若松駅
福岡県北九州市若松区にある九州旅客鉄道の駅 ウィキペディアから
若松駅(わかまつえき)は、福岡県北九州市若松区白山一丁目にある、九州旅客鉄道(JR九州)筑豊本線(若松線)の駅である。駅番号はJE06。同線の起点駅。
歴史
要約
視点

筑豊興業鉄道により1891年(明治24年)8月30日に開設された。当初から石炭の積み出しを主な目的とし、若松駅と若松港の設備の拡張が並行して行われ、石炭桟橋から石炭を積み出した。
構内は広大で、多数の石炭車が常時出入りしていた。ガントリークレーン、ホイストなどの積み下ろし設備が各種整備され、最盛期の1940年(昭和15年)には年間830万トンの積み出しを行っていた。一時第二次世界大戦のために衰えるが、戦後も再び同じくらいの貨物取り扱いをして、ほぼ常時日本で一番貨物取り扱いの多い駅であった[注釈 2]。隣接地には若松機関区(1984年1月末で廃止)を有していた。
しかし、エネルギー革命の進展により、石炭の取り扱いは急速に減少していき、1970年(昭和45年)にはホイストとガントリークレーンの使用が停止され、1982年(昭和57年)11月には貨物輸送が廃止されるに至った。翌1983年(昭和58年)4月から構内の整理が開始され、旧駅舎が取り壊されて建て直されると共に、側線群のほぼ全てが撤去され、現在に見る純粋な旅客駅となった。
新駅舎となってからも、客車列車が運行されていた1990年代前半頃までは複数のホームを使用していたが、現在は1面2線のみとなっている。
年表
- 1891年(明治24年)8月30日:筑豊興業鉄道 若松駅 - 直方駅間開設に伴い当駅開業[1][2]。
- 1893年(明治26年)4月6日:それまで直方町(現直方市)にあった筑豊興業鉄道本社を若松町(現若松区)に移転。
- 1894年(明治27年)8月15日:筑豊鉄道に社名変更[2]。
- 1897年(明治30年)10月1日:筑豊鉄道を九州鉄道(初代)が買収[4][5]。
- 1904年(明治37年)10月25日:現在位置に駅移転。
- 1907年(明治40年)7月1日:九州鉄道(初代)が国有化され帝国鉄道庁が所管、筑豊本線の駅となる[5]。
- 1911年(明治44年)12月23日:一等駅に指定される。
- 1920年(大正9年)8月:新駅舎完成。
- 1930年(昭和5年)7月28日:ガントリークレーン設置。
- 1935年(昭和10年)9月21日:自動信号機使用開始。
- 1936年(昭和11年)5月:若松市営軌道と連絡運輸開始。
- 1941年(昭和16年):貨物取扱量が全国1位になる。2位は現新日鉄戸畑工場内の飛旗駅。
- 1970年(昭和45年)10月1日:ガントリークレーン使用停止。
- 1982年(昭和57年)11月:貨物輸送廃止[6]。
- 1984年(昭和59年)3月24日:新駅舎完成。隣接した旧駅舎を解体。
- 1985年(昭和60年)3月14日:荷物扱い廃止[6]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴い、九州旅客鉄道(JR九州)の駅となる[7]。
- 1991年(平成2年)8月30日:若松駅開業100周年を記念して若松法人会が時計を設置。
- 2009年(平成21年)3月1日:ICカード「SUGOCA」の利用が可能となる[8]。
- 2017年(平成29年)3月4日:当駅 - 新入駅間(折尾駅を除く)の10駅と共に駅遠隔案内システム(Smart Support Station)「ANSWER」を導入し、駅員配置が朝のラッシュ時(6時30分 - 8時30分)のみとなる[9][10]。
- 2018年(平成30年)12月1日:接近・到着メロディとして「聖者の行進」の使用を開始[11][12]。
- 2023年(令和5年)10月1日:駅営業形態をJR九州サービスサポートによる業務委託駅から[13]、九州旅客鉄道本体による直営駅へ変更[14]。
- 大正時代の若松駅と若松港
- 若松駅操車場跡碑
- 若松駅操車場跡の碑文
- 駅前に保存されているセム1形貨車(セム1000)
駅構造
頭端式ホーム1面2線を有する[1]地上駅で南側に1本の側線が存在する。以前は石炭の積出港として広大なヤードを備えていた[1]。現在、その跡地は、駅前広場等公共施設用地として整備されたり、「久岐の浜シーサイド」として数多くのマンションや市営住宅が建設されている。同じ蓄電池電車の運行される終点駅の烏山駅(烏山線)や男鹿駅(男鹿線)と異なり、蓄電池充電用の架線設備を持たない。
JR九州本体が駅業務を行う直営駅で、みどりの窓口が設置されている。ただし駅遠隔案内システム「ANSWER」(Smart Support Station)が導入された2017年3月4日以降、駅員配置時間は早朝の6時30分から8時30分までの時間帯のみとなり、それ以外の時間帯は無人になる(中間駅併設のサポートセンターからの遠隔管理)。自動券売機および自動改札機が設置されており、SUGOCA等のICカードと磁気券が利用可能である。自動改札機の磁気券投入口は塞がれているが、若松駅では磁気券を投入せずにそのまま通過し、降車時は運賃箱に磁気券、運賃等を投入する。また、無記名式SUGOCAを自動券売機で新規発行が可能である。[15]
改札外正面には駅うどん・そば店(東筑軒)が併設されている。
地域おこしの一環として、「九州におけるジャズ音楽の発祥の地」として、接近放送に併せてジャズのスタンダードソングである「聖者の行進」を使用しているほか、構内で昼間に限りジャズ音楽を流している[11][12]。
のりば
のりば | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
1・2 | ![]() |
下り | 折尾方面 |
- 改札外待合室(2020年2月)
- 改札口・ホーム(2020年2月)
駅弁
- 大名道中駕籠かしわ
- かしわめし
利用状況
2020年(令和2年)度の1日平均乗車人員は906人である[利用客数 1]。
JR九州及びとうけい北九州によると、近年の1日平均乗車人員の推移は下記の通り。
年度 | 1日平均 乗車人員[17] |
---|---|
2000年 | 1,621 |
2001年 | 1,601 |
2002年 | 1,551 |
2003年 | 1,521 |
2004年 | 1,506 |
2005年 | 1,437 |
2006年 | 1,426 |
2007年 | 1,381 |
2008年 | 1,359 |
2009年 | 1,306 |
2010年 | 1,311 |
2011年 | 1,345 |
2012年 | 1,358 |
2013年 | 1,390 |
2014年 | 1,317 |
2015年 | 1,365 |
2016年 | 1,342 |
2017年 | 1,230 |
2018年 | 1,208 |
2019年 | 1,146 |
2020年 | 906 |
駅周辺
駅舎の正面を国道495号が通過し、駅北方の「若松駅前」交差点で国道199号と国道495号が交わる(同交差点は国道495号の起点でもある)。駅前広場に路線バスは乗り入れず、最寄のバス停は国道199号沿いの「大橋通り」、西鉄バスの「若松駅前」と北九州市営バスの「若松駅」バス停(いずれも二島方面のみ設置)、国道495号沿いに設置されている「若松市民会館前」バス停。北九州市交通局(北九州市営)と西鉄バス北九州(西鉄)のバスが停車するが、西鉄の「若松駅前」バス停は終点及び戸畑方面は「大橋通り」始発のため降車専用となっているほか、「若松市民会館前」バス停に停車する便は2017年4月以降は北九州市営のみとなっている。
- 若松市民会館
- 火野葦平資料館(若松市民会館内)
- 北九州市立若松図書館(ベイサイドプラザ内)
- サンリブ若松店(ベイサイドプラザ内)
- ダイソー サンリブ若松店
- 久岐の浜広場
- 久岐の浜シーサイド団地(石炭貨車ヤード跡)
- ホテルルートイン北九州若松駅東
- エスト本町・明治町銀天街(アーケード)
- ファミリーマートJR若松駅店
- 若戸大橋
- 新若戸道路(2012年度完成)
- 若戸渡船若松渡場
- 徒歩10分以上かかるが、ここへ至る洞海湾沿いは若松バンドと呼ばれ、レトロな建物が多い街並みのためロケ地によく使用されている。
- 若松恵比須神社
- 若松区役所
- 若松郵便局
- 産業医科大学若松病院
- 芳野病院
- 高塔山公園
- 国道199号
- 国道495号
その他
- かつて若松駅は石炭輸送の拠点でもあった。駅のすぐ近くの下り線側には高さ8m、長さ1200mもある日本一の石炭さん橋があった。
- 駅前広場には国鉄9600形蒸気機関車(19633号機)が静態保存されている。以前は駅北側にあった白山公園に保存されていたが、駅周辺再開発によって現在地に移動し、当駅の歴史を記載した掲示板も設置されている。しかし、ほぼ放置に近い状態であり荒廃が進んでいたため、北九州市では2019年に機関車の譲渡先を募集し、最終的に食品メーカーの山口油屋福太郎が選ばれた。同社の福岡県添田町にある工場内に移設される予定とされたが[18]、2022年2月時点で移設は行われていない。
- 9600形蒸気機関車(19633号機)
(駅前に静態保存されているが、移設することが確定している)
隣の駅
- 九州旅客鉄道(JR九州)
若松線(筑豊本線)
- 若松駅(JE06) - 藤ノ木駅(JE05)
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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