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Android家庭用ゲーム機 ウィキペディアから
OUYA(ウーヤー, 発音: [ˈuːˌjɑː] OO-yah[2])はAndroid搭載の家庭用ゲーム機である。いわゆるマイクロコンソールにあたる。
開発元 | OUYA, Inc. |
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種別 | 据置型ゲーム機 |
世代 | 第8世代 |
発売日 |
2012年12月28日(開発者) 2013年3月28日(後援者) 2013年5月(直販) 2013年6月25日(小売) |
標準価格 | 99.99USドル |
売上台数 | 60,000台[1] |
OS | Android 4.1 Jelly Bean |
CPU | ARM Cortex-A9 クアッドコア 1.6GHz |
メモリ | 1GB DDR3 |
ストレージ | 8GB 内蔵フラッシュメモリ |
ディスプレイ | HDMI 1080p, 1080i, 720p |
グラフィック | NVIDIA Tegra 3 T33 |
コントローラ入力 | Bluetoothゲームパッド |
タッチパッド | ゲームパッドに搭載 |
外部接続 |
Wi-Fi 802.11 b/g/n Bluetooth LE 4.0 イーサネットポート×1 USB 2.0×1 Micro USB×1 |
電源 | ACアダプタ 12V 2A |
サイズ | 75mm(W)×75mm(D)×82mm(H) |
重量 | 300g |
ウェブサイト |
www |
当初は2013年6月4日に小売開始予定だったが、生産上の理由により6月25日に延期された[3][4]。直販予約分は同年5月末から、Kickstarter後援者へは同年3月末から順次出荷された。小売開始までに58,000台の予約を集めた。
OUYAは米国ベンチャー企業OUYA社(OUYA, Inc.)のCEO、元IGNトップのJulie Uhrman率いる専門家チームにより設計され、2012年7月3日に初めて情報が公開された。OUYAプロジェクトはBoxer8社(Boxer8, inc.)から発足し、現在はOUYA社が引き継いでおり、商標も同社に移されている[5]。
チームにはデザイナーのYves Béharおよび彼のデザインファームFuseproject、Amazon Kindleを開発したLab126のMuffi Ghadialiなどが参加。顧問として元マイクロソフトの初代Xbox事業担当者Ed FriesやPeek社CEOのAmol Sarva、ソーシャルサービスColorの共同設立者Peter Phamら業界の著名人が名を連ねる[6][7]。
クラウドファンディングサービスKickstarterにて記録的な支持を集め注目された[8]。
スローガンは「The Revolution Will Be Televised(革命はテレビに映る)」。これは、1960年代に米国で流行した抗議運動スローガンでギル・スコット・ヘロンの楽曲名ともなった「The Revolution Will Not Be Televised(革命はテレビに映らない)」のもじりと推測される。
このスローガンが示すように、居間でテレビに接続し家族や友人と楽しむ、据置型家庭用ゲーム機の「復権」、つまりゲーマーとクリエイター双方を家庭用ゲーム機に呼び戻す事を目論み計画された。市場の主流がスマートフォン/タブレットやソーシャルゲームに移りつつあり[9]、クリエイターたちもその自由で低コストなゲーム開発を志向しつつあるとの認識のもと、スマートフォンアプリ的生態系を家庭用ゲーム機にもたらし活気づけようというコンセプトである[10]。市場としては従来の家庭用ゲーム機とスマートフォンとの間に位置するニッチとなるが、もとよりその開拓に機会を見いだすベンチャービジネスであり、大手メーカー産主要ゲーム機との競合を避ける狙いもある[11]。
OUYAの「O」はオープン性(Openness)、「U」は汎用性(Universal)を表す[12]。残る「YA」は語感で決められた[13]。
Androidを始めとするオープンソース/コモディティ技術の採用、無償かつロイヤリティ不要の開発用SDK提供、AndroidのRoot化や独自ソフトウェアのインストールを許容する保証、特殊ドライバー不要で簡単に開けられる筐体など、ソフト/ハード両面で「ハック可能」なプラットフォームであり、誰でも自由に開発に参加することができる。ただし、オープンソースハードウェアではない。
OUYA用ゲーム(アプリ)は専用マーケットからオンラインで配信される。購入前に試すことができない「前時代的な」販売方法が違法コピーの一因であるとし、無料体験(Free-to-Try)できることがすべてのゲームに義務づけられている。完全無料も可。なお、無料体験は2013年1月頃まではフリー・トゥ・プレイ(Free-to-Play:F2P)と謳っていたが、「F2P=基本無料+アイテム課金」という固定観念がつきまとい、本来意図する課金モデルに対し語弊があるため表現を改めたものと推測される。そうした誤解を解こうとする解説や質疑応答がそれまでに繰り返されており、本稿出典記事のいくつかにも認められる。
広告表示も許されず、ゲーム内課金によるフリーミアムモデルで利益を生む仕組みであり、その30%が手数料としてOUYA社に支払われる。課金プロダクトの安全性はサーバ認証により確保される[12]。
具体的な課金方法として次のような例が挙げられている[14]。
支払いが定期的に課される継続課金にも対応予定[15]。課金対象はゲーム次第であり、課金額も少額決済に限らず様々だが、ゲーム内容を理解できる(購入の判断材料になる)程度の無料要素を持つことが最低条件とされている[16]。
ちなみに「ゲーム内通貨」は、日本では資金決済法の対象となることがある。このように課金自由とはいえ各国の法令等には制約を受ける可能性がある。
OUYA本体は、ルービックキューブに例えられる小さな立方体で2013年現在流通している標準的なルービックキューブ(Seven Towns Limited/メガハウス社製3×3ブロック)よりOUYAの方が一回り大きい程度である。光学ドライブなどを持たないこともあり、比較的小型の家庭用ゲーム機Wiiと比べても体積は3分の1、重量は4分の1ほどしかない。内部の基板そのものはさらに小さく、筐体容積にかなり余裕があり、重量は安定のため錘で増してある。
標準価格99.99USドルと同世代の主要ゲーム機と比べ安価なことも特徴である。そのぶん性能に劣るものの、NVIDIA Tegra 3を搭載するなど、開発当時の水準では数百ドルクラスの高性能タブレット程度の処理能力は備えており、価格性能比は良好といえる。また、後述の通り能力はさらに強化されている。
スマートフォンのように、価格帯を維持しながら性能の向上したOUYA新機種が毎年発売される計画であったが後続モデルが出ることなくプロジェクトは終了した[17][18]。後方互換性が確保され、新機種でも旧機種用ゲームをプレイできる。購入した課金プロダクトはプレイヤーアカウントと紐づけられており、新たなハード上で再度購入する必要はない。
OS |
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SoC |
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メモリ |
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ストレージ |
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ビデオ出力 | |
オーディオ出力 |
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通信機能 | |
I/O |
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電源 |
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外観 | |
その他 | |
標準搭載アプリ | |
コントローラ |
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周辺機器 |
回路設計にはTegra 3の開発元であるNVIDIA社がOUYA専門チームを設けて協力している。Tegra 3はスマートフォンやタブレットを主ターゲットとする省電力統合型プロセッサだが、OUYAでは電池寿命を考慮する必要がなく、動作を最大限に強化しており、「市場における最高のTegra 3デバイス」と称していた[23][18][24]。
OUYA社はKickstarterに寄せられた意見を積極的に検討すると述べ、実際にイーサネットポートの追加やゲームパッドボタン「O・U・Y・A」のラベルが後援者らの要望・アイデアによって実現した[25][26]。また先行開発機/後援者向け製品版出荷後もユーザらの感想を取り入れ調整が続けられた[27][28]。
OUYAはAndroid端末であり、OUYA用ゲームはAndroidアプリそのものである。したがってAndroid開発環境さえ整えればOUYA用ゲームを開発することができる。無料で導入できる・ノウハウやリソースを流用できる・他Android端末とのマルチプラットフォーム展開がしやすい等、従来の家庭用ゲーム機と比べ開発の敷居や負荷が低いという利点がある。
また、ゲーム開発に関する以下の支援をOUYA社自ら実施している。
「ODK(OUYA Development Kit)」はゲームパッド入力や専用マーケット課金等のOUYA固有機能に対応する公式SDKである。ODKはApache License 2.0に基づき無償で提供されており、Android開発環境に組み込んで用いる。ゲームエンジンUnity用の公式パッケージも用意されている。
開発者向け公式ウェブサイト「OUYA Developers(OUYA DEVS)」が運営されている。ODKダウンロード・ドキュメント閲覧・ゲーム公開管理・電子掲示板等の機能があり、無料で利用できる(要サインアップ)。
699ドル以上のKickstarter後援者への見返りとして2012年12月28日に発送されたOUYA先行開発機。
Root化済み・プロトタイプゲームパッド2台同梱に加え、本体およびゲームパッドの外装が「オープン性を象徴する」透明プラスチック製の特別仕様となっている[29]。
「DBF(Developer's Best Friend)」は開発者支援の任を負うOUYA社独自の肩書である。オープンプラットフォームを標榜する同社ではユーザとの関係を強化する重要な立場といえる。独立系開発事業/コミュニティに詳しいKellee Santiagoがこれに起用され、その経験や人脈を活かした活躍が期待されている[30]。この人物は独立系開発会社投資ファンドIndie Fund設立者の一人であり、自らも独立系開発会社Thatgamecompany(『風ノ旅ビト』等を開発)の共同設立者兼プロデューサーを務めた経歴を持つ[31]。
OUYA Developer ConsoleはDeveloper Kitとも呼ばれる。ただし、あくまで発売に先んじて実機開発/試験を行うための「OUYA実機」に過ぎず、「特殊な開発機材」ではない。スマートフォンアプリが市販スマートフォン実機さえあれば開発できるのと同様に、Kickstarter後援者でなくとも製品版OUYAさえ入手すれば同等の開発が可能である。最終的な調整や試験を別にすれば、実機の代わりにAndroidエミュレータやTegra 3搭載タブレット等を用いて模擬的に開発を進めることもでき、公式ブログでも実機入手前の代替手段として提案されている[32]。
またOUYA開発環境はOUYA本体に搭載ないし同梱などと報じられることがあるが[33]、実際には上記の通りAndroid開発環境およびSDKを各ウェブサイトからPCにダウンロードするのみである[34]。これらへのアクセスや利用は無料で、とくに制約はなく、OUYAの所持も不問である。
従来の家庭用ゲーム機の常識に照らせば異例だが、いずれもAndroid端末一般に共通の性質(スマートフォンアプリ開発者に馴染みの事柄)であり、OUYAもそれを受け継いでいるに過ぎず、独特の方法でオープン性を担保しているわけではない。
2013年4月発売予定[3]。標準価格99.99USドル。OUYA本体にゲームパッド1台・HDMIケーブル1本・ACアダプタ1個・単3乾電池2本・取扱説明書が同梱される。
2012年8月9日よりOUYA公式ウェブサイト[35]にて通信販売予約が受け付けられている。1台49.99ドルの追加ゲームパッドを3台まで同時購入可能。世界各国(230ヶ国以上)への発送に対応しており、日本からも注文可能である。送料は発送先により異なり、日本は25ドル。支払い方法はPayPalまたはクレジットカード。
なお発売月である2013年4月に発送されるのは同年2月4日までの早期予約分であり、以降の予約分は小売と同じく同年6月からの発送となる。この区切りは数日前から告知されていた。ちなみに早期予約では本体99ドル、追加ゲームパッド1台30ドルだった[36]。
2013年6月25日より、北米ではAmazon.com(米)/Amazon.ca(加)、家電量販店Best Buy、ビデオゲーム専門店GameStop、ディスカウント百貨店Targetが、英国ではAmazon.co.ukおよびビデオゲーム専門店GAMEが提携小売店としてOUYAを販売している。同年2月5日より予約受付開始[11][37][38][34]。
なお、Amazonの取り扱い商品は各国で異なり、日本のAmazon.co.jpからは注文できない。
2013年現在、日本でのOUYA社の正規代理店や提携小売店は存在しない。
複数のニュースサイトよりあたかも国内販売およびその定価が正式決定したかのような報道がなされたことがあるが、紹介されたのはOUYA社と無関係の一並行輸入(購入代行)業者であり、価格は中間マージンを含む独自の設定である[39]。なおOUYA付属のACアダプタはPSEマークのない海外メーカー製のため、これを「日本国内で販売」するには業者自らマークを取得するかマーク付き代替品に交換するなどの義務が生じる。
699ドル以上を出資したKickstarter後援者842人には2012年12月28日に先行開発機が、95ドル以上699ドル未満出資の後援者5万7379人には2013年3月28日に製品版OUYAが見返りとして贈られた。より細かい出資額区分に応じて限定色やゲームパッド追加等の特典がある[10]。
またKickstarter後援者ではない先行開発希望者への救済措置として、2012年11月9日から同年12月末頃まで先行開発機の購入予約が受け付けられていた[40]。価格は800ドル。同年12月末に1200台の開発機が出荷されており[29]、後援者分およびわずかなキャンペーン当選者分[41]を差し引いた残りの台数がこの予約分とみられる。
2013年2月初旬時点でKickstarter後援者分約5万7千台・公式ウェブサイト受注分約6万8千台が予約されている[11]。また予約開始直後、Amazon.comでビデオゲーム販売ランキングトップ10にランクインした。台数は不明。
OUYA用ゲームはマーケットからオンラインでのみ配信・課金される。したがって少なくともダウンロード/課金時にはインターネット接続が必須である。また課金への支払いにはクレジットカード類が必要となる。
OUYA社はすでにDiggやFlixster、JAWBONEの創業者を含む大口出資者を得ていた。
2012年7月10日よりOUYAプロジェクトをKickstarterキャンペーンとして公開すると、初日に目標95万ドルの2倍、翌日には3倍を上回る額の出資を得、同サービス史上100万ドル以上を集めた8番目の、かつ最も早くそれを達成したプロジェクトとして注目された。8時間22分で100万ドル、24時間で約259万ドルに達しており、これは当時の最速記録である[8]。 キャンペーンは1ヶ月後の同年8月9日に締め切られ、最終的に6万3416人の後援者から計859万6474ドルの資金を獲得した[10]。なお、Kickstarterキャンペーン終了時に記録した総額は859万6475ドルだが、その後1ドル減じており、報道により数字が異なることがある。理由は明らかでない。
Kickstarterキャンペーンで公約されていた獲得資金の使途は「製品版フィックス/許認可取得」「先行開発機製造」「受注規模調査」「ファーストパーティゲーム開発」と、いずれも最終段階に属する仕上げまたはマーケティング事項である。OUYAプロジェクトがKickstarterに元々どの程度依存していたかは憶測の余地がある。Julie Uhrmanは「Kickstarterキャンペーンはプッシュ戦略(インセンティブ付与による販促)ではなくプロジェクト完遂に必要だった」[49]「専門投資家からの出資では今日の有り様には至らなかっただろう」「通常の資金調達手段も考えていたが、新興ゲーム機に出資したがる投資家は少ない」[50]としている一方、Kickstarterキャンペーンは「宣伝が主たる目的だったのでは」との見方もあった[51]。
いずれにせよ、このキャンペーンでの目論見を上回る資金と名声とが、プロジェクトを軌道に乗せた。開発期間中、追加の資金調達は行われていない[12]。
このように多くの支持を集めた一方で、安価が故の性能不足や、参入障壁の低さ故にゲームが粗製濫造される可能性を指摘する懸念・批判もあった。本稿出典記事の多くにも見られる。また当該記事や共有動画、Twitter等に寄せられるゲーマーたちのコメントからも、OUYA支持・不支持に関わらず、同様の不満を窺うことができる。
『Minecraft』のMarkus Perssonを始めプロジェクト公開当初から多くのPC/モバイルゲームデベロッパーがOUYAへの参入を表明している[10][52]。 2012年7月19日には元Infinity Wardクリエイティブストラテジストであり現Robotoki代表のRobert Bowlingが『Human Element』の前日譚作品をOUYA向けに独占リリースすることを自身のブログにて発表[53]。 同月31日にはスクウェア・エニックスが『ファイナルファンタジーIII』のリリースを発表したほか[54]、バンダイナムコゲームスが参入を検討しFacebook上でOUYA向けリリース希望タイトルのアンケートを行うなど[55]、日本の大手デベロッパー/パブリッシャーも支持や反応を示した。 2013年2月6日には米国の著名ゲームデザイナーTim Schafer率いるDouble Fine Productionsおよび人気ゲーム『Words with Friends』などの開発者Paul BettnerもOUYA向けタイトルを用意していることが明らかとなった。なお、Double Fine Productions提供の『Double Fine Adventure』はOUYAと同じくKickstarterにて大きな支持を集めたタイトルである[56]。
またクラウドゲームサービスOnLiveに加え、TwitchTV(ゲームプレイ実況配信)・VEVO(ミュージックビデオ配信)・XBMC(メディアストリーミングアプリ)・TuneIn・iHeartRadio(共にインターネットラジオ)といった各種ネットワークサービスとの提携も発表されている[10]。
公約通り2012年内に第一弾の実機(先行開発機)が出荷され[29]、「多くのKickstarterプロジェクト同様遅れが生じるのではないか」[57]、「そもそも新興ベンチャー企業がこのようなゲーム機を量産できるのか」[58]といった疑念を晴らした。Julie Uhrmanは自プロジェクトが実現可能な理由として、OUYAが“ロケットサイエンス”ではなくコモディティ技術を組み合わせて作られている旨を述べている[59]。
TechCrunchは2013年末に公開した記事「2013年のガジェット:そのベストとワースト」にて、「だめだったガジェット」の一つにOuyaを選出し、尻すぼみに終わった失敗したAndroidゲーム機と評した[60]。
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