鶴岡 真弓(つるおか まゆみ 1952年9月9日[1] - )は、日本の芸術文明史家・芸術人類学者。多摩美術大学名誉教授。多摩美術大学芸術人類学研究所・所長+多摩美術大学美術館・館長などを歴任。
日本ケルト協会顧問。東京自由大学顧問。専攻はケルト芸術文化、および、ユーロ=アジア世界の生命デザイン交流史研究。茨城県取手市出身[2]。
土浦第一高等学校卒。1980年早稲田大学大学院文学研究科修了。在学中19歳でユーラシア大陸を横断し、北アフリカまでの旅で、ユーラシア諸民族の文化と、ヨーロッパの古層ケルト文化に出会う[2]。同大学院修了後、ダブリン大学トリニティ・カレッジへ留学。その後ヨーロッパ諸国ほか、中央アジアからシベリアの文化も訪ね歩き、ユーロ=アジア世界を横断する「生命デザイン・造形表象」をフィールドワーク。
東北芸術工科大学教授、立命館大学文学部教授、多摩美術大学・芸術学科教授、2020年に退任し名誉教授[3]。
処女作『ケルト/装飾的思考』(筑摩書房)で、日本でのケルト芸術文化理解の火付け役となる。以来、ケルト芸術文化研究、および「ユーロ=アジア諸民族の生命デザイン」と「造形表象」を研究。西はアイルランド、イベリア半島から、中東、中央アジア、ロシア、東はシベリア、モンゴル、中国東北部、韓半島、東南アジア、日本に至る、先史から近現代までの造形芸術、マテリアル・カルチャー、神話伝承、民族誌を横断的に踏査し著述している。
ドキュメンタリー映画『地球交響曲 第一番』(龍村仁監督)ではアイルランドの歌姫エンヤと共演[4]。
- 『ケルト/装飾的思考』(筑摩書房、1989年8月/ちくま学芸文庫、1993年9月)
- 『聖パトリック祭の夜 ケルト航海譚とジョイス変幻』(岩波書店、1993年4月)
- 『ケルト美術への招待』(ちくま新書、1995年6月)
- 『装飾する魂 日本の文様芸術』(平凡社、1997年、新版2009年)
- 『装飾の神話学』(河出書房新社、2000年12月)
- 『「装飾」の美術文明史 ヨーロッパ・ケルト、イスラームから日本へ』(NHK出版、2004年9月、新版2012年)
- 『黄金と生命 時間と錬金の人類史』(講談社、2007年4月)
- 『阿修羅のジュエリー』(理論社、2009年3月/イースト・プレス、2011年)
- 『ケルト 再生の思想-ハロウィンからの生命循環』(ちくま新書、2017年10月)
- 『ケルトの想像力』(青土社、2018年2月)
- 『装飾デザインを読みとく30のストーリー』(日本ヴォーグ社、2018年5月)
- 『鶴岡真弓対談集 ケルトの魂――アイルランドから日本へ』(平凡社、2019年4月)
共編著
- 『ケルトの風に吹かれて 西欧の基層とやまとの出会い』(辻井喬共著 北沢図書出版 1996年)
- 『ケルトの宗教 ドルイディズム』(中沢新一・月川和雄共編著、岩波書店、1997年)
- 『図説 ケルトの歴史-文化・美術・神話をよむ』(松村一男共著、河出書房新社、1999年、新装版2017年)
- 『ケルトと日本』(鎌田東二共編著、角川選書、2000年)
- 『すぐわかる ヨーロッパの装飾文様 美と象徴の世界を旅する』(編著、東京美術、2013年2月)
- 『日月火水木金土 7つの星をめぐる話』(鏡リュウジ共著、平凡社、2016年7月)
- 『芸術人類学講義』(編著、ちくま新書、2020年3月)
翻訳
- マリヤ・ギンブタス『古ヨーロッパの神々』(言叢社、1989年2月、新版1998年)
- ヴァンセスラス・グルータ『ケルト人』(白水社〈文庫クセジュ〉、1991年7月)
- ジョン・シャーキー『ミステリアス・ケルト 薄明のヨーロッパ』 平凡社「イメージの博物誌」、1992年、新版2013年
- パトリシア・セリグマン『装飾文字の世界 カリグラフィー入門』(三省堂、1996年6月)
- スチュワート・ピゴット『ケルトの賢者「ドルイド」 語りつがれる「知」』(講談社、2000年)
- フランク・ディレイニー『ケルトの神話・伝説』(創元社「知の再発見」双書、2000年9月)
- バーナード・ミーハン『ケルズの書』(創元社、2002年)
- ロイド&ジェニファー・ラング『ケルトの芸術と文明』(創元社、2008年11月)
- バーナード・ミーハン『ケルズの書ーダブリン大学トリニティ・カレッジ図書館写本』(岩波書店、2015年1月)。美術書
監修
- ディレイニー『ケルト 生きている神話』(創元社 1993年)
- エリュエール『ケルト人 蘇るヨーロッパ 幻の民』(創元社〈「知の再発見」双書〉 1994年、再版2006年ほか)
- マイヤー『ケルト事典』(創元社 2001年)
- ベック&シュー『ケルト文明とローマ帝国』(創元社〈「知の再発見」双書〉、2004年)
- バーンズ『地図で読むケルト世界の歴史』(創元社 2013年)
- 講演「ケルト・アニメ三部作に見る自然信仰ーイェイツ兄弟の芸術と共に」 日本山陰アイルランド協会主催
- 講義「ケルト文化の受難から救済へ」東京自由大学主催 感染症と文明
- 講義「芸術人類学からみるパンデミックと共同性への道」東京自由大学主催 感染症と文明
- 対話と講義「アート巡礼:ユーロ=アジア世界を巡って」鶴岡真弓×彩蘭弥 東京自由大学主催
- 【館長の眼】展覧会解説「そうぞうのマテリアル:水木金土」展 鏡リュウジ×鶴岡真弓 多摩美術大学美術館
- 【館長の眼】展覧会解説「真喜志勉:Turbulence」 展 多摩美術大学美術館
- 【館長講義 アートの守り手 キュレイター】 多摩美術大学美術館
- ドキュメンタリー映画『地球交響曲(ガイア・シンフォニー)第一番』(龍村仁監督、アイルランドの歌姫エンヤと共演)地球交響曲#地球交響曲第一番(1992年公開)
- 【ケルトへの旅】(前編・後編)総合文学ウェブ情報誌「文学金魚」
- 1万キロのユーロ=アジア世界にきらめく文化史 - SEKAI 東進ハイスクール
- 「あすへの話題」日本経済新聞 夕刊、2019年7月~12月 連載
- NHK『トラッド ジャパン』テキスト「美の文明のグレートジャーニー」全12回
- 『ミセス』「女神たちの装飾」全12回
- 『挿花』 小原流華道 「時空を超える装飾文様」全12回
- 『アートコレクターズ』生活の友社
- 岡本太郎『美の呪力』新潮文庫 解説
- 高階秀爾『世紀末芸術』ちくま学芸文庫 解説
- ガリシアのバグパイプ奏者(『ゲド戦記』の音楽)カルロス・ヌーニェスとトークセッション『ケルトの隣人ガリシアからのメッセージ』(多摩美術大学・八王子キャンパス・2007年)
- アイルランド・男女混成合唱「アヌーナ」パフォーマンス&トーク(多摩美術大学・芸術人類学研究所主催 2009年)
- ユーミン 松任谷由実 ミニシンポジウム&トーク(多摩美術大学・芸術人類学研究所&芸術学科主催 2013年)
- アイルランド「アヌーナ」リーダー、マイケル・マクグリン 講義&トーク(朝日カルチャーセンタ新宿2016年)
- アイルランド「ザ・チーフタンズ」リーダー、パディ・モローニー 講義&トーク(朝日カルチャーセンター新宿2017年)
- 鏡リュウジ×鶴岡真弓「そうぞうのマテリアル」展 YOUTUBE トーク 多摩美術大学美術館主催
『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.330