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東北大学が設置する自然植物園 ウィキペディアから
東北大学学術資源研究公開センター植物園(とうほくだいがくがくじゅつしげんけんきゅうこうかいセンターしょくぶつえん)は、東北大学が設置する自然植物園。略称は「東北大学植物園」。公益社団法人日本植物園協会及び植物園自然保護国際機構 (BGCI) 加盟園。
大学の学内共同教育研究施設等としての「東北大学学術資源研究公開センター植物園」は以下の2つの施設により構成される。
東北大学史料館、東北大学総合学術博物館とともに、東北大学学術資源研究公開センターに置かれる業務組織である。
本園については「東北大学青葉山植物園」または「青葉山植物園」という通称も浸透している。
仙台市都心部の西側、青葉山の東端に位置している。東北大学川内キャンパス、同青葉山キャンパス、及び仙台城本丸跡に隣接しており、南側は竜ノ口渓谷となっている。
敷地面積は約59万m2[1]。そのうち、約39万m2が文化財保護法に基づく国の天然記念物「青葉山」、及び同法に基づく国の史跡「仙台城跡」の一部に指定されている。また全域が鳥獣保護法に基づく宮城県指定鳥獣保護区であり、特に天然記念物指定区域は特別保護地区の一部となっている。さらに仙台市の「広瀬川の清流を守る条例」に定められた特別保護区域にも指定されている。仙台市の「杜の都・仙台 令和版 わがまち緑の名所100選」にも選ばれている[1]。
敷地の北東部には、川内キャンパスに隣接して本館(研究棟)、記念館(津田記念館)、ヤナギ館(標本庫)および駐車場がある。記念館の背後は苗圃(ヤナギ園)になっている。
本館の前は広い芝生になっており、その先にはロックガーデンと湿生植物園が設けられている。さらに、天然記念物指定区域を周遊する観察路の入口がある。
本館には2007年現在、東北大学理学部・大学院生命科学研究科の植物構造機能進化学研究室が入っており研究教育活動を行っている。この他、本館には受付窓口、展示ホール、講義室等がある。展示ホールには主に天然記念物「青葉山」の生態系について、各種の標本を用いた展示がある。
記念館およびヤナギ館はハーバリウムとして使用されており一般には公開されていない。特に記念館は東北帝国大学で植物学を学んだヒマラヤ製菓創始者・津田弘の寄付により建てられたものであり、大学のハーバリウムとしては日本最大規模の施設である。
ロックガーデンには高山性の種をはじめとして各地から収集された植物が植栽展示されている。また湿生植物園では池、ミズゴケ園、アシ原等変化に富んだ環境が整備され、ミズバショウやアヤメ科植物などが植栽されている。
園内観察路は天然記念物指定区域を周遊する形で整備されており、ほぼ全線が森林の中を通る道である。主に渓流沿いの道と台地上の道及び、その間を結ぶ尾根伝いの道からなる。各路線には「モミノキ道」や「カタクリ道」といった愛称がつけられているが、園内案内板やパンフレットでは採用されておらず、青葉山ゲート(後述)に設置された案内板と展示室ジオラマ及びウェブサイト上の地図でのみ見ることができる。また、観察路の分岐点などには番号道標が設定されているが、いくつか欠番がある。これは過去の災害が原因で廃止された路線の名残である。園内の標高差は90mほどあるため、特に尾根伝いの道は勾配が比較的きついが、沿線には随所にベンチや東屋が設置されている。観察路の途中には「望洋台」と「見晴台」と名付けられた2つの広場があり、水飲み場や水洗トイレが設けられている。両広場とも森林に囲まれており、その名に反して眺望は良くない。望洋台広場では仙台地方に自生しない植物を中心に植栽展示がされており、稀なサクラの品種であるセンダイヨシノも植栽されている。見晴台広場には退園専用のゲート(南門)があり、園内を走る市道青葉山亀岡線沿いに出ることができる。天然記念物指定区域の山林はこの市道によって南北に分断されている。市道より南側の竜ノ口渓谷までの区域には観察路等は一切設けられておらず、一般公開もされていない。市道の下には南北の区域をつなぐ形で小動物の移動に配慮したアンダーパスが設置されている。
この植物園は敷地面積の大部分が各種法令で保護された自然林であり、植物園であると同時に小規模ながら自然公園等に近い性質を持った施設でもある。
現在の敷地一帯はかつて「御裏林(おうらばやし)」と呼ばれ、1600年に伊達政宗によって仙台城の築城が開始されて以来、江戸時代を通じて同城本丸背後の防衛と水源涵養を主な目的として一般人の立ち入りや樹木の伐採が厳しく規制されていた。明治維新後は陸軍第2師団の管理下におかれ、さらに太平洋戦争終結後は進駐軍用地となったが、この間も一般人の立ち入りは制限されていた。1958年に東北大学に移管され、理学部附属青葉山植物園として開園。1972年、旧御裏林一帯はその学術上の重要性(後述)から国の天然記念物に指定された。
天然記念物指定区域一帯は数百年にわたってほとんど人の手が入ることがなかった(→沿革)。そのため仙台市という100万都市の中にありながら、この地方の低山帯における潜在自然植生に極めて近いと考えられる森林がほぼ極相に達した状態で残存している。
仙台地方の気候的極相林とは、モミを優占樹種とする中間温帯林である。
中間温帯林とは冷温帯と暖温帯の境界付近に発達する森林で、林内においては冷温帯性の落葉広葉樹や暖温帯性の常緑広葉樹は共に優占樹種とはならず、モミやツガなどの温帯性針葉樹が優占する。
青葉山の場合、高木層では樹齢300年近いモミの巨木が優占し、亜高木層では中間温帯性落葉広葉樹(イヌブナ、コナラなど)を優占種としてそれらに冷温帯性落葉広葉樹(ブナ、ミズナラなど)と暖温帯性常緑広葉樹(カシ類、シロダモなど)が混生している。なお、このような森林は仙台地方が分布の北限となっている。
中間温帯林では生息する動植物の種類が豊富で、林内の生物多様性が高いことが知られている。青葉山の林床には豊かな森林を好むラン科の腐生植物が多く自生し、中にはヒメノヤガラなど希少な種も含まれる。またカヤランなどの着生植物にも富む。園内に自生する植物は高等植物(種子植物及びシダ植物)だけでも700種近くにものぼる。またこのような豊かな植物相を背景に、園内にはニホンカモシカのような大型哺乳類をはじめとした多様な動物も生息しており、オオタカなどの猛禽類を頂点とする複雑な食物網を構築している。
しかし、こうした中間温帯林は元来分布域が限られている上、有史以前から人間活動に伴って伐採され続け、今日ではほとんど消滅してしまっている。青葉山が天然記念物に指定されている理由は、このような生態学上重要かつ希少である豊かな生態系が大都市近郊に存在していることに学術的な価値があるためである。
※5月4日(みどりの日・植物園の日)と11月3日(文化の日)は無料。
※東北大学学生・教職員は無料(学生証・職員証の提示が必要)
※川内キャンパス側から入園する場合は、基本的に本館内を通って入園する。
※青葉山ゲートから入園する場合は、隣接するコンビニエンスストア「デイリーヤマザキ東北大学工学部東店」で入園券を求める。
十和田八幡平国立公園内、八甲田山の南麓に位置する。標高は海抜約900mで、面積は約7.5万m2。すぐ側には千人風呂で有名な酸ヶ湯温泉がある。
園内はダケカンバやオオシラビソを中心とした亜高山帯の自然植生に覆われ、林床にはハクサンシャクナゲやイワカガミ、オオバキスミレなどがみられる。また敷地の中央部には爆裂火口跡に形成された高層湿原「極楽沼」があり、モウセンゴケやワタスゲ、サワギキョウ等がみられる。
園内には実験棟と研究者宿泊棟があり、また周遊観察路が設けられている。観察路からは「まんじゅうふかし」と呼ばれるふかし湯に行くことができる。
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