青少年保護育成条例

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青少年保護育成条例(せいしょうねんほごいくせいじょうれい)は、日本地方公共団体条例の一つで、青少年保護育成とその環境整備を目的に地方自治体で公布した条例の統一名称である。青少年保護条例や、青少年健全育成条例と言うこともある。

内容

内容はそれぞれの条例で多少異なるが、おおむね共通する規定は次のとおり。

制定している地方自治体

2016年をもって、全ての都道府県において条例が制定されているが、1983年に埼玉県で制定されてから2016年まで長野県が唯一、県単位での条例が存在しない地域となっていた[2]。このため、長野市佐久市東御市塩尻市などが市町村単位で条例の制定を行っていた。ただし、青少年のテレクラ利用規制という観点から限定した条例については、2016年以前の長野県でも「年少者に対しテレホンクラブ等営業の利用を誘発する行為の規制に関する条例」が1999年3月に制定されている。

長野県以外の市町村でも都道府県とは別に条例を定めている場合がある(例、羽生市加須市八潮市高槻市福山市など)。

  • 大阪府の青少年健全育成条例では、2006年平成18年)2月1日施行の改正条例により、第24条第1項に「夜間立入制限施設」の規定があり、16歳未満の者が午後7時から翌日の午前5時まで、当該施設に(映画館も)立ち入りすることを禁止しており、違反者には30万円以下の罰金が科される[3]。24時間営業(例えばコンビニエンスストアレストラン)事業者は、上記の時間帯に施設・敷地内にいる18歳未満の青少年に、自宅への帰宅を促す努力義務規定が、第24条第3項にある[3]。第36条には、何人も保護者の承諾を得ず、夜間に青少年を連れ出し・同伴・とどめることを禁止しており、違反者には30万円以下の罰金が科される。
  • 東京都2005年(平成17年)に青少年保護育成条例に、インターネット対策として事業者・保護者らにフィルタリングソフトの利用を求める規定などを追加した[4][5][6][7]
  • 長崎県の青少年保護育成条例では、1978年昭和53年)の改正時に、青少年に対するコンドームを含めた避妊具の販売禁止条項があったが[8]2011年平成23年)6月1日に撤廃された[9]

都道府県の条例

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都道府県の条例
都道府県条例名制定年月日青少年の定義
01/北海道北海道青少年健全育成条例1955年4月2日[1]18歳未満の者
02/青森県青森県青少年健全育成条例1979年12月24日18歳未満の者
03/岩手県青少年のための環境浄化に関する条例1979年12月21日6歳以上18歳未満の者
04/宮城県青少年健全育成条例1960年3月31日6歳以上18歳未満の者
05/秋田県秋田県青少年の健全育成と環境浄化に関する条例1978年10月5日6歳以上18歳未満の者
06/山形県山形県青少年健全育成条例(平成21年4月題名改正)1979年3月26日18歳未満の者
07/福島県福島県青少年健全育成条例1978年3月30日18歳未満の者
08/茨城県茨城県青少年の健全育成等に関する条例1962年10月6日18歳に達するまでの者
09/栃木県栃木県青少年健全育成条例1976年7月6日6歳以上18歳未満の者
10/群馬県群馬県青少年健全育成条例1961年4月1日18歳未満の者
11/埼玉県埼玉県青少年健全育成条例1983年11月1日18歳未満の者
12/千葉県千葉県青少年健全育成条例1964年11月1日小学校就学の始期から
18歳に達するまでの者
13/東京都東京都青少年の健全な育成に関する条例1964年8月1日18歳未満の者
14/神奈川県神奈川県青少年保護育成条例1955年1月4日満18歳に達するまでの者
15/富山県富山県青少年健全育成条例1977年3月25日6歳以上18歳未満の者
16/石川県いしかわ子ども総合条例1959年,1978年10月11日18歳未満の者
17/福井県福井県青少年愛護条例1964年4月1日小学校就学の始期から
18歳に達するまでの者
18/新潟県新潟県青少年健全育成条例1977年3月31日18歳に達するまでの者
19/山梨県青少年保護育成のための環境浄化に関する条例1964年4月2日満18歳に満たないもの
20/長野県長野県子どもを性被害から守るための条例2016年7月1日18歳未満の者
21/岐阜県岐阜県青少年健全育成条例1960年11月10日6歳以上18歳未満の者
22/静岡県静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例1961年10月4日満18歳に達するまでの者
23/愛知県愛知県青少年保護育成条例1961年3月28日6歳以上18歳未満の者
24/三重県三重県青少年健全育成条例1971年12月24日6歳以上18歳未満の者
25/滋賀県滋賀県青少年の健全育成に関する条例1977年12月23日6歳以上18歳未満の者
26/京都府青少年の健全な育成に関する条例1981年1月9日18歳未満の者
27/大阪府大阪府青少年健全育成条例1956年,1984年3月28日18歳未満の者
28/兵庫県青少年愛護条例1958年,1963年3月31日6歳以上18歳未満の者
29/奈良県奈良県青少年の健全育成に関する条例1976年12月22日6歳以上18歳未満の者
30/和歌山県和歌山県青少年健全育成条例1951年,1978年10月19日[1]18歳に達するまでの者
31/鳥取県鳥取県青少年健全育成条例1980年12月25日18歳未満の者
32/島根県島根県青少年の健全な育成に関する条例1965年3月26日18歳未満の者
33/岡山県岡山県青少年健全育成条例1950年,1967年[10],1977年6月16日満18歳に満たない者
34/広島県広島県青少年健全育成条例1979年3月13日18歳未満の者
35/山口県山口県青少年健全育成条例1957年12月13日小学校就学の始期から
18歳に達するまでの者
36/徳島県徳島県青少年健全育成条例1965年7月19日18歳に満たない者
37/香川県香川県青少年保護育成条例1952年8月10日18歳未満の者
38/愛媛県愛媛県青少年保護条例1967年10月6日6歳以上18歳未満の者
39/高知県高知県青少年保護育成条例1958年,1977年12月22日6歳以上18歳未満の者
40/福岡県福岡県青少年健全育成条例1956年,1995年12月25日18歳未満の者
41/佐賀県佐賀県青少年健全育成条例1977年7月29日6歳以上18歳未満の者
42/長崎県長崎県少年保護育成条例1957年,1978年4月1日18歳未満の者
43/熊本県熊本県少年保護育成条例1971年6月8日小学校就学の始期から
満18歳に達するまでの者
44/大分県青少年の健全な育成に関する条例1966年4月15日,1977年18歳未満の者
45/宮崎県宮崎県における青少年の健全な育成に関する条例1977年7月28日18歳未満の者
46/鹿児島県鹿児島県青少年保護育成条例1961年12月22日6歳から18歳に達するまでの者
47/沖縄県沖縄県青少年保護育成条例1972年5月15日満18歳に達するまでの者
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青少年の深夜外出規制に関する規定

青少年の深夜外出規制に関する規定は、詳細の差異こそあれ条文に盛り込まれており、基本的には以下のような内容になっている。

  • 保護者は特別な事情がある場合を除き青少年を深夜に外出させてはならない
  • 保護者の指示や同意・その他正当な理由が無い場合、青少年を深夜に連れ出したり同伴させたり留め置いてはならない(罰則規定付き)

ただし「深夜」に関する定義は、都道府県で大きく異なっている。東京都や福岡県など、殆どの自治体では労働基準法第6章の規定なども考慮し、23時から翌日4時までとしているが、広島県では23時から翌朝6時までと、この時間帯を長めに取っている県もある。沖縄県では22時から翌日4時までと、逆に夜の規制始めを早めている。

特に厳しく規制しているのは大阪府で、16歳未満については規制始めを更に早くし、20時からとしている。更に19時以降に終演する場合は、保護者同伴でなければ入場できない。このため大阪市に本拠地を置くアイドルグループ・NMB48は、該当するメンバーを劇場公演に出す場合、開始時刻を夕方にして20時までに帰路につけるようにする『薄暮公演』を行うことが多くなっている。

国家総動員法との類似性

脚注

関連書籍

関連項目

外部リンク

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