『サイキックフォース』(Psychic Force)は、株式会社タイトーによって製作されたコンピュータ・ビデオゲームおよびその登録商標である。タイトーのコンシューマ事業撤退以降は親会社の株式会社スクウェア・エニックスが権利を引き継いでいる。
1996年4月に業務用(=ゲームセンターなどのロケーション用)ビデオゲームとして稼動を開始した。その後はバージョンアップ版や家庭用ゲーム機への移植、続編タイトルの登場などのシリーズ展開も行われた。
キャラクターイラストは大貫健一が手がけた。
3D対戦型格闘ゲームとされているが、フィールドに奥行きが存在しないため2D対戦型格闘ゲーム、あるいは対戦アクションと解釈されることもある。
女性・アニメファン・家庭用ゲームユーザーなど「当時はあまりゲームセンターに行かない客層」からの評価を受け、OVAやCDドラマなどのマルチメディア展開も進められた一方で、「ゲームそれ自体にお金を使ってくれないファン層を多く抱えてしまう」こととなり、続編である『サイキックフォース2012』の稼動の際には「ロケテスト実施店舗が、インカムや客層を考慮した結果正式導入を見送った」事例も発生した。結局、プレイヤー人気の高さをインカムに反映できず、アーケードにおけるシリーズ展開は比較的早期に打ち切られることとなる[要出典]。
「サイキッカー」と呼ばれるプレイヤーキャラクターの中から1人を選び、対戦相手のプレイヤーキャラクターを倒すことを目的とする1対1の対戦型アクションゲーム。対戦はサイドビューの立方体型の空間「結界」内で行われ、キャラクターの移動はジャンプに依らず浮遊して上下左右に「飛び回る」ことになる。
キャラクターの操作には8方向レバー1本とボタン3個を使用。8方向レバーで通常移動と各種コマンドの入力を、1個のガードボタンで防御関連の動作を、2個の攻撃ボタン(弱攻撃ボタン・強攻撃ボタン)で各種攻撃とダッシュでの移動を、それぞれ担う。
さまざまなアクションを駆使し、各ラウンドの制限時間内に対戦相手キャラクターのライフゲージ(=体力)をすべて奪えばラウンド勝者となり、規定のラウンド数を先取した側がその対戦の勝利者となる(=負けた側のプレイヤーはゲームオーバーとなる)。制限時間内に決着がつかなかった場合、対CPU戦ではライフゲージをより多く残している側がラウンド勝者となり、対人戦では各ラウンドごとに10秒間のサドンデス(=延長戦)を戦う。
続編タイトルでは以下のゲームシステムが追加された。
- 回避バリア
- 『EX』以降では、相手に吹き飛ばされている最中に「レバー左右要素+ガードボタン」のコマンドを入力するとサイコゲージを消費しつつ(『EX』では40%、『2012』では50%)瞬時にバリアを張り、追撃を防げるようになっている。
- サイコゲージ
- 超能力技(必殺技)を出すために必要になる。このゲージは技を出すたびに一定量減少するが、「サイコチャージ」を使えば回復することが可能[2]。
- ハイパーチャージ
- 『2012』および『2』以降では、「サイコチャージ(ボタン全押しっぱなし)中にレバー一回転」コマンドを入力すると、体力最大値と引き替えにサイコゲージ最大値と攻撃力を最大200%までアップさせることができる。より多くの超能力技を駆使したい時や早期決着を望みたい時に有用。
- バリアブレイク
- 『2012』および『2』以降では、「レバー相手方向+強攻撃」ボタンにより、相手のバリアを破壊する格闘攻撃ができるようになった。キャラクターにより差異はあるが概して発生が速く、大きく前進しながら攻撃するが、隙は大きい。また、サイコゲージを50%消費する。
- スライドダッシュ
- 『2012』および『2』以降では、「レバー左右要素+両攻撃ボタン」で相手の側面に回り込むようなダッシュを行える。通常のダッシュよりも移動速度が速い。また、僅かながら完全無敵になる時間が存在する。
- 『2012』ではこの技を特定方法で入力することにより通常止まれない位置で隙無くダッシュを止めることができる、「SODEダッシュ」と呼ばれるテクニックがあり、上級者同士の対戦では必須技となっている。
- PSYインパルス
- 『2012』および『2』以降では、「ダウン中に強または弱攻撃ボタン連打」をすることで、サイコゲージ25%を消費しつつ、起き上がりの際に衝撃波を発生させて相手を吹き飛ばすことができるようになっている。弱版と強版では性能が違い、弱は発生が早く、強は効果範囲が広くなっている。
舞台設定は「社会から阻害される異端者」の類型であり、常人にはなしえない奇跡を起こす超能力を持つが故に、社会的な迫害(人体実験などを含む)を受け、孤立してゆく物語が描かれる。
『サイキックフォース』のストーリーと登場キャラクター
21世紀、サイキッカー(=超能力者)の力を恐れた人類社会は、彼らを一方的に管理しようとしていた。しかし、サイキッカーは自分たちの自由と安全を勝ち取るべく超能力集団「ノア」を組織する。だが、自分たちを「人類より優れている」と信じて疑わないサイキッカーの自負心は組織を徐々に自己変質させていき、西暦2010年、ついに「ノア」はサイキッカーによる理想郷を創るべく暴走を始めてしまう。
- バーン・グリフィス(Burn Griffith)
- 声:真殿光昭(ドラマCD版:子安武人、OVA版:関智一)
- 炎を操るサイキッカーで、本作のストーリーの中核となる人物。アメリカ合衆国出身の高校生。18歳。世界を恐怖させている超能力集団「ノア」の総帥が、3年前に行方不明となった親友キースであることを知る。しかし再会した親友は昔の親友ではなかった。ウェンディーとエミリオを連れて一度はノアを脱出したが、友の暴走を止めるべく戦いを挑む。ノアの理想に隠された真意を気付いた彼は、もう一度単身ノアに向かう。絵に描いたような熱血漢で、鳥のとさかを思わせる前髪がトレードマーク。
- ウェンディー・ライアン(Wendy Ryan)
- 声:白石文子
- 風を操るサイキッカー。オーストラリア出身の高校生。15歳。超能力を研究している姉クリスがいるが、音信が途絶えることになる。そんな時、彼女のもとにキースからのテレパシーが届く。「姉もこれを聞いたかもしれない」と考え、テレパシーの発信場所へ向かう。クリスを探すうちに、クリスの所属する研究所が「ノア」内部にあることを突き止める。バーンと出会ったのちは「ノア」と敵対する側に立つ。思い込みが激しく行動第一主義の側面あり。
- エミリオ・ミハイロフ(Emilio Michaelov)
- 声:高山みなみ
- 光を操るサイキッカー。ロシア出身の中性的な風貌の少年。14歳。信じていた両親が、彼の持つサイキックゆえに、彼に刃物を突きつけてきた瞬間、彼は信じられるものをなくした。その際「身を守るために無意識に使った」超能力により街を壊滅させてしまう。意識を取り戻した時、その場には草木一本残っていなかった。その後は放浪の身となり「ノア」からも接触を受けるが、最終的にはバーンとともに「ノア」と敵対する側に立つ。その背中には鮮やかな光の羽根が輝いている。
- ソニア(Sonia)
- 声:白石文子
- 電撃を操るサイキッカー。推定年齢17歳。ウォンの研究所で作成された人工生命体でサイキックパワー増幅装置を内蔵している。研究者だったウェンディーの姉・クリスの精神がソニアの精神ユニットと同化してしまったことがウォンの口から述べられているが、研究中に起きた事故の詳細は明らかになっていない。超能力集団「ノア」への忠誠心を刷り込まれているが、その忠誠心は徐々に「ノア」総帥・キースへの愛に変わってゆく。
- ブラド・キルステン(Brad Kirsten)
- 声:中尾隆聖
- 重力を操るサイキッカー。24歳。温厚な性格と極めて残忍な性格を併せ持つ多重人格者のドイツ人。超能力集団「ノア」に参加した折、総帥・キースによって殺人衝動を抑えるテレパシー療法を施されるが、戦闘と破壊が日常化していく中で、その衝動は自身でも、またキースのテレパシーによっても抑えることができなくなってゆく。
- 六道玄真(Genma Rikudou)
- 声:秋元羊介
- 「影高野」と呼ばれる宗派に属する退魔師で、密教由来の呪術を駆使する。53歳。ある日、前々から感じていた魔の影が動き出したのを察知する。彼の術は本来は魔物(および魔物にとりつかれた人物)に向けておこなわれるものだが、サイキッカーの存在を魔物に並ぶ脅威とみなした影高野の指示により、玄真たち退魔師は「人の世のために」サイキッカーを攻撃する。
- ゲイツ・オルトマン(Gates Oltman)
- 声:津久井教生
- アメリカ軍所有の対サイキッカー用サイボーグ第1号。37歳。彼の属するアメリカ軍でもノアの存在に気づいていた。軍の司令部はノアが後々に大きな脅威となることを恐れ、対サイキッカー部隊を設立する。ゲイツ・オルトマンとは身体を提供した男性の名前で、妻子をサイキッカーに殺された復讐のため、自ら志願して改造を受けた。人間の脳は生き残っているが、ボディはほぼすべてメカに換装されている。最優先命令「サイキッカーの消去」にもとづいてサイキッカーを攻撃する。
- リチャード・ウォン(Richard Wong)
- 声:真殿光昭
- 時間を操るサイキッカー。34歳。香港の貿易会社の前社長の私生児で、幼い頃から一族に虐げられてきた。しかし彼は持ち前の明晰な頭脳と超能力を駆使し、ついには一族をことごとく蹴落として会社を乗っ取るまでに至る。しかし彼の歪んだ欲望は満たされなかった。その強大な経済力と社会への影響力を生かし、超能力集団「ノア」を利用して世界の覇権を奪い取ることを画策する[1]。
- キース・エヴァンス(Keith Evans)
- 声:津久井教生
- 氷を操るサイキッカー。イギリス出身の青年。バーンの親友であったが、ある日突然に姿を消す。世界中で迫害される超能力者たちの惨状に心を痛め、テレパシー通信を使って超能力者を集め、超能力集団"ノア"を結成して理想郷を作りだそうとする。超能力を研究するためのサンプルとして人体実験を強要されていたが、他のサンプルたちと協力して反乱を起こし、ただ一人だけ生き残って脱出を果たした。その後の逃亡・潜伏中にリチャード・ウォンと接触。彼の協力のもと、超能力集団「ノア」総帥としてサイキッカーたちを統率する。
『サイキックフォース2012』のストーリーと登場キャラクター
第一次超能力戦争から2年後の西暦2012年、サイキッカーたちは二大勢力を形成し、凄まじい戦いを繰り広げていた。一つは前大戦で崩壊した「ノア」が再びキースによって組織された「新生ノア」。もう一つは「ノア」を裏で利用していたウォンが率いる「軍サイキッカー部隊」。この二大勢力の戦いは再びサイキッカーたちを戦いへと導いていく。
- マイト(Might)
- 声:緑川光
- 雷を操るサイキッカー。軽量級。過去の記憶が一切なく、他のサイキッカーを狩る使命感だけが残っている。そのためどの組織にも所属せず、無差別にサイキッカーを狩る毎日を送っていたが、パティと出会ってからはその気持ちに変化が表れていく。
- パトリシア・マイヤース(Patricia Myers)
- 声:くまいもとこ
- 愛称「パティ」。音を操るサイキッカー。軽量級。母を捜す旅の途中でマイトに襲われるが、彼女の歌声が彼の心を開かせた。それ以来、マイトとは互いに惹かれあっていくが、彼と彼女の間にはある秘密が隠されていた。
- ウェンディー・ライアン(Wendy Ryan)
- 声:氷上恭子
- 風を操るサイキッカー。軽量級。行方不明となった姉クリスとバーンを探すため、そしてエミリオが軍の手先になった理由を知るために戦う。
- 灌頂玄信(Genshin Kanjou)
- 声:糸博
- 前作登場した玄真の兄弟子で、玄真同様呪術を駆使する。軽量級。「影高野」の総本山を襲い仲間を皆殺しにしたサイキッカーに復讐し、彼らにさらわれた神妃である栞(しおり)様を助けだすために旅に出る。
- カルロ・ベルフロンド(Carlo Belfrond)
- 声:中村大樹
- 水を操るサイキッカー。中量級。前大戦後もキースの思想を信じ続けており、彼を探し出して「新生ノア」を立ち上げる。キースへの想いは狂信的とも言えるほど大きなものである。「新生ノア」の指揮はほとんど彼が執っており、軍兵器の修復なども請け負っている。
- レジーナ・ベルフロンド(Regina Belfrond)
- 声:福島おりね
- 火を操るサイキッカー。中量級。カルロの妹で「新生ノア」に所属している。兄であるカルロに兄弟以上の感情を抱いており、彼のこととなると見境いがなくなってしまう。
- ゲイツ・オルトマン(Gates Oltman)
- 声:津久井教生
- 「新生ノア」の命令で戦うサイボーグ。重量級。前大戦の途中で機能を停止した後、カルロによって修復される。「α(アルファ)」という新たな名を付けられた彼は記憶を消され、妻と娘を殺したサイキッカーのために戦うことになってしまう。
- 刹那(Setsuna)
- 声:酒井哲也
- 闇を操るサイキッカー。中量級。「軍サイキッカー部隊」に所属する、ウォンによって創られた人工サイキッカー完全体第一号。プライドが高い自信家だが、人工サイキッカーゆえの劣等感も強い。自分を小馬鹿にしているガデスには、同じ軍に所属していながら殺意すら抱いている。
- ガデス(Gudeath)
- 声:大友龍三郎
- 重力を操るサイキッカー。重量級。元は「新生ノア」の一員だったが、「軍サイキッカー部隊」に寝返った傭兵サイキッカー。ウォンの野望にもキースの思想にも興味はなく、己のためだけに戦う狡猾で非情な男。
- エミリオ・ミハイロフ(Emilio Michaelov)
- 声:高山みなみ
- 光を操るサイキッカー。軽量級。前大戦後ウォンに拾われ「軍サイキッカー部隊」に所属している。前作と違い、ウォンによる洗脳の影響で冷酷にして残忍な性格へと変貌しているが非常に不安定な精神状態であり、ウェンディーとの再会で自我を激しく揺さぶられる。ゲームではカラーリングを変えることで異なる性格のキャラクターとして操作が可能になっており、それぞれ専用の音声が用意されている。
- リチャード・ウォン(Richard Wong)
- 声:真殿光昭
- 時間を操るサイキッカー。中量級。前大戦でバーンとキースの一騎討ちの途中、「ノア」の基地を爆破しキースを亡き者にしようとしたが失敗。その後は敵対してきた「軍サイキッカー部隊」に身を寄せて、現在では指揮官の立場に立っている。前作同様に数々の策略を巡らせており、多くのキャラクターのストーリーに絡んでいる。
- キース・エヴァンス(Keith Evans)
- 声:津久井教生
- 氷を操るサイキッカー。中量級。前大戦ではサイキッカーの理想郷を創ろうとし、それを阻止しようとしたバーンと一騎討ちをするが、戦いの途中で「ノア」の基地爆破が起こってしまう。間一髪でバーンによって助けられるが、その後キースは思想への情熱や気力を失い「ノア」総帥の座も離れてしまう。しかし、ガデスの裏切りにより窮地に陥った「ノア」の生き残りを救おうと考えるカルロにより、「新生ノア」の総帥の座に再び舞い戻ることになる。
- バーン・グリフィス(Burn Griffith)
- 声:真殿光昭
- 炎を操るサイキッカー。中量級。前大戦ではキースの野望を阻止するべく彼と一騎討ちをするが、戦いの途中で「ノア」の基地爆破が起こってしまう。倒壊する基地からキースは助けだせたが、バーン自身は力尽きてしまう。その後キースによって体は冷凍保存され、2年後ついに親友との決着をつけるべく目を覚ます。