哺乳綱真無盲腸目の科、それに属する動物の総称 ウィキペディアから
モグラ科(モグラか、Talpidae)は、哺乳綱真無盲腸目に分類される科。
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中国語では、鼴、鼴鼠、鼢、鼢鼠。また、学名「鼢」は齧歯目のモグラネズミ(モグラネズミ属 Myospalax)を指す[要出典]。
地中にいるイメージがあるが、ロシアのボルガ川、ドン川、ウラル川に棲む水棲傾向があるロシアデスマン、フランス南部やスペイン北部などの渓流に生息するピレネーデスマン[6]、北アメリカ大陸北東部の湿地に生息する半水生のホシバナモグラなど水辺での生活に適応している種もいる[7]。
一方、日本の本州・四国・九州などの地表に棲むヒミズ、中国などで地表や落葉の下で生息するミミヒミズ属のように地表で獲物を探す傾向の地表性モグラもいる[7][8]。
ロシアデスマンでは頭胴長(体長)18 - 21.5センチメートル、尾長17 - 21.5センチメートル[2]。シナヒミズでは体長6.3 - 9センチメートル、尾長2.6 - 4.5センチメートル[2]。体型は細長く、円筒形[2]。モグラ類は短い体毛、ヒミズ類は粗い体毛と下毛、デスマン類は防水性の密な下毛と油質の上毛で被われる[2]。
眼は小型で体毛に埋まり、チチュウカイモグラなどのように皮膚に埋もれる種もいる[2]。明度はわかるものの、視覚はほとんど発達しない[2]。ヒミズ類の一部を除き耳介はない[2]。鼻面は長く管状で、下唇よりも突出する[2]。鼻面には触毛を除いて体毛はなく、ホシバナモグラでは吻端に肉質の突起がある[2]。モグラ類は前肢が外側をむき大型かつほぼ円形で、5本の爪があり土を掘るのに適している[2]。これらは地下で穴を掘って暮らすための適応と考えられる。また、前足は下ではなく横を向いているため、地上ではあまりうまく扱えない[要出典]。デスマン類では前肢の指に半分ほど、後肢の趾の間には水かきがあり指趾に剛毛が生え水をかくのに適している[2]。触覚が発達し、鼻面や尾などに触毛がある[2]。
陰茎は後方に向かい、陰嚢がない[2]。
以前は食虫目Incectivora(無盲腸目、モグラ目)に分類されていた[2]。分子系統学的解析から食虫目をアフリカトガリネズミ目・トガリネズミ形目Soricomorpha・ハリネズミ形目Erinaceomorphaに分割する説が提唱され、本科はそのうちトガリネズミ形目に分類する説が提唱されたこともある[9]。
以下の分類・英名は、MSW3(Hutterer, 2005)に従う[1]。和名は川田ら(2018)に従う[3]。
主に森林や草原の地中に生息するが、デスマン類は水生で河川や湖に生息する[2]。単独で生活し、それぞれの個体が縄張りを形成する[2]。ホシバナモグラは冬季に雌雄が一緒に生活することもある[2]。主に周日行性で1日に複数回の活動周期がある種が多いが、デスマン類は夜行性傾向が強い[2]。
主に昆虫、ミミズなどを食べる[2]。デスマン類は魚類や両生類などの大型の獲物も捕食する[2]。食物を蓄えることもある[2]。年に1回だけ2 - 7頭(例としてヨーロッパモグラはイギリスで平均3.7頭、ロシアで5.7頭)の幼獣を産む[2]。
多くのモグラは地下にトンネルを掘ってその中で生活する。モグラが地表付近にトンネルを掘ったときに、その土が地表を押し上げられて盛り上がった跡を「モグラ塚」という[10]。ただし、ヒミズのように地表で落ち葉の下に浅い溝を掘り生活している種もある[10]。
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分類には異説もある。すべての種が日本固有種とされる。土竜と漢字を当てられる事が多い。
ほぼ全国で、都市部以外では人家周辺でも普通に「モグラ塚」が見られる。たとえば、都心の孤立した緑地である皇居でも、吹上御所にアズマモグラが生息している。
日本のモグラ類は、“あまりモグラらしくないモグラ”であるヒミズ(日不見)類と、その他の真性モグラ類とに大別される。
ヒミズとヒメヒミズは森林の落ち葉や腐食層の下で暮らすが、動きが素早く、しばしば地上にも現れる半地中生活者である。
2属5種の真性モグラ類のうち、コウベモグラは西日本に、アズマモグラは主に東日本に広く分布する。両者の生息域の境界線は中部地方にあるが、やや大型のコウベモグラが少しずつ東側に生息域を広げつつある。これは、先に大陸から移入したアズマモグラが日本全土に生息域を広げたあとに、新たに大陸から移入してきたコウベモグラが東進しているためともいわれる。
一方、アズマモグラ以前の先住者といわれるコモグラ、ミズラモグラなどは生息域が減少し、山地などに隔離分布するようになってきており、それぞれに程度の差はあるものの、絶滅が危惧されている。
毛皮が利用されることもある[2]。イギリスでは乗馬用ズボン・ベスト・婦人用コートなどに利用された[2]。
農業やゴルフ場などでは害獣とみなされることもある[2]。
農地開発、水質汚染、毛皮用の乱獲などにより生息数が減少している種もいる[11]。
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