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土用の時期中で、十二支が丑に当たる日 ウィキペディアから
土用の丑の日(どようのうしのひ)は、夏の土用の期間にある丑の日のこと。土用の丑や土用丑とも呼ばれる。日本において夏の暑さに対する滋養強壮としてウナギを食すという習慣があることで知られ、これを指して土用鰻ともいう。ウナギを食べる習慣は江戸時代後期に始まったものだが、もともと丑の日には「う」の付くものを食べるという習慣があり、古くは瓜やうどんが食されていた。
「土用」とは五行思想に基づく季節の変わり目を意味する雑節(ざっせつ)で、四季の四立(立春、立夏、立秋、立冬)の直前の約18日間を指す。「丑の日」は十二支(干支)に基づく日付のことである(干支紀日法)。このため、夏以外の季節にも土用の丑の日は存在するが、一般には夏のもののみを指す。また、1季節で2日生じる場合もあり、季節を問わないのであれば1年を通しての土用の丑の日は、年に平均6.09日存在する。1季節で2日存在する場合には一の丑・二の丑と呼び分けられる。夏に「う」の付くものを食べることと同様の習慣は他の季節にもあり、春は「い」、秋は「た」、冬は「ひ」とされている[1]。
年 | 一の丑 | 二の丑 |
---|---|---|
2001年(平成13年) | 7月25日 | 8月6日 |
2002年(平成14年) | 7月20日 | 8月1日 |
2003年(平成15年) | 7月27日 | なし |
2004年(平成16年) | 7月21日 | 8月2日 |
2005年(平成17年) | 7月28日 | なし |
2006年(平成18年) | 7月23日 | 8月4日 |
2007年(平成19年) | 7月30日 | なし |
2008年(平成20年) | 7月24日 | 8月5日 |
2009年(平成21年) | 7月19日 | 7月31日 |
2010年(平成22年) | 7月26日 | なし |
2011年(平成23年) | 7月21日 | 8月2日 |
2012年(平成24年) | 7月27日 | なし |
2013年(平成25年) | 7月22日 | 8月3日 |
2014年(平成26年) | 7月29日 | なし |
2015年(平成27年) | 7月24日 | 8月5日 |
2016年(平成28年) | 7月30日 | なし |
2017年(平成29年) | 7月25日 | 8月6日 |
2018年(平成30年) | 7月20日 | 8月1日 |
2019年(令和元年[2]) | 7月27日 | なし |
2020年(令和 2年) | 7月21日 | 8月2日 |
2021年(令和 3年) | 7月28日 | なし |
2022年(令和 4年) | 7月23日 | 8月4日 |
2023年(令和 5年) | 7月30日 | なし |
2024年(令和 6年) | 7月24日 | 8月5日 |
2025年(令和 7年) | 7月19日 | 7月31日 |
2026年(令和 8年) | 7月26日 | なし |
2027年(令和 9年) | 7月21日 | 8月2日 |
2028年(令和10年) | 7月27日 | なし |
2029年(令和11年) | 7月22日 | 8月3日 |
2030年(令和12年) | 7月29日 | なし |
土用の丑の日になることがある日は、夏の土用になることがある7月19日 - 8月7日である。毎年夏の土用となる7月19日 - 8月7日は、いずれも等しく12年に1回の割合(12年間隔という意味ではない)で土用の丑の日となる。
1900年(明治33年) - 2099年(令和81年)の間は土用の日付が少しずつ前倒しになるため、土用の丑の日になりうる日も変化する。1907年(明治40年)には、明治の改暦から現在までで唯一、8月8日が土用の丑の日(二の丑)となった。2096年(令和78年)には改暦以来初めて、7月18日が土用の丑の日(一の丑)となると予想される。
前節のように、土用の丑の日が2回となる場合が多々ある。
夏の土用は太陽黄経が117度から135度(立秋)の前日までと定義され、平均18.82日間(18日:19日=18%:82%)ある。19日の年の場合、土用の入りから7日以内に丑の日があると(すなわち土用入りの日が未から丑の間のだと)、土用のうちにもう一度丑の日が巡ってくる。これが二の丑であり、57%の年にある。
夏の土用の入りは7月19日 - 20日なので、最も早い二の丑は入りが7月19日で丑の日だった場合の7月31日となり、7月に2回土用の丑の日が来る。2009年(平成21年)、明治改暦以来初めて(改暦前も新暦で計算すれば213年ぶりに)7月の二の丑となった。ただし、7月の二の丑はこれ以降21世紀の間はそれほど珍しくなく、2025年(令和7年)・2041年(令和23年)・2057年(令和39年)・2073年(令和55年)・2089年(令和71年)と16年周期で7月31日が二の丑となり、2096年(令和78年)には7月30日が二の丑になると予想される。
日本で「暑い時期を乗り切るために、栄養価の高いウナギを食べる」という習慣は万葉集にも詠まれているように古代に端を発するとされるが、土用の丑の日に食べる習慣となったのは、文政5年(1822年 - 1823年)当時の話題を集めた『明和誌』(青山白峰著)によれば、安永・天明の頃(1772年 - 1788年)よりの風習であるという。
農林水産省の広報用Webマガジンでは、鰻には夏バテ予防に必要な栄養素が豊富に含まれていると紹介されている[3]。
しかし、日本における疲労研究の第一人者である[4][5][6]大阪市立大学大学院特任教授の梶本修身によれば、「栄養価の高いものを食することが当たり前になった現代はエネルギーやビタミン等の栄養不足が原因で夏バテになることは考えにくく、現代において夏バテ防止のためにうなぎを食べるという行為は医学的根拠に乏しいとされ、効果があまりない」としている[4][7]。
鰻を食べる習慣についての由来には諸説あり、「讃岐国出身の平賀源内が発案した」という説が最もよく知られている[8]。しかし、平賀源内説の出典は不明で、前述の『明和誌』にあると説明するケースもあるが、『明和誌』には記されていない[9]。源内説は細かなバリエーション違いがあるが、要約すれば「商売がうまく行かない鰻屋(知り合いの鰻屋というパターンもある)が、夏に売れない鰻を何とか売るため源内の元に相談に赴いた。源内は、「本日丑の日」と書いて店先に貼ることを勧めた。すると、その鰻屋は大変繁盛した。その後、他の鰻屋もそれを真似るようになり、土用の丑の日に鰻を食べる風習が定着した」というもの。丑の日と書かれた貼り紙が効力を奏した理由は諸説あり定かではないが、一説によれば「丑の日に『う』の字が附く物を食べると夏負けしない」という風習があったとされ、鰻以外には瓜、梅干、うどん、うさぎ、馬肉(うま)、牛肉(うし)などを食する習慣もあったようだが、今日においては殆ど見られない。瓜を食べる風習はウナギの箸休めとして出される奈良漬という形で残存している。
実際にも鰻にはビタミンA・B群が豊富に含まれているため、夏バテ、食欲減退防止の効果が期待できるとされているが、前述の通り、栄養価の高い食品で溢れる現代においてはあまり効果は期待できないとされる[4][7]。そもそも、鰻の旬は冬眠に備えて身に養分を貯える晩秋から初冬にかけての時期であり、夏のものは味が落ちるとされる。
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