スイス国鉄RAe TEEII 形電車 (スイスこくてつRAe TEEII がたでんしゃ)は、スイス のスイス国鉄 (SBB)が保有し、TEE [1] およびユーロシティ [2] などで運行されていた国際列車用交直流電車 である。
概要 基本情報, 運用者 ...
スイス国鉄RAe TEE II形電車
TEE「ゴッタルド」として運行されるRAe TEEII 1051号機、イタリア、カントゥ=カームナーテ駅、1988年
基本情報 運用者
スイス連邦鉄道 製造所
SIG、MFO 製造年
1961年 - 1967年 製造数
5編成 運用終了
1999年 主要諸元 編成
5両・6両編成 軌間
1,435 mm 電気方式
交流15kV 16.7Hz 交流25kV 50Hz 直流1500V 直流3000V 最高速度
160 km/h 編成定員
168名 編成重量
296 t 編成長
149,759 mm 幅
2,840 mm 高さ
4,210 mm 駆動方式
クイル式駆動方式 歯車比
2.34 編成出力
2,310 kW 制御方式
低圧タップ、抵抗制御 制動装置
空気ブレーキ、手ブレーキ、発電ブレーキ、渦電流レールブレーキ テンプレートを表示
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TEE「ゴッタルド」として運行されるRAe TEEII 1051号機、スイス、ラヴォルゴ付近、1988年 SBB Historicで動態保存されているRAe TEEII 1053号機 RAe TEEII 1053号機の先頭車
西ヨーロッパ における全一等車 による国際列車 であるTEEは、1957年 の運行当初、オーストリア 、ベルギー 、西ドイツ 、フランス 、イタリア 、ルクセンブルク 、オランダ 、スイス の8カ国の各国鉄が運行に参加し、12往復の列車がいずれも気動車 で運行されていた。これは各国それぞれに電化 方式が異なるヨーロッパの鉄道において、国境駅での機関車の付替えの省略と出入国管理 等の列車内での実施による所要時間の短縮を図るためであり、西ドイツ国鉄 がVT11.5形 (後のVT601形)、フランス国鉄 がX2770形 、イタリア国鉄 がALn442-448 を導入し、スイス国鉄 とオランダ国鉄 とは共同開発したRAm TEEI 形 (スイス国鉄形式)、DE-IV形(オランダ国鉄形式)を導入[3] していた。これらは、前2者が液体式、後2者が電気式気動車であり、いずれもTEE列車にふさわしい接客設備を有し、VT11.5形、RAm TEEI 形およびDE-IV形は食堂車 を連結、X2770形およびALn 442-448形も供食設備を有していた。しかし、ドイツやフランス方面からスイスを経由してイタリア方面への列車を運行する場合、ゴッタルド鉄道トンネル を擁するアルプス山脈 越えルートなど急勾配路線を経由することとなり、国内にスルザー [4] というディーゼルエンジン や機械類の世界的メーカーを持ち、1920年代 頃から高出力の気動車もしくはディーゼル機関車 を開発してきたスイス国鉄であっても気動車列車によるアルプス越えは困難であると判断し、1957年にスイス国内の車両メーカーのSIG [5] と車両用電機品メーカーのMFO [6] が検討していたチューリッヒ - ミラノ間都市間列車用電車などを参考に、多電源に対応した電車 によるTEE用列車の開発を1958年 から進めることとなった。この電車は、全一等の国際列車にふさわしい装備とするとともに、1952年 イタリア国鉄が導入したETR300形 セッテベロ[7] のような乗客の前面展望も意識した構造を検討したほか、RAm TEEI 形で指摘されていた食堂車の座席不足も解消することとしていた。なお、前年にSIGとMFOが検討していたチューリッヒ - ミラノ間都市間列車用電車の案は以下の通りであり、基本的な構成の一部はその後のTEE用電車に引き継がれている。
7両固定編成の電車とし、4両目を厨房や乗務員事務室を併設した電動車、5両目をバーカウンター併設のレストランとした座席数58名の食堂車とする。
客室は3、6両目を2+1列の座席配置のオープン客室、2両目を10名3室と6名1室のコンパートメント客室 とする。
両先頭車は運転室床を客室床より下に設置して室内からの展望を確保したものとするほか、客室内は個別のソファーシートを2+1列を基本として一部サロン風に配列したものとする。
各旅客車のデッキには大型の手荷物棚を設置する。
電動車はAC15kV 16 2/3Hz、AC25kV 50Hz、DC1500V、DC3000Vの4電源対応とし、屋根上の集電装置も4基装備する。
電車列車として開発が進められたTEE用車両は気動車として検討されていた1957年以降、ETR300形のような2階運転室、前面展望室 タイプやチューリッヒ - ミラノ都市間列車用電車の客室床下運転室、前面展望確保タイプが検討されていたが、最終的には前面展望をある程度考慮するものの、代わりに高速走行時の空気抵抗低減を考慮し、風洞実験を実施の上で決定された、最終的なものとほぼ同様の流線形 の形状で、運転室直後に乗降デッキと手荷物置場を設置、客室はすべて2+1列の座席配置のオープン客室の1等室のレイアウトとしたデザインが1958年5月頃には固まっていた。
一方、技術的な面においてはヨーロッパ各国における電化方式の違いに対応できる制御装置が必要となっていた。新しいTEE用電車の運行が想定されていた各国国鉄の主な電化方式は以下の通り。
オーストリア国鉄 、西ドイツ国鉄、スイス国鉄 - AC15kV 16 2/3Hz[8]
フランス国鉄 - AC25kV 50Hz、DC1500V(電化時期により異なり、1950年代前半以降、主にパリより南側が交流電化となっている)
イタリア国鉄、ベルギー国鉄 - DC3000V
オランダ国鉄 - DC1500V
スイス国鉄を始めとするスイスの鉄道では、高圧タップ切換制御 と交流整流子電動機 、回生ブレーキ 装置の組合せによる電気機関車をこの時代における主な機材として導入を続けていた[9] が、フランス国鉄で1950年代 から実用化された商用周波数50Hzを使用するAC25kV電化方式への対応を始めとする新技術の開発が必要となり、1958-61年 にかけてAm4/6形 電気式ガスタービン機関車 をBBC [10] 製の主制御装置とシーメンス 製のシリコン 整流器 を使用して改造したAC25kV 50Hz、AC15kV 16 2/3Hz、DC1500Vを3電源式機関車へのAe4/6III 形の試験や、入換用電気機関車Ee3/3II 形の製造などによって技術を蓄積しており、TEE用電車についても直流区間では抵抗制御 、交流区間ではタップ切換制御とシリコン整流器、抵抗制御によることとなったが、本格的な多電源機はこの電車が初めてのものとなった。また、その他のTEE用高速電車としての性能要件は以下の通りであった。
1時間定格出力は架線電圧AC15kV時に2376kW、AC25kV、DC1500Vおよび3000V時に2272kW
33パーミルの上り勾配区間を50km/hで走行可能(オーストリアのアールベルク峠を想定)
26パーミルの上り勾配区間を85km/hで走行可能(スイスのゴッタルド峠 を想定)
20パーミルの上り勾配区間を120km/hで走行可能
最高速度160km/h
33パーミルの下り勾配区間を電気ブレーキのみで走行可能
こういった経緯を経て1961年にはRAe TEEII 形として1051-1054号機の5両4編成のTEE用電車が落成し、同年7月1日のダイヤ改正よりTEE列車のゴッタルド 、ティチーノ、シザルパン として運行を開始し、1966年 には全編成が6両編成となったほか、翌1967年 には1055号機1編成が増備されて輸送力を増強している。その後1974年 には運行系統の見直しにより充当される列車がゴッタルド、イリス、エーデルヴァイス に変更となり、なかでもゴッタルドは国際列車としてのTEE最後の列車として1988年 まで運行されていた。なお、当初気動車列車によるものとし、このRAe TEEII 形の導入によって電車による運行が加わったTEEであるが、その後多電源機は普及しなかったほか、電車列車では利用客の増減に対して列車の編成両数を柔軟に変更することが難しかったため、1963年 以降伝統的な電気機関車の牽引によるTEEの運行が開始され、スイス国内通過のTEEも本形式によるもの以外はスイス国鉄の電気機関車による牽引となり、RAe TEEII 形のその後の増備や後継となるTEE用電車の開発も行われなかったほか、他国においても国際列車としてのTEEに電車列車を導入した例は他になく[11] 、本格的なTEE用電車はRAe TEEII 形のみであった。
1970年代 後半から1980年代 にかけて全1等車で構成されるTEEは次第に2等車を組み込んだ他の種別の列車に移行しており、RAe TEEII 形も一部客室を2等室に変更して、1987年 に創設された新しいヨーロッパ国際列車であるユーロシティ用に改造されてRABe EC形に形式変更された。改造後のRABe EC形はゴッタルド、マンゾーニ、シザルパン、ルテチア、レマノ、ユトリベルグ、キレスベルクといったユーロシティ列車やスイスの首都ベルン とパリ 方面からのTGV との連絡列車などに使用された。
本形式の製造は車体、機械部分、台車をSIGが、電機部分、主電動機をMFOが担当しているが、集電装置と駆動装置のみBBCが担当しており、各機体の機番及び製造所、運行開始年月日、6両化年、RABe EC形への改造年月日は以下のとおり。
なお、本形式の機番は編成に対して付番されるものとなっており、個別の車両に機番は付けられていないが、編成番号に"/"と前位側から数えた号車数を付加する形で個別の車両の特定がなされる。なお、個別の機番ではなく号車番号であるため、5両編成時と6両編成時で同一の番号であっても同一の車両とは限らない[12] 。1051号機を例に挙げると以下の通りであり、6両編成化によって2両目に1両追加されたため、5両編成時の1051/2号車であった車両は6両編成では1051/3号車となるなど番号が変更となっている。
1051号機(5両編成):1051/5 - 1051/4 - 1051/3 - 1051/2 - 1051/1[13]
1051号機(6両編成):1051/6 - 1051/5 - 1051/4 - 1051/3 - 1051/2 - 1051/1
また、本形式は通常RAe TEEII 形およびその後身のRABe EC形と呼称されているが、このほか駆動軸数と総軸数を元にした形式名であるRAe 4/22形(5両編成)、RAe 4/26形(6両編成)もしくはRABe 4/26形や、ユーロシティ用に改造された後は機番をベースとしたRABe 1050形や1980年代後半より使用されている新しいUIC方式の形式名であるRABe 500形などと呼称される場合もある。
曲面で構成されるRAe TEEII 形の先頭部、動態保存される1053号機、2007年 動態保存されているRAe TEEII 1053号機の運転台、2014年
車体
RAe TEEII 形は製造当初は5両編成、1966年からは6両編成となっているが、編成の構成は以下の通りとなっている。
5両編成:1等制御客車 - 1等車 - 食堂車 - 動力車 - 1等制御客車
6両編成:1等制御客車 - 1等車 - 食堂車 - 動力車 - 1等車 - 1等制御客車
1等制御客車/1等車/食堂車の車体の基本構造及びデザインはスイスでは1930年代 後半に開発された軽量客車の設計を採り入れたRAe TEEI 形の1等制御客車及び1等車をベースとしたものとなっている。台枠 は、側梁と端梁は4mm厚のプレス鋼材を高さ約400mmの箱状に溶接組立し、3mm厚、高さ200mmのコの鋼やI字鋼の横梁と組み合わせ、台車 や床下機器等も台枠中にはまり込む形で装荷される構造、車体は主に3mm厚の形鋼と2.5mm厚の側外板、1.5mm厚でリブ付の屋根外板とを溶接組立した軽量構造となっている。客室床板は段差30.5mmのキーストンプレートをベースに防音材と断熱材を3層積層した上に合板とウール のカーペット を敷いて97mm厚に仕上げて床面高さを1150mmとし、内部には電線管を5本を敷設しているほか、台枠側梁、側鋼体、屋根鋼体も内側に吸音材を貼り、内部に断熱材を入れた構造となっている。なお、先頭車の台枠側梁の一部が床下機器点検口を設置するため切り欠かれているほか、先頭下部のスカート以外には側面の床下機器や台車等をカバーするスカートは設置されていない。
動力車である105X/3(6両編成、5両編成では105X/2、以下同様)の車体構造も1等制御客車/1等車/食堂車と同様であるが、重量機器を搭載するため、台枠構造が異なり、横梁上に床上機器を搭載するため床板は横梁の上ではなく間に置かれて床面高も1280mmとなっており、床下機器を設置するため側梁の高さが低く、編成中の他車両の台枠下端部の高さと揃えるための床下機器カバーが設置されている。また、屋根も屋根上機器を設置するため、他の車両のような丸屋根ではなく、機器搭載のための平屋根となっているほか、屋根肩部や機械室側面に機器冷却気通風用の通風口が設置されている。
乗降扉は2枚外開戸を1等制御客車と1等車の編成端側にのみ設置しており、車体開口幅は770mm、有効幅は720mmとなっている。乗降口には2段のステップが設置されており、レール面上高620mmの1段目は台枠下部の外付ステップで、そこから298mm上がった2段目は乗降扉内側の室内ステップとなっており、232mmの高さで客室床面へ至る。乗降扉左隣には大型の電照式行先表示窓が設置されており、列車名、始発駅、主要停車駅、終着駅、号車番号を表示していた。また、側面窓は高さ950mm、幅1500mmを基本とする大型でアルミ枠の固定窓で、客室窓は2重ガラスの間に電動式のブラインド を設置したものとなっている。窓位置は下辺が床面から900mmの位置であるが、動力車の廊下側は床面が高い分他の車両より窓位置も高いものとなっており、この部分の窓のみブラインドが設置されない。なお、これらの構成はRAm TEEI 形と同様のものとなっている。
編成両先頭部は風洞実験も実施した丸みを帯びた流線型のものとなっており、正面窓は曲面ガラスの3枚窓+側面の下降式の小窓の組合せであるほか、正面窓下部左右に小型の丸型前照灯と標識灯のユニットを張出し式に、正面上部中央に小型の丸型前照灯を配置したもので、正面中央にはTEEのシンボルマークの銘板が設置されている。正面窓ガラス押えがクロームメッキ の金属枠+ゴムのものであるほか、正面窓下の手すり、灯具類の枠やベース、ウインドワイパーなどをクロームメッキのものとしてアクセントとしている。
編成端の連結器は通常のねじ式連結器 ではなく、電気連結器、空気連結器を併設した+GF+ [14] 式自動連結器として分割・併合を容易にしており、通常は連結器カバーを設置しているほか、フックにアダプターを設置したねじ式連結器とも連結が可能である。なお、先頭の連結器下部にはスノープラウ を兼ねた大型のスカートが設置されている。なお、編成中間は棒状の半永久連結器となっている。また、編成内の連結幌 は車体外周部を覆うゴム製のものと、貫通路を構成するゴム、鋼材、樹脂材等で構成された貫通幌との2重のものであり、貫通路は車端部に設置されるトイレや手荷物置場のスペースを広く確保するため、車体中心線上ではなく片側に寄せて設置されている。
1等制御客車、1等車、食堂車は空調装置として車端部の天井上部に冷房 装置を、床下に温風暖房 装置と換気装置を搭載しており、車体側面窓間に左右1箇所ずつ設置された吸気口から吸入された外気は換気装置と温風暖房装置を経由して室内床上左右壁部のダクトから室内へ供給されるほか、室内床上左右壁部のダクトから側面窓間壁内のダクトを通り、室内からの還気と合流した上で天井裏左右のダクトを経由してクーラーに至り、クーラーの冷気は天井裏中央のダクトを経由して天井左右の穴開板から室内に供給される。
車体塗装はTEEの指定塗色での塗装となっており、車体下半部を濃赤色(RAL 3004、色名:Purple red)、上半部をベージュ(RAL 1001、色名:Beige)、屋根をグレー(RAL 7016、色名:Anthracite grey)として、床下および床下機器をダークグレー、屋根上機器、乗降扉を銀色としている。このほか、マーク類は両先頭車の先頭部に鋳造品のTEEロゴのエンブレムを、側面運転室後部にTEEのマークを設置し、5両編成時には105X/1、105X/3、105X/5号車、6両編成時には105X/1、105X/4、105X/6号車の側面窓上に「TRANS EUROP EXPRESS」のロゴが入り、標記類は両先頭車運転室側面にスイス国鉄の「SBB-CFF」および機番の「RAe 105X」が小さく入るなど、標記類は通常より小さな文字で入り、数も少ないものとなっている。
1等制御客車/1等車
1等制御客車と1等車は編成中心から点対称に配置されており、105X/6と105X/1、105X/5と105X/2はそれぞれ方向転換されたもので、105X/5と105X/2の床下が一部異なる以外は同一のものとなっており、実際に検査等の都合で1等制御客車を方向転換して他の編成の1等制御客車として使用した事例もある。
室内は1等制御客車が前頭部側から長さ1950mmの乗務員室、4680mmの手荷物置場および乗降デッキ、14720mmで定員42名の1等室、3580mmのトイレと洗面所の配置、続く1等車は5360mmの手荷物置場および乗降デッキ、14720mmで定員42名の1等室、3580mmのトイレと洗面所の配置となっている。
乗降デッキには長距離旅客用のスーツケース 等大型の手荷物用の手荷物置場が設置されており、3段の棚が設置されて荷重は2tであった。また、トイレはスイス国鉄では初めて男女別となり、男性用は長さ1150mmのトイレと洗面所が一体となったもの、女性用は1250mmのトイレと960mmの洗面所にも分けられており、それぞれに幅600mmの小窓が1箇所ずつ計3箇所設置されていたほか、トイレ用水タンクは容量440lであった。
座席は2+1列の3人掛け、シートピッチ2100mmの固定式クロスシート で、各車ごと濃赤色、濃緑色、明茶色の縦ストライプ柄と配色を変えた大型ヘッドレスト付のものを各窓毎に1ボックスずつ設置しており、通路幅は615mmとなっている。このほか、室内灯は天井中央部のレール方向に連続した白色カバー内に蛍光灯 と白熱灯が設置されており、天井は白、側面及び妻面壁は明るい茶色の木目調の化粧板貼り、床はダークグレーのカーペット貼りとなっている。
運転室は左側運転台で、ドイツなどで一般的な円形のハンドル式のマスターコントローラー ではなく、Ae8/14 11801、11851号機 で試行された運転席左側の空気ブレーキ 関係のレバーと右側の電気関係のレバー式のマスターコントローラーにより操作を行う、1960-80年代以降のスイス国鉄車両の標準的な配置となったものとなっている。運転台はデスクタイプで、運転席に右側に縦軸式の逆転ハンドル、マスターコントローラーハンドル等、左側にFV3b自動ブレーキ弁等が設置され、正面がスイッチおよび表示灯盤となっており、その前方に2面の計器盤が設置されて正面のものに空気圧関連、右側に電流関連のメーターが配置され、計器盤の左側に速度計が配置されている。また、運転台右側に各国鉄道用の集電装置選択用押ボタンや灯具、空調装置等のスイッチ盤が設置されている。
食堂車
食堂車は座席数を確保するために厨房を隣接する動力車内に設置し、乗降扉も省略して全室をレストラン及びバーとしており、室内は前位側から長さ1900mmの事務室、15200mmのレストラン、6770mmのバーの配置となっている。レストランは2+1列の座席配置の4人掛+2人掛のテーブルが1800mm間隔で8組設置された計48席の配置、バーは室内片側壁面に長さ4580mmのバーカウンターを設置し、反対側に1列の座席配置の2人掛けテーブルを1800mm間隔で3組設置した配置となっている。バーカウンター内にはコーヒーメーカー 2基、シンク 、冷蔵庫 、冷凍庫などが配置されていた。
座席はクロームメッキのパイプとビニール貼りのクッションを組み合わせた肘掛付のもので、レストランのものは青をベースに座布団と背もたれの端面および肘掛が白、バーのものは黄色をベースに同じく座布団、背もたれ端面および肘掛を青としたもので、テーブルはレストランのものは白のテーブルクロスを使用、バーのものは青でテーブルクロスなしとなっており、いずれも側壁面テーブルランプが設置されている。バーカウンターはカウンター天板は赤と青の交互の配色で内部のキッチンカウンターは天板がステンレス無塗装で側面が黄色の配色となっていた。
室内灯はレストランは天井左右端に蛍光灯を配置した間接照明 と、天井中央に配置した白熱電灯の直接照明の組合わせ、バーは白熱電灯のスポットライト となっていたほか、室内側壁面、妻壁面は赤、レストランの天井は白、バーの天井は青の配色で、床はダークグレーのリノリウム貼りであった。なお、食堂車内のデザインは建築家の監修によるものであり、配色の赤はTEEの標準色の赤、青は濃いペールブルー、黄色は明るめのそれぞれ同一の色を使用して配色を統一している。
なお、隣接する動力車の厨房で使用するための容量1800lの水タンクを床下に搭載していた。
動力車
動力車の1053/3号車の通路側、屋根上に集電装置を4基搭載、3軸台車を装荷して車軸配置(A1A)(A1A)となっている、2014年
RAe TEEII 形は電車として分類されるものの、編成中の動力車1両に走行用機器のほぼすべてを搭載しており、室内は前位側を見て右側に幅710mmの通路、左側に幅2000mmの機器室や厨房、業務用スペースを配置しており、前位側から長さ2200mm、荷重2.5tの荷物室、1800mmの税関吏室、3810mmで主制御装置やシリコン整流器を搭載した走行機器室、2040mmの主抵抗器 室、4250mmの主変圧器 室(端部に乗務員用トイレを配置)、2300mmの乗務員室、3850mmの厨房、3800mmの厨房事務室の配列となっている。
厨房内の調理機器は全て電気によるものとなっており、電熱式調理プレート5箇所、大型オーブン 2基、フライヤー、グリル 、プレートウォーマー、コーヒーメーカー2基、シンク2箇所、大型冷蔵庫2基、冷凍庫が装備されている。
通路部分は天井は白、壁面は若草色で床はダークグレーのリノリウム貼りとなっており、側面窓は1重窓となっている。
屋根は車体端部のみ他の車両と同じ断面の丸屋根であるがその他は機器搭載を考慮した平屋根となっており、集電装置4基、抵抗器、遮断器 などが搭載されている。また、床下には電動発電機、主変圧器用オイルクーラー等を搭載しているほか、台枠下面高が他車より高く、その下に床下機器カバー用のスカートを設置していることもあり、ジャッキ アップ用の梁2箇所が台枠よりスカート下端部まで延びている。
走行機器
本機はMFO製で4極、脈流 対応のTyp HFW710直流直巻整流子電動機を動力車である105X/4に4台搭載し、AC15kV 16 2/3Hz区間では1時間定格出力2376kW、牽引力95kN、最大牽引力173kN、AC25kV 50HzとDC1500および3000V区間では1時間定格出力2272kW、牽引力94kN、最大牽引力188kNの性能を発揮する。冷却は床下の台車横部に4基ずつ、計8基設けられたファンによる強制通風式で、冷却風は床下に設置された冷却ファンを通り、動台車の側梁内部から主電動機へ導かれる。
主電動機および歯車箱は台車装荷となっており、クイル式 の一種であるBBC製のスプリングドライブ式駆動装置で動力が伝達され、歯車比は2.34となっているほか、基礎ブレーキ装置は両抱式の踏面ブレーキ となっている。
動台車はRAmI 形の動力車に引続き、動軸-従軸-動軸の構成の3軸台車が採用されているが、本形式の台車はオランダ製でイコライザ付、重ね板ばねの枕ばね の旧式のRAmI 形のものからSIG製の大幅に近代化された鋼板溶接組立式台車 となり、主電動機出力の増強にもかかわらず全軸距は4500mmから3800mmと大幅に短縮され、円筒案内式軸箱支持、トーションバー 式枕ばねと当時の軽量客車や電車と同様の構成に変更となっている。
車輪径は動輪が1100mm(新品時)、従輪が付随車と同じ940mmであったほか、軸重は当初動力車の各軸毎に異なっており、動軸4軸が17.0-17.3t、従軸2軸が16.6-16.8tであったが、後に6軸とも17.1tと均等化されている。台車枠は2本の側梁の間の動軸・従軸間に2本の横梁とその間のレール方向に心皿穴付の中梁の配置で、いずれも鋼板を溶接組立てとした中空構造となっており、両台車端に鋼材製の端梁が設置されるもので、側梁と横梁は主電動機冷却風用の風洞を兼ねており、側梁の前後端部は車体側からの蛇腹状の風洞が接続される開口部となっている。また、枕ばね は2箇所の動軸・従軸間に左右1本ずつ計4本配置されている。なお、動台車の車体荷重および牽引力の伝達方法は以下のとおり。
荷重:車体台枠下部に1台車あたり左右2箇所ずつ計4箇所設けられた車体支持点→台車枠下部に配置されたH字形状[15] にの上揺枕→左右2本で1組×前後2組のトーションバー式枕ばね(台車の上下方向の動きを吸収)→スイングハンガー(台車の左右方向の動きを吸収)→台車枠上部に配置されたH字形状[16] の下揺枕→下揺枕下部と台車枠左右に張出した荷重受間の摺板(台車の回転方向の動きを吸収)→台車枠→軸ばね→軸箱→動輪・従輪
牽引力:動輪→軸箱支持装置→台車枠→台車中央の心皿穴に配置されたセンターピン→台車枠下部の上揺枕中央の心皿穴(センターピンは左右方向には弾性支持されている、また、センターピンは下揺枕中央の心皿穴まで配置される)→車体台枠下部の1台車あたり4箇所の車体支持点
従台車は同時期に製造されていたRBe4/4形 電車(当時の形式、現在のRe540形)のものと類似構造の鋼板溶接組立式台車で、台枠側梁と中梁は鋼板溶接組み立て式で端梁は鋼材製、当時の軽量客車と比較して車体重量があるため、枕ばねはスイス国鉄のEW I系客車などと異なりトーションバーが片側2本ずつの計4本の構成となっている。また、軸ばねはコイルばね、軸箱支持方式は動力車と同じく円筒案内式となっているほか、基礎ブレーキ装置は両抱式の踏面ブレーキでブレーキシリンダは台車枠に装荷し、台車中央レール面上に電磁石を使用した渦電流式レールブレーキ を装備している。
なお、動輪、従輪ともスイス国鉄の電気機関車では1980年代半に製造された機体まで採用されていたスポーク 車輪ではなく、プレート車輪となっているのが特徴であり、本形式の後、RBe4/4形の量産機以降のスイス国鉄の電車はプレート車輪が標準となっている。また、軸箱ベアリング は自動調心ころ軸受で、動軸は内径140mmのものを2列、従軸は動台車は内径150mm、付随台車は120mmのものを1列使用しており、動軸のみ軸受周囲に円筒状の防振ゴムを設置している。軸ばねは動軸、従軸ともコイルばねであるが、動軸はコイルばねを内側・外側の2重で使用するため、通常円筒案内式では軸ばねの内側に案内用円筒が配置されるところを軸ばねの上部に案内用円筒を直列に配置しているのが特徴である。
ブレーキ装置は電気ブレーキ として動力車に主制御装置による発電ブレーキ を装備するほか、全車に空気ブレーキ 、先頭車および付随車に渦電流式レールブレーキ、両先頭車に手ブレーキ 、動軸以外に電磁空気式の駐機ブレーキを装備している。
電気機器
RAe TEEII 形の主回路ツナギ図
走行用の主な電気機器は動力車である105X/3の機械室内および床下・屋根上に搭載し、主制御装置として低圧タップ切換装置および抵抗制御装置を組合わせており、電化方式毎の制御方式および4基の主電動機の接続方式は以下の通り。
DC1500V(抵抗制御):直並列段(2基直列×2群)(→直並列段弱界磁)→並列段(4基並列)→弱界磁段
DC3000V(抵抗制御):直列段(4基直列)(→直列段弱界磁)→直並列段(2基直列×2群)→弱界磁段
AC15kV、25kV(抵抗制御+タップ切換制御):直並列段(2基並列×2群)→タップ切換制御(2基並列×2群)
電気ブレーキとしては電化方式にかかわらず主電動機の発生電圧を動力車車体内の主抵抗器で消費する発電ブレーキが装備されており、主電動機を4基直列に接続し、界磁は電動発電機により励磁し、主抵抗器によって15段で制御される。
主変圧器は油冷式トランスを動力車の機械室内車体ほぼ中央に搭載しており、連続定格は入力AC15kV 16 2/3Hz時には2592kVA、AC25KV 50Hz時は3375kVA、出力は走行用、列車暖房用、電動発電機駆動用となっており、それぞれに架線電圧AC15kV時用とAC25kV時用のタップが設けられている。主変圧器冷却油は空冷式で主変圧器下部床下にオイルクーラーを搭載している。シリコン整流器はMFO製で、7基のダイオード を直列にしたものを4組並列に接続する構成となっており、2基を搭載してそれぞれに主電動機2基が接続される。主制御装置は抵抗制御器、タップ切換器ともに電磁空気単位接触器式、主抵抗器は車体内抵抗器室に強制風冷式のものが4群構成で搭載されており、それぞれに冷却用の送風機が1基ずつ装備され、車体床板の主抵抗器搭載箇所は冷却気用の大きな開口部となっている。
補機類や空調装置は動力車床下後位側に設置された容量200kVAの電動発電機からのAC380および220V 50Hzで駆動されており、電動発電機は2基の電動機と1基の発電機、発電ブレーキ励磁用発電機、冷却ファンが1軸上に配置されており、架線電圧DC1500V区間では電動機2基を並列に、DC3000V区間では2基直列に、AC15KV、AC25kV区間では主変圧器の電動発電機用出力からの出力で電動機2基を並列に接続して発電機を駆動する。なお、長い下り勾配走行時に架線停電した場合でも発電ブレーキや電動空気圧縮機を始めとする運転機器の機能を維持するため、発電ブレーキ時の主電動機の発生電圧で電動発電機を動作させ、補機類の運転を継続することができる。このほか交流用の主開閉器は空気遮断器 を屋根上に搭載し、補機類は主電動機送風機、主抵抗器冷却用送風機、主変圧器用のオイルポンプ、蓄電池充電用のコンバーター、蓄電池 などを搭載している。
電気連結器は自動連結器上部に重連 総括制御 およびサービス用のものを設置しており、RAe TEEII 形同士の重連総括制御に対応しているが、他形式との併結は考慮していない。
集電装置は本形式用に新しく開発されたAC25kV耐圧、押上力7-16kg可変、160km/h対応で菱型のBBC製のTyp 355を動力車の各台車上に2基ずつ計4基搭載している。なお、屋根上機器スペースを確保し、集電装置を台車中心になるべく近づけるため、隣接する2基の集電装置の枠組管が重なり合うように配置しており、互いに干渉しないよう枠組管を左右にずらした形状となっている。また、各国国鉄毎に集電装置が分かれているが、4基の集電装置は母線で接続されており、電気回路的には同一となっている。各集電装置の使用路線および仕様は下表を参照。なお、スイス国鉄とドイツ国鉄、オーストリア国鉄の電化方式は同一であるが、スイス国内はトンネル断面を小さくするために車両限界が小さくなっており、舟体幅が狭いものを使用している。
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RAe TEEII 形集電装置一覧
路線
電化方式 1961-74年[註 1] 1993年以降
No.4集電装置 No.3集電装置 No.2集電装置 No.1集電装置 No.4集電装置 No.3集電装置 No.2集電装置 No.1集電装置
スイス国鉄
AC15kV 16 2/3Hz × ○ × × × ○ × ×
ドイツ国鉄 オーストリア国鉄
○ × × × × × × ○
フランス国鉄
AC25kV 50Hz × × ○ × × ○ × ×
DC1500V × × × ○ (○) × × ×
オランダ国鉄
○ × × × ○ × × ×
イタリア国鉄
DC3000V × × ○ × × × ○ ×
ベルギー国鉄
○ × × × ○ × × ×
舟体幅
1950mm 1320mm 1450mm 1950mm 1950mm 1450mm 1450mm 1950mm
舟体数
2 1 1 2 2 1 1 1
摺板材質
カーボン アルミニウム 銅・鉄合金 カーボン 銅・鉄合金 カーボン
押上力(160km/h)
16kg 9kg 12kg 16kg
押上力(9km/h)
9kg 7kg 8kg 9kg
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1974年12月1日にN0.1集電装置をドイツおよびオーストリア国鉄用の1950mm幅カーボン摺板1本に変更、その後1984年7月1日よりフランス国鉄DC1500V用集電装置をNo.4へ変更
改造
RABe EC形
1970-80年代にかけて全1等車のTEEは次第に2等車を組み込んだ他種別の列車に移行していったが、RAe TEEII 形についても1987年に発足したユーロシティへ充当することとなり、1988-89年 にかけてチューリッヒ工場でユーロシティでの運行に向けた接客設備の変更を中心とする改造を実施し、形式名もRAe TEEII 形からRABe EC形に変更となっている。主な改造内容は以下の通り。
ユーロシティでは2等車を組み込むこととなったことと、列車内での食事を食堂車での供食から各座席へのシートサービスによる供食に変更するために接客設備の変更を行い、編成の構成も以下の通り変更されている
改造前:1等制御客車 - 1等車 - 食堂車 - 動力車 - 1等車 - 1等制御客車
改造後:2等制御客車 - 2等車 - 2等/バー車 - 動力車 - 1等車 - 1等制御客車
2等車の座席を2+2列の4人掛け、対面式、テーブル組込みのクロスシートの配置に変更
1等車の座席を座席での供食に対応したテーブル組込みのものに変更
客室荷棚の各座席上部に読書灯を設置
客室壁面内装の化粧板を従来の木目調のものから旧食堂車のものと同じ濃赤色のものに、座席モケットを黒、肘掛をグレーのものに変更
食堂/バー車の食堂席の車端側約2/3を2等座席に、バーカウンター側約1/3をサロン席もしくは食堂席に変更した上で、従来食堂席側が動力車側(前位側)であったものをバーカウンター側が動力車側(前位側)となるよう方向転換している。なお、2等室内の照明も食堂車の時と同じ半間接照明のままとなっている。
ケータリング 中心となり、供食量が増加することなどから動力車の厨房を拡大することとなり、厨房の前位側および後位側側にあった事務室とその後位側にあった乗務員用トイレを厨房として一室としている。また、厨房端部(動力車の前位側車端部左右)に食材搬入用の扉を増設しており、側面の通路側は車端部の窓が1箇所埋められ、厨房側は窓2箇所が移設されている。
走行機器類は一部更新、近代化が行われている。
車体塗装もスイス国鉄のUIC-Zタイプのユーロシティ用客車に準じたグレー基調のものに変更されており、車体は屋根を含めてライトグレー、側面および前面の窓周りをダークグレーとしてその上下に白帯が入るものとなっている。標記類としては各車の側面下部中央にスイス国旗と矢印をデザインしたスイス国鉄のマークと「SBB CFF FFS」のロゴが入り、運転室側面下部には「EuroCity」のロゴが入るものとなっている。なお、機体前面のTEEのマークは地色をダークグレーとした上で存置されたほか、先頭部連結器カバーは赤[17] 、屋根上機器はグレー、床下機器はダークグレーとなっている。
改造されたRABe EC形は1989年夏のダイヤ改正から運用に入っており、グレーの車体塗装と流線型の形態から「GRAUEN MAUS」(ドイツ語で灰色のねずみの意)の呼称で呼ばれることもあった。その後1992年 にはピニンファリーナ デザインのRe460形 電気機関車とともにブルネル賞 を受賞している。
集電装置変更
運用される中で各国で使用する集電装置の変更が何度か行われ、1974年12月1日 にN0.1集電装置をドイツおよびオーストリア国鉄用の1950mm幅カーボン摺板1本に変更している。その後1984年 7月1日よりフランス国鉄DC1500V用集電装置をNo.4へ変更(摺板幅および材質に変更なく、1950mm幅カーボン摺板2本)している。
1993年にはスイス国鉄用のNo.2集電装置を1450mm幅カーボン摺板1本のものに変更してフランス国鉄AC25kV用集電装置を兼ねることとし、もともとフランス国鉄用であった1950mm幅鉄・銅合金摺板2本のNo.1集電装置を1950mm幅カーボン摺板1本に変更してこれをドイツ国鉄およびオーストリア国鉄用としている。
主要諸元/装備一覧
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RAe TEEII 形/RABe EC形主要諸元
項目
形式種別 105X/6[註 1] 105X/5[註 2] 105X/4[註 3] 105X/3[註 4] 105X/2[註 5] 105X/1
RAe TEEII 形!
At A WR RDre4/6 A At
RABe EC形 Bt B BR RDre4/6 A At
軌間
1435mm
電化方式
AC15kV 16 2/3Hz、AC25kV 50Hz、DC1500V、DC3000V
編成長
149759mm(1967年までは119824mm)
車体長[註 6]
25200mm 23900mm 24200mm 23900mm 25200mm
車体幅
2840mm
最大幅
3070mm 2840mm 3070mm|
屋根高
4000mm
集電装置折畳高
4240mm
床面高
1150mm 1280mm 1150mm
車軸配置
2'2' (A1A)(A1A) 2'2'
軸距
2700mm 1900mm×2 2700mm
台車中心間距離
18300mm 17000mm 18300mm
車輪径
動輪1110mm[註 7] 、従輪940mm
自重
RAe TEEII 形
編成:296t(1967年までは259t)
40t 37t 40t 102t 37t 40t
RABe EC形
編成:309t
42t 39t 44t 103t 39t 42t
粘着重量
68t
定員
RAe TEEII 形
編成:1等168名(1967年までは126名)、(レストラン48名+バー6名)
1等42名
レストラン48名 バー6名 0名 1等42名
RABe EC形
編成:1等84名、2等147名、(バー12名)
2等54名 2等39名 バー12名[註 8] 0名 1等42名
主制御装置
AC15kVもしくはAC25kV区間:低圧タップ切換+抵抗制御組合式 DC1500VもしくはDC3000V区間:抵抗制御式
主電動機
Typ HFW710直流直巻整流子電動機×4台 端子電圧1500V、1時間定格出力568kW、連続定格出力512kW[註 9]
駆動装置
クイル式駆動方式、減速比:2.34
AC15kV
定格出力
2376kW(1時間定格、於88km/h)、2148kW(連続定格、於93km/h)
定格牽引力
173kN(最大、90km/hまで一定)、95kN(1時間定格、於88km/h)、82kN(連続定格、於93km/h)
AC25kV
定格出力
2272kW(1時間定格、於85km/h)、2048kW(連続定格、於90km/h)
定格牽引力
188kN(最大、85km/hまで一定)、94kN(1時間定格、於85km/h)、80kN(連続定格、於90km/h)
DC1500V DC3000V
定格出力
2272kW(1時間定格、於85km/h)、2048kW(連続定格、於90km/h)
定格牽引力
188kN(最大、70km/hまで一定)、94kN(1時間定格、於85km/h)、80kN(連続定格、於90km/h)
連続定格発電ブレーキ力
74kN
最高速度
160km/h
最高速度時牽引力
40kN
ブレーキ装置
空気ブレーキ、手ブレーキ、発電ブレーキ、渦電流レールブレーキ
装備一覧
運転室
○ × × × × ○
乗務員事務室
× × × ○ × ×
厨房
× × × ○ × ×
業務室
× × × ○ × ×
乗降扉
○ ○ × × ○ ○
主制御装置
× × × ○ × ×
主電動機
× × × ○ × ×
集電装置
× × × ○ × ×
補助電源装置
× × × ○ × ×
RAe TEEII 形 装備一覧
1等室
○ ○ × × ○ ○
レストラン
× × ○ × × ×
バー
× × ○ × × ×
手荷物置場
○ ○ × × ○ ○
トイレ
○ ○ × (○)[註 10] ○ ○
RAe EC形 装備一覧
1等室
× × × × ○ ○
2等室
○ ○ ○ × × ×
バー
× × ○ × × ×
手荷物置場
○ ○ × × ○ ○
トイレ
○ ○ × × ○ ○
閉じる
いずれも動輪周上出力、このほか1時間定格電流400kW、回転数986rpm、トルク5.49kNm、連続定格電流360A、回転数1045rpm、トルク4.67kNm、最大端子電圧2000V、電流650A、回転数1860rpm、トルク11.08kNm
TEE
TEE「ゴッタルド」として運行されるRAe TEEII 1053号機、1988年、コモ S. ジョバンニ駅 TEE「シザルパン」として運行されるRAe TEEII 形、1964-65年頃 TEE「イリス」として運行中のRAe TEEII 形、チューリッヒ中央駅 、1979年 TEE「ゴッタルド」の行先表示、1983年
RAe TEEII 形は1961年の落成以降各地で試運転が実施されて性能試験等を行い、4月20日には報道向け試運転も実施している。なお、試運転当初の7月15日までの期間は編成両前頭部のTEEマークを設置していなかった。各国での試運転の最初の年月日は以下の通りであった。
スイス国鉄:1961年4月12日
フランス国鉄(DC1500V区間):1961年4月24日
フランス国鉄(AC25kV区間):1961年4月28日
イタリア国鉄(DC3000V区間):1961年5月10日
RAe TEEII 形は1961年7月1日よりチューリッヒ - ミラノ間のゴッタルドおよびティチーノと、パリ - ローザンヌ - ミラノ間のシザルパンとして運行を開始しているが、1054号機が営業に入る9月までは予備車なしでの運行であった。なお、1962年から1965年までの間はゴッタルドルートにおけるTEEの予備編成として、チューリッヒにゴッタルドの予備としてRe4/4I 形 電気機関車(当時の形式、現在のRe410形)と1等客車4両、食堂車1両の編成が、キアッソにティチーノの予備としてRe4/4I 形もしくはAe6/6形 電気機関車(同、Ae610形)と1等客車4両、食堂車1両編成が用意されていた。
その後、1974年のTEE列車の改編によりとしてゴッタルド、イリス、エーデルヴァイスでの運行となったが、TEE創立当初の気動車による運行や、RAe TEEII 形のような多電源方式の電車による運行は、車両の構造が複雑な上に固定編成で旅客の増減への対応が難しいために普及せず、1963年以降各国で電気機関車が牽引する客車列車によるTEEの運行が開始され、スイス国鉄でもその後のヘルヴェティア 、ローラント、レマノ、シザルパン、ラインゴルト、バヴァリアといったTEE列車はRe4/4I 形、Re4/4II 形 (現在のRe420形)をTEE塗装とした機体を始めとする電気機関車が牽引している。さらに、1970年代後半から80年代前半にかけて、全1等車で1日数往復のTEEは、次第に2等車を連結し、西ドイツなどではパターンダイヤを採り入れたインターシティなどの他列車に置き換えられており、その流れの中でRAe TEEII 形についても1981年 5月31日 以降のTEE列車としての運行はゴッタルドのみとなり、余剰の機体は臨時・団体列車などでの運行で使用されていた。
1981年には西ドイツで成功していた、403形 電車によるルフトハンザ・エアポート・エクスプレス を参考にスイス航空 [18] がチューリッヒ空港からバーゼルSBB間のチャーター列車を運行していたが、1983年 には廃止となっている。
その後1984年1月22日のTGV のローザンヌ乗入に伴い、TGVからベルンへの接続列車として運行されることとなり、2往復が設定されているが、この列車では食堂車の105X/4と105X/5、105X/6号車は2等車として運行されているが、TEEのゴッタルドを運行しつつRAe TEEII 形からRABe EC形への改造車を確保するため、1987年に一旦客車列車に置換えられている。
なお、RAe TEEII 形の各鉄道における最高運転速度は以下の通りであった。
スイス国鉄 - 125km/h(1962年5月以降グランジュ - シエルおよびフィスプ - ブリーク - シンプロントンネル 内は140km/h)
イタリア国鉄 - 140km/h(後に160km/h)
フランス国鉄 - 160km/h(1961年10月10日までは140km/h)
各列車の概説は以下の通り。
ゴッタルド/ティチーノ
1961年のRAe TEEII 形の運行開始時にチューリッヒ - ミラノ間に設定された2往復のスイス・イタリア間のTEE列車がゴッタルドとティチーノで、ゴッタルドルートによるアルプス越えのゴッタルド鉄道トンネル とその前後に26パーミル区間が連続する区間を走行する列車であった。なお、ゴッタルドルートでの運転最高速度は食堂車や厨房におけるガラス瓶や什器類の破損を防ぐため通常の80km/hから75km/hへ抑えられていた。1961年7月1日ダイヤでのゴッタルドおよびティチーノの運行区間と停車駅は以下の通り。
その後RAe TEEII 形によるTEE列車も、1981年のイリスの客車列車置換え後はゴッタルドのみとなり、多くのTEEが廃止や別種別列車に置き換えられている中で1987年5月31日のユーロシティ創設後はゴッタルドが唯一の国際TEE列車[19] として残っていた。
シザルパン
ゴッタルドやティチーノと並んで1961年のRAe TEEII 形の運行開始時にパリ - ローザンヌ - ミラノ間に設定された1往復のフランス・スイス・イタリア間のTEE列車がシザルパンであり、1961年7月1日ダイヤでの運行区間と停車駅は以下の通り。
シザルパンは1965年冬以降多客時にパリ - ヴァロルブ間はTEEと別列車による続行運転、ヴァロルブ - ローザンヌ間は重連による10両編成で運行されていたが、1967年に1055号機が増備された後の1968年以降はパリ - ローザンヌ間は重連運転が基本となり、列車によってはパリ - ブリークもしくはミラノ間まで重連で運転されて輸送力の増強を図っていた。しかしながら、RAe TEEII 形では多客時の対応が難しいことから1974年5月26日から同列車は電気機関車とフランス国鉄(一部スイス国鉄)のミストラル69形 [20] 客車による運行に変更となっている。
エーデルヴァイス/イリス
1974年5月にRAe TEEII 形の運用列車の見直しがなされ、シザルパンの客車列車置換えとティチーノの運転を運転取りやめ、代わりにブリュッセル - ルクセンブルク - チューリッヒ間に1往復のイリスが新設され、従来RAm TEEI 形とDE-IV形で運行されていたアムステルダム - ブリュッセル - チューリッヒ間1往復のエーデルヴァイスをRAe TEEII 形に置き換え、同時に運行区間がイリスと同一のものに変更となったベルギー・ルクセンブルク・フランス・スイス間のTEE列車となっている。1974年5月26日ダイヤでの運行区間と停車駅は以下の通り。
なお、1974年までの間もRAe TEEII 形はRAm TEEI 形とDE-IV形によるエーデルヴァイスの予備機となっており、実際に何度かアムステルダムまでの運用に使用されている。
エーデルヴァイスは1979年に客車による2等車を含む急行列車に変更となり、イリスは1981年に客車列車によるインターシティに変更され、RAe TEEII 形による運行を終了している。
スイス国内列車番号、イタリア国内では695/696
運行区間詳細は次の通り、1965年5月30日-69年5月31日:バーゼルSBB発着、1969年6月1日-82年5月25日:バーゼルSBB発、1974年5月26日-79年9月29日:夏季はジェノバ発着、1987年5月31日-88年9月24日:チューリッヒ空港発着
スイス国内列車番号、イタリア国内では697/694
1963年5月26日以降、イタリア国内では697/694
スイス国内列車番号、フランス国内では9/10、イタリア国内では793/792
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RAe TEEII 形列車別食堂車運営会社一覧(TEE/1961-88年)
列車種別
列車名 運営会社 運営開始 運営終了
TEE
ゴッタルド SSG[註 1] 1961年 1964年
CIWL [註 2] 1964年 1969年
SSG 1969年 1988年
ティチーノ SSG 1961年 1964年
CIWL 1964年 1969年
SSG 1969年 1974年
シザルパン CIWL 1961年 1974年
エーデルヴァイス SSG 1962年 1979年
イリス SSG 1974年 1981年
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Schweizerische Speisewagen-Gesellschaft、スイス食堂車会社
Compagnie internationale des wagons-lits、国際寝台車会社、1967年以降はCompagnie internationale des wagons-lits et du tourisme(CIWLT)、国際寝台車・ツーリズム会社となる
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RAe TEEII 形運用表(1961年7月1日改正)
日程 列車番号 列車名 運行区間 走行距離
1日目
ZM2 ゴッタルド チューリッヒ中央(8:45) - ミラノ中央(12:45) 1115km
39 シザルパン ミラノ中央(14:55) - ローザンヌ - パリ(22:55)
2日目
50 シザルパン パリ(13:15) - ミラノ中央(21:15) 822km
3日目
MZ1 ティチーノ ミラノ中央(8:20) - チューリッヒ中央(12:20) 879km
ZM4 ティチーノ チューリッヒ中央(12:40) - ミラノ中央(16:40)
MZ3 ゴッタルド ミラノ中央(17:05) - チューリッヒ中央(21:05)
4日目
予備(チューリッヒ)
0km
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RAe TEEII 形運用表(1974年5月26日改正)
日程 列車番号 列車名 運行区間 走行距離
1日目
90 エーデルヴァイス チューリッヒ(07:05) - ブリュッセル(14:04) 1362km
93 エーデルヴァイス ブリュッセル(16:13) - チューリッヒ(23:11)
2日目
92 イリス チューリッヒ(15:37) - ブリュッセル(22:34) 681km
3日目
91 イリス ブリュッセル(07:01) - チューリッヒ(13:45) 681km
4日目
回送 チューリッヒ - バーゼル 762km(1076km)
59 ゴッタルド バーゼル - チューリッヒ - ミラノ( - ジェノバ)
58 ゴッタルド (ジェノバ -)ミラノ - チューリッヒ
5日目
予備(チューリッヒ)
0km
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RAe TEEII 形運用表(1984年夏ダイヤ)
日程 列車名 運行区間 走行距離
1日目(その1)
ゴッタルド チューリッヒ - ミラノ 584km
ゴッタルド ミラノ - チューリッヒ
1日目(その2)
シャンゼリゼ ルテチア シザルパン ベルン - フラーヌ 681km
フラーヌ - ベルン
ベルン - フラーヌ
フラーヌ - ベルン
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ユーロシティ
RABe TEEII 形に改造後、ユーロシティとして運行中、1990年代初めころ、ベルン 駅
ヨーロッパにおけるTEE列車は1970-80年代には次第に2等車を組み込んだ通常の列車や国際インターシティと呼ばれる国際列車に置き換えが進んでいたが、1987年5月31日にはヨーロッパの新しい国際列車としてユーロシティが創設された。ユーロシティはTEEとは異なり、2等車も組み込んだ列車となっており、運行当初の1987年には以前TEEであったイリスやシザルパン[22] などの列車を含め64往復が創設されており、スイス発着・経由する客車列車としても昼行34.5往復、夜行[23] 2往復のユーロシティが設定されていた。
1987年当時RAe TEEII 形はTEEのゴッタルド1往復とベルン - TGV連絡列車2往復で運行されていたが、スイス国鉄ではこれをRABe EC形に改造し、まず1988年9月25日にゴッタルドをTEEからユーロシティに変更をしている。その後、1989年10月18日の全5編成の改造の終了を受けて、1989年5月28日 のダイヤ改正時にスイス - イタリア間の国際列車として、チューリッヒからゴッタルドルート経由のマンゾーニ、ローザンヌ、およびジュネーブからシンプロンルート経由のシザルパン、ルテチア、レマノの計3往復が新たに設定されたり、客車列車から置き換えられたりしてRABe EC形での運行となっている。
その後1992年5月にはシザルパンの片道とルテチアが客車列車に置換えられたほか、1993年にはRABe EC形の運用が大きく見直されてシンプロンルート経由のシザルパンおよびレマノが客車列車に置換えられ、新たにチューリッヒ - シュトゥットガルト間のスイス・ドイツ国際列車のユトリベルクおよびキレスベルクが設定されるとともに、かつてRAe TEEII 形も使用されていたベルン - TGV連絡インターシティのうち2往復が客車列車からRABe EC形での運行となっている。しかし、1993年 7月22日 にゴッタルドで運行されていた1054号機の1054/1号車が車軸折損による脱線事故を起こし、調査の結果、老朽化により各所の亀裂の進行が速まっていることが判明したため、1994年 8月7日 のダイヤ改正でRABe EC形の運行が縮小されることとなった。
1994年8月7日のダイヤ改正によってRABe EC形はユーロシティの運行から外れ、インターシティのベルン - TGV連絡列車と団体・臨時列車での運行で使用されるのみとなり、1999年 11月28日 のダイヤ改正で全ての運用から外れている。
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RABe EC形運用一覧(ユーロシティなど/1988-99年)
列車種別
列車番号 列車名 運行区間 運行開始 運行終了
ユーロシティ
EC57/58 ゴッタルド チューリッヒ - ミラノ - チューリッヒ[註 1] 1988年9月25日 1994年8月7日
EC50/51 マンゾーニ[註 2] チューリッヒ - ミラノ - チューリッヒ[註 3] 1989年5月28日 1993年5月22日
EC36 シザルパン ミラノ - ローザンヌ 1989年5月28日 1993年5月22日
EC33 ジュネーブ - ミラノ 1989年5月28日 1992年5月30日
EC34 ルテチア ミラノ - ジュネーブ 1989年5月28日 1992年5月30日
EC35 レマノ[註 4] ローザンヌ - ミラノ 1989年5月28日 1993年5月22日
EC158/159 ユトリベルグ[註 5] チューリッヒ - シュトゥットガルト - チューリッヒ空港 1993年5月23日 1994年8月7日
EC154/155 キレスベルク[註 6] シュトゥットガルト - チューリッヒ空港 - シュトゥットガルト 1993年5月23日 1994年8月7日
インターシティ
IC426/427 ベルン - フラーヌ - ベルン[註 7] 1993年5月23日 1999年11月27日
IC420/423 ベルン - フラーヌ - ベルン[註 8] 1993年5月23日 1997年9月27日
IC422/421 ベルン - フラーヌ - ベルン[註 9] 1997年9月28日 1999年11月27日
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1989年5月28日-91年6月1日の間はヴィンタートゥール発
1989年5月28日-91年6月1日の間はヴィンタートゥール着
1997年9月27日まではカーツァース経由、以降はビール/ビエンヌ経由
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RABe EC形運用表(1989年5月28日改正)
日程 列車番号 列車名 運行区間 走行距離
1日目
EC51 マンゾーニ チューリッヒ中央 - ミラノ 932km
EC36 シザルパン ミラノ - ローザンヌ
EC35 レマノ ローザンヌ - ミラノ
2日目
EC34 ルテチア ミラノ - ジュネーブ 760km
EC33 シザルパン ジュネーブ - ミラノ
3日目
EC50 マンゾーニ ミラノ - チューリッヒ中央 - チューリッヒ空港 - ヴィンタートゥール 938km
EC57 ゴッタルド ヴィンタートゥール - チューリッヒ空港 - チューリッヒ中央 - ミラノ
EC58 ゴッタルド ミラノ - チューリッヒ中央
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RABe EC形運用表(1993年5月23日改正/月-金曜)
日程 列車番号 列車名 運行区間 走行距離
1日目
EC158 ユトリベルグ チューリッヒ中央 - シュトゥットガルト 502km
EC159 ユトリベルグ シュトゥットガルト - チューリッヒ博物館通り - チューリッヒ空港
2日目
1848 チューリッヒ中央 - ベルン 570km
IC420 インターシティ ベルン - フラーヌ
IC423 インターシティ フラーヌ - ベルン
IC426 インターシティ ベルン - フラーヌ
IC427 インターシティ フラーヌ - ベルン
3日目
1849 ベルン - チューリッヒ中央 938km
25731 チューリッヒ - エフレーティコン
25738 エフレーティコン - チューリッヒ空港
EC154 キレスベルク チューリッヒ空港 - チューリッヒ博物館通り - シュトゥットガルト
4日目
EC155 キレスベルク シュトゥットガルト - チューリッヒ博物館通り 914km
EC57 ゴッタルド チューリッヒ博物館通り - チューリッヒ空港 - チューリッヒ中央 - ミラノ
EC58 ゴッタルド ミラノ - チューリッヒ中央
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廃車・動態保存
動態保存されてファントレインとして運行されるRAe TEEII 1053号機、ゴッタルド峠南側のラヴォルゴ、2007年 動態保存されるRAe TEEII 1053号機の食堂車室内、2007年
RABe EC形は最終的にはベルン - TGV連絡列車2往復と臨時・団体列車用として運行されていたが、1999年には全ての運用を外れて廃車となっている。各車の廃車年月日および通算走行距離は以下の通り。
1051 - 1999年 12月31日 - 676万km
1052 - 1995年 2月28日 - 637万km(1052/3(旧1053/3)は630万km)
1053 - SBB Historic(動態保存 ) - 647万km(1053/3(旧1055/3)は458万km、動態保存までの分)
1054 - 1995年2月28日 - 643万km
1055 - 1999年12月31日 - 467万km(1055/3(旧1052/3)は663万km)
用途廃止となった1997年以降エルストフェルトに留置されていた1053号機は2002年 にスイス国鉄の歴史的車両に指定され、2002年5月にはスイス最大級の私鉄で、BLSレッチュベルク鉄道(現在のBLS AG )[24] のインターラーケン ・オスト駅に回送され、その後7月にはベーニゲン工場[25] に搬入されて復元工事が行われることとなったほか、部品確保用として2002年12月に1055号機が同じくビール/ビエンヌ からBLSレッチュベルク鉄道のインターラーケン・オストに回送され、その後シュピーツ構内に移されている。
復元改造の内容は、各所や機器の補修の実施のほか主なものは以下の通りであり、1等車の室内や手荷物置場はRABe EC形ベースのもの、同じくRABe EC形仕様とする際に改造された動力車の1053/3の車内や増設された搬入扉等もそのままであり、完全には元のRAe TEEII 形の状態に戻されていない。
車体塗装を赤とクリーム色のTEE塗装に変更
RABe EC形でも1等車であった1053/1、1053/2号車の室内はほぼそのままとしている
1053/3号機は厨房機器を新しいものに更新
食堂車から2等/バー車に改造されていた1053/4号車は内装を食堂車に復元し、RABe EC形に改造した際に方向転換していたものを再度方向転換して元の向きに復帰、なお、バーカウンター部の天井はRAe TEEII 形の時の青ではなく白となっている
1053/5号車は2等座席を撤去してテーブルと座席を配置し、車内中央に電子ピアノ を設置してラウンジに改造
1053/6号車は2等座席を1055号機から座席を流用して1等車に改造
復元改造の終了した1053号機は2003年 6月12日 にロールアウトしており、バーゼルに配置されてスイス国内を中心とした各種企画列車や団体旅客列車として運行されているが、部品供給用 としてシュピーツ構内に留置されていた1055号機は2003年7月に解体業者に引渡されている。
復元後はAC15kV 16.7Hz区間でのみ運行されていたが、その他の電気方式でも走行できるようシュタッドラー・レール [26] にて復元が進められ、2012年 5月4日 に一旦フランス国鉄のDC1500V区間での試運転が実施され、その後2014年 4月14日 にフランス国鉄のAC25kV区間、 4月15日 に同じくフランス国鉄のDC1500V区間、 4月17日 にはイタリア国鉄のDC3000V区間のそれぞれでの確認試運転を実施し、その後は設計通りの4種の電源区間での走行が可能となっている。また、欧州共通の信号システムであるETCS を搭載計する計画が進められている。
Trans Europ Express、日本語では「欧州特急」、「ヨーロッパ横断特急」、「ヨーロッパ国際特急」等と訳される
EuroCity, 略称 EC、日本語では「ヨーロッパ都市間特急」等と訳される
残りのオーストリア、ベルギー、ルクセンブルク各国鉄は運行のみを担当
Schweizerische Industrie-Gesellschaft, Neuhausen
Maschinenfabrik Oerlikon, Zürich
いずれの国鉄も現在ではAC15kV 16.7Hzに変更されている
後にサイリスタ位相制御が実用化されるまでの間、直流電動機を使用した本線用の機関車は高圧タップ切換制御とシリコン整流器に直流複巻電動機を組合わせたベルン・レッチュベルク・シンプロン鉄道のRe425形 (1964年 製)のみであった
Brown Boveri & Cie, Baden
国内TEEに電車を使用した例としては、イタリア国鉄ではローマ - ミラノ間の国内TEEセッテベロにETR300型を、ドイツ国鉄では403形を国内TEEのゲーテで使用したというものがある
本形式の後に製造された3両固定編成のRABDe12/12形 (後のRABDe510形)も同様の付番方式であったが、こちらは3両の各車体に機番/1、機番/2、機番/3の車両番号が表記されていた
スイスでは編成表や形式図などは右側が前位側とされることが多い
Firma Georg Fischer AG Schaff hausen
台車枠下部に前後方向に配置され、動軸と縦軸の間で台車枠外側左右に腕を出す形状
台車枠上部に左右方向に配置され、動軸と縦軸の間に配置されたスイングハンガーに向けて前後方向に腕を出す形状
改造当初は車体と同じグレーとなっている機体もあった
フランスで国内運行のみのTEEが1991年5月30日まで運行されており、1993-95年にはパリ - ブリュッセル間で2等車を含むTEEが一時的に運転されていた
1996年に BLSグループのベルン-レッチュベルグ-シンプロン鉄道(Bern-Lötschberg-Simplon-Bahn(BLS))とギュルベタル-ベルン-シュヴァルツェンブルク鉄道(Gürbetal-Bern-Schwarzenburg-Bahn(GBS))、シュピーツ-エルレンバッハ-ツヴァイジメン鉄道(Spiez- Erlenbach-Zweisimmen-Bahnn(SEZ))、ベルン-ノイエンブルク鉄道(Bern-Neuenburg-Bahn(BN))が統合してBLSレッチュベルク鉄道(BLS LötschbergBahn(BLS))となったものであり、さらに2006年にはミッテルランド地域交通(Regionalverkehr Mittelland(RM))と統合してBLS AGとなる
BLS-Werkstätte Bönigen、インターラーケン・オスト駅に隣接する車両工場
Stadler Rail AG, Bussnang
Robert Guignard, Klaus von Meyenburg 『Die elektrischen Trans-Europ-Express-Züge der SBB』 「Schweizerische Bauzeitung (Vol.80 1962 )」
Christian Zellweger 「TEE – Ikone der Luxuszüge」(AS Verlag) ISBN 3-905111-95-0
Reto Danuser, Hans Streiff 「Die elektrischen und Dieseltriebfahrzeuge der SBB (Teil 2) Band 2: Konstruktionsjahre 1952 - 1975 」(Minirex) ISBN 978-3-907-014363
Peter Goette, Peter Willen 「TEE-Zuge in der Schweiz und Schweizer TEE-Zuge in Ausland 」 (EK-Verlag) ISBN 978-3-88255-697-1
Peter Willen 「Lokomotiven und Triebwagen der Schweizer Bahnen Band1 Schweizerische Bundesbahnen (SBB) 」 (Orell Füssli) ISBN 3-280-01618-5
Dvid Haydock, Peter Fox, Brian Garvin 「SWISS RAILWAYS」 (Platform 5) ISBN 1-872524-90-7
Cyrill Seifert 「Typenkompass Loks der SBB Schweizerische Bundesbahnen 1902 bis heute 」 ISBN 978-3-613-71387-1
Markus Inderst 「Bildatlas der SBB-Lokomotiven」 (GeraMond) ISBN 978-3-86245-103-6
「SBB Lokomotiven und Triebwagen」 (Stiftung Historisches Erbe der SBB)