Loading AI tools
日本のプロ野球選手 (1999-) ウィキペディアから
中村 奨成(なかむら しょうせい、1999年6月6日 - )は、広島県廿日市市出身のプロ野球選手(外野手、捕手)。右投右打。広島東洋カープ所属。
3歳の時に両親が離婚してからは、広島東洋カープの熱狂的なファンである実母の下で育った[2]。
小学校1年時から、少年野球クラブの「大野友星」で軟式野球をスタート[3]。3年時から捕手に転向する[4]と、フルスイングでフライを打つという指導方針の下で、5年時から俊足と長打で頭角を現した[5]。廿日市市立大野東中学校時代には、軟式野球のチームの「大野シニアベースボールクラブ」のメンバーとして、3年時に広島県大会で準々決勝進出を経験した[3][4]。
地元の広陵高校へ進学してからは、1年春の広島県大会で、背番号「20」ながら正捕手の座を確保。同年夏の選手権広島大会から背番号「2」を着用する[4]と、3年時の夏に広島代表として出場した第99回全国高等学校野球選手権大会では、チームを10年ぶり4度目の準優勝に導いた。また、準決勝までの4試合で、3試合連続本塁打や2度の1試合2本塁打を含む6本塁打を記録。1大会における個人最多本塁打記録(1985年の第67回大会におけるPL学園高校・清原和博の5本)を更新した[4]ばかりか、準決勝までに通算で17打点を挙げたことによって、1大会における個人最多打点記録も樹立した。花咲徳栄高校との決勝では、1大会個人最多塁打記録(43)や、1大会個人安打(19本)・二塁打(6本)の最多タイ記録も達成したほか、「1大会中5度および、出場全5試合での猛打賞」という史上初の快挙も成し遂げた[6]。
広陵高校在学中に対外試合で放った本塁打は通算45本[3]で、第99回選手権大会決勝の直後には、「(両親が離婚してから自分が中学校を卒業するまで)女手一つで自分を育ててくれた実母を楽にさせたい」との想い[7]から(NPBドラフト会議での指名に必要な)プロ志望届を日本高等学校野球連盟へ提出することをいち早く表明[3]。大会終了後の9月に開催された2017 WBSC U-18ワールドカップにも、U-18日本代表の捕手として出場したが、打率.120(25打数3安打)という成績にとどまった[3]。それでも、10月に開催されたNPBドラフト会議では、カープと中日ドラゴンズから1巡目で指名。カープが地元の高校生(広島県内の高校に在学中の選手)を1巡目で指名したことは2003年の白濱裕太(広陵高校での先輩に当たる捕手)以来14年ぶりで、高校生の捕手に対する指名で1巡目の入札が複数の球団で競合したことは、NPBのドラフト会議史上初めての事例であった[8]。結局、白濱を擁するカープが、抽選の末に中村への独占交渉権を獲得[9]。指名後の交渉を経て、契約金1億円に出来高分5000万円、年俸800万円(金額は推定)という条件で入団した。背番号は22[10][注 1]。
ドラフト会議当時、中日のスカウト部長を務めていた中田宗男は、自身の後輩である九州学院高校の野球部監督から推薦を受けた同校の捕手・村上宗隆(東京ヤクルトスワローズから清宮幸太郎の外れ1位として指名され、内野手として入団)も1位指名候補として検討していたが、当時の自身は捕手を選ぶ上で肩の強さを重視しており、村上は肩の強さに懸念があったため、中村を1位指名したと述べている[12]。
2018年、「(前述した高校時代の実績から)いくら騒がれても、体格や体力が一軍のレベルに達していない限り特別扱いはしない」という二軍監督(当時)の水本勝己の方針[13]の下で、二軍生活に終始。ウエスタン・リーグ公式戦83試合に出場すると、チーム内の捕手で最も多い51試合でマスクを被った[14]が、打率.201、4本塁打、16打点という成績にとどまった。シーズン終了後のフェニックスリーグで故障したため、秋季キャンプへの参加を見送った[15]。キャンプ後の契約交渉では、推定年俸800万円(現状維持)という条件で契約を更改[16]。
2019年、二軍で迎えた春季キャンプの開始直後から、右第一肋骨の疲労骨折で治療と三軍でのリハビリを余儀なくされた。実戦復帰戦となった6月18日のウエスタン・リーグの阪神タイガース戦(阪神鳴尾浜球場)で「8番・捕手」として先発出場したが、8回表の第4打席で齋藤友貴哉から頭部に死球を受けて救急搬送[17]。搬送先の病院で脳震盪との診断を受けたが、大事には至らず、同月下旬からウエスタン・リーグ公式戦への出場を再開した。同リーグ公式戦では38試合に出場。打率.279、2本塁打、9打点という成績でシーズンを終えると、フェニックスリーグへのフル参戦を経て、前年参加できなかった秋季キャンプで入団後初めて一軍に昇格した[15]。キャンプ中の契約交渉では、100万円減の推定年俸700万円という条件で契約を更改した[18]。
2020年、春季キャンプのスタートを一軍で迎えながら、レギュラーシーズンの開幕一軍入りを逃した[19]。ウエスタン・リーグの公式戦では、開幕直後から打撃が好調で、7月下旬の時点でリーグトップの打率.339を記録。7月25日に入団後初めての出場選手登録[20]、翌7月26日の対横浜DeNAベイスターズ戦(横浜スタジアム)7回表に代打で一軍公式戦へのデビューを果たした[21]。以降も一軍公式戦3試合に出場したが、通算4打席ノーヒットで、8月8日にいったん登録を抹消。抹消後に一軍の捕手陣からベテランの石原慶幸と正捕手の會澤翼が相次いで戦線を離脱したことを受けて、9月11日に再登録を果たした[22]が、出場機会のないまま9月16日に登録を再び抹消された[23]。なお、ウエスタン・リーグの公式戦では、通算で55試合に出場。打点は14と前年を上回ったものの、打率は.244、1本塁打、14打点という成績にとどまった。シーズン終了後に、現状維持(推定年俸700万円)という条件で契約を更改[24]。一軍公式戦では代打での起用にとどまったこと[25]から、更改後に「捕手として試合に出たい」とのコメントを残した[24]。
2021年、入団してから初めて、春季キャンプの全期間を一軍で過ごした[26]。オープン戦でも一軍に帯同。3月9日の対阪神タイガース戦(甲子園)ではスタメンマスクを任された[27]が、レギュラーシーズンを二軍でスタート。ウエスタン・リーグの公式戦では、捕手に専念していた前年までとは一転して、三塁手や左翼手としても出場した。4月16日に一軍へ再び合流する[28]と、同日の対中日ドラゴンズ戦(バンテリンドーム ナゴヤ)で、「2番・左翼手」として一軍公式戦で初めてスタメンに起用。5回表の攻撃で、初安打(二塁打)と初得点を相次いで記録した[29]。4月25日の対読売ジャイアンツ(巨人)戦でも9回表に東京ドームの右翼フェンスを直撃する二塁打を代打で放つ[30]など、再合流後の一軍公式戦では、通算8打席で打率.333(6打数2安打)を記録していた。チーム事情との兼ね合いで5月9日にいったん出場選手登録を抹消された[31]が、抹消中に一軍で複数の選手が新型コロナウイルスへ感染したことによる特例措置(感染拡大防止特例2021)で同月18日に再び登録[32]。一軍公式戦で初めてスタメンマスクを任された5月19日の対巨人戦では、同点の6回裏一死満塁で迎えた打席での2点適時打によって一軍公式戦での初打点を記録するなど、攻守にわたってチームの勝利に貢献したことから、試合後に初めてヒーローインタビューを受けた[33]。その1か月後(6月19日)の対DeNA戦(いずれも東京ドーム)8回表に、一軍公式戦通算46打席目にして初めての本塁打を石田健大から代打でマーク[34]。一軍公式戦では通算39試合の出場で打率.283、2本塁打、5打点を記録したが、捕手として起用されたのはわずか4試合で、外野の守備に就いた試合数(9試合)を下回った[35]。11月18日、200万円増となる推定年俸900万円で契約を更改した[36]。
2022年、入団5年目で初めて、レギュラーシーズンを一軍でスタート[37]。シーズン前半の6月には、打線の中軸を担っている西川龍馬(レギュラー外野手)の故障による戦線離脱や、他の一軍捕手陣による盗塁阻止率の低さを背景に、捕手や外野手としてのスタメン起用が相次いでいた[38]。この年の誕生日で23歳を迎えていたが、誕生日からおよそ2か月後の8月1日に明治神宮野球場で催された「野球伝来150年プロアマ記念試合」(U-23NPB選抜対大学・社会人選抜戦)には、U-23NPB選抜チームの「3番・捕手」としてスタメンで出場している[39]。その一方で、一軍公式戦全体では、前年を下回る27試合の出場で打率.193、0本塁打と低迷。10試合で外野、7試合で捕手の守備に就いた[40]ものの、シーズンを通じての一軍帯同までには至らなかった。出場選手登録を抹消されていた7月には、二軍における新型コロナウイルスへの集団感染の影響で、隔離療養を余儀なくされている[41]。さらに、シーズンの終了後には、私生活での問題(女性との交際をめぐるトラブル)が『週刊文春』などで報道[7]。秋季キャンプへの参加も見送られた[42]。秋季キャンプ後に推定年俸800万円(前年から100万円減)という条件で契約を更改したものの、球団幹部から「野球へ真摯に取り組め」との苦言を呈されている[43]。
2023年、春季キャンプからレギュラーシーズンの前半まで、二軍で過ごしていた。ウエスタン・リーグの公式戦では開幕から打撃が好調だったが、「3番・指名打者」としてスタメンに起用されていた4月27日の対阪神戦(阪神鳴尾浜球場)1回表の攻撃で一塁へ出た後に、牽制球でのアウトを避けようとした帰塁の動作で左足首を故障。自力で立ち上がれないほどの重傷[44]であったため、実戦へ復帰するまでに3か月近くを要した。「打力が二軍で抜きん出ているうえに、走力も持ち合わせているので、捕手に専念させるのはもったいない」という首脳陣の判断で、復帰後のウエスタン・リーグ公式戦にはもっぱら外野手として起用。レギュラーシーズンが後半に差し掛かった7月22日に、「外野手」としてシーズン初の一軍昇格を果たした。西川が前年に続いて故障で戦線を離脱していた一方で、坂倉将吾(1年先輩の高卒捕手)を中心に据えた會澤翼・磯村嘉孝との「捕手3人制」が開幕から一軍で定着していることによる[45]。昇格後は8試合に出場したものの、西川の戦線復帰に伴って、8月7日付で出場選手登録を抹消。昇格中の通算打率は.091(11打数1安打)で、6三振を喫する一方で、守備に就いた2試合には外野手として起用されていた[46]。最終的に18試合に出場し、打率.150、0本塁打、0打点に終わった[47]。10月には前年に引き続き女性トラブルを報じられた[48]。11月10日、50万円減となる推定年俸750万円で契約を更改[47]。11月29日には背番号を96に変更することが発表された[47]。
走・攻・守に加えて、先輩投手の投球練習中にも物怖じせずに自分の意見を伝えられるほど、コミュニケーションの能力が高い捕手[50]。広島への入団交渉を担当したスカウト総括部長の苑田聡彦からは、「左方向にも右方向にも打てるので、捕手でも三塁手でも日本一の選手になれる」とも評価されている[51]。本人は「走・攻・守三拍子揃った捕手」を目指している[18]が、広島への入団4年目(2021年)からは、三塁や外野も守っている。
年 度 | 球 団 | 試 合 | 打 席 | 打 数 | 得 点 | 安 打 | 二 塁 打 | 三 塁 打 | 本 塁 打 | 塁 打 | 打 点 | 盗 塁 | 盗 塁 死 | 犠 打 | 犠 飛 | 四 球 | 敬 遠 | 死 球 | 三 振 | 併 殺 打 | 打 率 | 出 塁 率 | 長 打 率 | O P S |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 広島 | 4 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | .000 | .000 | .000 | .000 |
2021 | 39 | 61 | 53 | 15 | 15 | 3 | 0 | 2 | 24 | 5 | 3 | 1 | 0 | 0 | 8 | 0 | 0 | 15 | 0 | .283 | .377 | .453 | .830 | |
2022 | 27 | 58 | 57 | 1 | 11 | 2 | 0 | 0 | 13 | 5 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 8 | 0 | .193 | .207 | .228 | .435 | |
2023 | 18 | 20 | 20 | 2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 0 | .150 | .150 | .150 | .300 | |
2024 | 30 | 70 | 69 | 4 | 10 | 2 | 0 | 0 | 12 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 13 | 1 | .145 | .157 | .174 | .331 | |
通算:5年 | 118 | 213 | 203 | 22 | 39 | 7 | 0 | 2 | 52 | 11 | 3 | 5 | 0 | 0 | 10 | 0 | 0 | 31 | 1 | .192 | .230 | .256 | .486 |
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.