幡多郡(はたぐん)は、高知県(土佐国)の郡。
人口14,642人、面積376.56km²、人口密度38.9人/km²。(2024年10月1日、推計人口)
以下の2町1村を含む。
1879年(明治12年)に行政区画として発足した当時の郡域は、上記の2町1村のほか、下記の区域にあたる。
土佐国内の郡で最大の面積を有した。南海道でも牟婁郡に次いで広大であった。
高知県の西南部をなす地域である。天気予報でも幡多地域と呼ぶ。
古くは播多郡とも書いた。平城宮跡で出土した木簡に、「播多郡嶋田里」と記されたのが、幡多郡の存在を示すもっとも古い証拠である[1]。国郡里制が施行されていた大宝元年(701年)から霊亀元年(715年)のものである。今ある文献で初めて記すのは、貞観2年(860年)6月29日、土左国播多郡の地10町を施薬院に与えた事を記す『日本三代実録』である[2]。
- 佐賀村、伊与喜村、上山郷[3]、十川村、伊田村、有井川村、川口村(現・黒潮町)、入野村、鍋島村、竹島村、井沢村、古津賀村、観音寺村、佐岡村、安並村、秋田村、麻生村、藤村、蕨岡村、伊才原村、田野川村、敷地村、岩田村、利岡村、若藤村、板ノ川村、鴨川村、津蔵淵村、間崎村、深木村、実崎村、山路村、坂本村、中村、宇山村、不破村、津野崎村、下田村、具同村、入田村、佐田村、悪瀬々村、手洗川村、川登村、高瀬村、楠村、田出ノ川村、鵜ノ江村、窪川村、勝間村、下山上分[4]、下山下分、出井村、楠山村、三原郷、森沢村、楠島村、国見村、荒川村、生ノ川村、磯ノ川村、久才川村、横瀬村、有岡村、上ノ土居村、九樹村、江ノ村、山田村、平田村、芳奈村、橋上郷、布村、立石村、名鹿村、下野茅村、鍵懸村、大岐村、以布利村、窪津村、津呂村、伊佐村、松尾村、大浜村、中ノ浜村、清水村、越村、加久見村、浦尻村、奥猿野村[5]、下猿野村[5]、養老村、斧積村、三崎村、爪白村、川口村(現・土佐清水市)、片賀須村、宗呂村、貝ノ川村、大津村、有永村、田ノ浦村、津賀ノ川村、伊与野村、福良村、芳ノ沢村、石原村、添ノ川村、弘見村、清王村、春遠村、姫ノ井村、口目塚村、西泊村、才角村、小才角村、頭集村、鉾土村、平山村、一切村、樫浦村、周防形村、小間目村、赤泊村、柏島村、天地村、橘浦村、泊浦村、榊浦村、小筑紫村、湊浦村、内浦村、外浦村、小浦村、宿毛郷
- 明治4年7月14日(1871年8月29日) - 廃藩置県により高知県の管轄となる。
- 明治初年(4郷130村)
- 平田村が分割して戸内村・黒川村となる。
- 観音寺村が古津賀村に合併。
- 川口村(現・黒潮町)が改称して上川口村となる。
- 明治8年(1875年)
- このころ西泊村が赤泊村に合併。(4郷129村)
- 川口村(現・土佐清水市)が改称して下川口村となる。
- 明治9年(1876年)(4郷127村2浦)
- 2月25日 - 伊予国宇和郡母島浦・久保浦・小矢野浦・鵜来島[6]の所属郡が本郡に変更。母島浦・久保浦・小矢野浦が合併して母島となる。
- 内浦村・外浦村が合併して内外ノ浦村となる。
- 久才川村が横瀬村に合併。
- 下野茅村が改称して下ノ加江村となる。
- 明治12年(1879年)
町村制以降の沿革
- 明治22年(1889年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の各村が発足。《 》は左記の村の小村。(36村)
- 中村 ← 中村、中村町[8]、宇山村、津野崎村、不破村(現・四万十市)
- 宿毛村 ← 宿毛郷[宿毛村・錦村・小深浦村・大深浦村・樺村・宇須々木村・大島村・藻津村・坂下村](現・宿毛市)
- 佐賀村 ← 佐賀村、伊与喜村《枝郷鈴浦村・拳ノ川村・一ノ瀬村・橘川村・川奥村・荷稲村・市野々川村・中ノ川村・小黒川村・不破原村・熊井村・熊野浦村・藤縄村》(現・黒潮町)
- 白田川村 ← 上川口村、伊田村、白浜村[9]、有井川村、入野村[枝郷蜷川村](現・黒潮町)
- 七郷村 ← 入野村[枝郷加持村・加持川村・浮鞭村[10]・口湊川村・奥湊川村・大井川村](現・黒潮町)
- 入野村(単独村制。現・黒潮町)
- 田ノ口村 ← 入野村[枝郷馬荷村・橘川村・御坊畑村・上田ノ口村・下田ノ口村・田野浦村・出口村(現・黒潮町)・伊屋村(現・四万十市)]
- 下田村 ← 下田村、井沢村、竹島村、鍋島村(現・四万十市)
- 東山村 ← 安並村、麻生村、秋田村、佐岡村、古津賀村(現・四万十市)
- 蕨岡村 ← 伊才原村、蕨岡村、藤村(現・四万十市)
- 山中村 ← 上山郷[大用村、住次郎村、片魚村、大屋敷村、常六村、三ツ又村、小西川村、大西川村、竹屋敷村、古尾村](現・四万十市)
- 東上山村 ← 上山郷[田野々村、瀬里村、四手ノ川村、下岡村、上岡村、宇津井川村、上宮村、北ノ川村、弘瀬村、市野又村、烏手村、相去村、折合村、芳川村、西ノ川村、大奈路村、中津川村、下津井村、下道村、小屋加内村、江師村、小石村](現・高岡郡四万十町)
- 西上山村 ← 上山郷[四手村、轟村、窪川村、小野村、津賀村、大井川村、茅吹手村、浦越村、黒川村、野々川村、大道村、細々村](現・高岡郡四万十町)
- 十川村 ← 十川村《大野村・戸川村・烏村・地芳村・川口村・弘瀬村・井崎村》(現・高岡郡四万十町)
- 江川崎村 ← 下山上分《下山村・江川村・半家村・長生村》、下山下分[用井村・西ヶ方村](現・四万十市)
- 津大村 ← 下山下分[津野川村・津賀村・藪ヶ市村・橘村・中家地村・下家地村・須崎村・大宮村・奥屋内村・口屋内村・玖木村・中半村・岩間村・茅生村・藤ノ川村](現・四万十市)
- 大川筋村 ← 川登村、田出ノ川村、手洗川村、悪瀬々村、鵜ノ江村、窪川村、勝間村、高瀬村、楠村(現・四万十市)
- 後川村 ← 利岡村、若藤村、板ノ川村、鴨川村[11]、敷地村、佐田村、岩田村、田野川村(現・四万十市)
- 八束村 ← 実崎村、山路村、津蔵淵村、初崎村[12]、坂本村、深木村、名鹿村、間崎村(現・四万十市)
- 伊豆田村 ← 下ノ加江村、布村、久百村[13]、立石村、鍵掛村(現・土佐清水市)
- 上灘村 ← 津村、大岐村、以布利村、津呂村、大谷村[14](現・土佐清水市)
- 清松村 ← 清水村、養老村、加久見村、浦尻村、横道村[15]、松尾村、伊佐村、大浜村、中ノ浜村、越村(現・土佐清水市)
- 三崎村 ← 三崎村、奥猿野村、下猿野村、斧積村、爪白村(現・土佐清水市)
- 下川口村 ← 下川口村、片賀須村、宗呂村、有永村、貝ノ川村、大津村(現・土佐清水市)
- 月灘村 ← 姫ノ井村、才角村、小才角村、口目塚村、樫浦村、周防形村、赤泊村、春遠村(現・大月町)
- 沖ノ島村 ← 弘瀬村[16]、母島村、鵜来島(現・宿毛市)
- 奥内村 ← 弘見村、添ノ川村、小満目村、頭集村、一切村、鉾土村、平山村、天地村、橘浦村、泊浦村、芳ノ沢村、清王村、柏島村(現・大月町)
- 小築紫村 ← 伊与野村、石原村、小筑紫村、福良村、榊浦村[17]、湊浦村、内外ノ浦村、小浦村、田ノ浦村、津賀ノ川村、呼崎村[18](現・宿毛市)
- 和田村 ← 宿毛郷[和田村・押ノ川村・二ノ宮村・山北村・中津野村・野地村・草木藪村](現・宿毛市)
- 橋上村 ← 橋上郷[平野村・野地村・奥奈路村・神有村・坂本村・京法村・還住藪村]、出井村、楠山村(現・宿毛市)
- 平田村 ← 戸内村、黒川村、中山村[19](現・宿毛市)
- 山奈村 ← 山田村、芳奈村(現・宿毛市)
- 中筋村 ← 有岡村、横瀬村、九樹村、上ノ土居村、磯ノ川村、生ノ川村(現・四万十市)
- 東中筋村 ← 国見村、森沢村、楠島村、荒川村、江ノ村(現・四万十市)
- 三原村 ← 三原郷[来栖野村・下長谷村・芳井村・上長谷村・狼内村・宮之川村・皆尾村・柚木村・弘野村・亀之川村・下切村・成山村[20]](現存)
- 具同村 ← 具同村、入田村(現・四万十市)
- 明治24年(1891年)4月1日 - 郡制を施行。
- 明治31年(1898年)
- 大正3年(1914年)1月1日 - 東上山村が改称して大正村となる。
- 大正4年(1915年)4月1日 - 山中村が改称して富山村となる。
- 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
- 大正13年(1924年)
- 大正15年(1926年)7月1日 - 郡役所が廃止され、内務省告示第82号により幡多支庁が設置される。
- 昭和2年(1927年)11月3日 - 下田村が町制施行して下田町となる。(4町32村)
- 昭和3年(1928年)11月10日 - 西上山村が改称して昭和村となる。
- 昭和15年(1940年)11月3日 - 佐賀村が町制施行して佐賀町となる。(5町31村)
- 昭和16年(1941年)4月1日 - 上灘村が清水町に編入。(5町30村)
- 昭和17年(1942年)6月15日 - 和田村が宿毛町に編入。(5町29村)
- 昭和18年(1943年)
- 4月29日 - 田ノ口村・入野村・七郷村が合併して大方村が発足。(5町27村)
- 11月3日 - 大方村が町制施行して大方町となる。(6町26村)
- 昭和22年(1947年)
- 8月1日 - 大正村が町制施行して大正町となる。(7町25村)
- 11月3日 - 三崎村が町制施行して三崎町となる。(8町24村)
- 昭和23年(1948年)4月1日 - 大正町の一部(折合)が高岡郡窪川町に編入。
- 昭和25年(1950年)11月3日(10町22村)
- 昭和26年(1951年)11月3日 - 奥内村が町制施行・改称して大内町となる。(12町20村)
- 昭和29年(1954年)
- 3月31日(8町7村)
- 中村町・下田町・東山村・蕨岡村・後川村・八束村・具同村・東中筋村・富山村・大川筋村・中筋村が合併して中村市が発足し、郡より離脱。
- 宿毛町・小筑紫町・橋上村・平田村・山奈村・沖ノ島村が合併して宿毛市が発足し、郡より離脱。
- 8月1日 - 清水町・下ノ加江町・三崎町・下川口町が合併して土佐清水市が発足し、郡より離脱。(4町7村)
- 昭和31年(1956年)9月1日 - 大方町・白田川村が合併し、改めて大方町が発足。(4町6村)
- 昭和32年(1957年)
- 2月11日 - 大内町・月灘村が合併して大月町が発足。(4町5村)
- 4月1日 - 大方町の一部(伊屋)が中村市、一部(白浜)が佐賀町に編入。
- 8月1日 - 昭和村・十川村が合併して十和村が発足。(4町4村)
- 昭和33年(1958年)4月1日 - 津大村・江川崎村が合併して西土佐村が発足。(4町3村)
- 平成17年(2005年)4月10日 - 西土佐村が中村市と合併して四万十市が発足し、郡より離脱。(4町2村)
- 平成18年(2006年)3月20日(2町1村)
- 大正町・十和村が高岡郡窪川町と合併して高岡郡四万十町が発足。
- 大方町・佐賀町が合併して黒潮町が発足。
変遷表
さらに見る 明治22年以前, 明治22年4月1日 ...
明治22年以前 |
明治22年4月1日 |
明治22年 - 昭和19年 |
昭和20年 - 昭和29年 |
昭和30年 - 昭和63年 |
平成1年 - 現在 |
現在 |
|
佐賀村 |
昭和15年11月3日 町制 |
佐賀町 |
佐賀町 |
平成18年3月20日 黒潮町 |
黒潮町 |
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七郷村 |
昭和18年4月29日 大方村 |
昭和18年11月3日 町制 |
大方町 |
昭和32年4月1日 白浜を佐賀町に編入 |
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昭和31年9月1日 大方町 |
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白田川村 |
白田川村 |
白田川村 |
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入野村 |
昭和18年4月29日 大方村 |
昭和18年11月3日 町制 |
大方町 |
|
田ノ口村 |
|
昭和32年4月1日 伊屋を中村市に編入 |
平成17年4月10日 四万十市 |
四万十市 |
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中村 |
明治31年11月10日 町制改称 中村町 |
昭和29年3月31日 中村市 |
中村市 |
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下田村 |
昭和2年11月3日 町制 |
|
山中村 |
大正4年4月1日 改称 富山村 |
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大川筋村 |
大川筋村 |
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後川村 |
後川村 |
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蕨岡村 |
蕨岡村 |
|
東山村 |
東山村 |
|
八束村 |
八束村 |
|
中筋村 |
中筋村 |
|
東中筋村 |
東中筋村 |
|
具同村 |
具同村 |
|
江川崎村 |
江川崎村 |
江川崎村 |
昭和33年4月1日 西土佐村 |
|
津大村 |
津大村 |
津大村 |
|
清松村 |
大正13年7月1日 改称 清水村 |
大正13年9月15日 町制 |
清水町 |
昭和29年8月1日 土佐清水市 |
土佐清水市 |
土佐清水市 |
土佐清水市 |
|
上灘村 |
上灘村 |
昭和16年4月1日 清水町に編入 |
|
伊豆田村 |
伊豆田村 |
昭和25年11月3日 町制改称 下ノ加江町 |
|
三崎村 |
三崎村 |
昭和22年11月3日 町制 |
|
下川口村 |
下川口村 |
昭和25年11月11日 町制 |
|
三原村 |
三原村 |
三原村 |
三原村 |
三原村 |
三原村 |
|
宿毛村 |
明治32年12月20日 町制 |
宿毛町 |
昭和29年3月31日 宿毛市 |
宿毛市 |
宿毛市 |
宿毛市 |
|
和田村 |
昭和17年6月15日 宿毛町に編入 |
|
小筑紫村 |
小筑紫村 |
昭和25年11月3日 町制 |
|
沖ノ島村 |
沖ノ島村 |
沖ノ島村 |
|
橋上村 |
橋上村 |
橋上村 |
|
平田村 |
平田村 |
平田村 |
|
山奈村 |
山奈村 |
山奈村 |
|
奥内村 |
奥内村 |
昭和26年11月3日 町制改称 大内町 |
昭和32年2月11日 大月町 |
大月町 |
大月町 |
|
月灘村 |
月灘村 |
月灘村 |
|
十川村 |
十川村 |
十川村 |
昭和32年8月1日 十和村 |
平成18年3月20日 高岡郡 四万十町の一部 |
高岡郡 四万十町 |
|
西上山村 |
昭和3年11月10日 改称 昭和村 |
昭和村 |
|
東上山村 |
大正3年1月1日 改称 大正村 |
昭和22年8月1日 町制 |
大正町 |
|
昭和23年4月1日 折合を高岡郡窪川町に編入 |
高岡郡 窪川町の一部 |
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- 歴代郡長
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代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 | 備考 |
1 | | 明治12年(1879年)1月4日 | | |
| | | 大正15年(1926年)6月30日 | 郡役所廃止により、廃官 |
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山下信一郎「古代土佐国の郡の変遷に関する覚書」626頁。
『日本三代実録』貞観2年6月29日戊申条。新訂増補国史大系普及版『日本三代実録』前編52頁。土左は土佐の別表記。
猿野村・加久見村・浦尻村のうち。本項では村数に数えない。
「旧高旧領取調帳」には記載なし。本項では村数に数えない。
田ノ浦村・津賀ノ川村のうち。本項では村数に数えない。