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日本の法律 ウィキペディアから
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(ちょうじゅうのほごおよびかんりならびにしゅりょうのてきせいかにかんするほうりつ、平成14年法律第88号)は、日本国内における鳥獣の保護および管理と狩猟の適正化を図る目的の法律である。略称は鳥獣保護管理法、鳥獣保護法、狩猟法。
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」(大正7年法律第32号、旧・狩猟法)を全面改廃する形で、本法は平成14年(2002年)7月12日に公布された。その後、2006年(平成18年)の第一次改正を経て、2014年(平成26年)の第二次改正(施行は2015年(平成27年)5月29日[4])によって現在の「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に名称変更となっている[2][5]。
公布直後は林野庁林政部が主務官庁だったが、1971年(昭和46年)の環境庁新設の際に移管され、現在は環境省自然環境局野生生物課が主務官庁となった[1]。農林水産省農村振興局農村政策部鳥獣対策・農村環境課が副所管。また次の各省庁と連携して執行にあたる。
本法は、「鳥獣の保護及び管理」と「狩猟の適正化」を図ることを目的としている。またそれをもって、生物多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の発展を通じて、自然環境の恩恵を受ける国民生活の確保及び地域社会の発展も目的としている。このうち「生物多様性の確保」は2002年の新法制定の際に加えられている[1]。
本法での対象となる鳥獣とは、野生の鳥類と哺乳類である。以前は、哺乳類のうち狩猟の対象となる大型のものしか対象ではなかったが、2002年の新法によって、ネズミ類、モグラ類などの小型の哺乳類及び海生哺乳類が対象となった。
2014年の第二次改正では、題名及び目的に鳥獣の「管理」を加え、鳥獣の生息数を適切に維持するために、鳥獣の捕獲等をする事業の実施や業者の認定、夜間の猟銃使用の一部解禁など規制緩和された[5]。これは、保護対象となっているニホンジカやイノシシなどが急増したことで、他の生態系への影響が懸念される事態となり、単に保護するだけでなく適切に管理する(減少させる)必要性が生じたためである[1][5]。
鳥獣に関する法令については、1873年(明治6年)の「鳥獣猟規則」が最初とされている[6]。
本法の前身は、1895年(明治28年)の(旧)狩猟法及び1918年(大正7年)に施行され改正が続けられてきた「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」である。
1963年の鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律への改正時には、これまで「狩猟の適正化」に加え「鳥獣の保護」の精神も法律に反映された。
2002年に条文を全面的に改正して、現代的なひらがな口語体に改めるとともに、人間や動物の生活環境の多様化・複雑化などに対応するために新法として制定された。しかし、有害鳥獣対策としては不十分という声が上がる一方、鳥獣保護の考えを後退させレジャーとしての狩猟や安易な駆除の促進を行うための悪法という声もある。保護に限定せず有害鳥獣捕獲などを通じた地域の生活環境の保全、農林水産業又は生態系に関する被害の防止や狩猟に用いる猟具の使用に関する危険予防などの項目もある。
近年では、動物の保護・駆除に関して、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)や動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)の制定・施行により、生態系の保護や、鳥獣を含めた動物保護・愛護の分野において詳細な対策がなされつつある。その一方で、生態系の保護、動物保護・愛護、有害鳥獣等の捕獲等、狩猟等の各分野について、各方面に属する市民や民間団体からは意見の対立も見られ、バランスを取ることが要求されている。
狩猟免許とは、狩猟を行うものに与えられる免許である。都道府県知事により与えられる。狩猟免許は網猟免許、わな猟免許、第一種銃猟免許、第二種銃猟免許がある[8]。
狩猟を行う場合には、狩猟税を納め、都道府県知事の登録を受ける必要がある。その場合には狩猟免許を取得している必要があり、都道府県知事は、鳥獣の生息状況を考慮して、狩猟者の登録を制限することができる。また、登録を受けたものは狩猟者登録証を与えられ、狩猟の結果を報告する義務が生じる。
猟区とは、狩猟鳥獣の生息数確保や安全な狩猟を実施を目的として、放鳥獣や狩猟者数等の制限・管理が行われる一定の区域である。これは猟区を設定した者(猟区設定者)が都道府県知事の認可を受けることにより設定される。
狩猟に関する危険防止として、都道府県知事は特定猟具使用禁止区域を指定することができる。特定猟具使用禁止区域では特定猟具(銃器及び環境省令で定められる罠)の使用について、禁止・制限が設けられる。また、危険猟法として爆発物や劇薬、毒薬、とらばさみ、とりもち、かすみ網、口径10.5mmを越えるもしくは口径5.9mm以下のライフル銃、準空気銃、弓矢などを用いた猟法の禁止、制限(許可が必要)も定めている。銃を用いた猟にあたっての時間の制限(日出前及び日没後の禁止)及び場所の制限(人の多く集まる場所等での禁止)も定めている。
その他本法では、鳥獣の保護又は狩猟の適正化に関する取締りや立入検査の実施、特別司法警察職員の指名、鳥獣保護事業に関する事務補助を行う鳥獣保護管理員(非常勤)、鳥獣の生息状況の定期的な調査の実施、環境衛生に障害を与える鳥獣(ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ)又は他法令により適切な保護管理されている鳥獣(ニホンアシカ、ゼニガタアザラシ、ゴマフアザラシ、ワモンアザラシ、クラカケアザラシ、アゴヒゲアザラシ、ジュゴン以外の海生哺乳類)について適用除外などを定めている。また、鳥獣保護事業や狩猟の適正化に違反した者への罰則も定めている。
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