WHILL
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WHILL株式会社(ウィル、英; WHILL Inc.)は、東京都品川区東品川に本社を置く。免許不要の近距離モビリティ(電動車椅子規格)であるWHILL(ウィル)の開発・販売、ならびにウィルを活用した気軽な移動体験を提供するモビリティサービスの提供を行っている。約30の国と地域で近距離移動のプロダクトとサービスを展開する。
2009年秋、ソニーで車載カメラの開発部門に所属していた内藤淳平と、内藤の名古屋大学大学院時代の同級生であったオリンパスで医療機器の研究部門に所属していた福岡宗明が中心となり、エンジニア集団「Sunny Side Garage」を設立した。ここにデザイナーの杉江理(元日産自動車デザイナー)も加わり、アート作品などを開発していた[1]。
Sunny Side Garageとしての活動時、「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」といった車椅子ユーザの声と出会ったことからWHILLの開発がスタートし、2011年の東京モーターショーでコンセプトモデルを出展した。その後、車椅子ユーザでもあるオーエックスエンジニアリング創業者の石井重行に協力を求めたところ、「コンセプトモデルだけ作り、製品化しないことは製品を待ち望む車椅子ユーザーにとって残酷である。本気で作るつもりがないなら今すぐやめろ。」と強い叱責を受け、開発メンバーは実用化・製品化を強く決意した。内藤、福岡はそれぞれの勤務先を退社し、杉江と合流してWHILL株式会社を設立した[1]。
日本国内の電動車椅子マーケットは小さいことから、世界最大のマーケットであるアメリカ合衆国に2012年創業の翌年から進出している[1]。現在は30近くの国と地域で事業を展開している。米国のほかカナダ、オランダ、中国に拠点を構えている。
「WHILL Model A」「WHILL Model C」など多数の製品発売後、現在は主力3モデルをラインアップとして取り揃えている。販売事業のみならず、一時的にウィルを利用できる「モビリティサービス事業」にも力を入れ、2020年にWHILL自動運転サービスを世界で初めて羽田空港で実用化。現在は羽田空港のほか、関西国際空港、成田国際空港、カナダのウィニペグ・ジェームス・アームストロング・リチャードソン国際空港などで導入されているとともに、慶應義塾大学病院や熊本中央病院、横浜市立市民病院など国内の病院でも採用が相次いでいる。 2023年6月からは法人施設向けレンタル事業としてのモビリティサービスも本格的に展開を開始。広い敷地を有する商業施設やアミューズメントパーク、ホテル、観光エリアなどで、一時的にウィルを利用できるWHILL SPOTを全国各地で広がっている。
ウィルはWHILL社が開発・販売する近距離モビリティ。免許不要で歩道を走れることから、誰でも利用できる移動手段として障害の有無や年齢などに関わらず世界中で利用されている。電動車椅子として利用するユーザーはもちろん、最近では免許返納後の移動手段として、自転車の代わりとして、距離や外出目的に応じて車と併用するモビリティとして活用が広がっている。
ウィルは「電動車椅子」としてのイメージを取り除き、誰もが乗りたくなる移動手段である「近距離モビリティ」として再定義されている[1]。
初の製品モデル。前輪には24個のタイヤからなるオムニ・ホイールを搭載し、最小回転半径を70cmとしている。また、四輪駆動である。iPhoneのアプリを使用した遠隔操作も可能[2]。重量は116kgで、価格は99万5000円[3]。
2017年に発売された改良モデル[3]。Model Aから価格が45万円に引き下げられたほか、重量が52kgに軽量化されている。軽量化のため、二輪駆動となっているほか、バッテリーも鉛蓄電池からリチウムイオン電池に変更された。分解も容易で、乗用車で持ち運ぶ事も可能とされている[3]。 2017年、グッドデザイン賞を受賞[4]。また、パナソニックによる自動追従ロボット型電動車いす「PiiMo」のベース車両としても使われている[5]。
2020年に発売された改良モデル。リアサスペンションの採用や航続距離の増加など、仕様が変更されている[6]。
軽量化と低価格化を実現(段差乗り越え:3.5cm/ 回転半径:78cm)。CES 2022「Accessibility」部門において最優秀賞のBest of Innovation Award、国際的なデザイン賞の一つであるiF Design Award 2022 を受賞[7]。
介護保険は適用外。日額レンタルが利用可能で、旅行や出張時など短期利用としてのニーズが高い。
2022年発表[8]。WHILL社初のスクーター型モデル。歩道を安定して長く走ることができる(段差乗り越え:7.5cm/走行可能距離:33km)。グッドデザイン賞2022(日本)を受賞[9]。
Model SだけのプレミアムなサービスとしてWHILL Premium Careを開発。保険やロードサービスなどがセットになった既存サービスWHILL Smart Careに、機体の状態や位置情報の確認、外出履歴の登録、家族への情報通知などができるIoTサービスWHILL Family Serviceを追加した。
いずれも、日本での最高速度は道路交通法の制限により時速6kmだが、アメリカ版ではそれ以上の速度が出せるようになっている[10]。
WHILL社が開発する近距離モビリティに自動運転・衝突回避機能などを搭載した「WHILL自動運転モデル」と、複数の機体を管理・運用するシステムから構成される。歩道・室内領域で走行。あらかじめ収集した地図情報と、センサー群で検知した周囲の状況を照らし合わせ、自動走行および自動運転による無人での返却が可能[11]。
長距離の歩行に不安を感じられるお客さまを利用対象とする。 施設の移動インフラとして、羽田空港や関西国際空港、成田国際空港、カナダのウィニペグ・ジェームス・アームストロング・リチャードソン国際空港などで導入されているとともに、慶應義塾大学病院や熊本中央病院、横浜市立市民病院など国内の病院でも採用が相次いでいる[6][10][12]。また、利用頻度も関西国際空港で2023年10月に運用開始1年でWHILL自動運転サービスの利用回数が1万回を突破するなど利用の普及も進んでいる[13]。
電動車椅子としてModel C2は介護保険制度に適用しているため、同社から卸業者、貸与事業者、ケアマネージャーなどを経て利用者に引き渡されている。2020年からはメーカー直販も開始され、介護保険が適用されていない方でも、より気軽にウィルを購入したりレンタルできるような仕組みを整えている[6]。
2021年以降は自動車ディーラーでも販売が始まった。現在は地域・ブランドの垣根をこえて全国に115社1,350店舗超に広がっている。免許返納後の移動手段として利用されていたり、自転車の代わりとして距離や外出目的に応じたモビリティの使い分け習慣が提案されている[14]。そのほか、サイクルベースあさひやビックカメラ有楽町店などでも取り扱いがある。
ガイアの夜明け ”ニッポンの旅”が生まれ変わる!(2020年8月25日、テレビ東京)
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