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『燃えろ!!プロ野球』(もえろ プロやきゅう、英題:Bases Loaded)は、トーセが開発し、ジャレコ(現:シティコネクション[注 1])より1987年6月26日に発売されたファミリーコンピュータ用野球ゲーム。通称は燃えプロ。
ジャンル | 野球ゲーム |
---|---|
対応機種 |
ファミリーコンピュータ (FC) アーケード (AC) Vアプリ EZアプリ Wii ニンテンドー3DS (3DS) Wii U |
開発元 | トーセ |
発売元 | ジャレコ |
プロデューサー | 関雅行 |
プログラマー | おおたのぶかず |
音楽 |
村田幸史 林音人 |
美術 | 田中哲次 |
シリーズ | 燃えろ!!シリーズ |
人数 | 1 - 2人(対戦プレイ) |
メディア | 1.5メガビットロムカセット[1] |
発売日 |
FC 1987年6月26日 1988年7月 AC(ホームラン競争) 1988年4月 AC(実力!!プロ野球) 1989年7月 Vアプリ(燃えプロ) 2004年9月1日 EZアプリ(燃えプロ) 2004年 2005年8月16日 Wii 2007年9月11日 2008年4月7日 3DS 2013年5月15日 2014年7月10日 Wii U 2014年7月10日 2014年10月22日 |
対象年齢 |
CERO:A(全年齢対象) ESRB:E(6歳以上) |
売上本数 | 158万本[2] |
その他 |
型式 JF-13 NES-LD-USA |
野球盤のような上空からの視点ではなく、TV中継さながらの、投手後方の視点によるプレイ画面などのリアルな演出や合成音声を特徴とする[4]。一方で「バントホームラン」[注 2]と呼ばれる不具合[4]やゲームバランスの悪さで購入者から苦情が寄せられたことで知られる。
その中でも日本では158万本を出荷し[2]、ジャレコの家庭用ゲーム事業における最大のヒット作となった。また、ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」にてゴールド殿堂入りを獲得した。
投手後方の視点によって、従来の野球ゲームにあった上方からの視点と異なり、投手はボールを左右のみでなく上下に投げ分けることが可能となり、打者もそれに対応してバットを上下左右にコントロールすることができる。また、1人プレイの場合プレイヤーが後攻固定で、2人対戦プレイ時は1Pが後攻で2Pが先攻となる。
特徴のある選手の投球フォームや打撃フォームを表現している。
審判員のコールや打撃音、観客の歓声などといった効果音の再生にはDPCMではなく外部音声機能を使用している。このため、一部のエミュレータやファミコン互換機では音声が再現されない。
イベント発生時には球場のバックスクリーンに画面が切り替わる。たとえば投手交代の際にはリリーフカーに乗ってマウンドに移動する選手の姿、ホームランの際にはホームランを打たれた投手がマウンド上で崩れる姿(ソロと満塁で異なる)、デッドボールの際には乱闘、といったアニメーションがオーロラビジョンに映し出される。これらの演出はスキップできない。
タイトル画面には当時の人気選手であった江川卓を模したと思われる耳の大きなキャラクターが登場し、セレクトボタンを押してモードを切り替えるたびに首を振る。無死満塁のチャンスで三振に倒れると「アホ」という効果音が出る。
音声機能を使うなど、先進的・野心的なゲームではあったが、『ファミスタ』と比較するとゲームとしての見劣りはどうしてもぬぐいきれなかった。バントホームランなどの笑える一面もあったが、それらゲームの粗さが真剣にプレイする気持ちを萎えさせていたことは否定できない[5]。
発売時、大量に出回った初期版では「ファウルの後どこに投げてもストライクと判定される」という現象があった。さらに、表示される打率・ホームラン数も選手の能力に反映されていない場合が多く、「HT CLUB」のヤキ゛の走力がなぜか全選手中最高の10(他の選手の最高値は9)になっているという設定はその顕著な例であった。これらの問題から、ジャレコ本社には発売初日からクレームの電話が殺到したため、出回った製品を回収してデータを更新せざるを得なくなり、社員総出で徹夜で過酷なソフト改修作業を行ったという。今のようなデータのみの改修ではなく「パッケージを破壊して中のROMを差し替える」という荒っぽい作業だったためケガ人も多かったという。
リアルなグラフィックを売り物にしたが、その反面、操作性が劣悪なものになっている。ピッチングとバッティングは操作が困難だったが、特に守備では、ボールがバットのどこに当たってもフライになり(バントホームランが発生するのもこのためである)どの野手が操作可能かもわかりづらく、球場が広いうえに移動速度が遅いためフライが捕球できず、ゴロ処理の送球が悪送球になりやすい、という野球ゲームにとって致命的な欠陥がさらけだされた。
1試合あたりの所要時間は、『ファミスタ』が通常20分程度で終わるのに対し、50分ほどかかる。対コンピュータモードはペナントレースモードしかなく、11チーム相手(OBで構成されたStは除く)に1カード3連戦を戦い、132試合中80勝すると優勝=エンディングとなる長丁場である。そのため、あと1勝で優勝できるパスワードがゲーム雑誌の裏技面に載ったほどだった。今日のスポーツゲームにも見られる、ゲームとしてのテンポと表現のリアルさの対立がこのころから存在していたことになる。
ファミコン用の野球ソフトで初めてセ・リーグ・パ・リーグ全球団が収録され、さらに選手名と背番号がほぼ一致している。
「YS CLUB」チームの3番打者「ホーナー」は、当時ヤクルトスワローズに現役メジャーリーガーとして鳴り物入りで入団し、入団当初に桁外れの活躍をしたボブ・ホーナーをモデルとしている。ゲーム内でのホーナーの成績は打率4割6分7厘、本塁打60本に設定されている。またオープニングデモではホーナーがホームランを打つ場面が再現される。当時のプロデューサーでジャレコの社員だった関雅行は、雑誌『CONTINUE』(太田出版刊)Vol.14にて「ホーナーを柱にしなきゃいけないと思った…」と述懐していた。
バントホームランが打てる強打者として設定されているのは、クロマテ(G)、アキヤマ(L)、ハ゛ース(T)、ランス(C)、ホ゜ンセ(W)、オチアイ(D)、ホーナー(S)、オク゛リ(Bu)、フ゛ーマ(Br)、リー(O)、Pトナム(F)、カト゛タ(H)、ミスタG(St)である。
2Pでは、セ・パ12チームのほかにStというOB選手によるチームが使用できる。登場する選手は以下の通り。
登録選手の約9割は打率3割以上である。
選手名は通常カタカナで4文字(濁点・半濁点は1文字として扱う、5文字以上の選手は短縮)までであるが、外国人選手の名前を表すためアルファベットも使用され、また変形表記もあった(湯上谷宏は「ユノカミ」、パットナムは「Pトナム」、ジョージ・ブコビッチは「Vコビ」など)。
No. | タイトル | 発売日 | 対応機種 | 開発元 | 発売元 | メディア | 型式 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 燃えろ!!プロ野球 ホームラン競争 | 1988年4月 |
アーケード | ジャレコ | ジャレコ | 業務用基板 | - | |
2 | 実力!!プロ野球 | 1989年7月 |
アーケード | ジャレコ | ジャレコ | 業務用基板 (メガシステム1) |
- | |
3 | 燃えろ!!ジャレココレクション | 2004年10月28日 |
ゲームボーイアドバンス | ジャレコ | ジャレコ | ロムカセット | AGB-P-BJCJ | |
4 | 燃えプロ | 2004年9月1日[6][7] |
256K対応機種 (Vアプリ) |
ジャレコ | ジャレコ | ダウンロード (ジャレコVギャレッソ) |
- | |
5 | 燃えプロ Bases Loaded |
2004年 2005年8月16日 |
BREW対応端末 (EZアプリ) |
ジャレコ | ジャレコ | ダウンロード | - | |
6 | 燃えろ!!プロ野球 Bases Loaded |
2007年9月11日 2008年4月7日 |
Wii | トーセ | ジャレコ | ダウンロード (バーチャルコンソール) |
- | ファミリーコンピュータ版の移植 |
7 | 燃えろ!!プロ野球 Bases Loaded |
2013年5月15日[8] 2014年7月10日 |
ニンテンドー3DS | トーセ | ハムスター | ダウンロード (バーチャルコンソール) |
- | ファミリーコンピュータ版の移植 |
8 | Bases Loaded 燃えろ!!プロ野球 |
2014年7月10日 2014年10月22日[9][10] |
Wii U | トーセ | ハムスター | ダウンロード (バーチャルコンソール) |
- | ファミリーコンピュータ版の移植 |
9 | G-MODEアーカイブス+ 燃えプロ |
2023年8月3日[11][12] |
Nintendo Switch | ジー・モード | ジー・モード | ダウンロード | - | フューチャーフォン版の移植 |
開発時の仮称は『リアルベースボール ペナントレース'87』[13]。
本作のプロデュースを担当している関雅行は、同社の『エクセリオン』(1983年)や『フォーメーションZ』(1984年)などのファミリーコンピュータへの移植版を手がけたほか、『忍者じゃじゃ丸くん』(1985年)の開発などに携わっていた[2]。それまでの同社のファミリーコンピュータ用ソフトは全てアーケードからの移植版しか存在しなかったことや、その当時のファミリーコンピュータの野球ゲームは任天堂より発売された『ベースボール』(1983年)しかない状態であったことから、野球を愛好していた関は家庭用ゲーム機オリジナルとなる野球ゲームの製作に着手することになった[2]。
当初は『ベースボール』を基準とし、キャラクターサイズを大きくしたうえで音声合成チップを採用して野球場の雰囲気をリアルに再現したゲームを製作しており、同機種では初となるバンク切り換え方式が使用されることになった[2]。しかし、開発中にナムコより『プロ野球ファミリースタジアム』(1986年)が発売されたことで開発が中止される事態となる[2]。その後、関は野球ゲームの製作を諦めきれず、『ファミスタ』と異なる路線の野球ゲームの製作に着手、野球観戦をイメージしたゲームへと方向転換することになった[2]。
ゲームタイトルは『ファミスタ』に対抗して語呂のよい略称を検討した結果、『燃えプロ』が選択された[2]。またリアル志向の結果1球団に30名もの選手が登録されることになった[2]。開発期間はおよそ半年程度となり、完成間近の状態でまだデバッグが完全ではない状態であったが、ジャレコの経営的な判断により6月中の発売が望まれたため、デバッグが不完全なまま発売されることになった[2]。その後ユーザーからのクレームによりバッティングの際に素振りをすることでその後の判定が全てストライクになるというバグが発覚、しかし製品版はマスクROMのためバグ対応が間に合わず、苦肉の作として当時3倍程度割高となるEPROMで製作しそのまま出荷するという措置が取られた[2]。そのためユーザーからクレームが来るたびに新データを入れ込み販売を行った結果、本作にはいくつものバージョンが存在するという[2]。具体的には赤いカートリッジのほかに黒いカートリッジのものも存在する。これは前述の改修作業で赤いカートリッジの大半を消費したあとにゲームが大ヒットして赤いカートリッジの在庫が尽きたため、急遽『妖怪倶楽部』に使用する予定のカートリッジを代用して生まれたものである。言い換えれば、黒いカートリッジは後期発売型という見方ができる。黒いカートリッジ以降は、ファウル後のストライクや異常な選手のデータ設定は修正が施されている。
本作では選手名が実名だったことから発売後には3球団からクレームが寄せられたため、後の作品ではとりあえず選手名を偽名にすることで対処することになった[2]。また、のちにバップより発売された『スーパーリアルベースボール』(1988年)が日本野球機構の許諾を得て、初めて球団名および選手名が実名使用可能である作品となった経緯から、のちの交渉で許諾を得やすくなったと関は語っている[2]。しかし、バグが残されたまま発売されたことやプレイ時間が長すぎることなど不完全燃焼となっていた関は、この後ジャレコを退社しヘクトを設立することになった[2]。バントホームランについて、関は「ヤクルトのホーナーが来日直後から本塁打を連発したのを見て、(ホーナーをモチーフにした選手の)ミート指数とパワー指数を上げる指示をしたのがバグにつながりました」と述べている[4]。
評価 | ||||||||||||
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項目 | キャラクタ | 音楽 | 操作性 | 熱中度 | お買得度 | オリジナリティ | 総合 |
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得点 | 3.67 | 3.35 | 3.02 | 3.69 | 3.22 | 3.42 | 20.37 |
この節では、タイトルに「燃えろ」ないしは「燃え」が入る作品も扱う。
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