日本のテレビアニメ (2006-2007) ウィキペディアから
『RED GARDEN』(レッドガーデン)は、2006年10月より2007年3月までテレビ朝日ほかで放送された日本の連続テレビアニメ作品。また、それを原作にした漫画と小説。
RED GARDEN | |
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ジャンル | 学園、ミステリー サスペンス、ダーク・ファンタジー |
アニメ | |
原作 | GONZO |
監督 | 松尾衡 |
シリーズ構成 | 山下友弘 |
脚本 | 山下友弘、岡田麿里、佐藤裕 |
キャラクターデザイン | 藤純(原案)、石井久美 |
音楽 | 千住明 |
アニメーション制作 | GONZO |
製作 | トライネットエンタテインメント、GDH |
放送局 | テレビ朝日、サンテレビ、AT-X |
放送期間 | 2006年10月3日 - 2007年3月13日 |
話数 | 全22話 |
漫画 | |
原作・原案など | GONZO(原作) 藤純(キャラクター原案) |
作画 | 綾村切人 |
出版社 | 幻冬舎コミックス |
掲載誌 | 月刊コミックバーズ |
発表号 | 2006年10月号 - 2009年3月号 |
巻数 | 全4巻 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | アニメ |
ポータル | アニメ |
プレスコ方式(先に声優が録音をし、それに応じて動画をつくる)で製作された。このアニメで言うプレスコとは、具体的にはコンテ撮の一種だが、セリフの間なども完全に声優にゆだねている点がアフレコと決定的に異なる。収録はシーン毎に、各キャラクターのセリフがかぶった状態で録音される。そして収録後にセリフや呼吸音などのスポッティングを行い、その後に作画を行っていることが、DVD BOX Iの解説冊子やRGTVなどで明らかになっている。同冊子によると、セリフ合わせにかかる時間は1話あたり50時間以上にもなるそうで、これは通常のセリフ合わせにかかる時間を4時間とすると、12倍以上である。
初期の話では、劇中にセリフの延長として歌わせる[注 1]という、アニメでは他に例の無い演出を行っているが、DVD-BOX Iのオーディオコメンタリーにおいて、松尾は当初この演出には反対していたとコメントしている。ケイトら少女たちが歌うDVDのCMは、この演出を監督みずから逆手に取ったものである[注 2]。
登場するキャラクターが頻繁に個性・季節・TPOに合わせた着替えを行う。衣装のコーディネートは基本的にキャラクター原案者が行っている。
また、実際にニューヨークにロケハンを行い、現地の風景等をある程度忠実に再現している[注 3]。背景のビル群や学園の建物などには、目立たないようCGを使用している。
舞台はニューヨークのルーズベルト島。同じ学園に通うものの直接的な繋がりのないケイト、ローズ、レイチェル、クレアの4人の少女たち。ケイトは優しい両親と姉のエマに囲まれた温かい家庭に育ち、優等生として学園の生徒会兼風紀委員『グレース』に所属する大人しい少女。ローズは貧しい家庭に育ち、父の失踪後入院した母親に替わって幼い弟妹を面倒みる家庭的な少女。レイチェルは資産家の令嬢で不在がちの父親、アルコール依存症の母親から目を背け夜遊びに明け暮れるギャル。クレアは仕事人間の父親に反発して家を飛び出しバーガーショップのアルバイトで食いつなぐボーイッシュな苦労人。
そんな彼女たちは目が覚めたときから身に覚えの無い感覚を感じる。『昨夜の記憶が全くない』彼女たちはそれぞれ約束をすっぽかしたり、バイトを無断欠勤したりしていた。その前夜、彼女たちの共通の友人リーズが「自殺」を遂げていた。市警のベテラン刑事クロードは立て続けに発生中の少女連続自殺事件について自殺を疑い、自殺した少女たちの身辺を捜査していた。ケイトは学園前で不審な男女二人組を目撃していた。
リーズの死にそれぞれ悲しみに暮れる4人。黄昏時、4人は他の人々には見えない『蝶の群れ』に導かれ、人気の無い倉庫へと集まる。そこにレイチェルの目撃した二人組の男女ルーラとJCが現れる。ルーラは4人に『教育係』と名乗り「4人が既に死んでいること」、「深夜12時までに招集を示す蝶の群れが現れたら“怪物”と戦わなければならないこと」を告げる。そして、4人は理性を失い野獣の如く凶暴化した男と戦う羽目に陥る。戦う術を知らない4人は必死に逃げ惑うが、命の危機が訪れた際にレイチェルは人間業とは思えぬ跳躍力を発揮し、怪物を倒すのだった。
突然自分たちに訪れた悲劇に戸惑い、夜に怯える4人。そして蘇る喪われた夜の記憶。行方不明となったリーズを探すため4人はある屋敷に入り、バスタブに沈むリーズの遺体を目撃。その直後に謎の男達に襲撃されて命を落としたのだった。ルーラたちはその現場に乗り込みリーズを含む5人を仮の体に移し替えた。だが、リーズだけが移送中に襲撃に遭い奪い去られたのだった。リーズの謎を解く鍵。それはケイトとリーズが交わしていた『交換日記』にあった。その中でリーズはケイトに交際中の男性が居ると打ち明け暗号で書き記していた。だが、交換日記は無くなっていた。アニムスと呼ばれる女性達が戦いに駆り出される理由。そして、ドロルと呼ばれる一族の男たちが怪物に変貌する理由。それはそれぞれが互いにかけた「呪い」にあった。
自分たちがかりそめの生を与えられているに過ぎないことに4人は苦しみ悲壮感を抱きつつも生きるため戦う。ルーラはそんな4人に「絶望」と「希望」を見せる。「絶望」とは戦う気力を失った者たちの末路として別のグループの少女たちが怪物に倒され、土くれに返る有様だった。その中にレイチェルは友人マリーの姿を見る。「希望」とは秘密の場所に安置された4人の遺体だった。戦いの果てに4人は自分の肉体と生命、ひいては人生そのものを取り戻せる。だが、4人のうち一人でも招集を拒否すれば戦意喪失とみなされ処分される[1]。やがて、生い立ちも性格も全く異なる4人は少しずつだが結束を強め、友情を深めていく。
ケイトたち4人の生活は様変わりしていく。ケイトはグレースの仕事や授業をサボりがちになり、グレースからそれぞれ目の敵にされるレイチェル、ローズ、クレアと親しく付き合いはじめる。ローズは親友サラとの会話も上の空。レイチェルは友人達の誘いに乗らず精神的にも不安定になり、ボーイフレンドのルークとの関係にも溝が生じる。クレアは招集のためにバイトの早退・欠勤が増え、遂には店主と喧嘩別れし家賃も払えなくなる[注 4]。4人の変化は周囲を巻き込んでいくが、グレースのリーダーポーラはなぜかケイトを庇い励ます。それを依怙贔屓だと感じるジェシカはケイトの除名を画策するもポーラは拒否権を発動して阻止する。生活に困窮したクレアはやむを得ず兄のランディを頼って援助を受け、友達以上恋人未満の関係であるユアンの助言でバーガーショップのアルバイトに復帰。レイチェルはルークを想う一方、自分の身体的変化に悩み、ルークと距離を置く一方、妻帯者の文学教師ニックと親しくなる。締め切りを抱えた小説家の妻のため家に帰れないニックは不安な夜を過ごすレイチェルの良き話し相手となってくれていた。だが、二人の関係をルークは誤解する。ローズは入院中の母のもとに失踪した父から送金があることを知り、サラと共に父親探しを始める。
一方、ドロルの一族に生まれた心優しい青年エルヴェは幼い頃、目の前で母親が発症して怪物と化し、一族の手で撲殺されるのを目撃していた。エルヴェの実の妹アンナ、従兄妹のミレーユ。二人の少女は一族に残された最後の女性であり、二人が発症すれば一族は滅びるはずだった。だが、発症を抑える研究と措置はある出来事を契機に事実上停止する。日々、弱っていく二人の痛ましい姿と一族の心変わりにエルヴェの心は苛まれ、アニムスたちへの憎悪に支配されていく。ドロルの一族は新たな希望として奪取したアニムスの娘リーズの研究に夢中になっていた。リーズは記憶を消され、病院に軟禁されていた。リーズは我知らずエルヴェに心惹かれていくが、エルヴェはリーズの存在がアンナたちを追い込んでいると感じ疎ましく思う。次第に心を蝕まれるエルヴェは一族の一人エミリオがケイトの姉エマと交際し、結婚を考えている事実を知り、エミリオの親友として偶然を装いつつケイトに接近。ケイトは次第にエルヴェに心惹かれる。エルヴェはミレーユに訪れた悲劇に心を痛める一方、リーズの記憶が少しずつ戻り始めている事実を知る。エルヴェに呼び出されたケイトは「夜の戦い」を目撃したと打ち明けられ、自分がこの事実を知ることを口外しないことを約束させられる。
ケイトについて調べていたジェシカはケイトたち4人がなにか重大なことに巻き込まれており、ポーラや理事長がなにかを重大な事実を隠していると勘付く。一方、ランディは友人の裏切りに遭って事業に失敗し自殺未遂を図った。異変を知ったクレアは病院に駆けつけ父親と再会し、口論になる。レイチェルはカフェでニックと会話しているところをルークに見られ、二人の関係は破局する。ローズはようやく父ロバートを探し出すが、ロバートは借金苦に家族を巻き込むまいとして姿を消し、建設作業員として激務を続けていたのだった。
エルヴェはアニムスとの戦いに終止符を打とうと目論んでいた。クロード刑事のもとにリーズとケイトの交換日記を送りつけ、ケイトには監視を告げる電話をかける。リーズ殺害の現場となった自宅屋敷にヴィヴァレオ製薬の関連を伺わせる細工を施す。ルーラ、ルーシー、理事長はケイトに近付いていた男がドロル側の人間だと気づきケイトの護衛を強化する。
エルヴェに呼び出されたケイトは彼やエミリオがドロル側の人間だと知らされ動揺する。
こうして、希望を見出すために戦う少女たちと、運命に抗うため戦う男の戦いは様々な犠牲を払いつつ、絶望を増し、激しさを増していくのだった。
以下、話数は特に説明が無い限りアニメ版の話数を指す。
生前の共通点は、リーズと友達だったこと。彼女たちは5人とも一度死亡したが、ルーラ達から新しい身体を与えられたアニムスとして生き返った。リーズを除く4人の元の身体は、ルーラ達だけが知る秘密の場所(実は学園の地下)にある棺の中に安置されている。アニムスになれるのは死亡した女性のみであり、その体は常人と同じく病気に罹る事もあれば体調不良に陥る事もある。常人より体温が低く、また傷の治りが遥かに早い為、死亡さえしなければ重傷もすぐに回復する。ドロルに対抗できる超人的な能力を有するが、その発現には敵に襲われる、足元に猫がいるなど本人を焦らせる状況が必要。初めにレイチェルが偶然覚醒したが自在に使いこなせはせず、ケイトが覚醒してからはローズも訓練で覚醒し、最も身体能力の高いクレアは最後に覚醒した。漫画版でも語られるように覚醒者が近くにいれば他の者も連鎖的に覚醒する模様。定期的に力を発散しないと体調不良に陥るらしく、戦いはそうした不調を解消する側面も持つ。アニムスは常に激しい渇きに侵されるが、何故かレモンだけはその不調を癒すらしく、生のまま齧っても酸味や苦味を感じる事は無い[注 5]。前述の通り高い能力や回復力を持つが、唯一「生きる事を諦めた」瞬間が彼女達の死を招く。諦めた者は灰に変わり、二度と蘇生される事は無い。この際、元の体は安置所から運び出され、表の世界で死体となって発見される。
教育係は学園関係者を除けばルーラ以外に3人居る事が確認されており、JC以外全員がアニムスである。表向きは葬儀社として活動。リーズの葬儀も彼らが取り仕切った。
エルヴェの一族はルーラ達からはドロルと呼ばれている。彼らの先祖がルーラ達アニムスから呪いの書を一冊奪った際にかけられた獣化の呪いの影響で、一族の人間は個人差こそあれ、早死にと発症(呪いの発現)の恐怖から逃れられない。呪いの影響で死んだドロルは、心停止直後に自我を失った形で蘇り、荒れ狂う獣のように周囲の人間を無差別に襲うようになる[注 25]。獣化後は銃弾を跳ね返しつつ[注 26]高速で動き回る為打撃を加えて撲殺する以外に有効な対抗手段が無い。一族の女性は発症が早く、エルヴェの母親のような例外こそあるものの、ほとんどが10代の内に死に絶え、7話時点ではアンナとミレーユ、21話時点ではアンナだけが残っている。
グレースとは、学園内に存在する生徒会。基本的に服装自由と思われる学園内にあって、揃いの制服を着用し[注 27]、理事長の命を受け、風紀の取り締まりや生徒の葬儀への出席[注 28]などを行っている。グレースのメンバー[注 29]は成績優秀などの条件を満たした者から選抜される。それ故生徒や保護者、他校生からも一目置かれ、一部生徒からは反感を買っている。大学への推薦が受けられる等の利点もある。ケイトも選抜されて最近グレースの一員となった。
リーズ達少女の連続的な不審死に疑問を持ち、10話でリーズが自殺と断定され捜査が打ち切られた後も、クロード達は他の公務の合間に捜査を続行していた。16話でエルヴェとアニムス達が激闘を繰り広げた建設現場にも出向き、そこでルーラの折れたヒールを発見している。
第22話のみ曲は無い。レーベルは全てポニーキャニオン。
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
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1 | さよなら少女たち | 山下友弘 | 松尾衡 | 蘇武裕子 | |
2 | 残酷な夜 | 南伸一郎 | |||
3 | ほんとうの私 | 松尾衡 | 市村徹夫 | 中村深雪 | |
4 | 私たちは、どこへ? | 江島泰男 | 宮崎曹 | ||
5 | それぞれの窓 | 岡田麿里 | 堀之内元 | 信田祐 | 南伸一郎 |
6 | 小さな光 | 山下友弘 | 松尾衡 | 池添隆博 | 永作友克 |
7 | もうひとつの、運命 | 高橋幸雄 | 小島彰 | ||
8 | 行きて愛せ | 岡田麿里 | 堀之内元 | 菊池一仁 | 宮崎曹 |
9 | めざめ | 山下友弘 | 友田政晴 松尾衡 | 南伸一郎 | |
10 | 戸惑い | 佐藤裕 | 松尾衡 | 市村徹夫 | 中村深雪 |
11 | それぞれの想い | 山下友弘 | 信田ユウ | 丹沢学、山形厚史 | |
12 | 彼の思惑 | 堀之内元 | 吉澤俊一 | 阿部達也 | |
13 | 休日 | 岡田麿里 | 松尾衡 | 池添隆博 | 吉川真一、永作友克 |
14 | 戦う理由 | 山下友弘 | 奥野浩行 | Seo Kyung Rock | |
15 | 悲しみと、怒りと… | 堀之内元 | 池畠ひろし | 吉川博明 CHOI BYUNG HEE SEO KYOUNG ROCK | |
16 | 哀しい嘘 | 松尾衡 | 市村徹夫 | 中村深雪 | |
17 | 真実 | 岡田麿里 | 高柳滋仁 | 河添明 | |
18 | わずかな、望み | 堀之内元 | 信田ユウ | 丹沢学、山形厚史 | |
19 | 届かぬ想い | 山下友弘 | 松尾衡 | 吉沢俊一 | Ko Kyong Nam Lee Jung Phil |
20 | 残された部屋 | 堀之内元 | 奥野浩行 | SEO KYOUNG-ROCK LEE BOO-HEE | |
21 | 最後の朝 | 岡田麿里 山下友弘 | 松尾衡 | あべたつや | 阿部達也、堀井伸雄 |
22 | 光 | 松尾衡 | 中村深雪、石井久美 |
スピンオフOVAの『デッドガールズ』については、デッドガールズを参照。
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