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テレビ番組のジャンル ウィキペディアから
テレビドラマ(英語: television drama, TV drama)とは、地上波などでテレビジョン放送されることを目的に制作された連続ドラマや単発ドラマのこと。
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テレビドラマの語源は英語だが、英語圏で"TV Drama"の語は用いられず、単に"Drama"か、連続するテレビ番組を指す「テレビシリーズ(TV series)」を用いる[1]。「テレビシリーズ」はバラエティ番組・ニュース番組・ドキュメンタリー番組など広範に包括する語彙である。
日本では「ドラマ」も「コメディドラマ」も一括りに「テレビドラマ」とするが、英語圏では「ドラマ(drama)」と「コメディ(comedy)」は「バラエティ」や「ニュース」などと同様にそれぞれ異なる番組ジャンルとして扱う。
英語で drama が映画とテレビ番組の分野として使われる場合、comedy と対比的に用いられることが多く、drama は笑いがない内容を主体とする話を指す。英語は situation comedy と drama を区別して扱う。日本語のドラマはコメディドラマを含むが、英語の comedy drama は笑いを含む話と含まない話が織り交ざる。英語の situation comedy は笑いを含む展開で、日本語のコメディドラマに近い意味がある。
放送形態別の呼称として、1シーズン限りで完結するテレビドラマは「ミニシリーズ(miniseries)」または「リミテッドシリーズ(limited series)」と呼ばれる。日本の2時間ドラマなど単発のテレビドラマは、英語圏では「テレビスペシャル(TV special)」または「テレビ映画(TV film、TV movie)」などと称する。
コメディ・シリーズの定番に「sitcom(シットコム)」というコメディドラマがある。舞台とする家庭に家族が登場して日常生活するなかで、間の抜けた失敗、視聴者に笑いを誘う会話、大げさなジェスチャーで珍妙な台詞、多数の観客の笑い声、などで構成するドラマである。
劇中の子供に大人びた台詞を言わせ、気付いていても気付かないフリをする大人の滑稽さを表し、笑いを誘う流れは多く用いられる。舞台が家庭ではなく学校で級友が登場するもの、舞台が職場で同僚が馬鹿馬鹿しく笑える会話をする、ものもある。
シットコムは派手な演出、特殊撮影、特殊メイクなどは用いず、放送作家のユーモアセンス、俳優同士の掛けあい演技の妙に依る。多くはテレビ局内のスタジオに設けられたセットで撮影され、セットの周囲に階段状の観客席を設けられて観客の反応も同時に収録される。
「超常現象・怪奇現象もの」(英語: supernatural、スーパーナチュラル)、「ミステリー」、「ホラーサスペンス」などは、物語中に常識で理解できない超常現象・怪奇現象・不可思議などが発生し、視聴者は謎や恐怖を楽しむ。
「探偵もの」(英語: Detective fiction、ディテクティブ・フィクション)は古くから人気があり、主人公の多くは私立探偵や素人探偵である。「私立探偵もの」は小さな私立探偵事務所の男がさまざまな事件を解決し、「素人探偵」ものは推理小説家が実際の事件にかかわり解決する。
刑事や警官が事件を解決する物語 (police procedural) は歴史が長い。2000年以降に、従来の「警察の殺人課」所属の警官や刑事に限らずさまざまな公的な捜査機関のエージェントや捜査官の人生なども並行して描くものも増えた。また、マフィアや麻薬カルテルなど犯罪者側に焦点を当てた作品も数多く制作されている。
刑事
犯罪
弁護士・検事・裁判官などが主人公で、法廷を舞台にして物語が進むテレビドラマ[2]。
医療現場で病院の関係者、患者やその家族などの人間模様を描くテレビドラマ[3]。
日本は1週間を通してテレビドラマが放映される。プライムタイムに放送されるものは視聴率が高く、予算も高額で、他の時間帯に比べ人気が高い俳優やタレントが多数出演する。流行やファッションなど多方面に影響する。
TBS系列の日曜劇場や、フジテレビ系列の月9ドラマ、テレビ朝日系列の木曜ドラマ[4]などのいわゆる「看板枠」は、特に高視聴率作品が多い。午前に放映されるテレビドラマの中では、NHK総合テレビの連続テレビ小説(朝ドラ)は人気があり、ヒロインを演じた俳優が新人の場合、出演を期に民放各局でプライムタイムのドラマ等に出演が増えて「若手の登竜門」などと言われ方をすることがある。
1980年代までは当初1クールまたは2クールの制作予定を組み、人気が出ると延長されて最終的に2、3年間続く作品が多く見られたが、1990年代以降は出演俳優のスケジュール確保[注 1]や視聴率低迷による途中打ち切りのリスク回避の観点から、人気が出ても当初の放送予定を変えずに(変更は最終回の放送時間拡大程度)いったん終了させて、概ね3か月から1年間のインターバルを経てから次のシリーズが製作されているものが大半を占めている[5]。各クールの切り替わりの1、2週間は改編期ということで特別番組が放送されることが多くなっており、1クールの作品でも全13話で構成を組むのではなく、数週分減らして全9話から全11話という作品が多い。また、視聴率不振による途中打ち切りの不面目を避けるため、放映回数を発表せずにスタートする例も多い。
2010年代後半に入ると、動画配信サービスへのコンテンツ供給や海外向けへの番組販売などを背景として、テレビドラマ枠の増加が相次いでおり、ゴールデンタイム・プライムタイム帯(19時台から22時台)におけるドラマ枠新設[注 2]だけに限っても、2015年4月から日本テレビが『日曜ドラマ』[6]、2022年4月からNHKが『夜ドラ』[7]、同月からフジテレビが『水曜10時枠の連続ドラマ』[8]、同年10月からテレビ朝日が『火曜9時枠の連続ドラマ』[9]、2023年4月から朝日放送テレビが『日曜10時枠の連続ドラマ』[10]、同年10月からフジテレビが『金曜9時枠の連続ドラマ』[11]、2024年4月(予定)から日本テレビが『土ドラ9』[12]をそれぞれ新設している。また、深夜ドラマ(23時台以降)についても2011年の時点では1週間で2本しか放送されていなかったが、2021年10月の時点では1週間で16本と8倍に増加している[13]。
インターネットの動画サイトが一般に浸透した影響により、平均15分程度で終わる動画の視聴に慣れた世代にCMなしで45分ないしは1時間分の視聴をさせるのは難しいとの指摘もある[14]。2010年代以降、各局とも中高年層に視聴率が見込める刑事・医療ドラマへのシフトが目立っている[15]。
大きな人気や高い評価を受けた作品の場合、新たに劇場公開用の映画作品として製作されることがある。テレビ放送初期は『三匹の侍』、『若者たち』のようなテレビ局のディレクターが映画版でも監督を務めるなど、一部スタッフの関わりを除けばテレビ局が関与しないことがほとんどであったが(テレビドラマ作品を「原作」として扱った)、1969年に映画『御用金』でフジテレビがテレビ局として初めて映画製作を手がけたことを皮切りに、テレビ局は映画事業に本格的に進出。現在ではテレビ局が主体となってテレビドラマ作品(特に連続ドラマ)の世界観を継承した新たなエピソードを、映画作品として製作するケースが多くみられる。その一方で近年では、テレビドラマ作品そのものが、再編集を経るか、またはそのままの形で劇場公開されるケースもある(単発ドラマにみられる)。
1940年4月、テレビの実験放送で放送された『夕餉前』(脚本:伊馬鵜平)が、日本初のテレビドラマとされている。当時のスタジオは非常に狭く、またアイコノスコープ方式のカメラを使用していたため、俳優は、時に木材や紙などを発火させるほど強い照明に耐えなければならないなど、技術的制約が多い状況だった。同年10月には実験放送第2作『謡と代用品』が放送されたが、太平洋戦争(1941年12月8日勃発)のために11年中断後、1952年に再開。
1953年にテレビの本放送が始まるが、当時は実用的な録画手段がなく、テレビドラマの多くは生放送またはフィルム制作であった。モノクロ時代は消え物(料理)はそれらしく見えればいいということで、すき焼きを食べているシーンなのに食べているのは出汁の味しかしない物だった、本物が出てきたのはカラーになってからだった、と黒柳徹子は語っている[16]。
ビデオは、1956年にアメリカ合衆国で2インチVTRが開発され、2年後の1958年には、日本に初輸入され、国産のビデオも開発された。同年6月、大阪テレビ放送(OTV、現・ABC)の『ちんどん屋の天使』において、日本で初めてテレビドラマにビデオテープが使用された。そして同年10月、ラジオ東京テレビ(KRT、現・TBS)の『私は貝になりたい』(主演:フランキー堺)では、本格的にビデオ録画が実用化され、技術的な先駈けとなった。また、その年の芸術祭賞を受賞し、それまで「電気紙芝居」と酷評されたテレビドラマが初めて人を感動させたとして、テレビドラマ史上に残る重要作品と位置付けられている。当初はビデオ機材もビデオテープも高価だったが、やがて普及していき、ドラマも生放送から収録する形態へと変わっていった。
1970年代までにビデオテープで収録されたテレビドラマの中には、原盤ビデオテープが別の番組撮影に使われて上書きされたことにより、映像が失われたものも少なくない。また、当初は撮影機材の大きさと、カメラの感度の低さから、照明を煌々と照らしたスタジオ内で演技するより他なく、屋外の情景はスタジオ内でのセットで再現していた。どうしても屋外でのロケが必要な場合は、ビデオでの撮影を諦めて、16mmフィルムで撮影することもあった。そのため本編中にビデオ映像とフィルム映像が混在し画調や画質、場合によっては音質においても不連続が発生することがかつては多く見られた。いわゆるホームドラマはこうした技術的制約の苦肉の産物でもあった。
NHKのドラマはNHKですべて制作していた。NHKのみは自社製作ということもあり、遥かに先行して1960年代からVTR製作に切り替えている(それゆえに初期の作品の保存状況が極めて悪い)。それに対し、民放では1950年代から外部の制作会社が制作したテレビドラマを放送した。それらは当初「テレビ映画」とも称され、劇場映画を作ってきたスタッフが制作にあたり、撮影もフィルムで行われた。大手では1959年に東映が出資したテレビ局NET(現・テレビ朝日)で、さらに1962年には新東宝を前身とする国際放映がTBSで、テレビ映画の制作に進出している。東宝、大映、松竹など他の大手も続いてテレビ進出したものの、たとえば東宝は1980年に至るまで自社製作のテレビ映画については、傍系の東宝ビルドを使ったり、傘下の国際放映に孫受けさせたり、本拠地の砧撮影所を極力使わない差別的な姿勢を貫くなど、東映に比べると本腰が入っていなかった。また、特撮ものは、合成などのノウハウが蓄積されているフィルムでの撮影が主となっていた。詳しくはテレビ映画を参照。これに対し、VTRによるドラマはスタジオドラマと呼び分けられた。
1970年代も半ばを過ぎると、これまでのビデオカメラのコストと技術的制約もなくなり、民放もフィルムからビデオでの撮影に徐々に移行することとなった。フィルムが必要とする現像の手間以外だけでなく、ビデオ編集用の機材の発達と何よりもコストの問題で、映画会社系の制作会社もビデオ撮影を採用し始め、1990年代後半からフィルムで撮影されたドラマは激減。2000年代初頭には、刑事ドラマや時代劇もビデオ撮影に移行して、フィルム撮影はスーパー戦隊シリーズを最後に姿を消した(日本と違ってフィルムへのこだわりが強い欧米では大型テレビドラマの場合35ミリ映画用カメラを使ったフィルム撮影がしばらく生き残った)。
2005年頃から、地上デジタル放送への移行期を迎えて、ビデオでの撮影もSDからデジタルハイビジョンで収録するものが増えた。そのため、アナログ放送で放送する場合、NHKのドラマ全般(2005年4月 - )やテレビ朝日の木曜9時のドラマと「金曜ナイトドラマ」は、上下に少し黒帯の付く13:9のワイド画面で放送していた。また、日本テレビ(2005年7月 - )とTBS(2004年10月 - )やフジテレビ(2004年1月 - )などでは、上下に若干黒帯が付いていた(ブラウン管テレビでは見えない)。テレビ朝日の木曜9時ドラマと「金曜ナイトドラマ」以外については、両端をカットして放送しているため、アナログ放送の画角4:3画面いっぱいで放送されていた。またフジテレビでは、アナログ向けとデジタル向けで別の収録テープに分けて放送していた(画角に合わせてエンドロール等のテロップの位置を変えてある)ため、地方局での再放送や他系列放送の場合、機材の都合上アナログ向けとデジタル向けの2択を迫られることになった。前者の場合、デジタル放送でも標準画質でしか放送できないが、後者の場合、デジタル放送ではフルサイズ、アナログ放送ではレターボックスで放送していた。
地上波民放系のドラマ番組で、唯一BSデジタルでの先行放送が行われていた「女と愛とミステリー」(テレビ東京系)は、2001年1月の番組発足以来、一貫して16:9のハイビジョン放送を実施していたBSジャパンと技術的な制約で、デジタル放送開始後も4:3の標準画質で収録されたテープをアップコンバートせざるを得なかったテレビ東京(とその系列局)では、テロップ(サブタイトル・エンドロールなど)の挿入位置およびレイアウトが異なっていた。しかし、後継番組である「水曜ミステリー9(BSミステリー)」に関しては、2005年4月の開始時点でハイビジョン放送(デジタル帯)とサイドカット処理(アナログ帯)を同時進行させるために必要な送出マスターの更新が完了していたこともあり、テープの「作り分け」は行われていない。差し替えタイトル(→「BSミステリー」)が入るBSジャパンのサイマル放送(ハイビジョン画質)でも、地上波と同じ仕様で収録されたテープが基本的には使われているが、他系列向けに納品されているテープはその限りではなく、前番組同様複数の収録方式(ハイビジョン・SDサイドカット・SDレターボックスなど)が混在している。
デジタルカメラの発展により、プログレッシブカメラ(30pカメラなどと呼ばれる)を用いて撮影したり、シネライクガンマ(2003年に松下電器産業が開発)というデジタル補正技術で画質を調整したりすることによって、従来のビデオ撮影とは異なった、映画フィルムのような階調の映像で放送される作品が多くなっていった。
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ラジオ放送を行っていたNHKと民放テレビ局はラジオドラマを制作するために自前の放送劇団を組織して専属の俳優を持っていた。テレビの草創期は芸能プロダクションが未発達だったこともあり、その初期はラジオ時代と同様にNHKが自前でタレントを養成して、ドラマやバラエティに出演させた。また、五社協定により映画会社所属の俳優のテレビ出演に制限があったため、新劇の俳優を多く使ってきた。その後は、芸能プロダクションが隆盛。養成機関で演技の訓練を受けていないタレントがドラマに出演したり、人気俳優を抱えるプロダクションが、配役に影響力を及ぼすことも多い。
平成時代からは、制作局のアナウンサーが出演することが多くなってきている。本業であるニュースキャスターやレポーターとして出演(本人役ということもあれば別名になる場合も名無し(アナウンサーA・リポーターB)という場合もある)というケースもあれば、まったく違う役柄で出演することもある。この場合の大半は、出演するアナウンサーがレギュラーを受け持つ情報番組でドラマ宣伝する意図もある。
放送されるテレビ局では、新たなドラマに関して、初回放送まで様々な宣伝(PR)活動をしている。主に出演者のインタビューや撮影風景の密着取材を放送する事前特番(特別番組)が放送されるが、2000年代頃からはそれらに加え、放送日の1週間くらい前から主演級俳優らがバラエティー番組に立て続けにゲスト出演してPRを行い、放送当日の朝の情報ワイドショー番組から夕方の報道番組まで立て続けにゲスト生出演(「はしご」)する例が見られる。
土日に放送されるドラマの場合、特に日曜日は生放送番組が少ないため金曜日に生出演している。
放送されない地域では番組は基本的には宣伝されないように配慮される(例:『王様のブランチ』の近畿地方での扱いなど)。但し、編成の都合などから一部地方局など放送されない地域で宣伝されてしまうことも時折見られる。
日本で過去に放送された、また現在放送されているテレビドラマについては、日本のテレビドラマ一覧を参照。
1958年、ラジオ東京テレビ(現TBS)製作のテレビドラマ『私は貝になりたい』が翻訳され西ドイツで放送。海外で放送された初めての日本のテレビドラマとなった[20]が、その後の日本のドラマの国際展開はアニメなどと対照的に極めて低調である。
そもそも日本のテレビ番組の海外輸出比率は2011年で0.15%と非常に低い。理由としては、国内だけで十分収益が上げられるマーケットがあるため海外輸出に熱心でないこと、日本の音楽の著作権や出演者の肖像権などが強く守られていること、他国で制作されているドラマと比べて放送回数が少ないこと[注 3]などが海外の買い手にとって扱いにくいコンテンツになっていることなどが挙げられる[5]。
全く売ってこなかったわけではなかったが、欧米人は白人出演者を好むため「たとえば日本人のアナウンサーが出てきた時点で、もう、売れなくなってしまう」と言われるほど売れず、また字幕も不評であるが、かといって英語版を作ったとしても売れるものではない難しい市場である。アジアには2000年代は売り込めていたものの韓国ドラマに市場を奪われた[21][22]。日本人が演じていると売れないため、現地俳優でのリメイク路線での売り込みも行われている[22]。『恐竜戦隊ジュウレンジャー』より生まれた『パワーレンジャー』はその代表的な例である[23]。
内容面では、デーブ・スペクターは日本のテレビドラマについて「日本のドラマは論外。演技も良くないし、ストーリーに工夫がない。アクションも白々しい。ドラマの質や現実感とは関係なく人気モデルなどを起用し、力のある芸能プロが売り込む俳優やタレントを使わざるを得ない業界構造がある。それでは本当にいいドラマは作れない」と述べている[21]。また、アジアの視聴者からは、日本のドラマは(心理描写が多く)観ると疲れるという評価がマイナス要因になっている[22]。
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