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ボジョレーワイン (フランス語: Vins du Beaujolais)とは、フランスワインの1つ。ローヌ県北部、ソーヌ=エ=ロワール県の数箇所のコミューンで生産されている。ブルゴーニュワインの1種類とされている。生産地域は、マコンとリヨンの間、ボジョレー地方の山のふもとである。
毎年11月第3木曜日(日付が変わった午前0時)に解禁される、特産品の新酒をボジョレー・ヌヴォー (仏: Beaujolais nouveau) という。以前はその年のブドウの出来栄えをチェックすることを主な目的としたもので[1][信頼性要検証]、ワイン業者が主な顧客であったが、その後、解禁日をイベントとして、新酒として大々的に売る販売戦略や販売手法が確立され、現在はフランスでも、日本と同じ目的で一般の消費者向けに売られている(ブルゴーニュ地域圏のマコネー (Maconnais) 地区に隣接する地のワインはブルゴーニュ・ワインに分類される)。
「ボジョレー」と名乗ることのできるワインは赤ワインであればガメ(またはガメイ、gamay)種、白ワインであればシャルドネ (chardonnay) 種を使用したものに限られ、これらはアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(原産地呼称統制、AOC)によって定められている。しかし、白ワインは全体の生産量の1%にすぎないという。
赤ワインには一部地域を除きピノ・ノワール (pinot noir) 種の補助的な使用も認められているが、今日ではもはやピノ・ノワールが使用されることはない。
この地域にはクリュ・ボジョレーと呼ばれる、より範囲の限定されたワイン産地が含まれる。下にこの範囲にはいっている村名を記す。なお、フランスのワイン法ではこれらの地域で作られたワインを生産された村名で販売することを許されているだけで、これらの地域からも単純なボジョレーワインとして地域名で出荷されることもある。
AOCボジョレーを構成する96ヶ村のうち、ソーヌ=エ=ロワール県の8か村とローヌ県の38か村は、ボジョレー・ヴィラージュのAOCを名乗ることができる。葡萄の収穫量やアルコール度数などが、普通のボジョレーより厳しい。ボジョレー・ヌヴォーにも、このAOCが適用される。
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ボジョレー・ヌヴォーとは、フランスのブルゴーニュ地方南部に隣接する丘陵地帯・ボジョレーで生産されるヌヴォー(プリムールまたは試飲新酒[要出典])仕様の赤ワインである。したがって、ボジョレーの通常の赤ワインとは異なる。ヌヴォーは、ヌーヴォー、ヌーヴォ、ヌヴォ、ヌーボー、ヌーボなどとも表記される。試飲酒だけに、通常のワインが出来上がるより早く試飲できなければ意味がないために、ヌヴォー(試飲新酒)用のボジョレーは[要出典]、ブドウを収穫したら速やかに醸造してボトルへ詰め、収穫したその年の11月に出荷を済ませる。ヌヴォー仕様で軽い仕上がりの赤ワインである。クリュ・ボジョレー等と違い長期の熟成には耐えられない。
前述の「ボジョレー・ヴィラージュ」 (Beaujolais Villages) と呼ばれる、より限定された地域のものにもヌヴォーがあり、こちらには「ボジョレー・ヴィラージュ・ヌヴォー」というラベルが貼られる。つまり、これらヌヴォーとは、その年に収穫されたブドウ(ガメ種)の出来具合を確認するための試飲酒のことである。そのために、短期間でワインとして完成させなければならず、MC(マセラシオン・カルボニック、ないしは炭酸ガス浸漬)法と呼ばれる急速発酵技術を用いて、数週間で醸造される。業者などの毎年大量にワインを購入する者にとっては、その年の購入量を決めるための指針ともなる。
それぞれの国家の現地時間で、11月の第3木曜日(=11月15日から21日のうち、木曜日に該当する日)の未明の午前0時に一般への販売が解禁される。日本は、時差の関係から、先進国の中でも早く解禁の時を迎えるため、これに合わせてワインとしては例外的に空輸される。かつては、毎年11月第3木曜日の0時までは、日本の税関を通過出来なかったが、24時間営業のスーパーマーケットやレストラン、バーなどでは、イベントも兼ねて当日午前0時になった瞬間に販売を始めるようになった。梱包箱には「○○年11月○○日午前0時以前の販売および消費 厳禁」の文字が書かれているが、フランスのAOC法による規制のため、その日より前に販売・消費しても、日本国内で法的に罰せられることはない。しかし、税関の『特別措置』として事前に通税し店舗に卸されているため、解禁日前に「フライング販売」をしている店舗があり、規則を守らない場合、事前に配送を受けることが禁止される可能性がある[2]。
諸説あるが、ヌヴォーは、そもそも当地の農民が収穫を祝ったのが始まりとされる[要出典]説、不作時にあるワイン醸造業者が、面白半分にワインの即醸法で作った所、果実香あふれるワインに仕上がり、たちまち評判になった説がある。本格的な輸出が始まったのは1968年である。当初の解禁日は11月11日であったがその後11月15日に改められ[3]、さらに1985年から、11月の第3木曜日に改められた。解禁日が設けられた理由として、各メーカーがどこよりも早くヌヴォーを出荷し売上を稼ごうと競い合っていたものが、だんだんエスカレートしていき、ついにはワインとして十分出来上がっていないにもかかわらず、出回るようになってしまったからである。
日本への航空便での輸入は、1976年(昭和51年)に開始された。1980年代後半のバブル景気に大きなブームになり、解禁日未明に新東京国際空港に行って飲む人まで現れるなどの状況であったが、バブル崩壊でブームが終わった。しかし1997年(平成9年)頃から、赤ワインブームに乗って再び脚光を浴び、近年はニュースでも解禁の様子が伝えられるほどで、バブル時代を上回る市場規模となった。2004年(平成16年)ものは過去最大の販売数量を記録した。
また、2009年(平成21年)のボジョレー・ヌヴォーは消費不況や製造・輸送コスト軽減の観点から、大手ワイン・ビールメーカーやスーパーマーケット、ディスカウントストアからペットボトル型の商品が相次いで投入され、円高とも重なり、中には750mlのレギュラーサイズで1000円を切る激安ボジョレー・ヌーヴォーも登場した[4][5]。しかし、ボジョレー・ヌヴォー生産者側は伝統維持や品質保持に問題があることや「ペットボトルの中では(品質は)6カ月以上もたない」として、ペットボトル型商品の販売禁止を検討することを明らかにした[6]ものの、フランス政府から自由競争に反するという理由で認められず、2011年(平成23年)11月17日に、ペットボトル型の販売禁止のルールを導入することを断念すると発表した[7]。2011年ものでは、ハーフボトル (375ml) を390円や、3リットル紙パック入り2480円で販売するスーパー西友も出現した[8][9]。
2022年、日本におけるボジョレー・ヌーヴォーの価格は販売各社で過去最高を記録する年となった。原因は、2022年ロシアのウクライナ侵攻に伴う航空運賃の高騰などで、一部製品でペットボトルを利用するなどコスト削減を進めたサントリーでも前年度の1.3-2.2倍の価格となった[10]。
2003年のワインは100年に1度の出来、2009年のワインは50年に1度の出来と報道されるなど、毎年のように最高級の評価がなされることがある種の通例にまでなっており[11]、こういった「○○年に一度」のような評価は専ら大手輸入業者や居酒屋店長、ソムリエのコメントであり、地元の「ボジョレーワイン委員会」の控えめな品質予想とはだいぶ異なる。輸入業者の担当者は「委員会の品質予想はわかり辛く、自分たちで直接ワイナリーに出向き、生産者と話をして判断している」という[12]。尚、各年度の評価には以下のようなものがある。
(出典[12][11][13][14][15][16][17][18])
独特の製造方法のためにごくわずかながら炭酸ガスを含有するのと、少ない酸とタンニンにより独特の清涼感をも感じさせてくれるワインでもある。しかし、醸造時に果梗との接触時間が長いため、果梗由来の特有の苦みを有する。また、果皮や種から溶出するタンニンや色素が少ない為、色は比較的薄く口当たりの柔らかいワインとなる。
一般的なワインは熟成中の状態で出荷され、温度管理されたワインセラーに置くことで味が良くなっていくが、ボジョレーヌヴォーは、それ以上熟成しない状態で出荷されるため、値段と比べれば味はそこそこだが長期保存できない(あとは劣化するのみ)という特徴がある。そのため、ボジョレーヌヴォーは製造年内に消費することが奨められている。
葡萄収穫 → 未破砕のままタンクに入れる → 酵素による細胞内発酵 → その後、破砕、搾汁 → 酵母によるアルコール発酵 → 澱引き(濾過) → タンク貯蔵熟成 → 瓶詰め → 出荷(必要に応じ、二酸化硫黄を添加する)
一般のワインの場合は搾汁した葡萄液を酵母によりアルコール発酵させるのに対し、近代的なマセラシオン・カルボニック(カーボニック・マセレーション、ないしは炭酸ガス浸漬)法の場合は除梗と破砕をせず皮ごとボンベ由来の高濃度の二酸化炭素ガスまたは窒素ガス雰囲気(嫌気雰囲気)に果実を置く事から始める。この嫌気雰囲気下で、細胞内の酵素の作用により 1.5%〜2.5%のアルコールとコハク酸やグリセリンなどが生じリンゴ酸は減少し、果汁が自然にしみ出す。細胞内発酵と同時に、果皮は柔らかくなり浸み出した果汁の中では果皮に付着している天然の酵母による発酵と乳酸菌によるマロラクティック発酵 (Malo-Lactic Fermentation) も進む。しかし、短期間で発酵を終えるために一般的なワインより高温で醸造される事もあり、通常の酵母のみによる発酵と比較し、カルボン酸エステル類等のフレーバーの元となる物質は多く失われてしまうが、複雑なアロマや果梗由来の苦みが付与される。
伝統的手法では、酵母によって半発酵状態となっている搾汁液を二酸化炭素源として使用する。この細胞内発酵の期間は周囲の温度で状態は変動するが、通常は10日程度で終了する。この後搾汁した液体に酵母を添加し30-34℃前後で2-3日発酵させる。発酵を終えたワインは澱引きされ、瓶に詰められる。この手法は果梗と接触している時間が長いことから、酢酸菌や乳酸菌による腐敗を起こす可能性がある。
半発酵状態の搾汁液を現地ではパラディと呼び(天国の意)、低アルコール度数のライトドリンクとして製造業者の密かな楽しみとなっているが、市場には出回らない。
ジョルジュ・デュブッフ社やアルベール・ビジョー社によるワインには斬新なデザインのカラーのボトルラベルが付いており、毎年新しいものとなる。
Beaujolais の片仮名表記については現在、種々の表記がみられる。
著名なフランス料理のシェフであるアラン・デュカスは Beaujolais nouveau の最も近い片仮名表記を「ボジョレ・ヌヴォー」としている[41]。『広辞苑』には「ボージョレー」として第四版(1991年)から記載された。
FORVOで実際の発音例を確認できる。
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