愛知万博の施設とは、2005年日本国際博覧会で設置されたパビリオンを中心とする施設群のことをいう。121ヵ国と4国際機関、及び民間企業などが出展した。
センターゾーン
グローバル・ループ(水平回廊)
会場を一周するように設置された全長約2.6km、幅約21mの回廊。起伏のある会場(最大高低差約40m)を地形の最小限の改変でバリアフリーで周遊できるように配置され、平均高さは地上7m(最大地上高は14m)。最大傾斜3度。ループ上をグローバル・トラム、自転車タクシーが運行された。なお路面は廃材、合成樹脂などを複合使用した木製。
企業パビリオンゾーンA(4館)
- サブタイトルは「もしも月がなかったら」。案内役ロボット「wakamaru」が目玉の1つ。
- 電車型の「フク丸エクスプレス」に乗り、8つの異なるテーマの「駅」を巡る。途中で万博会場を見渡せるポイントもある。総合アドバイザーは三枝成彰。
- 当時実験中の、リニアモーターカーに関する映像(3Dシアター)・展示(超電導ラボ)。リニアの実物車両も展示。なおこれを発展した施設として閉幕から6年後の2011年にリニア・鉄道館がオープンした。
- 観覧車に乗り、車の歴史を知る展示を見る。途中で万博会場を見渡せるポイントもある。
企業パビリオンゾーンB(5館)
- テーマは「モビリティの夢、楽しさ、感動」。i-unit、i-footとダンサーとのパフォーマンスショーなど。設計はみかんぐみ。入館者数は265万人。会期中には、SMAP(当時)の香取慎吾ら芸能人が度々、ショーの観覧に訪れていた。混乱を避ける為に、いつ・誰が来所するといった情報は非公開であった。
- テーマは「Nature Contact~日立のITで蘇る希少動物達とのふれあい~」
- 夏休み中盤になると整理券を求めて夜明け前からゲート前に詰め掛ける人も。閉幕が近づくと徹夜で並ぶ人も多かった。午後6時以降は整理券を持たない来場者向けに直接入場も受け入れていた事から、オープン直後から直接入場希望者の入場待ち列が生じ、最大で8時間待ちを記録した事もあった。
- テーマは「地球、生命の輝き」。フューチャーキャストと呼ばれる映像システムにより来場者の顔画像を取込み、登場人物に配役した「グランオデッセイ」が上映された。なお建物の設計は大江匡。万博終了後、グランオデッセイは長崎県佐世保市の大型観光施設ハウステンボスのニュースタッド地区において、2007年3月25日にオープンした。
- メインショー「炎のマジックシアター」と、メタンハイドレートの展示から成る。「炎のマジックシアター」の配役は以下のとおり。
- 火村大源(ほむら だいげん、炎の大魔術師) : 津川雅彦(VTR出演のみ)
- 燃八(ねんぱち、火村の元弟子) : 古田新太(VTR出演のみ)
- コージ(火村の現弟子) : 若手舞台俳優7名が、日替わりで生出演
- 開催された愛知県ゆかりの企業が集まり、以下の4つのミニパビリオンの集合体となっている(但し、積水ハウスのみ本社が大阪府)。
- テーマシアター「めざめの方舟」:押井守を総合演出に迎え、自然映像の公開を行った。(中日新聞・中部日本放送・東海テレビ・積水ハウス)
- シヤチハタ マークタウン:シヤチハタのメイン事業である、スタンプ作成ができるブース。(シヤチハタ)
- NGKウォーターラボ:水をテーマにした3D映像ショー。(日本ガイシ)
- ブラザー アウトプットファンタジー:近年のブラザーのメイン事業である、プリンター技術を利用したシール作成ブース。(ブラザー工業)
日本ゾーン
- 長久手愛知県館(愛知県)
- 総合プロデューサーは山根一眞。1日約20回通算3000回以上の「地球タイヘン大講演会」を生で上演するというスタイル。劇座所属の劇団員が江古野博士を、エアリアル・パフォーマーが妖精を演じた。また「あいち・おまつり広場」が併設され、アジアで初の開催となった世界オリエンテーリング選手権の開会式をはじめとし、会期中は多くのイベントが開催された。
- 長久手日本館(日本国政府出展)
- まゆ形の竹ケージで覆われたパビリオン。瀬戸日本館やウェブページ上のサイバー日本館とともに女優の竹下景子が総館長を務めた。なお、同館の目玉であった、世界初となる360度天球型シアターの「地球の部屋」は、東京上野の国立科学博物館に移設され、シアター36○(シアター・サン・ロク・マル)という名称で2006年12月21日から一般公開されている。
- 大地の塔(名古屋市)
- 世界最大の万華鏡が設けられた塔(高さ47m)。歌手の藤井フミヤがプロデュース。テーマは「日本の心。地球の命」、塔の周囲には風車により音を奏でる高さ8mの音具(3基)、公募された切り絵を切り絵灯籠(118基)が設置されていた。なお万華鏡は天井部に取付けた直径10.5mの3枚の円盤に着色オイルを入れ、これを重ね合わせ回転、上下運動させ直径40mの球体像を映し出すもので、ギネス・ワールド・レコーズにも認定された(施工:熊谷組)。
- 中部千年共生村(中部広域出展実行委員会)
- 中部9県[1]が共同出展。和紙と繭を使った外装は夜は行灯状に光る。水の巨大ドーム「ミズノバ」をはじめ、各県の様々な展示が用意された。
遊びと参加ゾーン
- EXPOホール
- モリゾー・キッコロメッセ
- わんパク宝島(協賛・JAグループ、ユニー、中央出版、山崎製パン)
- 2005年日本国際博覧会特別記念局 8J2AI
- アマチュア無線局。なお、会場内へのアマチュア無線機を含む無線機(携帯電話・PHS端末除く)の持ち込みは禁止されていた。
- ロボットステーション
- 地球市民村
- 水木しげるのゲゲゲの森
- ファミリー愛ランド
- 大観覧車(高さ88m)
- ドルフィンパラダイス
- ファミリースインガー
- キディランド
- あそびの広場 ファンタジア
- ときめき愛ランド
- ディスク・オー
- -30℃の世界 アイスワールド
- からくり屋敷 幽霊一座
- レーザーガンシューティング ヴァルカンを倒せ!!
- カーニバル広場 ダウンタウン
- グローイングヴィレッジ
- 水の広場
- 風の広場
- 散策の森
森林体感ゾーン
- 日本庭園
- サツキとメイの家(博覧会協会・読売新聞社)
- 映画「となりのトトロ」にでてくる昭和30年代の草壁家の家を再現。
- 事前予約が必要だったため、各パビリオンの中でも競争率が最も高かった。当初、予約券がネットオークションで高値で不法に販売されたこともあった。その対策として、協会ははがきでの予約制に変更したが、当選倍率が約100倍となり、不法取引は無くなったが、中々当選しないのは相変わらずであった。閉幕後は愛知県に寄贈され、一般公開されている。
- 森の自然学校(北の森)
- 森の自然学校(南の森)
- 瀬戸ゲート
- ウェルカムハウス
- 天水皿n
- 瀬戸日本館(経済産業省)
360度の円型シアターで毎日10回以上にわたって行われた「群読叙事詩劇・一粒の種」が評判を呼び、瀬戸会場最大の呼び物に。演者はオーディションで選ばれた男女で、脚本・演出は寺山修司の流れを組むJ.A.シーザー、プロデューサーは野田秀樹作品をすべて手がける北村明子。
- 瀬戸愛知県館(愛知県)施工:杉本組
- 市民パビリオン
- 海上広場
- 里山遊歩ゾーン
閉幕後は、ほぼ全てのパビリオン・入場ゲート・グローバル・ループ(一部は残されている。)等が撤去された。
ただし、愛知青少年公園時代からある、屋内プール、屋内スケート場、愛知県児童総合センターなどの建物は、会期中はグローバルハウスブルーホール、オレンジホール、わんぱく宝島・ロボットステーション、地球市民村などに改装されて使用され、その後は元の施設に復旧している。また、長久手会場の大観覧車、サツキとメイの家、茶室などや、瀬戸会場の瀬戸愛知県館などの一部施設はそのまま活用されている。詳しくは、長久手会場の後身「愛・地球博記念公園」、瀬戸会場のあった「海上の森(瀬戸愛知県館の後身「あいち海上の森センター」、天水皿nを含む)」を参照。
- 愛・地球博記念公園 - 愛知万博の長久手会場を閉幕後整備した施設。2006年開設、2010年3月に整備完了予定。
- あいち海上の森センター - 愛知万博の瀬戸会場の愛知県館を閉幕後整備した施設。旧主会場候補地「海上の森」の管理施設。
- 瀬戸万博記念公園(愛・パーク) - 海上の森の外縁(旧万博瀬戸会場ゲートと旧市民パビリオン跡地の間)にあるモニュメント「天水皿n」を中心にした記念公園。2009年3月開設。