池で寿命は80年。2000年に転送される過程でワームホール内の強力な重力に耐え、確実に2000年へ到達できるように球形をしている。胸に「TETRA」の文字が刻印されているが、ワームホールのゼロポイントを通過する際に左右が反転して、「AЯTƎT」となっている。なお、劇中では未使用だが、足裏にはジャンプ移動用のガス噴射ノズル、マニピュレーター部には溶接機や護身用の飛距離のあるスタンガンが装備されている[3]。ボイドスカウターのレーザー砲を盾として受け止め切るほどの堅牢さを持つが、無傷とはいかず機能停止することとなる。
テトラの記憶デバイスとして使用されている記憶メディア。SDカードほどのサイズで2000TBという大容量を持つ。透明のケース内部にハードディスクドライブのような銀色の円盤が収まっている。2000年には本来存在しない大容量製品であり、劇中では2020年に汎用品として製品発表が行われている。
テトラに内蔵されているプレイステーション向けロボット対戦ゲームに登場する、プレイヤーが操作するロボット。このゲームは祐介にガンゲリオンの操縦の訓練をするためのもので、ボイドスカウターが敵として登場する。後にテトラは廃工場に残された産業ロボットアームなどの工作機械を用いて実物を1日で作り上げる。材料はテトラがRNMX社の研究所から寝ぼけた三沢から貰った大量のサーボモーター、電子機器、ロボットアーム、金属板など。頭部・腕部・脚部・質感など、テトラを戦闘形態にしたかのような意匠をもつ。ボイド人に人質として攫われた岬を救出するため、飯岡漁港でボイドスカウターと戦う。
武装はレールガン×1(実弾を発射するのではなく、威力を20倍にチャージ・発射可能なエネルギー弾砲だとされる)[3]、バリア×1(電力を消費するため一度の戦闘で4回ほどしか使えない)[3]。移動は基本的にホバー噴射で行い、短時間なら飛行が可能。地上では時速250km、飛行速度は時速800kmであり[3]、ボイドスカウターに追いつくほどの上昇速度を持つ。高い戦闘力を持つが、ボイドスカウター相手では性能差、サイズの違い、技術や資源力の違いなどから不利な戦いを強いられた。全高4mほどの人間に似た胴体と、背中から後方に2メートルほど伸びた装甲コックピットを持つ。左右の肩から2本のV字型のアームが伸び、右はバリア発生装置、左はレールガンが取り付けられている。また、アーム基部には1基ずつ投光機を装備している。肩に2つ、背中に2つ浮上ノズルを装備しており、基本的に低空を滑空して移動するが、ブースターを噴かして大ジャンプや短時間の本格的な飛行も出来る(燃料・動力源は不明)。コックピットは外部と完全に遮断されているため、頭部を始めとした機体各所に搭載されたカメラから得られた情報をコックピット内部のモニターに投影することで視界を確保し、プレイステーションのコントローラーで操縦する。腕にあたるマニピュレーターはテトラのものと同様の形状で、小型ながら自重を支えるほど大きな出力を持ち、戦闘時におけるパンチなどに使用できる(劇中では未使用に終わったが、家庭用ゲーム機でのトレーニングではパンチが主力武器であり、コミックス版などでもパンチは披露されている)[3]。逆関節状の脚部もボイドスカウター同様に小さく細いが、大ジャンプを行うなど出力は強力である。
ガンゲリオンという名称の由来は、『機動戦士ガンダム』と『新世紀エヴァンゲリオン』を組み合わせたもの。発想の原案は、『スターシップ・トゥルーパーズ』第一作に登場する予定だったが却下されたパワードスーツ[3]。
完成版までは幾度かデザインの変更が試みられており、プロモーション映像では灯光器の個数がより多く、完成版のレールガンの代わりにガトリング砲、シールドの位置に詳細不明の武器または装備を搭載しているのが確認できる[3]。
2020年で使用される企業ロボットには、ガンゲリオンの意匠が見られる[3]。
神崎が2000年に開発した装置。小型ワームホールを発生させ、物質を一瞬でどこにでも転送する。欠点はワームホールのゼロポイントを物質が通過すると左右が反転すること。そのため生物はゼロポイント通過時に死亡する。神崎は後にこの装置を用いて宅配便業者を設立するが、この欠点を補うために一旦中央ステーションに転送させた後に宅配地区の中継ステーションの受信装置に転送し、反転させ直すという手段をとっている。
また、ボイド人の保有するものも作中では登場している。こちらの方は原理は不明。テーブルのような円盤と、それを90度ずつ角度をあけて取り囲む4つの小さな投光機のような装置で構成されている。物体が転送される際、円盤から緑色の光のチューブが立ち、その中を物体が浮遊し、複数の小さな光の塊に分解されて上昇していく、という描写がされている。
神崎が2020年に完成させたタイムマシン。幅・奥行き・高さともに60mの巨大な空間に収まっている。多種多様な構造体で構成された複雑な外観だが、3本の巨大なタンク状の構造体が、先端を突き合わせるように120度の間隔で配置されているのが特徴的。ワームホールは3本のタンク状構造体に囲まれた中心部に発生する。ワームホール内部は非常に重力が大きく、その重力に耐えうる物体しか転送できない。物質転送装置と同じく、転送される物体はゼロポイントで左右が反転する。ワームホールは青い微光を放つ。転送先の時代は自由に設定できず、ワームホールの状態等の各種条件による制限を受ける。
監督自ら執筆のため、ストーリーはほとんどが映画と同じ。メディアファクトリー刊。
夏休みらしさを強調する新エピソードや、2000年~2020年の間の登場人物たちの動向を描いたエピソードが加筆されている。また、監督の気に入らなかった場面、やり直したかった場面などに反省点を踏まえて修正が加えられている。監督曰く、『ジュブナイル ver1.2』。なお、ボイド人と名乗るシーンがカットされており、祐介らは宇宙人の名前を知らないはずなのだが、ガンゲリオンの光をみて「ボイド人…?」と発言し、なぜか名前を知ってしまっているミスがある。
作者は馬場民雄。基本的なストーリーは原作に即しているが、細部のストーリー展開、キャラクター設定などは大きく異なり、相違点が多い。小学館刊。
その他に、ガンゲリオンがコマごとに形が違うというミスがある。
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