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アメリカの映画作品 ウィキペディアから
『オーシャンズ13』(オーシャンズ・サーティン、原題: Ocean's Thirteen)は、2007年のアメリカ映画。主人公ダニー・オーシャン率いる犯罪スペシャリスト集団の活躍を描いたシリーズ3作目。裏切られた仲間の報復のために、ラスベガスのホテル王を破滅させるべく活動するケイパー映画。監督はスティーヴン・ソダーバーグ。主演は引き続きジョージ・クルーニー、ブラッド・ピットほか、マット・デイモンやアンディ・ガルシアが登場し、新規キャストとしてアル・パチーノ、エレン・バーキンが登場する。前作の主要キャストであったヴァンサン・カッセルも登場するが、ジュリア・ロバーツやキャサリン・ゼタ=ジョーンズは登場しない。
オーシャンズ13 | |
---|---|
Ocean's Thirteen | |
監督 | スティーヴン・ソダーバーグ |
脚本 |
ブライアン・コペルマン デヴィッド・レヴィーン |
製作 | ジェリー・ワイントローブ |
製作総指揮 |
スーザン・イーキンス グレゴリー・ジェイコブス フレデリック・W・ブロスト ブルース・バーマン ジョージ・クルーニー |
出演者 |
ジョージ・クルーニー ブラッド・ピット マット・デイモン アンディ・ガルシア ドン・チードル バーニー・マック エレン・バーキン アル・パチーノ |
音楽 | デヴィッド・ホームズ |
撮影 | スティーブン・ウィリアムス |
編集 | スティーヴン・ミリオン |
製作会社 | ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 |
2007年6月8日 2007年8月10日 |
上映時間 | 122分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $100,000,000 |
興行収入 |
$311,312,624[1] $117,154,724[1] 32億円[2] |
前作 | オーシャンズ12 |
次作 | オーシャンズ8 |
本作のチームは前作の12人からテスが抜け、前作脇役のローマン・ネーゲルと仇敵テリー・ベネディクトを加えた13人である。
アメリカでは2007年6月5日にプレミア上映されたのち、6月8日に3565館で公開され、週末興行成績で初登場1位になり、トップ10内に6週間いた。日本では同年8月4日に先行上映された後、8月10日金曜日に丸の内ピカデリー1系列ほかで公開された。
ルーベン・ティシュコフは、ホテル王ウィリー・バンクと共同経営の約束をしてラスベガスの新しいホテルへ投資する。ダニー・オーシャンら友人たちは、ビジネスでの裏切りで悪名高いバンクと手を切るよう忠告するが、ルーベンは「シナトラと握手した」として逆にバンクを擁護する。しかし、ダニーらの予想通り、バンクはルーベンを裏切り、土壇場で脅迫して彼をホテルの経営から追い出す。このショックでルーベンが心筋梗塞を起こして寝たきりになってしまったと知ったダニーは、ラスベガスに急行する。既に裏稼業からは足を洗っていたダニーはバンクに説得を試みるが、彼はまったくとり合わず、むしろ新しいホテルの名に自身の名を冠した「ザ・バンク」と名付ける。ダニーは報復のために再び仲間たちを結集させ、ホテルのプレオープン日に、彼を破滅させる計画を立てる。
集まった仲間たちを前にダニーは、今回の目標は2つであることを伝える。1つ目は権威あるホテル格付け「5ダイヤモンド」の受賞を阻むこと。そのために、客として訪れたソール・ブルームをホテル側に格付けの極秘調査員と誤認させる一方で、本物の調査員を悲惨な目に合わせる。2つ目はカジノの運営権を失わせるために、プレオープン日でカジノに大量の払い出しを起こさせること。少なくともホテル側は初日に5億ドル稼げないと、ラスベガスの賭博委員会に運営権を譲渡しなければならない取り決めがあった。このため、イカサマやトリックが仕込まれたカジノ器具をホテルに送り込むべくダニーらは暗躍し、また、ギャンブラーの生体情報を監視してイカサマなどの不正を探知する超高度セキュリティ・システム「グレコ」対策を練る。
しかし、計画はトラブルが続出し、いつもなら資金をサポートしてくれたルーベンが不在ということもあって資金不足に悩まされてしまう。そこでダニーは起死回生の策として仇敵テリー・ベネディクトに協力を求める。ベネディクトもまたバンクを忌々しく思っている1人であり、ダニーを憎みながらも、手を貸すことを決める。ただし、ベネディクトが一方的に有利な契約条件の上に、さらに彼はバンクが「5ダイヤモンド」受賞の度に記念に購入し、2億5,000万ドル以上の価値があるとされるダイヤモンド・コレクションの強奪も要求し、ダニーはこれを飲む。その上でベネディクトは「ナイト・フォックス」ことフランソワ・トゥルアーとも極秘に連絡を取り合っており、ダニーへの復讐としてダイアモンドの横取りを企んでいた。引き続き細かいトラブルは続出するものの、ダニーらは準備をすすめ、ついにプレオープンの日を迎える。
計画当夜。何かが水面下で動いていると察知していたバンクの側近アビゲイル・スポンダーが呼んだFBI捜査官たちがホテルに到着し、カードシャッフル機の細工を発見して機械は交換されてしまう。さらには捜査官のリーダーであるロバートはスポンダーの籠絡を担当していたライナス・コールドウェルの正体も見破り、彼を逮捕してしまう。しかし、このFBI捜査官たちは偽者で、これもダニーらの仲間たちであり、シャッフル機はむしろ本当に細工したものにすり替えられ、またロバート捜査官こそ、ライナスの父で伝説の泥棒「ボビー・コールドウェル」本人であった。ライナス達は盗んだダイアモンド・コレクションを持って逃げようとしていたところに、トゥルアーが現れ、横取りされてしまう。しかし、これもダニーが前もって予測しており、トゥルアーが横取りしたのは既に偽物にすり替えられたダイアモンドであった。
引き続き計画は進行し、バンクの携帯電話に仕掛けられた強力な磁気発生装置で「グレコ」は麻痺させられ、その瞬間にスロット、ルーレット、バカラとほぼすべてのギャンブルでイカサマが発生して次々と客側が大勝を収めていく。トドメとしてホテルの地下に密かに掘られたトンネルから爆弾で擬似的な地震が起こると、客たちは勝ち分を確定させてそのままホテルから逃げ出し、バンクは大損する。事態に呆然とするバンクにダニーが近づき、ルーベンに対する報復であったことを明らかにした上で、ルーベンに行った行為自体が違法行為であるために警察を頼ることができないこと、また非合法手段で報復しようにも、裏社会は裏切り者のバンクよりルーベンに味方することを自覚させる。
後日、ダニーと仲間たちは今回得た多額の報酬を、快復したルーベンへの餞別として新しいホテルの建設費用の原資とする。また、ベネディクトへの報酬7200万ドルは、直接渡さずに慈善事業団体に対して彼名義の寄付として払ってしまい、怒るベネディクトに対し、篤志家として名が売れるとダニーは嘯く。結局、ベネディクトはダニーの提案を飲み、世論から称賛を受けながら大々的な記者会見を開く。その会見の映像を、空港のロビーにてダニー、ラスティー、ライナスが眺めている。そこに、今回の計画のために不当に酷い目に合わされた本物の格付け審査員が現れ、ラスティが操作したスロットで1100万ドルを獲得し、彼の被害は補償される。
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |
---|---|---|---|
ソフト版 | フジテレビ版[3] | ||
ダニー・オーシャン | ジョージ・クルーニー | 小山力也 | 磯部勉 |
ラスティ・ライアン | ブラッド・ピット | 細井治 | 堀内賢雄 |
ライナス・コールドウェル | マット・デイモン | 竹若拓磨 | 桐本琢也 |
フランク・キャットン | バーニー・マック | 茶風林 | 銀河万丈 |
バシャー・ター | ドン・チードル | 大黒和広 | 檀臣幸 |
バージル・モロイ | ケイシー・アフレック | 落合弘治 | 村治学 |
ターク・モロイ | スコット・カーン | 木下浩之 | 古田信幸 |
イエン | シャオボー・チン | 小野塚貴志 | 樫井笙人 |
リヴィングストン・デル | エディ・ジェイミソン | 渡辺穣 | 田原アルノ |
ルーベン・ティシュコフ | エリオット・グールド | 富田耕生 | 内海賢二 |
ソール・ブルーム | カール・ライナー | 大木民夫 | 富田耕生 |
テリー・ベネディクト | アンディ・ガルシア | 内田直哉 | 大塚芳忠 |
ウィリー・バンク | アル・パチーノ | 有本欽隆 | 羽佐間道夫 |
アビゲイル・スポンダー | エレン・バーキン | 深見梨加 | 小宮和枝 |
フランソワ・トゥルアー | ヴァンサン・カッセル | 大塚芳忠 | 東地宏樹 |
ローマン・ネーゲル | エディー・イザード | 諸角憲一 | 金尾哲夫 |
極秘調査員 | デヴィッド・ペイマー | 石波義人 | 牛山茂 |
グレコ・モンゴメリー | ジュリアン・サンズ | 金尾哲夫 | 山野井仁 |
ロバート | ボブ・アインシュタイン | 幹本雄之 | 佐々木敏 |
デニー・シールズ | ジェリー・ウェイントラーブ | 金子達 | 中博史 |
デビー | オルガ・ソスノフスカ | 石井宏奈 | 森夏姫 |
オプラ・ウィンフリー | 新田万紀子 | 田村聖子 | |
Dr.スタン | マイケル・マンテル | 中博史 | |
オルテガ | エンジェル・オクウェンド | 髙階俊嗣 | |
ニール | ドン・マクマナス | 落合弘治 | |
ユージーン | アーメン・ワイツマン | 中川慶一 | |
バーニー・ユーマン | 岩崎ひろし | 辻親八 | |
ピットボス | 中村浩太郎 | ||
警備チーフ | 駒谷昌男 | ||
ウェイトレス | クリス・カネ | 石井宏奈 | 中司ゆう花 |
バンクの部下 | 竹田雅則 | ||
エキスポの女性 | ヌリーン・デウルフ | 石井宏奈 | 洞内愛 |
※機内上映用吹替え版も存在する。
2006年1月、プロデューサーたちがシリーズの新作の大部分をウィン・ラスベガスを舞台に撮影するかについて議論していると報じられた。クルーニーは以前からラスベガスのLas Ramblas Resortで撮影されることを希望していたが、プロジェクトの準備が間に合わなかったと推測される[4]。2006年3月に入り、ワーナー・ブラザースの5つのサウンド・ステージに構築されたカジノのセットで撮影する予定であることが報じられた[5]。また、2006年7月にはラスベガスとロサンゼルスで撮影が開始される予定であった[6]。2006年4月にはアル・パチーノがキャストに加わることが判明した[7]。
2006年7月中旬にラスベガスでロケハンが行われ、第1作『オーシャンズ11』でも使用されたベラージオがロケ地に決定した[8]。ラスベガスでの撮影は2006年8月7日から始まり[9]、マッカラン国際空港とヘリポートで撮影が行われた[10]。翌日には、当時建設中だったザ・パラッゾにて撮影が行われた[11]。2006年8月9日、ベラージオの奥のオフィスにてクルーニー、ピット、デイモン、ガルシアのシーンが撮影が完了して、ラスベガスでの撮影はすべて終わった[11]。当時、クルーニーとプロデューサーのジェリー・ワイントローブは、ラスベガスでのプレミア上映も検討していた。2006年9月に再びラスベガスでの撮影が予定され[12]、その中にはベラージオ内部の追加撮影も含まれていた[11]。
本作においてジュリア・ロバーツとキャサリン・ゼタ=ジョーンズは登場せず、ダニーとラスティの会話にわずかに登場するのみである。これは、彼女らが物語のプロットに重要な役目を果たさないならば、参加しないことを望んだためであり、結局、脚本はその希望に対応できなかった。これは映画の早い段階で、チームのメンバーから彼女らの参加を尋ねられたダニーが「彼女たちは関係ない」と言及したことで示されている[13]。前2作でカメオ出演していたトファー・グレイスは、『スパイダーマン3』の再撮影のために参加ができなかった[14]。
公開初週(週末)の興行収入は3,600万ドルで首位を獲得し、好調な滑り出しであった。ただし、前作『オーシャンズ12』と比べると、250以上の劇場で公開されたにもかかわらず前作の初週成績3,900万ドルには及ばず、やや低調であった[15][16]。最終的な成績は2007年12月末で、アメリカでは1億1,720万ドル、世界全体では3億1,140万ドルであった[17]。
レビュー集計サイト「Rotten Tomatoes」では197件のレビューを基に70%の支持、平均評価は6.38/10となっている。同サイトの批評コンセンサスでは「オーシャンズ13は第1作目の原点に戻り、その結果、巧妙で楽しい強盗映画のさらなる1作となった」[18]。Metacriticでは、37人の批評家を基に100点満点中62点の加重平均スコアを獲得しており、「全般的に肯定的な評価」としている[19]。CinemaScoreでの観客評価では、A+からFまでの平均点で「B+」と平均的な評価をされている。
ニューヨーク・マガジンのレビューでは、デヴィッド・エデルスタインは「プロットが複雑になるにつれ、ソダーバーグのテクニックはより滑らかになり、編集はジャズ的にになり、色彩はより甘美に、whip-pans(ウィップ・パン[注釈 1])はwhiz-bangに(素晴らしく)なる。それは小癪で茶目っ気があって馬鹿馬鹿しいハンサムなクルーニーを軸にすべて動く」と述べている[20]。ニューヨーク・タイムズ紙のマノーラ・ダルジスは、「ソダーバーグは、箱の中と外を行き来きすることで、流れに身を任せつつもそれに逆らう術を会得してきた。オーシャンズ13は、カンディンスキーのような色彩感覚で、ミスター・クルーニーの官能的な顔つきに奇妙な口ひげをつけさせ、しばしば彼が見せる体系に対する反抗の鬼才となったことを証明した」と評した[21]。
シカゴ・サンタイムズ紙のロジャー・イーバートは4つ星のうち2つ半を与えた。「オーシャンズ13は、無言劇による展開、不自然なカジュアルさ、そして様々な出来事が起こるが、どれもあまり気にはならなかった。なぜなら、映画スター達が演じる人物たちを成長させるために映画が停滞することはないからである」[22]。ガーディアン紙のピーター・ブラッドショーは「たまに分割画面になることもあるが、ただ同じ場面のことを2つの画面にファンキーに表示しているに過ぎない。それはすべてまったく無意味だ。B.S.ジョンソンの実験小説のように、シーンを任意の順番に入れ変えて表示しても、同じものになる。そこには人間的な動機付けもロマンスもない」と評した[23]。
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