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ブランカ(Blanka)は、カプコンが製作した対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場する架空の人物。本名はジミー。
ブランカ プロフィール
子供の頃に飛行機事故に遭い、アマゾンの奥地で育った野生児。緑色の肌とオレンジ色の髪、鋭い牙や爪など怪物じみた外見を持つが、れっきとした人間である。見た目だけでなく、回転しながら飛んで体当たりを喰らわせたり、体から電撃を放つなどといった常人離れした技を使う。体色が緑に変化したのは保護色のため。放電能力は電気ウナギとの格闘の際に身につけている。
初登場時の『ストリートファイターII』(以下『ストII』と表記)では比喩表現まで使いこなすほどまともに言葉を話すが、それより前の時代になる『ストリートファイターZERO3』(以下『ZERO3』)では「ウオー」と唸ったり吠えたりしかできなかった。『CAPCOM VS. SNK』(以下『カプエス』)では普通に話しているが、全ての台詞に濁点が混じり、『ストII』と『ZERO3』の中間的なものになっている。『ストリートファイターIV』シリーズ以降は台詞がすべてカタカナとひらがなで構成されており、自然にしゃべることこそ可能だが『ストII』時代のような比喩や慣用句を用いた言い回しはせず直情的な物言いをするようになっている。
『ストII』シリーズのエンディングでは母親サマンサと感動の再会を果たす。サマンサが彼を息子だと確信した理由はブランカが付けていたアンクレット(足輪)である。シリーズ当初はブレスレット(腕輪)と表記されていたが、『スーパーストリートファイターII』(以下『スパII』)でアンクレットに修正されている。『ストII』の企画を手がけた西谷亮によるとブレスレットを勘違いして足にはめているという設定で、鎖のようなものが付いている[2]。
恐ろしげな外見に見合わず純真な性格と思考の持ち主で、『ストリートファイターIV』(以下『ストIV』)では母親に対して気遣いを見せるなど繊細な一面もあるほか、「顔を隠す奴は悪い奴」という考えからバルログやエル・フォルテを非難している。ただし、闘いにおいては相手を威嚇するような台詞も散見される。
母親と再会した後は一緒に暮らしているようで、『ストリートファイターEX』(以下『EX』)シリーズではジャングルの危機を救うべく立ち上がる等、新たな目的を持って戦いに身を投じていて、『ストIV』では母親に誇ってもらえるような息子になるための旅に出ている。
かつてジャングルにやって来た火引弾(ダン)を助けて以来、彼とは親友らしく、ダンからは本名である「ジミー」と呼ばれている。これは中平正彦の漫画『ストリートファイターZERO』単行本巻末おまけ漫画の設定が反映されたことによるもの。後に同じく中平による『さくらがんばる!』でも、ザンギエフが主催する格闘ショーのやられ役として登場し、その扱いに怒ったダンが乱入するというエピソードがある。
ブランカの遭った飛行機事故はシャドルーによる要人暗殺のための爆破テロが原因。
『カプエス』シリーズに出場した際は、草薙京から二階堂紅丸が着ぐるみを着ているのではないかと疑われていた。当の紅丸本人はブランカに対して、電撃を使えることで一緒にされるのが心外そうな事(ブランカは紅丸の電撃を乾電池より劣ると見下している)を勝利画面で発言したり、充電していた自分のMDプレーヤーを返してほしいとも言っている。また、ジャングルの外をあまり知らないため、不知火舞の色仕掛けも肉塊でしかなく、キムの正義も知らない。逆にユリ・サカザキはブランカの本名を知っている。
『ZERO3』ではザンギエフの勝利ポーズにも登場する。ブランカが持ってきたピラルクをザンギエフがウォッカによる炎で焼く演出が行われるが、誤ってブランカまで焼かれるパターンもある。
『ストリートファイターV』(以下『ストV』)ではSeason3の追加キャラクターとして参戦。本人のストーリーモードでは悪質な業者によって人気者になれると吹き込まれ、大量の自分の人形「アマゾンの脅威ブランカちゃん」を作る。ブラジルの山腹の広場で売り歩きしているところでララと出会い、ララの弟のショーンが「アニメやゲームで有名な日本で売ってみるといい」というアドバイスをしたため日本のゲームセンター前で売り歩くも「ゲームセンター外にあるクレーンゲームの人形のほうが可愛い」と女子高生に言われる。偶然にもそのゲームセンターで友達のさくらが働いており、事情を聞いたさくらは店長に相談してブランカちゃん人形をクレーンゲームに置いてもらうこととなる。その後、女子高生からは「キモ可愛い」と言われたが流行ったかどうかは濁されている。
『ストリートファイター6』では人気者になる夢を抱き、ジャングルのアドベンチャーツアーのガイドとして活動。
デザイナーの西村キヌは「獣人は知性が低いというのはありがちすぎるので、彼は教育は受けていないが結構頭が良いということになっている」と語っている[3]。上記のように『ストII』時点においても比喩やことわざを学習してそれを使ったセリフを使っており、キャラクターデザインを手掛けたあきまんや西村キヌによるイラストではすっかり文明人になった『ストII』より後のブランカの姿が描かれている[4]。
あきまんによると『あしたのジョー』のハリマオや『タイガーマスク』のローン・ウルフなど「獣人」という枠は少年漫画や格闘漫画には必須の存在であり、王道のゲームとしては当然入っていなければいけないということでブランカを登場させたという[1][5]。また、ファミリーコンピュータゲーム『プロレス』に登場するジ・アマゾンも「獣人枠」とみなしており[1]、格好いいキャラクターがアマゾンに噛みつき攻撃をされるのが非常に悔しく、相手に屈辱的なことをされて悔しいのは素晴らしいアイデアだ、ということでこれが『ストII』のブランカの技などに反映されている[6][7]。開発当初は肌がピンク色だったが、気持ち悪いという理由であきまんにより緑色に変えられた[8]。
高い攻撃力、突進技や特殊移動のスピード、優れたジャンプ力、長いリーチを併せ持ち、初心者にとって使いやすいキャラクターである。その特性を活かして相手に対応する暇を与えず攻めまくる戦法が基本。反面、ガイルなど迎撃能力の高いキャラクターにじっくりと構えられると苦戦を強いられる欠点もある。
ジャンプの滞空時間が短く、素早い跳び込みが可能なので、リュウなどの飛び道具を持つキャラクターにも対抗しやすい。しかし滞空時間の短さゆえ、スピードの遅い飛び道具を垂直ジャンプで避けることが困難であるというデメリットも併せ持つ。また無敵時間の存在する技が『スパIIX』より以前の作品までは無かったため、切り返しに乏しかった。
また前進と後退でキャラクターの高さが違う(前進時は前かがみに歩く)ため、一部の技(サガットの「タイガーショット」や、リュウやケンの「竜巻旋風脚」など)に対しては、後退すると当たる(ガードする)が、前進すれば当たらずに潜り抜けることができる。
『ストII』時代はベガの「サイコクラッシャーアタック」やエドモンド本田の「スーパー頭突き」でサガットの「グランドタイガーショット」を飛び越せるのに対し、ブランカの「ローリングアタック」では飛び越せなかった。
シリーズ初期においては後退する相手に追いつけないほど前後の移動速度が遅かったが、シリーズ後期では多彩な移動方法を身につけており、慣れてくると高い機動力を生かしたトリッキーな動きで相手を翻弄することも可能になる。ただし歩行速度自体は相変わらず全キャラクター中ワーストクラスである。
作品によって若干差異はあるが、ここでは『スーパーストリートファイターIV』(以下『スパIV』)での技名称を掲載。
操作 | 立ち(近距離) | 立ち(遠距離) | しゃがみ | 垂直ジャンプ | 斜めジャンプ |
---|---|---|---|---|---|
弱パンチ | ロックアタック | ベアアタック | キャットクロー | パンサークロー | ワイルドファング |
中パンチ | ジャングルクロー | ビーストチョップ | ベアクロー | エアブロウ | フィストドロップ |
強パンチ | ブラッディーライン | ワイルドネイル | スネークアッパー | ブッシュバスター | サバイバルクロー |
弱キック | ニーボンバー | ビーストキック | ジャングルトラップ | フライングバイソン | フライングヴァイパー |
中キック | ダブルニーボンバー | ブラッディーテイル | ビーストステップ | ワイルドキック | ワイルドヒール |
強キック | ワイルドダンス | ビーストテイル | サバイバルアタック | サバイバルキック |
実写映画『ストリートファイター』では、ガイル大佐の親友「カルロス・ブランカ」、愛称チャーリーとして登場する。チャーリーはナッシュの日本以外での名前。バイソン将軍の人体実験により、緑色の肌をした怪物にされる。
漫画『ストII爆笑!!4コマギャグ外伝』では、外見が動物的であるため、ケンにしばしば動物扱いされたり(やがて飼い慣らされた)、本当に動物と間違えられて捕獲され連れ去られたこともあった。
ブランカの名はスペイン語[13] hombre blanco (白い人、の意)に由来するという設定がある。飛行機が墜落して生き残った直後は現地人に比べ肌が白いためこう呼ばれ、そこからブランカと名乗るようになった。また、『映画ストリートファイターIIメモリアル公式ファンブック』では育ての親である動物のくしゃみが「ブランカ!!」に聞こえたため、それを自分の名前だと思い込んでしまったと書かれている。
『X-MEN VS. STREET FIGHTER』では山岳地帯の背景にて一人で焚き火をしており、時おりプレイヤーの方を見る。『マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター』では、同じく背景にいるがX-MENのビーストと向かい合わせになっている。またブランカと同じ緑の肌のヒーローであるハルクのエンディングに登場し、彼に「お前もガンマ線を浴びたのか」と聞かれる。
緑色の肌は保護色のためとされているが、『カプエス』シリーズでのキャミィの台詞によると「威嚇程度の効果しか無い」とのこと。
『モンスターストライク』では通常と進化時の属性は「闇」設定である[14]。
『ストIV』シリーズのプロデューサーである小野義徳によると、ブランカはブラジル人に愛されており、ブラジルに行くと「ブランカはイかしてるね!」とよく言われるという[15]。
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