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H&K MP7は、ドイツのヘッケラー&コッホ社が開発したPDWである。
発表当初はPDWという名称だったが[5][6]、のちにPDWは一般名詞となり、この銃は短機関銃(MP:Maschinenpistole)を指すMP7の名前が冠された。
MP7の開発は1990年代に始まる。当時アメリカは防弾ベストの着用が一般的になった戦場でピストルやピストル弾薬に代わる兵器、つまりPDWを検討するプログラムを行っていた。また、NATO諸国でも同様のプログラムがスタートしていた[7]。
これらのプログラムにFN社はP90を提出したが、当時同様の小火器を開発していなかったH&K社はMP5Kサブマシンガンをベースにショルダーストックを追加したMP5K-PDWを提出した。しかし、従来のピストル弾薬を使用するMP5ではプログラムの要求に対して不十分であり、このことからP90に危機感を持ったH&K社は、同社のMP5やUMPとは全く異なるコンセプトの小火器を開発することになる[8]。
1999年に一般公開され[9]、2000年に将来的に発展改良することを前提にドイツ連邦軍に仮制式兵器に選定され、MP7の制式名称を与えられている[9]。
MP7の特徴は、先に述べたようにライバルとも言えるFN P90に対抗してPDWとしての全く新しいカテゴリの銃として開発されており、弾丸はH&K G11の4.7x33mm弾の開発データを元に開発した4.6x30mm専用弾薬を使用する。公式発表では、P90の5.7x28mm弾よりも威力がある[6]とアナウンスされているが真偽不明である。
ディスカバリーチャンネルの番組「フューチャー・ウェポン」のシーズン第2の第3回においてケブラー製ヘルメットおよびボディアーマーを貫通している。ただし、セラミックプレートなどに対して効果があるかは不明である。
デザイン面についてはP90とは趣が180度異なり、ステアーTMP、UZIなどの既存の小型短機関銃と似たシルエットを持ちながらも、全長415 mm(P90は504 mm)、ストックオープン時は638 mm、重量は1.5 kg(マガジン込みで1.8 kg、P90はマガジン抜きで2.8 kg)と、PDWに求められる携行性および隠匿性に特化したデザインとなっている(因みに、MP7専用のホルスターがイーグル社で開発されている事からも、そのコンパクトさが窺える)。これは、後方部隊やヘリコプター、戦闘機パイロットの自衛用火器という、PDWの想定するケースにおいて特に有効である他、武器の隠匿を要し、車両での移動が多い要人警護の場、小型武器が好まれるCQBの場などでも有効である事を意味する。また、セレクトレバーおよびボルトリリースが左右に付いているため右利き、左利き問わずに使用できる[10]。
機構に関しては、G3以来、H&K社の小火器の作動方式の大きな特徴であったローラー遅延式ブローバック方式ではなく、同社製G36アサルトライフルと同じくマイクロロッキングラグと回転ボルトによる閉鎖機構を持つショートストロークピストン式を採用している[6]。弾薬のスペック的はシンプルブローバックでも十分に対応可能だが、ライフル並の閉鎖機構を採用する事で製造コストの増加と引き換えに軽量化を実現している。
レシーバー前方下面に折畳式のバーチカルグリップが標準で装備されており、銃自体の反動はMP5以下で、消音器装備で発射した場合の静粛性もMP5SD6より静かである。命中精度もMP5以上のものとなり、200 m離れた標的にも命中する集弾性を持つ。
2004年には改良型のMP7A1がリリースされており、ボルトストロークの延長を施し連射速度の低下を図った(弾切れが早くなってしまうための処置)他、レシーバー前方左右側面に小型のピカティニー・レールを追加している[11]。また、さらなる改良型のMP7A2では折畳式グリップは標準仕様では廃止され、ピカティニー・レールがレシーバー前方下面にも装備されている。
P90の5.7x28mm弾を使用した自動式拳銃「FN Five-seveN」と同様に、MP7と銃弾共通性を持たせた後述の拳銃「P46」も開発されていたが、後述の理由で中止となっている。
MP7の特徴として、豊富なアクセサリが用意されている点が挙げられる。MP7は銃口にフラッシュハイダーが標準で装備されているが、オーダーメイドのアタッチメントでサプレッサーも装備できるようになっている。また、ピカティニー・レールを上部に付ける事でダットサイトやスコープの取り付けも可能となっているなど、拡張性にも富む。
MP7A1では、更にフロントサイドにピカティニー・レールが追加された事で、フラッシュライトやレーザーモジュールの取り付けができる様になり、拡張性が拡大された。
H&K P46は、ドイツ連邦のH&K社が開発した自動拳銃である。
開発中は「UCP (Ultimate Combat Pistol)」と呼ばれていた。
「P90」と「Five-seveN」と同じ関係であり、MP7と同様に4.6x30mm弾を使用する。革新的な閉鎖機構を採用しているとされるが、パテントの関係から非公開とされ、どのような機構なのかは不明。
フレーム先端下部にピカティニー・レールがあり、フラッシュライトなどのアクセサリを装着できる。
2003年のプロトタイプでは同社のH&K G11のピストル版とも言える様な直線的なデザインが特徴であったが、2004年のプロトタイプではグリップ、スライド形状が変更されたものが発表されている。
2009年、「拳銃の形から、十分な弾道性能が得られない」との理由で開発中止となった。
またサイズや銃身長などからH&K MP7で十分(大型拳銃やマシンピストルのように片手持ちでも撃てるため)であると考えられた事なども理由としてあげられる。
MP7への改名直後の2000年からドイツ連邦軍で試験運用が行われており、その後上記の改良を施したMP7A1が配備されたのは2004年7月にドイツ連邦軍に採用されたのが最初である。その後、ドイツのGSG-9やKSK(ドイツ陸軍特殊作戦部隊)への導入をはじめ、各機関に徐々に採用されている。
現在、MP7A1の遊戯銃は、東京マルイとアカデミー科学(商品名「M7SMG」)とVFCから電動ガンが、KSCと東京マルイ、VFCからブローバックガスガンが発売されている。このうちメーカーからライセンスを取得したVFCのみが1/1スケールを再現しており、他社製品は実物より小さくなっている[24]。過去には頑住吉より、名前が「PDW」だった頃のMP7が固定スライドガスガンとして発売されていた。このモデルは啓平社製固定スライドガスガンUSPを内蔵するガレージキットで、グリップ角度が実物と異なっていた。
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