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円筒や円錐の面に沿って螺旋状の溝を設けた固着具 ウィキペディアから
主として別個の部材の締結に用いられる。また、回転運動と直線運動との変換などにも用いられる。
ボルトのように外表面にねじ山がある「おねじ[1]」(雄ねじとも書く)とナットのように内表面にねじ山のある「めねじ[1]」(雌ねじとも書く)がある。多くは、おねじとめねじの組み合わせで使用される。なお、後者がなく木材や薄い金属などの部材に穴を開けながら締結するもので、タッピングネジ、木ねじ(もくねじ)と呼ばれる[1]ものがある。
これらの他にも、ぜんまいやぜんまいを巻く装置もねじと呼ばれる[2]。言葉の比喩として「ねじを巻く」とは、ぜんまいに動力を与えるところから、誰かを、何かを『追い込む』の意味として使われる。
長方形の一対角を直線で結び、この長方形を巻いて円筒とした時、対角線は「つる巻き線 (helix)」と呼ばれる三次元曲線を描く。ねじは、このつる巻き線に沿って溝を形成したものである。
今日ではねじはあらゆる用途で大量に使用されており、その多くはボルトやナット、木ねじなどによる締結用途である。また、ねじは各種の機械の運動や位置決めなどでも欠かせないものとなっている。このため「産業の塩」と呼ばれることもある。ねじメーカーの日東精工は本体直径0.6ミリメートルというねじも開発しており、これを世界最小としている[3]。
ねじは、漢字で「捩子」(ねじ、らし)あるいは「捻子」「捩子」「根子」と書かれることがあり、JISでは「ねじ」が正式な呼称になっている。また「ねじ」は動詞「捩づ」(ねづ)の連用形であり、「ねじ」の他に「ねぢ」と表記されることがある[2]。
ねじと同様の名称として「ボルト」があるが、JISでは以下のように定義している。
実際には、ナットと組んで使わないものをボルトと呼ぶことや(この場合はねじ込み対象にめねじが切られていることが前提。でないと止まらない)、ナットと組んで使うものもねじと呼ぶことがあるため、これらの用語の使用には揺らぎが存在する。
英語ではねじ山を持った円筒や円錐全般を"screw"(スクリュ)や"screw thread"(スクリュ・スレッド)と呼び、これが日本語のねじに相当する。「おねじ」は"external thread"と呼ばれ、「めねじ」は"internal thread"と呼ばれる。ボルトやナットのように部品の一部にねじを持った締結用の部品は"threaded fastener"と呼ばれる。英語圏でも"screw"と"bolt"の区別には混乱がある(1970年代の米国自動車整備マニュアル上での表記を参照)[注 1][2]。
ビスはぶどうの蔓を意味するラテン語vitisがフランス語でねじを表すvisとなり、英語のviseになった[4]。特に「すりわり」や「十字穴」を持つおねじ部品を指すことが多く「小ねじ」とほぼ同義である。
ねじの起源は明確には分かっていない[5]。ねじの発明のヒントは人の陰毛だったのではないかという説と木に巻き付く蛇だったのでないかという説がある[6]。
また、発明者については、現代の歴史家によれば、アルキタスが発明したとする説と、ペルガのアポロニウスが発明したとする説がある。ギリシャの学者エウスタシウスはアルキメデスが発明したと主張した。実際、円筒状の筒の中に大きなねじを入れた揚水用のアルキメディアン・スクリューはアルキメデスの発明といわれ、今まで知られている限り、最初に螺旋構造を機械に使用した例だとされている[7]。水ねじは古代、灌漑や船底の水の汲み上げ、鉱山に溜まった水を排水することなどに使われ、労力に比べ極めて効率的に水を揚水することができた[7]。当時は他の揚水手法に比べて効率性が高く、現代でもねじ式コンベアーとして使われている。シケリアのディオドロスはこの発明がアルキメデスがアレキサンドリアで学んでいた青年時代に行われたと記している。ねじ構造はアルキメデスのような天才機械学者によってのみ思い描くことができたとする者もおり、実際「ねじは中国で独自に生み出されなかった、唯一の重要な機械装置である」とも言われる。
ギリシア時代には既に機械として使われていた事が知られている。例えば西洋では、木の棒で作られたねじを利用してオリーブやブドウなどの果汁を搾るねじ圧縮機(スクリュープレス)として使われていた[8]。
ルネッサンス期にあたる1500年頃には、レオナルド・ダ・ビンチによってねじ部品を使った様々な装置が製作され、締結用のねじ部品の利用が広がった[5][9]。ほかにも実際に作られたかどうかは不明ながら、ねじ切り盤[10]やタップ、ダイス[9]のスケッチも見られた。
フランスの数学者ジャック・ベンソン(1500~1569)もねじ切り盤のスケッチを残しているが木製の機械で実用的でなかったとされている[6]。
ドイツ人のゲォルク・アグリコラ(1494~1555)の著書にある鞴(ふいご)の図から、1500年前後には金属製のボルト、ナット、小ねじ、木ねじ類は出現していたと考えられている[6]。15世紀にはフランスのルイ11世が金属製のねじで組み立てた木製ベッドを使用していた[6]。
16世紀半ばになると、ねじは様々な場面で使われるようになった。懐中時計用の小さなねじや、銃に使う大きなねじ、甲冑用のボルトなどにねじが使われた。当時のリヨン近郊のフォレの町は、ねじ作りを専門にした町で、イングランドのミッドランド地方でも家内工業としてねじが作られた。ねじの作成には原始的な旋盤が使われていたが、1760年ミッドランド地方のジョブとウイリアムスのワイアット兄弟は手で刃を動かしてねじを切る代わりに、カッターで自動的にねじを切れるようにして、数分掛かっていた作業をわずか6,7秒で作ることができるようにするという画期的なねじ製造法を開発した。ワイアット兄弟は「鉄製ねじを効率的に作る方法」で特許を取り世界初のねじ工場を作ったが、事業は失敗に終わり、工場の新しい持ち主が事業化に成功し、その後蒸気機関の活用など各種の改善を経て、船や家具、自動車、高級家具などの需要の高まりとともに大量のねじが作られることになる。
18世紀の終わりまで、旋盤で物を作るのはヨーロッパ貴族の趣味の一つとなっていた。1762年にヨークシャで生まれ、ロンドンで精密機械を作っていたジェシー・ラムスデンは、当時天体観測用や航海用として使われていた精密機器の精度を上げるため、手作りで作る代わりに、より精密な旋盤を作ることによって達成するプロジェクトを始めた。ラムスデンは木製旋盤の代わりに金属製の旋盤を作り、カッターの先端にダイヤモンドを使用し、11年かけて旋盤を使って旋盤の部品を作り、それを使ってさらに精密な旋盤を作り上げて旋盤を次第に精密にしていき、最後には千分の4インチという精度のねじを作り上げた。彼が作った高精度のねじは顕微鏡や天文学といった科学分野で活用された。船の経度と緯度を300mの誤差で割り出せる航海用観測機器ができ、キャプテン・クックなどの航海上の偉業が達成されることになる[2]。
量産方法を追求したワイアット兄弟と、精密さを追求したラムスデンは偶然にも同じ時期に活躍したが、両者の業績を統合したのが、英国のヘンリー・モーズリー (Henry Maudslay 1771-1831) であった。1800年に彼は、それまでの旋盤をさらに改良し鉄鋼製のねじ切り用旋盤を開発した[5]。モーズリーはフランス人マーク・イザムバード・ブルネルと組みポーツマスに世界初の完全に自動化された工場を作った。この工場は10人の工員が44台の機械を使い、年間16万個の滑車を作ることができたという。1825年には、ブルネルはテムズ川の下をくぐる365mのトンネル工事を受注した。モーズリーはブルネルが発明した矩形のトンネル用鋳鉄製シールドを製造してトンネルを完成させた。これがシールド工法の始まりである。モーズリーは他に印刷機、プレス機、貨幣鋳造の特殊機械、ボイラー板穴開け機などを作ったが、最も有名なのは蒸気機関であった。ブルネルの息子が初の大西洋横断蒸気船を作った際に、モーズリーの息子もその船に搭載する、当時世界最大の750馬力の蒸気機関を作った。これらの成功は、モーズリーが作り上げた極めて精度が高い基準ねじを用いた、規模が大きくなっても精密に仕事ができる旋盤によるものだった。モーズリーは1万分の1インチの精度のマイクロメーターを作っている。このマイクロメーターはモーズリーの工場で寸法を測る際の至高の基準とされ「大法官」と言われていて、弟子の製品の精度チェックに使われた。また、かつてはナットとボルトは一対で作られ、製造時につけた刻印が合うもの同士でなければ噛み合わなかったが、金属製のねじ切り用旋盤によりねじの精度が上がったため、その必要はなくなった[6]。
日本には1543年、種子島へ漂着したポルトガル人が所有していた火縄銃とともにねじが伝来したとされている[6]。種子島領主・種子島時堯は2挺の火縄銃を購入し、うち1挺を刀鍛冶八板金兵衛に与えて銃の模造を命じている[6]。この時、金兵衛は自分の娘若狭をポルトガル人に嫁がせてまで、ねじの作成法を習得したとする伝説が残っている。火縄銃の銃身の後ろ側(銃底)を塞ぐ尾栓に使われていたおねじとめねじが日本人が初めて見たねじとされている[6]。金兵衛にとって「おねじ」の製造は比較的簡単だったものの「めねじ」の製造は難しく、おねじを雄型とする熱間鍛造法で製作したと推定されている[6]。
日本を含めて東洋では、ねじ構造自体を独自に発見・発明することができなかった。村松貞次郎は『無ねじ文化史』で江戸の工業製品にはねじの使用例はなく、江戸幕府の江戸時代とは「ねじの無い文化」の時代であるとした。結局、ねじ製作のための優れた工作機械や工具に恵まれず、ねじを作ること自体が「大変困難な仕事である」ということがその理由である。和時計も特殊なねじがわずかにあるだけで、ほとんどが楔で作られている。
日本では、1857年にモーズリー由来でホイットワースが改良したねじ切り用旋盤が輸入された。1860年、遣米使節として渡米した小栗忠順は、ワシントン海軍工廠を見学後、西洋文明の原動力は「精密なねじを量産する能力である」と考え、1本のねじを持ち帰ったという[2]。
西洋での産業革命期には、締結用のねじが大量に生産されるようになった。産業革命によって金属製のねじが蒸気機関や紡績機械、各種工作機械に欠かせないようになっただけでなく、そもそも精密に物の長さや角度を測ったり物を加工するには、ねじ構造が必須であり、産業革命もこれらの技術がなければ成り立たなかった[2]。
ねじは専門業者が製造していたが、各機械メーカーは自社製の機械に合わせて独自の直径・ピッチのねじを発注していたため、大量生産の利点は生かされていなかった[6]。
ねじの形式を調査し標準化に貢献した人物にジョセフ・ホイットワース(または、ウイットウォース)(Joseph Baronet Whitworth 1803-1887) がいる[6]。モーズリーの弟子であった彼は、顧客から製作を求められる多様なねじの形状を整理した上で、1841年には山の角度を55度とするなど独自の規格を決めて公表した。1841年に発表されたこのねじ形式を「ウィットウォースねじ」という[6]。この「ウィットウォースねじ」の規格が次第に普及し、英国の国家規格BSに正式に採用された[6][注 2]。
ねじの標準化の動きは、工業製品の大量生産を得意するアメリカ合衆国でも進められ、ウィリアム・セラーズがウィットウォースねじに改良を加え、山の角度60度の「インチ系ねじ」を発表した。これは1868年に「セラーズねじ」として米国内標準規格となり、米国政府関係事業に全面的に採用され、「USねじ」「アメリカねじ」とも呼ばれるようになった。このUSねじ規格は、第2次世界大戦中に米国、英国、カナダの3ヶ国が武器に使用するための互換性のあるねじとして生み出された「ユニファイねじ」規格へと発展した。こういった北米圏での「インチ系ねじ」とは別に、1894年にまずフランスで制定され、1898年にはフランス、スイス、ドイツが採用した、山の角度60度の「メートル系ねじ」が「SIねじ」規格として欧州域で普及し、その後も広く使われた。このSIねじが21世紀現在、世界中で最も普及している「メートルねじ」の原形になっている。
メートル系やインチ系といった違いの他にも、各国ごとにそれぞれ異なるねじ規格が存在していたため、国際間の物流の拡大につれて不便が生じ始めた。やがて、世界的なねじの互換性の要求が高くなり、国際間でのねじを統一しようとする動きが起こった。
第二次世界大戦期後、1947年に国際標準化機構 (ISO) が設立され、ねじ規格でも国際的な標準化が進められた結果、1953年に「ISAメートルねじ」に準じた全世界共通の「ISOメートルねじ」規格を制定するとともに、アメリカ、イギリス、カナダが推奨する「ユニファイねじ」を「ISOインチねじ」として採用した[6]。
加工法では、1955年頃から転造法による生産が本格化した[注 3]。
日本でも、日本産業規格 (JIS) によってねじの標準規格が作られている。1975年からは毎年の6月1日を「ねじの日」としている。ISOによるねじの国際規格は世界の統一規格のために定められたが、北米圏や豪州では使用されていない。日本国内ではかつてはインチねじが主流を占めていたが、今では国際規格であるISO規格に準じたJIS規格によって寸法が統一され、インチねじは航空機その他特に必要な場合に使われる程度になっている[6]。日本国内での輸入製品などの修理には、ユニファイやインチといった海外規格のねじが必要になる[2]。
ねじの動きの幾何的関係は、斜面の原理で説明される。
ねじの有効径(直径)を d 、リード(回転軸方向に進む距離)を L 、リード角を β とすると、これらの間には
の関係がある。このため、ねじをそのねじ山稜線に沿って進んだ時、軸方向の移動距離と軸に対する回転角との間には比例関係が生じるが、この性質から、位置決めやマイクロメータなどにおける微細寸法の拡大にねじが使われる。
軸から力点までの半径距離を R 、この位置で加える回転力を T とし、ねじの有効径半径を r 、有効径仮想円筒上の任意の点に加わる回転力を P とすれば、力の釣り合いから
である。また、摩擦角 φ、リード角 β のねじにおいて、P と、この点に働く軸方向の力 Q との間には
の関係があり、これらから
が導き出される。従って、リード角β、摩擦角 φおよび半径の比 r /R を小さくする事により、より小さな力 T でより大きな力 Q を得られることになる。ねじが締結や倍力の発生に使われるのは、このような理屈による。
ねじの物理的な働きは、斜面と摩擦によって実現されている。以下では、ねじの物理的な働きを単純化して、斜面上の物体を押して移動させる例に例えて示す。
ねじを締めることは、重力を除けば斜面に乗っている物体を坂の上へと押し上げることに等しいと考えられる。今仮に、斜面上の重さ W の物体を水平方向に力 F で押すことを考える。斜面に平行な分力を S と T で、斜面垂直な方向の分力を R と N で表すと、それぞれの力の関係は以下の式で表される。
斜面に働く垂直応力は N + R なので斜面の摩擦係数が μ ならば、斜面上の重さ W の物体にこのとき働いている摩擦力 f は、以下の式で表される。
また、斜面に平行な力のつりあいは以下の式で表せる。
上式にさらに上の4つの式を代入すると、以下の式が得られる。
上式より力 F は次のように表される。
斜面上の物体が摩擦による静止を振り切って滑り出す時の最小化角度を「摩擦角」と言い φ で表す。摩擦係数 μ = tan φ であるので、上式に代入すると以下の式が得られる[11]。
また、ねじを締めた時の仕事の効率を、締めるのに要した力とねじが行った仕事との比率で表して「ねじの効率」と呼ぶ。例えば荷重 W の物体を坂の上で押して高さ L まで上げた時にねじが行った仕事は WL となる。ねじを回すのに要した仕事は
となるため、ねじの効率 η は次式で表される。
自然に緩むことがないためには条件 β≥φ が必要なので、β = φ とすると、最大効率ηは次の式で表せる。
φ > 0 なので、ねじの効率 η < 1/2 である。つまり自然に緩まないねじの効率は50%より小さくなる[12]。
ねじを緩めることは、重力を除けば斜面に乗っている物体を坂の下へと押し下げることに等しいと考えられる。今仮に、斜面上の重さ W の物体を水平方向に押す力 F' で押すこととする。斜面に働く垂直応力は R - N なので斜面の摩擦係数が μ ならば、斜面上の重さ W の物体に働いている摩擦力 f' は以下の式で表せる。
また、斜面に平行な力のつりあいは以下の式で表せる。
上式などから F' は次のように表される。
β > φ の時は水平方向に押す力 F' < 0 となり、釣り合わせるためには押すのではなく引かなければならない状況、つまり押さなくても勝手に坂を下る状況になる。これはねじでは自然に緩んでしまうことを意味する。
したがってねじが自然に緩んでしまわないためには β ≤ φ でなければならない。これをねじの自立条件と呼ぶ。一般的なねじに使われるメートル並目ねじのリード角は2-3度であり、摩擦係数 μ は0.1程で(角ねじで考えれば)摩擦角は約6度となって、ねじの自立条件を十分に満たしている。
締結用で一般的な三角ねじでは、ねじ山の角度 α の60度に対してねじ面に垂直な力は F cos(α/2) となる。この場合は締める力と緩める力はそれぞれ
となる。1.16という数値はねじ山の角度 α = 60度から、
で計算される。
これらのことから、三角ねじをねじ山に沿って回転させるには角ねじの1.16倍ほどの力が必要であり、三角ねじが締結に適していて、角ねじが運動に適することが分かる[13]。
ねじの機能は、固定状態で使うものと可動状態で使うもので大きく異なり、それぞれがいくつかの機能に細分化できる。
固定状態で使用されるねじは緩まないように静止抵抗の大きい方が良いが、可動状態で使用されるねじの多くはおねじとめねじの接触面の抵抗が低い方が良いので、できるだけ平滑にされ潤滑油も使用されることが多く、ボールねじのようにボールベアリングまで利用されるものがある[2][14]。
ねじ部品とは、締結に使用されるねじの総称である。また、ねじの外径が8 mm以下のねじは一般に「小ねじ」と呼ばれる。JISでは頭部の直径がねじ部外径の約2倍で、原則として"ねじ回し"ですり割りや十字穴にトルクを加えて締め付けるねじ部品が小ねじであるとされる。ナットと一組で使われることもあるため、小さめのボルトとの区別は特に存在しない[2][15]。
ねじ部品を特定するための要素には、巻きの方向、条数、ねじ溝の形状、径及びピッチとがあり、通常これらの要素を名前に並べる事でねじの種別が表される。例えば「左2条、直径 8mm、ピッチ1 mmのISOメートル三角ねじ」「右1条、直径1/4インチ、(インチあたり)20山のユニファイ(並目)ねじ」と表す。ねじの多くが「右1条」であるために、この場合は省略されることが多い。規格化されたねじの場合、それぞれの規格ごとに表記の仕方が定められており、それによれば先の2つの例はそれぞれ「L2N M8×1」「1/4-20 UNC」となる。ピッチを mm で表すものは、「ねじの巻き方 ねじ山の条数 ねじの種類を表す記号 ねじの直径を表す数字×ピッチ - 等級」 となり、ユニファイねじでは「ねじの巻く方向 ねじ山の条数 ねじの直径を表す数字または番号 山数 ねじの種類を表す記号 - 等級」、ユニファイねじ以外のピッチを山数で表すものでは「ねじの巻く方向 ねじ山の条数 ねじの種類を表す記号 ねじの直径を表す数字 山 山数 - 等級」となる。
おねじ部品において、ねじの先端を「先」と言い、ねじ部分とそれに続く(多くはねじと同径かそれ以下の)円筒部を合わせて「軸」と言う。軸の終端に設けられたより太い部分は「頭」と呼ばれ、頭と軸の境目を「首」という。
おねじ部品の頭や、めねじ部品において、締め付けた際に荷重を受ける面を「座面」と言い、おねじ部品においては、ねじ先から座面までの部分を総じて「首下」と呼ぶ。
個々のねじ部品を特定するのに必要な要素としては、「ねじの呼び」「部品形状」「材質」があり、またおねじではこれに「長さ」が加わり、これらを並べて呼ばれる。おねじ部品を呼ぶ際の長さ寸法は「呼び長さ」と呼ばれ、一般論として、頭のついたねじでは首下、頭のないねじでは全長やねじ部の長さなどが使われる。呼び長さは一般にはねじの呼び径のすぐ後に置くが、文脈上呼び長さを表す数値である事が明らかである場合には乗算記号×を用い「呼び径×呼び長さ」のように略記される。
ねじは基本的に「頭」(頭部)とねじ山が刻まれている「軸」、先端である「先」、頭と軸の間を「首」と呼ばれる部分に分かれる。一般的なねじでは、時計回りにねじを回すと奥に進む「右ねじ」になっているが、右ねじでは緩むような用途でまれに「左ねじ」も存在する[注 4]。左ねじでは「L」や「←」、切り欠きといった識別マークで示されることが多い[2]。
ねじの山と谷の間隔と移動量は以下のようにピッチとリードで表される。
また多くのねじではピッチとリードが同じになり、これを「一条ねじ」と呼ぶ。ピッチとリードが同じ「一条ねじ」の他にも、リードがピッチの2倍の「二条ねじ」のように2以上の整数倍のものがあり、これらは「多条ねじ」と呼ばれる。多条ねじは管の接合部で用いられたり、電灯の灯屋や広口瓶の蓋、双眼鏡やカメラレンズの焦点合わせ機構(ヘリコイド)などでも用いられる[注 5]。
一般的なねじはねじ山が円筒形の軸の周囲に同じ直径で刻まれている「平行ねじ」であるが、特殊な用途では円錐形の軸に沿って刻まれている「テーパねじ」がある。
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ねじの大きさや長さは以下の長さを計ることで示される。
おねじでは外径の基準寸法を、めねじでは谷の径の基準寸法を「ねじの呼び径」という。
おねじ部品の頭部形状の主なものは以下の通りである。これらは用途などにより使い分けられる。
小ねじのような比較的小型のおねじ部品では、頭部頂面に工具で回すための溝や穴が設けられているものが多い。その主なものには「すりわり」や「十字穴」、「六角穴」がある。六角や四角といった角型の頭部はそれ自体がめがねレンチやスパナを掛ける部分となる。これら(とくに溝のもの)をねじ山と呼ぶこともあり[注 9]、「ねじ頭が傷む(なめる、バカになる、ダメになるとも言う)」とは、ドライバーの形が合わないまま無理な扱いをしたり、締め過ぎによって溝や穴が欠けたり削れたりしてしまい、ドライバーで回しようがなくなった状態を指す。
ねじの歯の形状はねじの用途に応じていくつか存在し、基準山形で表されることが一般的である。基準山形とは、ねじ山の実際の断面形を定めるための基準となる理論上のねじ山形状のことであり、ねじ山の1ピッチ分の形状をいう。「基本山形」「基本形」とも呼ばれる。
以下にねじの分類を示す。
ISO小ねじのM3、M4、M5の頭部に小さなくぼみを付ける事で、ピッチの異なるJIS規格との判別できるようになっている。
一般にナットと組んで用いられるねじは、ボルトと呼ばれる。
ナットは典型的なめねじ部品であり、ボルトと対になって使用される。六角ナットを含めて多種多様なナットが作られ使用されている。
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ねじには、用途や機能、形状により、以下のような特殊なねじがある。
ねじの関連部品を以下に示す。ねじの関連部品には、小ねじやボルトと一緒に使う緩み止めなどの部品が多い。
これらの他にも、セーフティワイヤ、緩み止め用接着剤、スペーサー[注 21]、
座金(ざがね、ワッシャー)には、締め付け時に締結面を傷から守るものと、逆に締結面に食い込むものがある。 座金には以下の目的がある。
ねじはその構造上、互換性が非常に重要であり、早くから標準規格が規定された。その主なものを以下に示す。これらの主な標準規格の他にもそれぞれの業界ごとや企業ごとの規格が存在する。なお、小ねじの頭の表面に小さなくぼみが付いているものはISO規格に沿っているという印であり、日本ではJIS認定工場でのみ付けることが許される[39]。
メートル単位系を用いたものは「メートルねじ」と呼ばれ、インチ単位系を用いたものを「インチねじ」と呼ばれる。一般にメートルねじでのねじのピッチは1ピッチあたりの長さを「ミリ」で表すのに対して、インチねじでは、「軸方向1インチあたりの山数」で表される[40][12]。
ボルトやナットといった鋼製のねじ類の中でも比較的小型で生産量の多い物の製造法について説明する[41][42]。
ねじ部の加工方法は、転造による方法と切削・研削による方法に大別できる。生産量や生産性、加工精度の違いによって2つの方法が使い分けられる。いずれの方法によっても切断された鋼製の線材が材料として使用されることが多い。
概ね以下の工程を経る。
ボルトの大きなものは量産に向かず、まず熱間圧造によって外形を形成し、さらに転造する場合でも加熱した上で熱いうちに加工する方法が採られるが、膨張と収縮による加工精度の低下に特に配慮する必要がある。タッピンねじやドリルねじのような先端に刃を持つねじは、ねじ部の加工後に足割り機と呼ばれる専用機で先端に切れ込みを入れる。ローレット加工が必要なねじは、ねじ部の加工後に平ダイスや丸ダイスで付けられるものと、ねじ部の加工工程で1つの平ダイスでねじ山の転造とローレット模様の転造を行うものがある。
プラスチック製のねじ類では射出整形によって製造されることが多く[43]、切削加工も行われる。
転造法は塑性加工属する鍛造法であり、材料を回転させながら硬質の金型に押し付けることで形を形成するものである。加工時間が短く材料の無駄も生じないが、高い加工精度は得られない。塑性変形に伴う加工硬化によって製品は硬くなる。
転造工程では、塑性変形によって谷が押し込まれる分だけ山が盛り上げられることでねじ山部分が形成される。このため、切削クズのような無駄となる材料は転造では生じない。ただし、加工精度を高めるために転造後に切削・研削を行うことはある。転造を行う工作機械は転造盤と呼ばれる。平ダイス式転造盤、丸ダイス式転造盤、プラネタリ式転造盤がある[注 26]。おねじの場合には、ねじ山の形状を刻んだダイスで中間製品であるブランクを強力に挟み込み、間で回転させてねじ山を生成する。一般には、「ねじ転造」はこのおねじの転造加工を指す。めねじの転造は、切削タップと同様にねじ山の形状を刻んだ棒を中間製品であるフォーマーナットの穴に捻じ込んでねじ山を作るが、転造用のタップは切削用のものと異なりねじ溝を刻むための刃を持たない。転造では加工表面は変形により硬化し、またダイスとの接触で磨かれる。
ナットの少量の加工では、ドリルなどを備えたボール盤とほとんど同様の姿で、加工のための転造タップを備えた縦型ねじ立て盤が主に使われる。
ボルトの鍛造による量産加工では、ボルトフォーマーによって線材から太めの外形を備えた「ブランク」と呼ばれる中間製品を作り、平ダイス、丸ダイス、扇ダイスなどでねじ山を転造によって形成する。
ナットの鍛造による量産加工では、ナットフォーマーによって線材から穴の開いた「フォーマーナット」と呼ばれる中間製品を作り、自動ナットねじ立て盤によって内側のねじを加工する。自動ナットねじ立て盤のベントシャンクタップは、めねじ加工済みのナットを多数数珠繋ぎに周囲に通過させるという巧妙な工夫によって加工機本体とは直接接続されないまま回転力を受けることができる[44][42][12]。
切削・研削を使った方法は、バイトのような超硬質の刃先で材料を削り落として行くことで形を形成するものである。高い精度での加工が行えるが加工に時間がかかり材料の無駄も生じるため、生産量としては少数派である。
切削法ではねじの溝を掘り下げることでねじ山を作る。このため、ブランクのねじ部はねじの山の径よりも大きい必要がある。
切削加工では手動や旋盤でのねじ切りダイスや切削タップ、旋盤、フライス盤やNC工作機のバイトなどによって行われ、専用のねじ切り盤もある。ねじ切りダイスはおねじ、切削タップはめねじの製作にそれぞれ用いられる。
旋盤によるねじ切りは、ねじ溝の形状を有するバイトを用い、主軸の回転に対してねじのリードに等しい送りを軸と平行に与えてねじ溝を生成するもので、少量の生産に用いられる。おねじでもめねじでもバイトが変わり工作物に当てられる位置が変わる他は同様である。近代的なねじ製造法として最初に確立したもので、一般には1本のねじ溝を複数回に分けて切削する必要がある事から大量生産には向かないが、ねじ製造の基本的な工作法である。
ねじ切り盤と呼ばれるねじ専用の切削加工機は、旋盤で行われるタップやダイスによるねじ切りに似るが、専用機では複数の刃が一列に刻まれたチェーザーと呼ばれる刃物を複数同時に使って多数のねじ溝を一度に切削する事により短時間でねじ切りできる。
少量のナットのめねじの加工では、ドリル同様に使用でき切り屑が出る切削タップが主に使われる。まずドリルで下穴を開けてからタップで切削加工を行ってゆくが手間がかかる。小型ナット用の基本的な切削タップでは、加工後に逆転させてナットをタップから抜かなければならず、生産性がさらに悪くなる。大径のナット用の切削タップでは、チェーザーという刃が軸に植え込まれた「植刃タップ」と呼ばれるものがあり、また、加工後に逆転する必要がないようにチェーザーが引き込んで加工済みのナットが抜けるものもある[45][12]。
プラスチックは金属に比べて強度や耐熱性で劣るが、一般には軽量性、電気絶縁性、非磁性、耐錆性などで優れ、透明性や耐薬品性を備えたものもある。また頭部だけがプラスチックで軸部は金属製の「つまみねじ」や「ノブボルト」といったねじがある。
以下にプラスチックねじの材料について、個別に記す[46][47]。
セラミックスは線膨張係数が鉄に近く、耐熱性、断熱性、耐錆性、耐薬品性などで優れている[要出典]。
耐食性向上などを目的に、以下のような表面処理が行われる[49][12][50]。
硬さ調整などを目的に、以下のような熱処理が行われる[51][12][50]。
締結に使われるおねじ(この節内の以下では単に「ねじ」と表記する)は、引っ張り荷重、ねじり荷重、せん断荷重という3種類の外力に耐える必要がある。それぞれの荷重から、ねじに必要な直径が求められる[52][12]。
ねじの軸方向に沿って加わる荷重は「引っ張り荷重」と呼ばれる。ねじの材質が均等であると仮定して、断面積当たりの引っ張り荷重に耐える強さは引っ張り強さと呼ばれ、ねじの強度を数値で示す主要な指針の1つである。引っ張り強さ σ [N/mm2] は有効断面積 A [mm2] と引っ張り荷重 W [N]で以下のように表される。
また、1 Pa = 1 N/m2 の関係から、1 MPa = 1 N/mm2なので、応力の単位は N/mm2 よりも MPa で表されることが多い。
おねじの谷の径 d1 [mm] から、有効断面積 A [mm2] は以下で表される。
おねじの谷の径は外径 d の約0.8倍であることから、d1 = 0.8d とすると、引っ張り強度 W は次の式で表される。
上式から、おねじの許容引っ張り応力を σa [MPa] としたときのねじの直径 d は次式となる。
ねじの軸を中心とする回転方向に加わる荷重は「ねじり荷重」と呼ばれる。一般にねじにおけるねじり荷重は引っ張り応力の約1/3が加わるものとして扱われている。引っ張り応力にねじりによる応力を加えると軸方向には4/3倍が力が加わる。これを上で現れた式
に代入すると、下の式が得られる。
ねじの軸と直角方向に加わる荷重は「せん断荷重」と呼ばれる。ねじの許容せん断応力 τa [MPa] とそのねじの外形 d [mm] は次の式で表される。
一般に軸部のせん断強さは引っ張り強さの約60%である。
JISでは、ねじの強度を示す10段階の強度区分が設けられている。
3から12までの左側の数字は「呼び引っ張り強さ」を示し、数字×100N/mm2である。 6から9までの右側の数字は、呼び引っ張り強さに対する「降伏点」の比率を示し、その比の小数点1位が数字で示される。 例えば、呼び引っ張り強さ:1,200N/mm2、降伏点:1,080N/mm2は「12.9」である。JISでは10段階のそれぞれで呼び引っ張り強さと降伏点の他に、硬さや破断伸び、衝撃エネルギーなども定められている。
ナットについても7段階の強度区分が設けられている。
ねじは回転させることで締め付けて固定したり緩めて外す部品であり、その締緩作業を行うための工具としてドライバーが用いられる(ナットとボルトの締緩作業にはレンチが用いられる)。ねじを締める場合に必要以上の力を加えると接合される部品やねじそのものを破損してしまう(いわゆる「ねじが馬鹿になった」状態)ことになるため、重要な部品などではトルクドライバー(トルクレンチ)などが用いられる。
ねじの主な役割は、締めつけにより発生する軸力で物を締結することであるから、物の締結力を制御するためには、ねじの軸力を管理しなければならない。しかし実際の作業では軸力を直接監視することは困難である。そのため簡便な方法としてトルクレンチで締めつけトルクを管理して、軸力を担保することが多い。しかし、用途によっては更に高精度な軸力管理が求められる。
ねじを締めつけ、軸力(応力)をかけていくと、降伏点までは軸力に比例してねじが伸び、軸力を取り除くと、ねじの伸びは元に戻る。この弾性域範囲内での締めつけが「弾性域締めつけ」であり、ねじの軸力のばらつきが大きいが、ねじのくり返しの使用が可能で、トルクレンチを用いたトルク法による締めつけ管理ができ、締めつけ作業が簡単という特長がある。
対して、降伏点を超え、さらにねじを締めつけて軸力をかけると、比例関係がなくなり、軸力に対して伸びが急激に増えていく。この状態になると、ねじに永久伸びが生じ、軸力を取り除いても元に戻らなくなる。この塑性域範囲内での締めつけが「塑性域締めつけ」であり、ねじに永久伸びが生じるため、くり返し使用ができず、締めつけ作業にも時間がかかる、などの欠点があるが、弾性域締めつけよりも安定した軸力管理を行うことができるから、エンジンの組み立てなどに用いられている。
トルク法とは、締めつけトルクと締めつけ軸力との弾性域における線形関係を利用した締めつけ管理方法である。締めつけ作業時に締めつけトルクだけを管理する方法だから、トルクレンチでできる比較的簡単な締めつけ管理方法で、一般的に広く普及している。しかし、締めつけトルクは、その全てが軸力として作用するわけではなく、ねじ面や座面の摩擦によって消費される。そのため、同じトルクで締めつけても表面荒さや潤滑状態などによって軸力が大きくばらつくため、摩擦特性の管理に注意が必要である。
そのため、一般的にトルク法によるねじの締めつけは、発生する軸力が降伏点の60%~70%の弾性領域内が望ましいと言われている。
回転角法は、スナグ点(ねじと座面を密着させるために必要な締めつけトルクを作用させた点)からのねじ頭部やナットの締めつけ回転角度を、角度割出し目盛板(分度器)や電気的な検出器など管理して、締めつけ軸力をコントロールする方法で、弾性域締めつけ、塑性域締めつけの両方に用いることができる。しかし、弾性域締めつけでは、回転角度による軸力の変化が大きくばらつきやすいため、作業が単なトルク法の方がよく使用されている。一方、塑性域締めつけでは、回転角の誤差による軸力の変化が小さくなるから、ボルトやナットの六角形状を利用した目視による角度管理が可能な場合もある。
トルクこう配法とは、ねじの締めつけ軸力が降伏点を超えると、軸力に対して急激に伸びが増加する性質を利用した締めつけ法である。締めつけトルクと回転角を電気的なセンサなどで検出して、弾性域と塑性域の変化点をコンピュータで算出し、弾性域限度で締めつけを行う。 必要な装置が他の方法より大がかりだが、ばらつきの要因は材料の降伏点のみのため、トルク法や回転角法よりも軸力のばらつきが小さい方法である。そのため自動車のエンジンやシリンダヘッドのボルトなど、締めつけの信頼性の高さを求められる場合に用いられている。
これらの締めつけ管理方法以外にも、ねじの伸びを直接測定し管理する測伸法や、ねじを高温に加熱して伸びを与えて、取りつける際の温度を管理する加熱法などがある。
締結に使用されるねじでは、その緩みは問題を引き起こすことがあり、避けられねばならない。ねじの緩みはねじ自身が回転して緩むものと、回転を伴わずに緩むものがある。
緩み防止のため、以下に示す多様な方法が考案されている[59][60][61]。
接着剤やシールテープで緩み止めを行う方法もある[12]。
小ねじやボルト、ナットは古くなったり、不適切な方法で緩めようとしてねじの頭を潰したりして外れなくなる時がある。
オイルスプレーを大量に吹きつけ十分に時間を置いて浸透させてから回す方法もあるが、固着したねじは多く場合密着していてオイル類は浸透しない場合も多々ある。
この場合、バーナーでナットあるいはボルトを熱すると金属が膨張するので、比較的緩められるケースが多く、バイク・自動車整備でもよく行われている。スプレー式ガスバーナーの説明書にも「固着したねじを緩める」などの利用法が書いてある。しかしこれはある程度太いねじの方法であり、細いねじで行うと熱による強度低下でねじ自体が折れる場合が多い。
一般にねじは時間の経過と共に熱や錆などで固着することが多く、無理にこじってねじ頭を潰してしまうことがある。頭をプライヤのようなや一般工具や ショックドライバー等の潰れたねじ専用の工具で回すことも多くの場合は可能である。接着剤で頭に何か物を貼り付けて回す方法もある。ねじ頭が取れてしまった場合や虫ねじのように最初からねじ頭のないねじで穴が潰れた場合には、ドリルで残ったねじに穴を開けて棒をねじ込み回すボルトツイスタと呼ばれる専用工具もある。植え込みボルトが外せなくなった場合にはスタッドプラーと呼ばれる専用工具があり、ねじ部を掴むものとねじ部を避けてねじのない軸部を掴むものがある。ナットが回らなくなった場合には、ナット側面に爪状の突起を食い込ませて割りナット内径を広げて回したり、2箇所からナットを割り分割し除去する、ナットスプリッタと呼ばれる専用工具がある(ナットを破壊する事になるので、ナットは交換となる)[2]。また、最悪の場合にはボルトそのものがある場所を強力なドリルでめねじごと取り除いて大きな穴を開け、必要ならその跡に改めて大き目の径のめねじを切って新たに大きい径のボルトを使用する方法もある。鋼鉄など金属の場合には大きくなった穴を溶接技術で埋めることも可能であり、木材の場合には接着剤などで穴を塞いでから新たに穴を穿つことも行われる。
ぜんまいばねを巻き上げる仕掛けとその取手もねじと呼ばれる。ねじ部品ではその溝の立体配置がヘリコイド(helicoid)を基本としているのに対して、ぜんまいばねでは多くがスパイラル(spiral)を基本としている。日本語ではいずれも「螺旋」と呼ばれるため、若干のあいまいさがある[2]。
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