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漫画『天才バカボン』に登場する架空の人物 ウィキペディアから
バカボンのパパ(バカボンパパ)は、赤塚不二夫のギャグ漫画・『天才バカボン』、ならびにそれを原作としたアニメの登場人物である。
このフィクションに関する記事は、全体として物語世界内の観点に立って記述されています。 |
モデルは赤塚の実父・赤塚藤七(1908年 - 1979年)であると言われている[1]。
以下、アニメ版についての記述は第1作『天才バカボン』を基準に、『元祖天才バカボン』を第2作、『平成天才バカボン』を第3作、『レレレの天才バカボン』を第4作、『深夜!天才バカボン』を第5作と記す。
『天才バカボン』の主人公で、「バカボン(長男)」と「ハジメ(次男)」の父。妻は「バカボンのママ」。誕生日は本人によると「昭和元年12月元日のクリスマスの夜」[2]。これは昭和元年(1926年)12月25日生まれ(昭和最初の日)のことと解釈される[3]。連載初期はタイトル通り息子のバカボンが主人公でパパは脇役だったものの、「描いてるうちに(バカボンの)パパのほうが面白くなっちゃった」(赤塚談)という理由で主人公に昇格した[要出典]。
生年月日は植木等や関根潤三と同じである[4]。連載開始が昭和42年(1967年)であったため、年齢は41歳[5]とされており、アニメ第2作後期エンディングでもそのように歌われている。血液型はBAKA型という特殊型で、なめると甘い味がする[6]。
パパ側の親族に関しては、「わしの生まれたはじめなのだ」「わしの天才がバカになったのだ」で、「一郎」という名のパパの父親(通称「パパのパパ」)と、父親の弟(つまりパパの叔父)が登場しており、2人ともパパに顔が似ている。また「〜はじめなのだ」では、パパの父親が子供代わりに飼っていた、ウマの「馬之助」・ブタの「トン勝」・ニワトリの「ダシ夫」・ネコの「シャミ吉」の計4匹のペットが存在していたが、パパが産まれると用済みとばかりに、出産祝いに全て丸焼きにしてパパと父親に食べられてしまい、叔父をあきれさせた。なお、この2話ではパパの母親は登場せず、叔父が「3年前(1923年)に入院した」[7]と言っていた程度だったが、その後「母をたずねて三千円」(1972年発表)で登場。それによると、パパの母親は20年前(1952年)にパパから3,000円借金をしたのだが、その夜母親は突然失踪してしまったという。その後母親に再会したパパは、母親に「3000円返してください」と返済を迫り、さらに利子も請求するなど、借金と失踪がきっかけで、母子の情愛がなくなった。なお、母親の名は、前述のパパ誕生秘話では「マリア」となっていたが、「母をたずねて三千円」では「トロ」となっている。
熊本県の七城中学校(実在)[8]・東京都のバカ田高校を経て[9]、バカ田大学を首席で卒業。学級委員も務めた。大学時代のあだ名はキャロル、またはノールス(脳がいつも留守だから)。バカ田大学の卒業式の日、「東洋工業(現・マツダ)に入社してマツダ・キャロルを作るのだ」などと言ったことがあったが、結局は入社しなかった。妻であるバカボンのママと出会ったのも大学時代である。
本当の名前は不明とされているが、アニメ第1作の第1話で警官から姓名を尋ねられ、「バカボン」と答えている(この時の新居の表札は「バカボン」である)。第2作ではママが電話に出たときに「バカボン家です」と応対している。また第4作では背広の注文書の氏名欄に「パパ」と書かれている。電話では「バカボンのパパなのだ」と名乗る。本名は「みんなそろってフチオさん」で「田中田フチオ」(たなかだ -)と自分で言っているが、公認サイトにて「パパお得意の冗談です」との回答があった[10]。第2作では本官さんに「三丁目のバカ田さん」と呼ばれたことがある[11]。
公認サイトでは「バカボン一家に苗字はありません。表札に「バカボン」と書いてあるのは、バカボンが迷わないで帰って来られるように、というママのやさしさです」と記されている[10]。
映画『天才バカヴォン〜蘇るフランダースの犬〜』ではパパ本人が「バカヴォン」と名乗ったが、この名前も最終的には本当の名前ではないことが判明している。
口癖は「これでいいのだ!」「タリラリラ〜ン[12]」「コニャニャチハ」「はんたいのさんせい」「さんせいのはんたい」など。サブタイトルのほとんどに使われている「〜なのだ」という語尾の多用も一般的にパパの特徴とみられているが、原作初期は「〜だよ」「じゃ」など普通の語尾で会話することの方が多かった。「コニャニャチハ」は当時投稿の挨拶などに多用され、現在でもラジオ番組の投稿に用いられる挨拶の変形の元祖であるとされている。また、納得いかない事態に直面すると、「国会で青島幸男が決めたのか!?」[13]と言うこともある。
ハチマキと腹巻を身に付け、口元に髭を生やしている。腹巻きは四次元ポケットの如くいろいろなものが入る。鼻毛を伸ばしているように見えるが、原作によると実は髭である[14]。ハラマキの下に履いているズボンの色はアニメ版第1作目では藤色だが、第2作目以降は青(紺)色になっている。下着は赤い褌。
性格は子供っぽく、しかも子供の悪い面を体現したかのような人物像で常に誰かをからかったりイタズラをしている。バカボン一家以外の彼を知る人物は総じてパパを「バカでいじわる」と評する。小学校レベルの勉強ができないうえに、常識や倫理観にも欠けており、面白がって取った行動が会社を潰したり、人の人生を破滅させたり直接死に追い込んだり、動物虐待を行うことも少なくない。レレレのおじさんにもよく暴行を加える。
ママによると、「嘘をつけない人」らしい[15]が、実際は頻繁に嘘をついており、いわば人を騙すことが多い。特にアニメ第2作以降では強調され、家族、本官さん、近所の人々、通りすがりの人々、バカ田大学の先輩後輩、動物、宇宙人などが次々と被害に遭っている。この嘘つきがたたってしまい、パパがトラックにはねられて入院した際には全く信用されなかったこともあった[16](ただ、自分以外の人にうそをつかれるのが嫌いなようで、実写ドラマでママが同級生の女子相手に見栄を張ってうそをついたことを非難して家出をしたことがあった)。
子供に対しても、バカボンの剥製を作ろうとしたり[17]、ハジメをサーカスに売り飛ばすなど奇行を繰り返している[18]。忘れっぽいところもあり、バカボンと強盗ごっこをしてそのまま置き去りにした時はバカボンに言われるまで忘れていた。
普段は支離滅裂、無茶苦茶な言動をしているが、友人の前で嘘をついてでも見栄を張ろうとしたママを批判[19]したり、家族想いな面を見せるなど優しさや至極真っ当な面も持ち合わせている。また、バカ田大学の先輩には頭が上がらない。
原作漫画では登場人物が死亡する描写が多く、そのほぼすべてにバカボンのパパが関与している。些細などうでもいいことで相手に殺害を仄めかしたり、実際に犯行に及ぼうとしたことも何度もある(ご近所さんから「あの人ならやりかねないわよ」とすら言われている)。アニメでも結果的に何人か死亡している。第3作以降では、本当は知っているのに知らないふりをしてみたり[20]、靴磨きのアルバイトを嘘の身の上話で料金をせしめたバカボンに皮肉を言ったり、第5作では特撮ヒーローについて解説するなど比較して常識的に見える部分もある。
死亡のパターンは次の4つに大別できる。
原作者の赤塚不二夫は「パパは無職(バガボンド=放浪者)でないといけない」としているため、原作、アニメともに基本的には無職ということになっている。しかしアニメ第1作中盤から「パパが無職なのは子供番組として良くない」というテレビ局の要請で赤塚の断りなく植木屋(個人事業主)と設定され、赤塚はこれに憤慨した。脚本家の雪室俊一はこの要望に一番困ったと言い、「スーツ着てネクタイしてサラリーマンというわけにもいかないし、しょうがないから植木屋さん、と(笑)」という理由で植木屋にしたとDVD-BOXの特典ブック『バカ本』のインタビューで語っていた。実写版では「元祖、フリーターなのだ」と自称している。
そのほかにクリーニング屋の従業員[23]、動物向け化粧品のセールスマン[24]、家庭教師[25]、大工、サラリーマン、警備員、僧侶[26]、洋食の料理人、変わったものでは唐辛子の味見係[27]、下駄製造会社社長[28]などいろいろやっているが、全て雇い主側から解雇されたり辞職している[29]。アイロンを放置してクリーニング屋を火事で全焼させたり[23]、取引先に暴言を吐いて勤務していた会社を倒産に追い込んだり[30]、健康被害[24]を起こしたり、社長を発狂させる[27]などろくなことをしない。
自動車免許は持っておらず、無免許で車を買い暴走を繰り返し道路交通法違反(無免許運転)で検挙されている(しかし罰金で済んでいる)。その時ばかりは反省していたが[31]、車輪付きの椅子で街中を爆走し、逮捕しようとしたおまわりさんを逆に屁理屈で言いくるめたり[32]、陸でボートを漕いだり[33]、戦車で家を襲撃したり[34]と道交法違反は日常茶飯事である。
第1作第72話では運転免許を取得するため自動車教習所に通っていたが、無免許運転発覚で免許を取得することができなくなった(いわゆる欠格期間)。しかし、人のトラックがパンクしているのを見て「足はパンクしないのだ」と言って、免許の取得はあきらめた。後にBMW・1シリーズのCMに起用された際には、ママが運転していた。
アニメにおいてパパは歌が特に上手で、歌唱大会などでその歌声を披露して周りを虜にすることもある。かあさんの歌を歌って強盗や殺人犯、無銭飲食や痴漢などの犯人を白状させたこともあった[35]。なお、十八番は「傷だらけの人生」[36]・「仁義」[37]・「矢切の渡し」・「北の宿から」である[35]。第2作では頻繁に主題歌(「タリラリランのコニャニャチワ」)、童謡、替え歌などを歌っている。
レバニラ炒めが好物で、しばしばこの料理の名を口にする。おでんではタコの足が好みで、竹輪が嫌い。以前は唐辛子、たこ焼きも好物だったが、二つとも何らかの理由で嫌いになった。タバコも吸うが、そのシーンはあまり出てこない。アニメ第3作では「ハイライト」らしきタバコが出てきている。
もともとはハジメをも凌ぐ天才児で、生まれてすぐに天上天下唯我独尊と口にし、家庭教師をつとめたり自動車の修理を簡単にこなしたりしていたが、とあるアクシデントによってバカになってしまう。なお、バカになった経緯は原作とアニメでは若干異なる[38]。
なお、アニメ第1作・第4作では、バカになる経緯を描いたエピソードはない。
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