中井広恵

日本の女性将棋棋士 ウィキペディアから

中井広恵

中井 広恵(なかい ひろえ、本名:植山広恵〈うえやま ひろえ、中井は旧姓〉、1969年6月24日 - )は、フリーの女流棋士北海道稚内市出身。佐瀬勇次名誉九段門下。1981年から日本将棋連盟に所属、2007年5月から新設の日本女子プロ将棋協会(LPSA)に移籍、2014年1月からフリーとなる。過去の女流棋士番号は日本将棋連盟所属時は旧17[注 1]、LPSA所属時は7。タイトル獲得数は19期(歴代3位、2024年度末時点)。女流通算勝利数の最多記録保持者(記録継続中、2024年度末時点で女流通算760勝)。

概要 中井広恵 女流六段, 名前 ...
 中井広恵 女流六段
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中井広恵女流六段(2009年4月12日)
名前 中井広恵
生年月日 (1969-06-24) 1969年6月24日(55歳)
プロ入り年月日 1981年4月1日(11歳)
出身地 北海道稚内市
所属 日本将棋連盟
日本女子プロ将棋協会
→フリー
師匠 佐瀬勇次名誉九段
永世称号 クイーン名人
段位 女流六段
戦績
タイトル獲得合計 19期
女流名人9期
女流王将4期
女流王位3期
倉敷藤花3期
一般棋戦優勝回数 10回
2011年3月20日現在
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経歴

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第26期女流王将戦第4局に臨む中井

アマチュアとして

日本将棋連盟時代

  • 1981年4月1日、女流2級でプロ入り。当時11歳10か月で、史上最年少プロだった(のちに藤田綾が11歳6か月で最年少記録を更新)。
  • 1982年度、早くも頭角を表し第5期女流王将戦でタイトル初挑戦。
  • 1983年4月、14歳のときに奨励会に6級で入会。
  • 1985年度、第12期女流名人位戦で16歳6か月で林葉直子からタイトル初奪取[注 3]。そこから林葉・清水市代との三強時代を形成した。林葉が将棋界を去った1990年代中盤から2000年代後半にかけては、清水との二強時代となり、特に1993年の女流名人位戦から2007年の倉敷藤花戦までの全てのタイトル戦に、中井か清水のいずれかか両方が登場した。
  • 1990年、年齢制限のために奨励会を2級で退会。
  • 1992年、第19期女流名人位戦で清水市代の挑戦を退けた事により通算5期となりクイーン名人を獲得。
  • 1993年12月9日、第5期竜王戦6組で池田修一に初勝利し、39局目にして公式戦で男性棋士を破った初めての女流棋士となった[1]。男性棋士との対戦成績は、2018年8月現在ちょうど100局戦って21勝79敗である。
  • 2002年度、第24期女流王将戦で自身初の女流三冠となり、それにより理事会審議により2002年11月1日付で清水に次いで史上二人目の女流六段になった。
  • 2003年6月27日、第17回レディースオープン・トーナメント2003で藤田綾に勝利し、史上初の女流棋士通算400勝を達成[2]
  • 2003年度のNHK杯テレビ将棋トーナメントでは、1回戦で畠山鎮に、2回戦では当時A級棋士だった青野照市に勝利した[注 4](3回戦で中原誠に敗退)。
  • 2004年、清水と女流棋士同士では初めての百番指しを記録(2020年2月まで中井の45勝77敗)。NHK杯では、1回戦で佐藤秀司に勝利し、昨年に引き続き男性棋士を相手に白星を挙げた。続く2回戦では当時棋聖を保持していた佐藤康光をあと一歩のところまで追い詰めた。この時解説を務めた先崎学は「九分九厘中井の勝ち」と評し、佐藤も対局後に「僕が負けてもおかしくなかった。」とコメントを残している。
  • 2005年、61年ぶりに実施された日本将棋連盟のプロ編入試験では、女性唯一の試験官に選ばれ、受験者の瀬川晶司と六番勝負の第4局で対局。かねてから女流棋士の中には連盟の正会員の地位を求める声があり、このアピールの機会に、中井は周りの女流棋士やファンの期待を受けて対局に臨んだが、中盤まで優位に進めながら逆転負けを喫した。
  • 2006年12月、女流棋士新法人設立準備委員会の委員長に就任。日本将棋連盟からの独立のために各方面との調整や支援者集めなどに駆け回り、2007年5月に日本女子プロ将棋協会(LPSA)が結成されると、初代代表理事に就任した(2007年5月 - 2010年5月)。

日本女子プロ将棋協会時代

  • 2008年5月から1年ほど、LPSAの育成機関としての中井塾を開き、そこから後に女流棋士になる渡部愛和田あきを輩出している[3]
  • 2009年4月27日、第17期大山名人杯倉敷藤花戦2回戦で藤田綾に勝利し、史上初の女流棋士通算500勝を達成[4]
  • 2010年7月29日、第18期大山名人杯倉敷藤花戦準々決勝で本田小百合女流二段に勝ち、女流公式戦新記録の18連勝を達成した。8月4日にも第37期女流名人位戦B級5回戦で貞升南女流1級に勝って記録を19連勝まで伸ばした[注 5]
  • 2014年1月23日、活動の方向性の違いからLPSAを退会[5]。以後はフリーの女流棋士として活動することになった。

フリーの女流棋士として

棋風

  • 攻守にバランスのとれた本格的な居飛車党で、得意戦法は矢倉

人物

  • 5歳の頃父に教わったのが将棋との出会い[8]。実家は代々続く薬局で、3人姉妹の長女[8]
  • 1989年に将棋棋士で兄弟子の植山悦行と結婚した。3人の娘がいる[8]
  • タイトル戦など重要な対局は和装で臨む。
  • 同門の中座真は同郷にして同学年で、中座が四段昇段を果たした際には実家に伝えた。
  • 趣味はゴルフ、海外旅行。
  • 将棋界を去った林葉直子とは、その後も親友として付き合いを保っている[9]

昇級・昇段履歴

web.archive.org によるアーカイブに基づく)

  • 1981年04月01日 : 女流2級(= プロ入り)
    1983年04月01日 (女流1級 =飛び級)
  • 1983年03月10日 : 女流初段[注 6]
  • 1983年04月01日 : 女流二段[注 6]
  • 1983年10月00日奨励会入会 = 6級/特例で入会)[10][11]
  • 1986年04月01日 : 女流三段(タイトル1期)
  • 1989年04月01日 : 女流四段(タイトル3期)
  • 1990年00月00日 (奨励会退会 = 2級)
  • 1992年04月01日 : 女流五段(タイトル7期[要出典]
  • 2002年11月25日 : 女流六段(「抜群の成績と実績」による理事会審議)[12]

主な成績

要約
視点

将棋連盟(タイトル・永世称号)

他の女流棋士との比較は、棋戦 (将棋)#女流タイトル 、および、将棋の女流タイトル在位者一覧 を参照。

さらに見る 合計, 44回 ...
タイトル番勝負 獲得年度 登場 獲得期数 連覇 永世称号資格
白玲七番勝負
9-11月
清麗五番勝負
8-9月
女王五番勝負
4-5月
女流王座五番勝負
10-12月
女流名人五番勝負
1-2月
1985(第12期)-86、1988、1991-93、1999、2001-02 18回 9期
(歴代2位)
3連覇 クイーン名人
女流王位五番勝負
9-11月
1990(第1期)-92 08回 3期
(歴代2位)
3連覇
(歴代2位)
女流王将三番勝負
10月[注 7]
1995(第17期)、2002-04 12回 4期
(歴代3位)
3連覇
(歴代2位タイ)
倉敷藤花三番勝負
11月
2001(第9期)-03 06回 3期
(歴代3位)
3連覇
(歴代3位)
合計44回19期-1
タイトル獲得 合計19期 (歴代3位) / 登場回数 合計44回
※番勝負終了前は除く。2020年度 倉敷藤花戦(挑戦)まで
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さらに見る 0将棋女流タイトル獲得記録0 ...
0将棋女流タイトル獲得記録0
01位0 福間香奈*062期(78回)
02位0 清水市代*043期(71回)
03位0 中井広恵*019期(44回)
04位0 西山朋佳*018期(29回)
05位0 林葉直子0015期(23回)
0
6位0 加藤桃子*09期(23回)
7位0 甲斐智美07期(14回)
0 蛸島彰子07期(11回)
9位0 矢内理絵子*06期(18回)
10位0 斎田晴子*04期(12回)
0 山下カズ子04期(6回)
*は現役女流棋士、(数字)は登場回数 / 第51期女流名人戦2024年度)終了まで
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タイトル戦登場
  • 女流名人 = 18回 : 1985(第12期)-89、1991-97、1999-2003、2006
  • 女流王位 = 08回 : 1990(第1期)-94、2001、2003、2005
  • 女流王将 = 12回 : 1983(第5期)、1985-86、1988-89、1995-96、2002-06
  • 倉敷藤花 = 06回 : 1997(第5期)、2001-04、2020[13]
登場回数 合計44回

LPSA公認タイトル

  • 天河
    • 在位3期: 第1期(2008年度)、第3期(2010年度)、第4期(2011年度)

棋戦の優勝歴

将棋連盟

LPSA

  • 日レスインビテーションカップ
    • 優勝5回: 第1回(2007年)、第2回(2008年)、第4回(2010年)、第5回(2011年)、第6回(2012年)
  • 1dayトーナメント
    • 優勝9回: 第1回・第7回(2007年)、第11回(2008年)、第20回・第24回・第29回・第31回(2009年)、第32回(2010年)、第51回(2012年)

将棋大賞

  • 第13回(1985年度) - 女流棋士賞★
  • 第14回(1986年度) - 女流棋士賞★
  • 第16回(1988年度) - 女流棋士賞★
  • 第20回(1992年度) - 女流棋士賞★
  • 第27回(1999年度) - 女流棋士賞
  • 第29回(2001年度) - 最優秀女流棋士賞★
  • 第30回(2002年度) - 最優秀女流棋士賞★
  • 第31回(2003年度) - 女流棋士賞
  • 第32回(2004年度) - 女流棋士賞
  • 第38回(2010年度) - 女流最多対局賞(30局)
  • 第40回(2012年度) - 女流最多対局賞(38局)
★印は、女流の最高賞(1998年度までは「女流棋士賞」、1999年度から「最優秀女流棋士賞」が最高賞)。

記録

  • タイトル最年少挑戦 = 13歳9か月(1982年度、女流王将戦)
  • タイトル最年長挑戦 = 51歳4か月(2020年度、第28期倉敷藤花戦[14]
  • 公式女流棋戦 最多連勝 = 19連勝(2010年度、歴代2位)
  • 公式女流棋戦 年度最多対局 = 48局(2001年度、歴代7位タイ)
  • 公式女流棋戦 年度最多勝利 = 39勝(2001年度、歴代4位)

年度別成績

さらに見る 年度, 対局数 ...
女流棋戦(公式戦)成績
年度対局数勝数負数勝率(出典)
1990年度 251960.7600[21]
(小計) 198137610.6919
年度対局数勝数負数勝率(出典)
1991年度 272070.7407[22]
1992年度 161330.8125[23]
1993年度 221390.5909[24]
1994年度 292180.7241[25]
1995年度 281990.6786[26]
1996年度 4028120.7000[27]
1997年度 4024160.6000[28]
1998年度 342590.7353[29]
1999年度 3323100.6970[30]
2000年度 3018120.6000[31]
(小計) 299204950.6822
(累計) 497341156
年度対局数勝数負数勝率(出典)
2001年度 483990.8125[32]
2002年度 201460.7000[33]
(累計) 565394171
2003年度 261790.6538[34]
2004年度 2716110.5926[35]
2005年度 3724130.6486[36]
2006年度 3218140.5625[37]
2007年度 2612140.4615[38]
2008年度 231760.7391[39]
2009年度 2818100.6428[40]
2010年度 302370.7666[41]
(小計) 297198990.6666
(累計) 794539255
年度対局数勝数負数勝率(出典)
2011年度 2717100.6296[42]
2012年度 3825130.6578[43]
2013年度 171250.7058[44]
2014年度 181170.6111[45]
2015年度 191180.5789[46]
2016年度 221480.6363[47]
2017年度 3216160.5000[48]
2018年度 11470.3636[49]
2019年度 2918110.6206[50]
2020年度 282170.7500[51]
(小計) 241149920.6182
(累計) 1035688347
年度対局数勝数負数勝率(出典)
2021年度 4723240.4893[52]
2022年度 3314190.4242[53]
2023年度 3316170.4848[54]
2024年度 3219130.5937[55]
(小計) 1457273
通算 11807604200.6440[20]
2024年度まで
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さらに見る 年度, 対局数 ...
公式戦(「男性棋戦」)通算成績
年度対局数勝数負数勝率(出典)
通算 10021790.2100[20]
2024年度まで
閉じる

顕彰および公職

年表

  • タイトル戦の欄の氏名は対戦相手。
     色付き のマス目は獲得(奪取または防衛)。 濃い色Q のマス目はクイーン称号獲得。
     0L はタイトル戦敗退(失冠)、  は棋戦創設前または不参加。
    氏名の下は左から順に、o : 中井の勝ち / x : 中井の負け / s : 千日手による日程繰り延べ(例外的措置)
  • 将棋大賞は、★ : その年時点の女流最高賞 / 最優 : 最優秀女流棋士賞 / 女棋 : 女流棋士賞
    特別 : 特別賞 / 最多 : 女流最多対局賞
年度 女流タイトル その他
優勝
将棋大賞 備考
女王
4-5月
女流王将
10月
女流王位
4-6月
清麗
8-9月
白玲
9-11月
女流王座
10-12月
倉敷藤花
11月
女流名人
1-2月
1981 <第4期>
0
<第8期>
0
・女流2級(4月) = デビュー
1982
L
林葉直子
oxx
・女流初段(1983年1月)
1983 ・女流二段(1983年4月)
1984
L
林葉直子
xox
1985
L
林葉直子
oxx
林葉直子
ooxo
★女棋 ・初タイトル(女流名人)
1986 林葉直子
oxxoo
★女棋 ・女流三段(1986年4月)
1987
L
林葉直子
oxx
L
清水市代
xxx
1988
L
林葉直子
oxx
清水市代
oxxoo
LOT ★女棋 ・タイトル3期
1989
L
清水市代
xxx
・女流四段(1989年4月)
1990 <第1期>
林葉直子
ooo
LOT
1991 <第14期>
0
植村真理
ooo
林葉直子
ooxxo
・タイトル7期
1992 (↓) 林葉直子
ooo
Q
清水市代
ooo
★女棋 ・女流五段(1992年4月)
・女流王将戦
0→1993年4月 三番勝負
・クイーン名人
1993 <第15期>
0
L
清水市代
xoxx
<第1期>
0
斎田晴子
ooxxo
1994
L
清水市代
xxx
L
清水市代
xxx
LOT
1995 斎田晴子
xooxo
L
清水市代
xxx
LOT
年度 女王
4-5月
女流王将
5-7月
女流王位
9-11月
清麗
8-9月
白玲
9-11月
女流王座
10-12月
倉敷藤花
11月
女流名人
1-2月
その他
優勝
将棋大賞 備 考
1996
L
清水市代
xooxx
L
清水市代
oxoxx
1997
L
清水市代
xox
L
清水市代
xxx
1998 鹿島杯
1999 清水市代
ooo
女棋
2000
L
斎田晴子
xooxx
2001
L
清水市代
ooxxx
清水市代
oxo
斎田晴子
ooo
鹿島杯 最優
2002 清水市代
ooo
矢内理絵子
oo
斎田晴子
ooo
最優 ・女流六段(2002年11月)
2003 石橋幸緒
ooo
L
清水市代
oxxx
石橋幸緒
oo
L
清水市代
xoxx
鹿島杯 女棋 ・女流棋士初 通算400勝
(2003年6月)
2004 石橋幸緒
ooxo
L
清水市代
xox
女棋
2005
L
千葉涼子
xxx
L
清水市代
xoxx
2006
L
千葉涼子
xooxx
L
矢内理絵子
xooxx
2007 日レス
2008 <第1期>
 
ネット
日レス
2009 ネット ・女流棋士初 通算500勝
(2009年4月)
2010 ネット
日レス
最多
2011 <第1期>
 
日レス
2012 日レス 最多
2013
2014 ・女流棋士初 通算600勝
(2015年1月)
2015
2016
2017
2018
2019 <第1期>
 
2020
L
里見香奈
xx
・13年ぶりのタイトル戦
2021 <第1期>
 
・女流棋士初 通算700勝
(2021年9月)
2022
2023
2024
年度 女王
4-5月
女流王将
10月
女流王位
4-6月
清麗
8-9月
白玲
9-11月
女流王座
10-12月
倉敷藤花
11月
女流名人
1-2月
その他
優勝
将棋大賞 備 考
合計 登場12回
獲得04
登場08回
獲得03
登場06回
獲得03
登場18回
獲得09
タイトル獲得 合計19期(歴代3位) / タイトル戦登場 合計44回

著書

  • 中井広恵の実戦次の一手 講談社 (書籍情報: ISBN 4062046482
  • 中井広恵の駒の自然な使い方 日本放送出版協会 (書籍情報:ISBN 978-4140161562)

関連書

  • 鏡花水月-女流棋士中井広恵/その戦いの日々と生活の詩(著者青山牧美) アップフロントブックス (書籍情報: ISBN 4847015649

脚注

関連項目

外部リンク

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