Loading AI tools
日本の漫画作品 ウィキペディアから
『GIANT KILLING』(ジャイアントキリング)は、ツジトモによる日本のサッカー漫画(作中では「サッカー」ではなく「フットボール」の語が使用されている)。原案・取材協力は綱本将也[注 1]。『モーニング』(講談社)にて、2007年6号から連載されている。略称は「ジャイキリ」[1]。2010年にテレビアニメが放送された。
GIANT KILLING | |||
---|---|---|---|
ジャンル | サッカー | ||
漫画 | |||
原作・原案など | 綱本将也(原作→原案・取材協力)[注 1] | ||
作画 | ツジトモ[注 1] | ||
出版社 | 講談社 | ||
| |||
掲載誌 | モーニング | ||
レーベル | モーニングKC | ||
発表号 | 2007年6号 - | ||
巻数 | 既刊65巻(2024年11月21日現在) | ||
アニメ | |||
原作 | ツジトモ | ||
監督 | 紅優 | ||
シリーズ構成 | 川瀬敏文 | ||
脚本 | 川瀬敏文、守屋竜史、竹下健一 | ||
キャラクターデザイン | 熊谷哲矢 | ||
音楽 | 森英治 | ||
アニメーション制作 | スタジオディーン | ||
製作 | NHK | ||
放送局 | NHKBS2、BShi | ||
放送期間 | 2010年4月4日 - 9月26日 | ||
話数 | 全26話 | ||
テンプレート - ノート | |||
プロジェクト | 漫画・アニメ | ||
ポータル | 漫画・アニメ |
前作『U-31』において、ベテラン選手の苦悩と葛藤、復活を描いた原作者の綱本将也と、漫画家のツジトモにより、大物喰い好きな弱小プロサッカークラブの監督を主人公に描く[2]。タイトルの「ジャイアント・キリング」とは、「番狂わせ」「大物食い」を意味する言葉であり、スポーツ競技において、実力差がある格上の相手に対し、格下が勝利を挙げた場合に使う。
なお、ETU(East Tokyo United)以外で、この作品に出てくるクラブ名は、全て実在するクラブ名をもじったものである(例:東京ヴェルディ→東京ヴィクトリー、ガンバ大阪→大阪ガンナーズなど)[3][注 2]。なお、これらのチーム名は、綱本原作の過去作品(『U-31』『Goal Den Age』)と共通している。ただし、海外(プレミアリーグ)のクラブ名は、そのまま使用されている。
第2回とらのあなコミック&ノベル大賞受賞[4]。宝島社「このマンガがすごい!2008」オトコ編6位、「このマンガがすごい!2009」オトコ編3位作品。第34回(平成22年度)講談社漫画賞一般部門受賞。2017年4月時点で累計発行部数は1500万部を突破している[5]。
担当者の吉原伸一郎によるとこの作品は綱本が考えた完成済みの原作第1話があり、おもしろい原作にあう作家を探していたところ別の担当者から作家のツジを紹介され彼が原作に興味を持ったことが誕生のきっかけである[6]。ツジは自分の描きたいマンガの方向性と似ていたというが、原作者・編集者・作家それぞれにサッカーマンガをやりたい希望があって、それぞれが力を合わせた集合体として作品は出来上がった[6]。しかし作画のツジトモは「スポーツゴジラ」第18号のインタビューでは、「最初からサッカーマンガを描いてみたいと思ってたのですか?」との質問に、「いや、それはまったくなかったですねえ(笑)」と答え[7]、吉原とは異なる見解を示している。
ツジは別のインタビューでは「最初から監督を主人公にした群像劇を描きたいと思っていた。主人公・達海の漠然としたイメージも原作をもらう以前から持っていた」 と述べている[8]。ただしツジの考えていたマンガのタイトルも監督の設定も最初は違っていて、それらを一つ一つ変えたんだとも述べている[9]。ほかにマンガを描く時に意識したのはポップな感じとテンポの良さ[10]。日本にはサッカーに詳しいファンが大勢いるのでサッカーそのものより自分が面白いと感じたポイントを描こうと思った。自分が楽しい・面白いと感じることは描く上で絶対譲らないと述べている[9]。
また担当者によると、Jリーグのチームが連載前の漫画に取材を許可することはなかなかないが、柏レイソルと東京ヴェルディ1969だけは取材に応じた[6]。実際にJリーグのチームが使うスタジアムの外装や内装などの細かいディテールを描くことに拘りがあり、連載が開始するとまず最初にスタジアムに足を運ぶような濃いサポーターたちに反響があったと述べている[6]。
現在はサラリーマンに絶大な人気があるらしく、名セリフを集めたサラリーマン向けのビジネス書も発刊された[11]。
2014年のツジトモのインタビューでは、綱本や吉原の存在に一切触れず、「20年前なら無理なテーマだったかもしれない。サッカーマンガの歴史があって、自分の作品がある。そこにうっまく乗っからせてもらってますよ」、「チームの白星を描かなかったため、単行本5巻までは連載打ち切りの恐怖との戦いでしたね」などと謙虚に述べている[11]。
2009年に発売された単行本10巻以降、綱本のクレジットが「原作」から「原案・取材協力」になった。
リーグジャパンフットボール1部所属のプロサッカーチーム・ETUは、かつては日本代表のスター選手・達海猛を擁する人気チームだった。しかし達海がプレミアリーグに移籍すると人気も実力も一気に低迷し2部へ陥落、達海自身もプレミアデビュー戦で再起不能の重傷を負い、そのまま消息を絶ってしまう。それから10年、1部リーグへは返り咲いたものの毎年残留争いを繰り広げる弱小クラブに甘んじるETUは、起死回生の策として達海を監督に迎えることを決定。行方を捜してイギリスの地方都市を訪れると、達海は地元のアマチュアクラブの指導者となり、チームをFAカップでベスト32に導く快挙を達成していた。惜しくもプロのトップチームに敗れベスト16を逃したその夜、クラブの会長は達海が、現役時代からの行動原理だった“GIANT KILLING”を監督として故国で成し遂げたがっていると気付き、達海を手離すことを決意。達海は地元のファンに惜しまれながらイギリスを離れ、10年ぶりに日本へ帰国した。
かつてのチーム離脱の経緯のためサポーターに憎まれ、突飛な方針を打ち出してキャプテン村越らベテラン・中堅選手から反発を受けながらも、やがて達海監督を中心にETUを取り巻く環境は大きく変化。最初こそ連敗続きだったチームも、選手の意識の変化や椿ら若手の成長によって大きく実力を伸ばし、上位争いに食い込むようになる。そして、10年前の名GMだった笠野の地元復帰、サポーターとフロント、新旧サポーター同士の衝突と和解、達海の現役復帰宣言、椿と夏木の日本代表抜擢など数々の事件を経て、ETUは優勝を目指してリーグ後半戦に突入する。
※キャラクター名の下、“声 - (人物名)”は、#テレビアニメ版における声の出演者。
正式名称はイースト・トーキョー・ユナイテッド(East Tokyo United)。東京都台東区浅草をホームタウンとする。ユニホームはホーム用は赤と黒の縦縞、アウェイ用は白で、胸にはメインスポンサーである大江戸通運のロゴが入っている。達海が現役選手として所属していた時代は人気強豪チームだったが、達海移籍後は2部落ちを経験。なんとか1部に復帰したものの、下位に低迷していた。
サポーター集団「United Skulls(ユナイテッド・スカルズ)」が応援の中心となっている。達海のチーム復帰で、ゴローら数少ない古参のサポーターも「江戸前応援団」を立ち上げているが、応援に対する考え方の違いから両者は対立。しかしスカルズの謹慎を経て後に和解。コータら子供たちも独自の応援団を立ち上げている。
創設時から日本代表を多数輩出し、近年もリーグ連覇を達成している強豪チーム。同じく東京都を本拠地とするETUとの対戦は東京ダービーと呼ばれ、かつては人気カードだったが、ETU低迷後はヴィクトリーが連戦連勝している。
ETU、モンテビア山形と同じプロビンチャーレ。スタジアムには小規模スポンサーの広告看板が林立し、年齢の高い選手とレンタル加入の選手が多く、有望株の選手を引き止めるだけの資金もない。
リーグ発足と共に創設された古豪クラブ。ブラジルの伝説的選手・アイルトンが現役晩年を過ごしチームの原型を作り上げたことから、「アイルトンが作ったクラブ」としてブラジルでも知られている。
2010年4月4日から9月26日まで、NHK BS2、BS hiにて放送、全26話。本編終了後に当時の『Jリーグタイム』MCのタレント・山岸舞彩が登場し、その週のNHKが放送するJリーグ中継やJリーグタイムの告知が行われ、地上波・BSでステーションブレイクとして随時放送された。後述するが、「Jリーグタイム」とのコラボレーションキャンペーンが展開された。
同年9月25日から、NHK教育で地上波初回放送、2011年4月4日深夜から10月24日深夜まで、NHK総合にて放送された。なお、地上波放送はJリーグタイムの告知は行われない。
オープニング背景で流れている試合会場は、ETUのホームスタジアム「隅田川スタジアム」であるが、柏レイソルのホームスタジアムである日立柏サッカー場をほぼ忠実に再現している[100]。その他に茨城県立カシマサッカースタジアムや埼玉スタジアム2002、松本アルウィン[注 9] をモチーフにしたスタジアムの描写がある。
リアルなサッカーシーンを描くために、各試合ごとにフォーメーション表を作成し、全体の動きを綿密に確認している。また、サッカーアドバイザーの意見を参考にすることで、シュートの打ち方などもよりリアルに描かれている。人物が走るシーンを描く場合、既存のアニメでは視覚的に分かりやすくするため手を横に振る場合が多いが、本作では手を縦に振る現実的な走り方を追求しており、その描写方法には高いデッサン力が必要となっている。観客席などのモブシーンや、遠景における選手の動きには、群集アニメーションソフトを導入することで、一度に多数の人物に違った動きをさせることが可能となっている。各選手ごとにサッカーシューズのデザインが異なるなど、作画には膨大な設定表を要し、1話につき200枚を超えることもある。外国人のキャラクターには、一人につき日本人声優とそのキャラクターと母語を同じくする声優の二人を当てており、日本語とキャラクターの母語の両方が同時に話されることもある。監督の紅優は「ここまでしないと視聴者がアニメの世界に現実感を持ってくれない」とのこだわりを見せている[101]。
話数 | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 放送日 |
---|---|---|---|---|---|
#1 | 川瀬敏文 | 紅優 | 土屋浩幸 | 浅井昭人、清水勝祐 | 2010年 4月4日 |
#2 | 臼田美夫 | 小林浩輔 | 関野昌弘、飯田宏義 | 4月11日 | |
#3 | 寺東克己 | 浅見松雄 | 窪敏 | 4月18日 | |
#4 | 守屋竜史 | 名村英敏 | 古田丈司 | 堀越久美子、浅井昭人 | 4月25日 |
#5 | 竹下健一 | 高岡じゅんいち | 鈴木孝聡 | 岩井優器、西山忍 | 5月2日 |
#6 | 川瀬敏文 | 江島泰男 | 清水勝祐、相坂直紀 | 5月9日 | |
#7 | 守屋竜史 | 桑原智 | 小林浩輔 | 須田正己、関野昌弘 | 5月16日 |
#8 | 川瀬敏文 | 山本秀世 | 宮下新平 | イ・ミンベ | 5月23日 |
#9 | 臼田美夫 | 平田豊 | 小田真弓、西山忍 | 5月30日 | |
#10 | 竹下健一 | 名村英敏 | 古田丈司 | 津熊健徳、浅井昭人 | 6月6日 |
#11 | 守屋竜史 | 鈴木孝聡 | 清水勝祐、武本大介 | 6月13日 | |
#12 | 川瀬敏文 | 東海林真一 | 小林浩輔 | 海老原雅夫、さのえり | 6月20日 |
#13 | 竹下健一 | 咲坂守 | 松田清 | いがりたかし | 6月27日 |
#14 | 川瀬敏文 | 江島泰男 | 岩井優器、西山忍 | 7月4日 | |
#15 | 守屋竜史 | 名村英敏 | 古田丈司 | 津熊健徳、浅井昭人 | 7月11日 |
#16 | 竹下健一 | 鈴木孝聡 | 西山忍、武本大介 | 7月18日 | |
#17 | 守屋竜史 | 寺東克己 | 小林浩輔 | 日下岳史、小田真弓 | 7月25日 |
#18 | 川瀬敏文 | 東海林真一 | 木村寛 | ファン・ミジョン リ・ジョンジョン | 8月1日 |
#19 | 竹下健一 | 名村英敏 | 江島泰男 | 岩井優器、小坂知 | 8月8日 |
#20 | 守屋竜史 | 古田丈司 | 津熊健徳、浅井昭人 | 8月15日 | |
#21 | 川瀬敏文 | 鈴木孝聡 | 武本大介、西山忍 | 8月22日 | |
#22 | 竹下健一 | 名村英敏 | 小林浩輔 | 日下岳史、小田真弓 | 8月29日 |
#23 | 守屋竜史 | 東海林真一 | 平田豊 | 松永香苗、堀越久美子 | 9月5日 |
#24 | 竹下健一 | 津熊健徳、関野昌弘 | 9月12日 | ||
#25 | 川瀬敏文 | 古田丈司 | 浅井昭人、武本大介 | 9月19日 | |
#26 | 名村英敏 寺東克己 | 鈴木孝聡 | 西山忍、小田真弓 | 9月26日 |
2008年9月20日に行なわれたJ1第25節、川崎フロンターレ対FC東京戦は、「第14回多摩川クラシコ」と銘打たれて開催され、ここで本作品とのコラボレーション企画が行なわれた。試合告知のポスターや当日配布されるトレーディングカードに、達海のイラストが用いられている[102]。
2009年5月24日に行なわれたJ1第13節、FC東京対川崎フロンターレ戦(第15回多摩川クラシコ)と、8月1日に行なわれたJ1第20節、川崎フロンターレ対FC東京(第16回多摩川クラシコ)でもコラボレーション企画が行なわれ、それぞれの試合当日に配布されるトレーディングカードを合わせると、両チームのマスコットとジャイアントキリングのマスコットが並ぶ一つの絵になる[103]。
2009年、読者に「本物のスタジアムでの試合観戦を通じて、サッカーの醍醐味を味わってもらいたい」との思いから、『モーニング』編集部がJリーグ4クラブ(柏レイソル、FC東京、川崎フロンターレ、ヴィッセル神戸)のホームゲーム全80試合に合計80組160名を招待するという「GIANT KILLINGシート」の企画を行なった。
2010年はテレビアニメ化を記念してNHK BS1の「Jリーグタイム」とのコラボレーションキャンペーンが数多く展開された。
これとは別に同年7月25日に行なわれたJ1第14節、川崎フロンターレ対京都サンガF.C.戦(等々力陸上競技場)では、川崎市制記念・マスコット祭りとしてパッカが招待され、試合前はスタジアムの外でサポーターとふれあい、ハーフタイムには西城秀樹と共にスタジアムを盛り上げた。[105] 他、2010 FIFAワールドカップの期間中に、スカパー!で放送された「デイリーハイライト」に、パッカがほぼ毎日出演した。
2011年にはアディダス製の「ETUレプリカユニフォーム」が限定発売された。
サッカーを扱ったゲームといくつかコラボレーションしており、『バーコードフットボーラー』で2013年10月16日〜12月2日の期間中に第1弾、2014年1月22日〜3月31日に第2弾が催され、また『ポケットサッカークラブ』で2013年10月16日〜10月30日の期間中に第1弾、2013年12月28日〜2014年1月4日の期間中に第2弾、2014年1月11日〜1月18日の期間中に第3弾、さらに2016年12月5日〜2017年3月上旬にかけて再コラボを行った。これとは別に、『Panini Football League』と2014年1月23日〜4月22日でコラボレーションキャンペーンを行っている。他、『サカつくシュート!』でも2017年4月29日〜5月25日にかけてコラボしている。
2015年8月29日開幕・2016年1月1日決勝の第95回天皇杯全日本サッカー選手権大会では、公式ポスター等に用いるメインビジュアルに主人公の一人であるETU監督の達海猛を起用した描き下ろしイラストが用いられている。一発勝負のカップ戦である天皇杯の醍醐味といえる「ジャイアントキリング」が、漫画のコンセプトと合致していることが理由だという[106]。また、翌年の第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会では、ETU選手の椿大介[107]、さらに翌年の第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会では、ETU選手のジーノ[108] を起用している。
2016年12月2日には、BS1「ぼくらはマンガで強くなった〜SPORTS×MANGA〜」にて、当作品をフィーチャーした「ジャイアントキリングを起こせ!日本サッカー新時代」(インタビューゲスト・佐藤寿人(広島)、小林悠(川崎)、中山雄太(柏)、下平隆宏(柏監督)、松木安太郎(サッカー解説者[注 10]))が放送された。
講談社が、本作のスピンオフ・ムック本として、季刊『ジャイアントキリング発サッカーエンターテイメントマガジン GIANT KILLING extra』を2010年4月より発行している。毎回あるテーマに沿って、それに関連した過去の「GIANT KILLING」の作品再録や関連の記事・コラムを掲載している。このムックから、岩本ナオのサッカー観戦記『ジャイキリ読んで〇〇してきました』(講談社)が単行本化されている[109]。
また、本作と現実の日本のサッカー界の共通点を、スポーツライターが探ったコラム集『ジャイアントキリングを起す19の方法』(ISBN 978-4-8094-0909-7)が東邦出版から発売されている。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.