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漫画『ドラゴンボール』に登場する架空のキャラクター ウィキペディアから
天津飯(テンシンハン)は、鳥山明の漫画『ドラゴンボール』および、それを原作とするアニメなどの派生作品に登場する架空の人物。
英語圏での名前はTien Shinhan(ティエン・シンハン)。
初登場は原作では其之百十三「第22回天下一武道会」、アニメでは『ドラゴンボール』第82話「あばれ怪獣イノシカチョウ」。
エイジ733生まれ。身長187cm、体重75kg[1][2]。趣味は鍛錬[1]、餃子と2人でのバレーボール[2]。好きな食べ物はギョウザ、シューマイ。好きな乗り物はリャマ、ダチョウ[2]。嫌いな物は軟弱なヤツ[1]。
悟空の師匠・亀仙人のライバルである鶴仙人の弟子。兄弟弟子の餃子(チャオズ)とは、実の兄弟のような深い絆で結ばれている。鶴仙人の弟・桃白白(タオパイパイ)のような殺し屋を目指していたが、第22回天下一武道会の際に鶴仙流の教え方は間違っていると気付き、餃子と共に師の元を離れる。孫悟空に勝利した数少ない人物だが、その後追い抜かれ、以後は再び超えることを目標とし修業に励んでいる。
三つの目を持つのが特徴。4人に分身したり腕が4本になったりと、主要人物の中でも技のレパートリーが豊富。模倣も上手く、一度見ただけでコピーも可能で、禁断の技「気功砲」を特に得意とする。
凄まじい戦闘力のインフレーションが続いた本作にあって、終盤まで戦闘で活躍する場面が存在した。
ナメック星編の時期に行われた鳥山明の漫画全般を対象にしたキャラクター人気投票では第11位にランクインしている[3]。
原作・アニメ共に劇中では言及されていないが、天津飯は、背中から腕を生やしたり、残像ではない実体のある4人の人間に分身したりと、地球人とは思えないような術を修業で体得しているが、これは彼が、遥か昔に地球に移住してきた宇宙人の子孫「三つ目人」という種族の末裔であり、先祖帰りした特異体質者であるため、と書籍『DRAGON BALL大全集』にて解説されている[4][5][6]。
名前の由来は中華料理の天津飯であり、鳥山は強くクールなヤツなのによく知っている中華料理という、バカバカしさからつけたと語る[7]。「天津飯」とほとんどの者からそのまま呼び捨てされているが、クリリンは「天津飯さん」とさん付け、餃子は登場当初は「天」、後に「天さん」と呼ぶ。また、悟空もキングキャッスルでのピッコロ大魔王との決戦時など稀にそう呼んでいる。また、天下一武道会のアナウンサーは「天選手」と呼んでいる。
一人称は「オレ」。登場当初は、鶴仙人の教育を受けたことから態度が険悪で非道も辞さなかったが、基本的に生真面目な性格。義にも篤く、自分を導いてくれた亀仙人と弟弟子の餃子の無念を晴らすため、命を捨てる覚悟で後述の魔封波修得に臨み、袂を分かった後も鶴仙人や桃白白も気遣った。
亀仙人とは直接の師弟関係ではなく、表向きは双方師弟関係を否定しているが、実際は自分を導いてくれた恩から事実上の師弟関係を築いていて、亀仙人も自身の弟子である悟空、クリリン、ヤムチャと同様の接し方をしている。そのため亀仙人を「武天老師様」と呼んでいる。
自分たちの命を奪った一味であるベジータのことを嫌っているところもあるが[注 1]、実力やプライドの高さは認めている[注 2]。同じように敵対していたピッコロについては界王の下での修行の頃にはある程度態度を軟化させており、神様との融合後は共に行動する機会が増えた。また、その頃からピッコロには敬語を使うなど、敬意を払っている。
セルとの戦いが終わった後は、トランクスに対して未来に戻ってからの戦いについて励ましており[9]、アニメでは父親を亡くした悟飯に対しても、「母親を大切にな」と思いやりと激励の言葉を伝え[10]、年長者として若い戦士たちを気遣う姿が描かれている。
第22回天下一武道会以降は、「ワイルドさ」を理由に金髪ランチに惚れられているが、性格的に女性にあまり関心がない様子。アニメでは青髪ランチも好意を抱いている様子が描かれたほか、天津飯自身もランチの好意に対し照れる描写があり、好意を持たれていることに関しては、まんざらでもない様子であった(なお、ランチとのエピソードは後述参照)。
劇場版では、パラレルワールド色の強い作品群においても特にその傾向が強い3作目『摩訶不思議大冒険』にて初登場。ミーファン国の皇帝である餃子の付き人であり親友でもあるが、真の正体は鶴仙人の手下である。鶴仙人に餃子を殺すよう命令されるが、亀仙人の説得や餃子の涙を受けて葛藤の末鶴仙人を裏切り、気功砲で鶴仙人を吹き飛ばした。
劇場版6作目『地球まるごと超決戦』では、餃子と共にターレス軍団のレズン・ラカセイ兄弟と闘い敗れるが、悟空が元気玉を作るための時間稼ぎのため他の仲間とともにターレスに挑み、元気玉の完成を援護している。冒頭のドラゴンボール集めにも餃子と共に協力している。
劇場版12作目『銀河ギリギリ!!ぶっちぎりの凄い奴』では、試合でトランクスと対戦し、善戦するもトランクスが超サイヤ人化した後は敗れる。この後、ヤムチャと共に悟飯のもとに駆けつけ銀河戦士のブージンと闘うが敗れる。
劇場版18作目『神と神』では、ブルマの誕生パーティに参加し、ピッコロや18号と共に地球を破壊しようとするビルスに挑んだが全員まとめて一蹴された。
劇場版19作目『復活の「F」』では、復活したフリーザとその配下の兵士たちを悟飯らと共に迎え討ち奮闘した。危険の方が大きそうだと餃子とヤムチャは身を案じて置いてきた。『Vジャンプ』で短期連載された漫画版では、農業をする場面が描かれており、劇場版には登場しなかった餃子も手伝っていた。
魔人ブウ戦での悟飯の援護や、悟空の元気玉への協力以降、ブルマの誕生パーティーや、第6・第7宇宙破壊神選抜格闘試合の観戦に来るなど悟空らとの関係は続いている。
原作である劇場版『復活の「F」』同様、復活したフリーザとその軍勢の地球侵攻時に、悟飯らと迎え撃ちフリーザ軍との戦闘に参加した。
8つの宇宙の代表戦士たちによるチーム対抗の武道大会「力の大会」に悟空から出場の勧誘を受けて、第7宇宙代表の選抜戦士10名の内の1人として参戦する[11]。
餃子と修業の旅の途中、とある山村近くの山奥で修業を始めた所、その評判を聞いた青年たちが武術の教えを乞いたいと集まり出し、断り切れず成り行きで武術を教えるようになり山奥に天津流道場「天津堂」を開いて師範を務めるまでになった。そこで弟子を鍛え上げていたところで悟空と再会。天津飯が今でも武術の修業を続けていることを確認した悟空に、第7宇宙の代表戦士の1人にとスカウトされる。だが、門下生を放っておくことはできないと一度は断る。しかし以前鶴仙流の道場で妹弟子に当たるユーリンが現れ、彼女の妖術で門下生や亀仙人を操られ、その騒動で村に被害を出してしまったことから、悟空が言う賞金1000万ゼニーを得て村の復興にあてたいという理由で力の大会の出場を了承。ユーリンも強くなりたいという気持ちは本物と見なして道場の門下生に誘った。
力の大会では、亀仙人との連携で第3宇宙の戦士であるザ・プリーチョを倒す。続いて、気を消した上で姿を隠し、遠距離から気を集束させたレーザー光線による狙撃で第7宇宙の戦士たちを苦しめる第2宇宙の戦士ハーミラに対し、四身の拳で4人に分身することで、4人分の視界と三つ目の動体視力でハーミラからの光線弾道を見切りつつ射撃位置の特定を試み、同時に分身を盾に利用して光線を防ぎながら接近を仕掛けた。結果としてハーミラの狙撃位置の特定と接近に成功し、新気功砲で銃口を備える両腕を破壊して追い詰めた。勝負は決したかに見えたが、ハーミラが仕掛けた最後の罠により場外に落とされてしまう。しかし、再び四身の拳を発動させることで逃げるハーミラを羽交い締めにして相討ちに持ち込んだ。場外後は脱落してしまったことを詫びるが、その戦いぶりを破壊神ビルスからは「最後の最後で痛み分けに持ち込んだのは見事だった。褒めておこう」と活躍を認められた。
漫画版では亀仙人と共にフロストに狙われる。気功砲で応戦するがダメージを与えられず敗北。アニメ版と異なり、他の宇宙の戦士を1人も倒せぬままクリリンに続いて第7宇宙2人目の離脱者となった。
モロ配下の囚人軍が地球に襲来した際に、悟飯らと共に臨時の銀河パトロール隊員として、モロに力を分け与えられ戦闘力を上げた囚人たちと戦う。餃子と2人でビックラ・コイターと対戦。ビックラ・コイターは堅牢な身体を誇る金属生命体「メタルマン」という種族で、攻撃が通らず苦戦するが、以前、第6宇宙との対抗試合でベジータが戦った同種族の戦士の弱点が「悪口」であったことを思い出す。上手い悪口が浮かばず苦心する天津飯だったが、代わりに悪口が得意な餃子がビックラ・コイターに効果的な悪口をまくしたてて勝利を収めた。その後、ヤムチャを救援に向かうも囚人軍の参謀であったザウヨギに苦戦を強いられていたが、地球に到着した悟空に助けられた。
原作者の鳥山明が全面監修を行うも、日本ではサービス展開されなかった日韓共同製作・開発のオンラインMMORPG『ドラゴンボールオンライン』における設定。遥か未来の物語のため天津飯自身は故人だが、歴史年表にその名が登場する。以下に特筆すべき部分を挙げる[12]。
作中、書籍などで明確にされている天津飯の戦闘力は以下の3つ。
ナメック星編の時は死亡しており、人造人間編以降は戦闘力自体が出てこなくなったため、サイヤ人編以降の明確な戦闘力は不明。サイヤ人編では「パワーだけならラディッツと互角」である戦闘力1200の栽培マンを圧倒している。だが、戦闘力4000のナッパには腕を切り落とされるなど全く歯が立たず、自身の命と引き換えに放った捨て身の気功砲も大きなダメージを与えるには至らなかった[注 9]。
ナッパ戦で死亡した後、あの世の界王の下で修業を行い、アニメではその一環としてギニュー特戦隊のジースとバータの2人と同時に戦い勝利している。生き返った後も人造人間戦に向けて餃子と3年間修業をする。人造人間編では修業で新たに身に着けた技の新気功砲で、その時点では誰も手出しできない強さを誇っていた第2形態のセルの動きを封じて18号と16号を逃がす時間を作る活躍をみせた。しかし、セルゲームが開催されることになった際には、ベジータやピッコロと異なり精神と時の部屋での修業を辞退した。セルゲームでのセルジュニアとの戦いでは序盤こそ何とか応戦するも結果的に瀕死にまで追い詰められた。その回復後アニメでは、悟飯とセルがかめはめ波で最後の撃ち合いを行った際にはピッコロ、クリリン、ヤムチャらと共に援護攻撃もしている。
セルゲーム終了後に武道家を引退したクリリンやヤムチャとは異なり、その後も厳しい修業を続けており、魔人ブウ(悪)ゴテンクス吸収体の放った気弾を気功砲で相殺してみせ[37][注 10]、魔人ブウからも「かなりの達人」と評された[38]。
原作者の鳥山明がストーリーを手掛けた魔人ブウ編のその後を描く『ドラゴンボール超』でも武道家として修業を続けており、悟空らと共に第7宇宙の代表として力の大会に出場するなど、複数のシリーズで戦闘に参加している。
ファミリーコンピュータゲーム『ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人』『ドラゴンボールZII 激神フリーザ!!』『ドラゴンボールZIII 烈戦人造人間』、スーパーファミコンゲーム『ドラゴンボールZ 超サイヤ伝説』ではプレイヤーキャラクターの一人として登場。戦闘力はクリリンやヤムチャと比べ、高めに設定されている。一部の作品によってはゲームオリジナル技「四身の拳・気功砲」を習得している。
格闘ゲームではPlayStation専用ソフト『ドラゴンボールZ Ultimate Battle 22』より登場。PlayStation 2専用ソフト『ドラゴンボールZ』シリーズではIFストーリーなどでヤムチャとのコンビで登場することが多く、『ドラゴンボールZ2』ではヤムチャと天津飯がフュージョンして誕生した融合戦士「ヤム飯」が登場している。
PlayStation 2専用ソフト『ドラゴンボールZ Sparking!』では、IFストーリーで天下一武道会にて桃白白と再会し対決する。また、ヤムチャと闘わせると「あの時(第22回天下一武道会)の借りを返してもらうぜ」とリベンジを挑まれるのに対し、「お前には無理だ」と皮肉る。他にも少年時代の悟空と戦わせると悟空が小さくなっていることに驚く。続編の『ドラゴンボールZ Sparking!NEO』や『ドラゴンボールZ Sparking!METEOR』では、ピッコロ大魔王やサイボーグ桃白白との対決が再現できる。
『ドラゴンボール ZENKAIバトルロイヤル』では、比較的スタンダードな性能であり、どどん波を初めとした優秀な技をもつが、全体的な技の消費気力が大きい。また、気力がない場合は、無理矢理体力を消費して必殺技を発動することも可能であるが、リスクが非常に大きい。
『ドラゴンボールZ カカロット』のゲーム内辞典「Z大全集」では、四妖拳や四身の拳は鶴仙流の技ではなく、天津飯にしかできない人間離れした独自の技だと解説されている。
担当声優の鈴置洋孝が2006年8月に急逝したため、同年10月発売の『ドラゴンボールZ Sparking! NEO』が天津飯役としての最後の出演となった。2008年6月5日発売のゲーム『バーストリミット』と『インフィニットワールド』では真殿光昭が担当。『ドラゴンボール改』と『ドラゴンボール レイジングブラスト』シリーズでは新たに緑川光が起用され、以降のアニメシリーズでは緑川が後任を務めている。
2007年10月発売の『ドラゴンボールZ Sparking! METEOR』、2009年4月発売の『ドラゴンボール改 サイヤ人来襲』では過去に収録した鈴置の音声を流用している。
アニメでは第22回天下一武道会以前のオリジナルエピソードから登場し、悟空と因縁を作っている。そのため、悟空と再会した時は原作とやり取りが変わっている。餃子とともに、奇獣・イノシカチョウにわざと村を襲わせては用心棒代を騙しとるなど、徹底的なヒールぶりをアピールした。鈴置は、初登場時の天津飯を「人間ではない存在、完全な悪役として演じた」と語っている[39]。また「鶴仙人から脱皮したところは一番大きなモニュメントだったと思う」と語る[40]。
鳥山は無口でかっこいい戦士として、トランクスと共に天津飯の名を挙げている[41]。
作中では2人の結末は明らかにされていないが、作者の鳥山明は「ランチは天津飯を追いかけたけど、天津飯も餃子と修行しながら各地を転々としているから見事なすれ違いをしている」と発言[42]。その後のインタビューの中では、「ランチは1回フラれたけど、しつこく食い下がって結局は一緒にいると思う」と語っている[43]。
また、鳥山は「原作終了後の天津飯は修行も兼ねて農業を営んでおり、分身できたり腕を増やせたりするので作物の収穫は早い。偶然ランチに見つかって渋々一緒に暮らしたところ天津飯は恋愛に興味がなく、あれほどの執念で追跡していたランチも農業に向かずに、たった数日で出て行ってしまったが、その後もたまにやってきたりするようだ」と2013年3月24日に放送されたフジテレビワンツーネクストの番組『漫道コバヤシ』『映画「ドラゴンボールZ 神と神」公開記念!出でよ神龍!!SP』内のアンケートで回答している。
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