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第二次世界大戦時のナチズムを復興・再現しようとする社会的・政治的運動あるいはその集団 ウィキペディアから
ネオナチ(英語: neo-Nazism、ドイツ語: Neonazismus)とは、極右民族主義を源流とする第二次世界大戦後の政治運動・組織の総称である[1][2][3][4]。ネオナチは、極右政治と右翼過激主義の特定の形態と見なされている[5]。この項目では狭義的ネオナチと広義的ネオナチについて取り扱う。
キャスリーン・ゲイは、ネオナチはナチスと同一、また類似したイデオロギーを利用し、白人至上主義などの人種的優位性を促進し、反ユダヤ主義やイスラム恐怖症、アジア人迫害、黒人差別などの人種的および民族的優位性を拡大させ、場合によってはファシスト思想を拡大していくとしている[6]。
国際ジャーナリストの河合洋一郎は、ナチス・ドイツ支持、アドルフ・ヒトラー崇拝を思想の中心に掲げる団体の狭義のネオナチと、外国人排斥、民族的純血主義など「現代社会においても適用可能な主張」を中心に据え、武力闘争を含む過激な活動を行なう政治的集団の「広義のネオナチ」に別けられるとし、この「広義のネオナチ」が欧州の若者を中心に勢力を拡大しているとしている[7][8]。
民族主義・超国家主義による極右過激思想から派生して誕生した「ネオナチ」は、原義的な「ネオナチ」とは違いユダヤ人か否かも関係なく、人種を問わず欧米に多岐に存在し、これら政治組織、軍事組織、テロ組織等は、アメリカ合衆国国務省、連邦捜査局(FBI)、国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)、公安調査庁等が警告している[9][10][11][12][13][14][15][16][17]。
米人権団体「南部貧困法律センター」(SPLC)の上級リサーチアナリストのキャシー・ミラー博士は、ネオナチは国際的なネットワークを有していると語っている[18]。
国際ジャーナリストの河合洋一郎は、ナチス・ドイツ支持、アドルフ・ヒトラー崇拝、ホロコースト否認を思想の中心に掲げる団体の狭義のネオナチと、外国人排斥、民族的純血主義など「現代社会においても適用可能な主張」を中心に据え、武力闘争を含む過激な活動を行なう政治的集団の「広義のネオナチ」に別けられるとし、この「広義のネオナチ」が欧州の若者を中心に勢力を拡大しているとしている[7][8]。
白人至上主義、アジア人排斥主義、イスラム教徒排斥主義、移民排斥主義、LGBT排斥主義等、オリジナルであるナチズムを原初としていない極右過激主義思想を持つ組織等を「ネオナチ」と呼ぶ、また自称している場合もあり、これらネオナチ思想(極右過激主義)の政治組織、軍事組織、テロ組織等は(ユダヤ人か否かも関係なく)人種を問わず、欧米に多岐に存在するとアメリカ合衆国国務省、連邦捜査局(FBI)、国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)、公安調査庁等が警告している[19][20][21][22][23][24][25][26][27]。
キャスリーン・ゲイは、ネオナチはナチスと同一、また類似したイデオロギーを利用し、白人至上主義などの人種的優位性を促進し、反ユダヤ主義やイスラム恐怖症、アジア人迫害などの人種的および民族的優位性を拡大させ、ファシスト思想を形成していくとしている[6]。
欧米諸国では極右、白人至上主義者によるテロが目立つ状態である[28]。
1960年代後半から1970年代後半にかけて英国で出現した、白人至上主義者や反ユダヤ主義等の過激な民族主義より派生して生まれたネオナチ、「スキンヘッド」の問題は、欧米で根深い問題となっている[29]。
2000年代にはロシアのスキンヘッドによる中国人をはじめとするスラブ人以外の人種への襲撃事件が多発しており[30]、特に4月20日のアドルフ・ヒトラーの誕生日前後の時期には日本側も注意報を出している[31]。
2011年11月には、ドイツ東部チューリンゲン州を拠点にしている「国民社会主義地下組織(National Socialist Underground、NSU)」を名乗るネオナチの男女3人により、2000年から2007年までにトルコ系男性8人、ギリシャ系男性1人、ドイツ人女性警察官1人の計10人を連続殺人した容疑が発覚した。銀行強盗の容疑で追われていた男2人が自殺し、1人残った女性のベアテ・チェーペ(Beate Zschaepe)が自首し、家宅捜索したことで発覚した。ネオナチを名乗るグループの大規模連続殺人が明るみに出たのは初であり、メルケルドイツ首相は「ドイツの恥だ」と非難した[32]。その後、2013年5月6日に、10人を殺害した連続殺人事件に関する裁判が開始された。この事件に関連して、ドイツ内務省傘下の情報機関である連邦憲法擁護庁(BfV)の要員が事件関連のファイルを破棄していたことが発覚し、ハインツ・フロム(Heinz Fromm)長官が引責辞任するなど、治安当局と極右勢力の間に密接な繋がりがあるのではないかとの疑念が渦巻いている[33]。
2015年以降よりドイツでは多くのシリア難民が流入した事により活発となっている[28]。国際反テロセンターによると、ドイツでは2016年だけで極右による暴力事件が1600件にのぼり、このうち放火が113件、火炎ビンなど爆発物を用いた事件が10件を占めた[28]。ドイツの諜報機関、連邦憲法擁護庁(BfV)によると、昨年段階でドイツ国内には2万4100人の右翼活動家がおり、そのうち1万2700人は「暴力的」と報告されている[28]。2018年に当局は1000丁以上の銃器を極右活動家から没収したが、極右の過激化は収まっておらず、移民やその権利を擁護する政治家などを標的にした「死のリスト」も作成されている[28]。ドイツ東部では「ドイツ人同士の格差や差別を解消するために」という民族の一体性を強調し、異なる形で国家による救済を望み、武器を購入する市民が増加するという極右化と、ネオナチ団体の台頭が指摘されている[28]。
2018年、ウクライナのネオナチ・ナショナリズム組織「S14(C14)」は、国家主義的なヘイトグループであるとしてアメリカ合衆国国務省によって認定された[34][35][36]。C14をネオナチと呼んで批判したジャーナリストは訴えられ、2019年8月の判決により有罪となっている[37][38]。英国ベリングキャットはこれについて「ウクライナの裁判所がネオナチをネオナチと呼ぶことを禁じた」と報じた。[37][38]。
2017年に公開されたネオナチのプロパガンダ映画「Europa: The Last Battle」は、名誉毀損防止同盟により「第二次世界大戦に関する歴史修正主義的作品」と認定された[39]。
2019年時点では、ドイツでは移民への寛容を説くドイツ人が凶弾に倒れる事件も発生している[40]。今年6月、ヘッセン州のヴォルター・リュブケ州議が自宅そばで銃殺された。リュブケ議員は難民の受け入れを支持し、極右から脅迫状を受け取っていた。逮捕されたステファン・エルンスト容疑者はドイツ国家民主党の支持者とみられている[40]。
日本の公安調査庁や国際連合人権高等弁務官事務所(OHCHR)等は、「欧米諸国で高まる極右過激主義者の脅威」として、過激なナショナリズムを推進するネオナチ思想を有する欧米の組織や政府機関等を危険視している[41]。
1990年代からアメリカ国内や国外の極右民族主義、白人至上主義などのネオナチは早期にインターネットを利用し、2000年代前半に登場したFacebookやYouTubeなどのSNSメディアを有効利用し始めた[19]。連邦捜査局(FBI)は、この1990年代から2000年代前半の期間は電子メール等の利用を禁ずる等の情報管理を行っていた為、これら過激な民族主義者を追いきれない、また取り締まり切れない状況になっていった[19]。
Netflixの番組「偽りなき偽りのデジタル社会」では、極右過激思想(ネオナチ)の発信方法はインターネット台頭以降変化したとしている[19]。FacebookやYouTube等のSNSのアルゴリズムは、相手に見せるべき有益な情報を選択して見せてはおらず、視聴する側が興味を引く物を見せる「広告成功への最適化」の状態にある[19]。現在でもホワイトパワー・スキンヘッドの様に剃り込みを入れ、また十字マークの刺青を入れるなどの見た目での発信をする物達等もいるが、現在はスーツを着込むなどによって姿や言動を健全に見せた状態で、オルタナ右翼や平和主義、愛国主義などを自称して他国民や自国民に発信する手法をとるとしている[19]。
2022年のイーロン・マスクによるTwitterの買収以前、Twitterはこの種のネオナチコンテンツを制限しようとしていた[39]。しかしマスクによる買収以降、Twitterは言論の自由を理由にリチャード・B・スペンサーのような著名なネオナチ指導者がTwitter Blueに加入することを認め、さらにネオナチコンテンツの隣にマイクロソフト、アドビ、ウォルト・ディズニー・カンパニーなどの大企業や有名ブランドの広告が表示される状態にあり、『憎悪に満ちた行為を描いたメディア』のポリシーに違反している状態だと指摘されている[39]。
かつてナチズムが支配したドイツでは第二次世界大戦後はナチズムを非合法化し、ナチズムの肯定及びそれに類する発言は全面的に法令上禁止された。ナチス時代の軍服や武器を一般市民が手に入れることは原則禁止であり、販売も許されない[97]。また、ナチスのシンボルである鉤十字、あるいはそれを彷彿(ほうふつ)させるような図柄を公共の場に掲揚することも禁止されている[98]。
こうした政策は、ドイツ再統一を経て現在のドイツ連邦共和国でも継続されている。ドイツ国家民主党など、ネオナチズム政党が地方議会進出を果たした前例はある[99]。
2019年7月、警察が極右過激組織への捜査の一環として、ネオ・ファシズム政党「新しき力」に関連した容疑者の自宅を捜索したところ、ネオナチのプロパガンダやアドルフ・ヒトラー関連書物のほか空対空ミサイルを含む大量の武器を発見、押収した[100]。
2019年11月28日、警察がネオナチ関係者の一斉摘発を実施。新興組織「国家社会主義イタリア労働者党」のメンバー19人の自宅を捜索し、ナチス・ドイツ旗、アドルフ・ヒトラーの書籍、多数の武器を押収した[101]。
2007年9月には、外国人や同性愛者やシナゴーグに出入りするユダヤ教徒を次々と襲撃していたネオナチがイスラエルで摘発された。8人のユダヤ人の若者で構成されていたこのネオナチ集団は、アドルフ・ヒトラーの肖像を掲げつつ自宅にナチスの制服や拳銃や爆薬を所持し、自宅から押収されたビデオテープには、ナチス式敬礼を行う彼らの姿や、麻薬中毒者を路上にひざまずかせたうえで『ユダヤ人であること』を詫びるように脅す様子などが映っていた。彼らは旧ソ連からの移民ユダヤ人だった[102][103]。
「ネオナチ」ではなく「ナチス残党」を扱った作品も含む。
ハードコア・パンクやブラック・メタルのバンドが多い。他にもヘイト・コアやRAC、NSBM、ホワイト・パワー・ミュージックなどのジャンル名がある。
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