鶴尾
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鶴尾(つるお)は高松市中部にある一地区で、高松市役所鶴尾出張所の管内。室町、室新町、東ハゼ町、西ハゼ町、西春日町、上天神町、田村町、勅使町、松並町、紙町の10町からなる。地区のほぼ全域がかつての香川郡鷺田村(さぎたそん)に相当する。同村は1940年(昭和15年)2月11日に高松市に編入された。
現在、旧村名「鷺田」という地名は地元でも全く使われておらず(鷺田の名は高松鷺田郵便局にのみその名を残している)、この地域を指す名称は公式にも通称としても、もっぱら「鶴尾」のみが用いられる。
地区は高松市北部に位置し、高松市中心部に隣接している。人口は2010年(平成22年)時点で1万2520人(男6205人/女6315人)で、世帯数は7105世帯である[1]。平均世帯人員は1.79人と高松市の平均である2.36人を大きく下回っており、高松市中心部に面している割には家賃が安く、自転車による通勤・通学が可能な立地条件から大学生(香川大学)や単身赴任会社員などの単身世帯が多い。面積は8.79km2[2]、人口密度は1平方キロメートルあたり1395.11人と高松市では平均的であるが、高松市中心部に隣接しているのを考慮すると低い密度である。高松市中心部に面したいわゆるベッドタウンの性格がある。
全域が高松平野の一部であるが北側と西側は標高150m - 200m級の石清尾山塊に囲まれており、北側は高松市中心部に面し、西側は弦打地区と面しているがいずれも石清尾山塊が交流を遮断している。
地区の西端は香東川が流れ、中心には御坊川が流れる。その他にも、かつて地区の大部分にわたって香東川の本流が流れていたことから、その伏流水による「出水」と言われる湧水がいたるところで湧き、それを源流にした小規模河川が数多く存在する。
香川県の典型的な平野の特徴として、この地区でも奥ノ池や沖ノ池など渇水対策のため池が多数存在する。また、前述の湧水による沼なども存在するが、近年はその多くが埋め立てられて宅地化する傾向がある。
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高松市 / 登録人口(10月1日時点) |
高松市内の多くの地区の場合、地区名やその中の地名などは高松市編入以前の名称が何らかの形で継承されているが、鶴尾地区の場合はそれがほとんど無く、勅使町を除くすべてが高松市編入以後に新たに設定された名称である。
以下は旧鷺田村の大字と高松市合併時に設置された町名との関係。
多くは大字ごとに区切られた範囲で複数の町名が設置されているが、例外的に紙町はそれぞれ旧坂田・馬場・沖の3大字の各一部が統合されて設置されている。具体的には紙町のうち市道東ハゼ田村線(鹿角街道)以東が旧大字沖、鹿角街道以西の字新開(御坊川以南にほぼ相当)の区域が旧大字馬場、鹿角街道以西の字櫨ノ股(御坊川以北にほぼ相当)の区域が旧大字坂田である。
現在に至るまでの地番区域も旧大字ごとに設定されており、各町における地番は旧大字ごとにすべて連番となっている。そのため、松並町、西春日町、峰山町、田村町、東ハゼ町、室新町、室町、上天神町では同一大字内での若い数字にあたる地番が欠番となっている。ただし、例外として紙町のうち旧大字馬場の部分は全域で地番が振り直されており、本来であれば現544番地-現607番地の計63番地分は次の田村町67番地へ連番となっていた。ちなみに紙町では113番地から400番地が欠番となっている。
現在では紙町内での旧大字の名残はほとんど無いが、施設名として沖霊園が御坊川沿いに存在している。
高松市への編入以後、地理的な要因から高松市中心部のベッドタウンとなったが、ことでん琴平線がこの地区を迂回していることや、北部に山があり交通が遮断されているなどの事情で発展から取り残されていた。
しかし、地区の東側と南側に国道11号高松南バイパスが通り、その後国道11号高松東バイパス、空港通りが開通するとそれらの交差点である上天神町交差点は、高松市内・香川県内屈指の交通の要衝となり、沿線にはゆめタウン高松などのロードサイド店が立地するなど車社会化による郊外化の影響を大きく受けた。
現在、地区の東部(ゆめタウン高松、上天神町交差点の周辺)は繁盛しているが、地区の中部や西部は農地に宅地が点在するといった状況が続いている。
高松市編入以前は「鷺田村」を参照
鶴尾地区はその場所によって住宅地、商業施設、町工場、農地がモザイク状に混在している。また高松市の平均と比較した産業別の従事者の割合は、第二次産業と第三次産業従事者は多いか僅かに多く、第一次産業従事者は少ない。
特に北西部などの地域は稲作を中心とする農地が広がり、そこに散村状に住宅地が点在している。ただ、20世紀末に加速した郊外化の影響でそれらの地域でも緩やかな宅地化が進行し、田や畑などの農地は減少した。
かつて流れていた香東川本流の伏流水による湧水に恵まれていたため、江戸時代から製紙が盛んであるが、近年は多くが廃業するなどして廃れつつある。地区内の最大の工場は東洋テックス本社工場だったが、繊維事業からの撤退に伴い1996年に閉鎖され、その跡地がゆめタウン高松となった(本社事務所は地区内の勅使町に移転)。また、西ハゼ町には森永乳業の工場もあったが1989年に閉鎖され、建物は日清食品グループのグランフーズ(現・高松日清食品。日清食品冷凍子会社の四国日清食品(三豊市)が直接の親会社)に売却され、冷凍「どん兵衛」などの冷凍麺を生産している。そのほかにも地区の東部は準工業地域であるため製造業や自動車整備工場などの町工場が存在している。
高松市の郊外に位置するベッドタウンという性格上住宅地が多いため近隣商業が中心である。かつてのメインストリートであった琴平街道沿いには古くから続く商店などが多かったが、20世紀末になると交通量の減少などでそれが廃れ、商業の中心は新たに開通した国道11号高松南バイパスや国道32号円座バイパス沿い立地する郊外型小売店に移行した。その中でもマルナカ単独店最大の店舗である「マルナカ栗林南店」の開店は鶴尾地区や周辺地区住民の消費行動をそれまでの高松市中心部から大きく変化させ、その後に訪れる郊外型集客施設の出店ラッシュの前哨戦となった。
その後21世紀に入ると更にそれらの沿線沿いにイズミ系列最大の売上の「ゆめタウン高松」など郊外型の大型商業施設が立地、さらには四国初の「ドン・キホーテ高松」などの深夜型の店舗やJRA場外勝馬投票券発売所「ウインズ高松」が立地し、集客能力は周辺地区のみならず高松都市圏やその周辺都市、徳島県西部にまで及んでいる。
公立小学校が存在する。地区のほとんどを校区に含むが、勅使町の一部や室新町、室町は含まれずそれぞれ一宮 (高松市)および本庁の小中学校に編入されている。一般的に地域の結び付きは校区単位で行われるため、鶴尾小学校区以外での一体感はほとんどない。また、この地区での児童生徒数は周辺の学校に比べ極端に少なく、少子化が特に顕著である。地区内にあった高松市立鶴尾中学校は生徒数の減少により2021年3月に閉校した。これに先立ち、同校は2018年度を最後に新入生の受け入れを中止し、2019年度以降は桜町・太田・一宮・香東の4中学校から1校を選択することになる[5]。
地区北部の室山山麓には私立の中高一貫校「大手前高松中学・高等学校」が存在し、進学校として高松市周辺の広い範囲から生徒を集めている。
太字の校名は地区内に位置する学校で、それ以外は地区内には位置しないが校区が地区内にかかっている学校。
この地区の行政サービスの中心としては高松市鶴尾出張所があり各種住民サービスに対応している。またそこは公民館も兼ねていて、鶴尾コミュニティセンターとして地域交流・生涯学習の中心となっている。
現在の鶴尾地区には以下の10の行政区画(町名)が存在する。
人口および世帯数は2010年(平成22年)10月時点の登録人口。
栗林公園に南接し、旧琴平街道に面している。旧街道の1本東側には国道11号が通り、市道室町新田線の起点ともなっている。
高松市の中心部に接していることから住宅が非常に密集し道も入り組んでいる。
基本的に町は国道11号線沿線に位置するが、室山を越えた奥ノ池までが町域に含まれるため東西に長い。学校区は鶴尾ではなく栗林であり、東部の国道11号沿いはよいが、西部の奥ノ池側は学校まで室山1つ隔てられており、鶴尾地区の学校の方が地理的にも距離的にも近い。奥ノ池の北に香川県大手前高松中学・高等学校がある。常磐製紙の工場があったが、2006年(平成18年)6月限りで操業を停止し、製紙事業から撤退している。
西ハゼ町と共に日本で初めて町名に片仮名が使用された例である。高松市への合併以前は「櫨」(はぜ)と書いたが、画数が多く読みにくいことを理由に片仮名で表示されるようになった。国道11号と市道木太鬼無線が交わる高松南消防署東交差点を中心に発展し、沿線にはショッピングセンターなどが立地する。
東ハゼ町は北西部の旧琴平街道沿いを除く全域が南部第1土地区画整理事業(施工主:高松市)により区画整理されており、それに並行して現在の国道11号と市道木太鬼無線が整備された。
南東部の香川県道266号勅使室新線と北部の市道木太鬼無線沿線にマルナカ栗林南店や中小企業の工場、住宅などが密集する。
中心に御坊川が流れ、町を南北に二分している。このあたりはかつて「紙漉」(かみすき)と呼ばれており、昔から製紙業が盛んで現在でも製紙工場やその他の町工場が残っている。比較的道が入り組み、一戸建て住宅が密集しているため農地は少ない。
小学校が立地するが、その周辺以外は農地が広がる。小学校の前を通る香川県道266号勅使室新線はかつて琴平街道(旧国道32号)と呼ばれ、鶴尾地区のメインストリートであり、町名の由来ともなった松並木が植えられていたが、現在ではその機能は他の道路に分散し松並木も撤去された。
南北に細長く「型をしている。町域には浄願寺山などの山地を多く含むが、中心に香川県最大の中層県営団地「西春日団地」が存在し、人口に占める割合も大きい。団地の南東は住宅が密集しているがそれ以外は農地が広がる。
国道11号線と高松自動車道が通過する。東部は住宅が密集しているが、その他は農地が広がる。南東部の田中団地(2017年3月閉鎖、2020年3月に解体)は学校区が檀紙に属する。
隣接する一宮地区にある田村神社から命名された地名である。面積の大半を低層市営団地が占め、中層市営団地も「すみれ団地」が1か所存在する。教育施設も香川県立香川中部養護学校や「田村隣保児童館」などがあり、それ以外は農地と宅地が点在する。
町内にある峰山口交差点角には地元の猛反対を押し切って1994年(平成6年)に開業したウインズ高松がある。この地元との対立があったため、2004年(平成16年)まで平日開催レース(毎年1月5日に行われることが多い中山金杯・京都金杯など)の発売はできなかった。
単に上天神とも呼ばれ、平安時代には菅原道真の別荘があった。地名は、道真(菅公)を祀る天神信仰が篤かったことに由来しているという(角川日本地名大辞典)。町内には低層市営団地が2か所あり、教育施設としては「上天神隣保児童館」がある。基本的には全域が農地や一戸建ての多い住宅地であるが、それと同時に当地は讃岐平野において、東西・南北方向の軸となっている2本の幹線道路が交わっている交通の要衝でもあり、上天神町交差点周辺は香川県で最も交通量の多い一帯でもある。ゆえに近年は、その恵まれた立地条件を活用してゆめタウン高松やドン・キホーテといった郊外型の店が多く立地している。
この地区は高松市中心部に面していることもあり地理的な交通条件には恵まれている。地区内の公共交通機関はバスのみと脆弱で自動車への依存度が高い。ただ、鶴尾地区の場合は高松市中心部までが自転車の通勤・通学圏内であるため自転車の利用価値も高い。
道路は地区内を国道11号が横断し、そこに国道32号や国道192号、香川県道172号川東高松線などの幹線道路がそれぞれ結節する形になっているため、周辺都市からの交通アクセスは非常によい。またそれらはほぼすべてがバイパスとして整備されているため道路幅が広く、すべて片側2車線以上で右折レーンなどを持っているなど道路機能も高い。それらが交差する上天神町交差点や峰山口交差点は香川県内でも最大規模の交差点であり、いずれも鶴尾地区内に存在する。
地区内には存在しないため最寄り駅はことでん琴平線三条駅となるが地区内からは距離がある上、道が入り組んでいるため利用価値は低い。
鉄道敷設についてはそもそも志度線や長尾線を例にとっても琴平線は地区の中心を通る琴平街道沿いに敷設されるのが自然であるし最短距離で結ばれるが、実際は仏生山まで大きく迂回し円座駅付近で琴平街道に合流するルートをとっている。
地区内唯一の公共交通機関であり、大部分をカバーしているが、自家用車の利用に押されている。由佐・池西線と御厩・県立総合プール線は琴平街道沿いを通るメインの路線で地区全体からの利用者が多い。その中でも特に「鶴尾」バス停は中心駅的な存在である。一方、それに対し東寄りの香川中央高校・日生ニュータウン線は鹿角街道と呼ばれる香川県道172号川東高松線を路線とし、地区東部の利用者が多い。2018年7月に高松市道木太鬼無線が開通したのを受け、それまで香川県道33号高松善通寺線を経由していた高松西高線が2019年4月1日から木太鬼無線経由に変更され、地区内を通ることとなった。
また、ゆめタウン高松前バス停は市内循環バスの他、すべての高速バスが停車する重要なバス停となっている。バス停が開業する以前、この地区からの利用者は高速バスは高松駅から乗車するのが普通であったが、開業以後は地区内に存在するため自転車や徒歩で行けることや、運賃も多少安くなるためこのバス停から乗車する。
高松市東部の前田地区にある前田山送信所の電波を受信することにより全局が受信できる。この地区から前田山までは山など自然の障害物がまったくないため良好な受信が可能である。アナログ放送ではVHFとUHFが混在している送信所が多いが、前田山からの電波はアナログ放送でもすべてUHFによる放送であるため、UHFアンテナ1本ですべてのチャンネルが視聴できる。
前田山送信所は比較的新しい送信所であるため、それ以前に建てられた古い建物などではこの地区の親局である金甲山送信所(NHK岡山・RSK)と五色台・青峰送信所(RNC、現在は廃局)にVHFアンテナを向けている世帯がある。ただ、この地区からそれらの送信所までは石清尾山塊が障害となって鮮明な受信が困難であるため、それらの世帯でもこの地区から障害物のない前田山が開局した後にはそれまでのVHFアンテナに加えて新たに前田山向きのUHFアンテナも揚げている世帯がほとんどであり、この地区で前田山を受信しない世帯は皆無に等しい。
室山にあるRNC西日本放送のみの中継局「RNC栗林南中継局」はそのような理由で設置されたが、前田山開局以後は存在意義が薄くなり、この中継局にアンテナを向ける世帯はほとんどなくなった。そのためそこからデジタル放送は送信されず、アナログ放送終了と同時に廃局になる。しかし、同局は鶴尾地区の大部分を放送区域としているため、この地区ではあえてアンテナを向けなくても同局からの電波が良好に入り視聴できる場合も多い。
前田山が受信できないごく少数の世帯ではアナログ放送に限り西讃岐中継局を受信している世帯もある。デジタル放送では西讃岐にアンテナを向けていたとしても、より強力な前田山の電波が入ることが多い。
局名 | NHK高松 | NHK岡山 | RNC | KSB | RSK | TSC | OHK | 出力 | 偏波面 | 送信 場所 | |||
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総合 | 教育 | 総合 | 教育 | ||||||||||
デジタルリモコン番号 | 1ch | 2ch | 1ch | 2ch | 4ch | 5ch | 6ch | 7ch | 8ch | ||||
前田山 | デジタル | 24ch | 13ch | - | - | 15ch | 17ch | 21ch | 18ch | 27ch | NHK1kW/民放500W | 水平 | 前田山 |
アナログ | 37ch | 39ch | - | - | 41ch | 33ch | 29ch | 19ch | 31ch | NHK10kW/民放5kW | |||
栗林南 | アナログ | - | - | - | - | 61ch | - | - | - | - | 10W | 水平 | 室山 |
岡山 (北讃岐) |
デジタル | (24ch) | (13ch) | 32ch | 45ch | 20ch | 30ch | 21ch | 27ch | 18ch | 2kW(200W) | 水平 | 金甲山 |
アナログ | - | - | 5ch | 3ch | 9ch | 25ch | 11ch | 35ch | 23ch | V10kW/U20kW | |||
西讃岐 | デジタル | 24ch | 13ch | - | - | 15ch | 17ch | 21ch | 18ch | 28ch | 100W | 水平 | 大麻山 |
アナログ | 44ch | 40ch | - | - | 50ch | 42ch | 48ch | 46ch | 52ch | 3kW | |||
県域放送のFMラジオの送信所は五色台であるが、その間の浄願寺山が障害物となるため、送信所からの距離の割には受信状態が不安定である。また、コミュニティ放送の送信所は石清尾山に設置されていて、県域FMと同様に山が障害となる。
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県外波
歴史的な遺跡などが数多く残っているが、地区内には主だった観光施設などは無い。
鶴尾地区の氏神である鶴尾神社では初詣などでは地元の参拝客で賑わう。
また、町内会やこども会単位でも行事や祭は行われている。
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