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2020年の格闘ゲーム ウィキペディアから
『グランブルーファンタジー ヴァーサス』(GRANBLUE FANTASY Versus)は2020年2月6日にCygamesから発売されたPlayStation 4用ゲームソフト[1][2]。略称は『グラブルVS』、『GBVS』。Steam版が同年3月14日発売。
ジャンル | 対戦アクションRPG |
---|---|
対応機種 |
PlayStation 4 Microsoft Windows |
開発元 | アークシステムワークス |
発売元 | Cygames |
プロデューサー | 木村唯人 |
ディレクター | 福原哲也 |
デザイナー | 関根一利 |
シナリオ | 福原哲也 |
音楽 |
成田勤 西木康智 前沢秀憲 鴇沢直 千葉梓 |
美術 |
皆葉英夫 澤田秀明 |
人数 |
1 - 2人 オンライン時2 - 64人[注 1] |
発売日 |
[PS4]2020年2月6日 [PC]2020年3月14日 |
対象年齢 | CERO:B(12才以上対象) |
コンテンツアイコン | セクシャル、暴力 |
エンジン | Unreal Engine 4 |
その他 | オンラインモードはPlayStation Plus加入が必要 |
ジャンル | 対戦アクション&パーティー |
---|---|
対応機種 |
PlayStation 5 PlayStation 4 Microsoft Windows |
開発元 | アークシステムワークス |
発売元 | Cygames |
プロデューサー | 木村唯人 |
ディレクター | 福原哲也 |
シナリオ | 福原哲也 |
美術 |
皆葉英夫 澤田秀明 |
人数 |
1 - 2人 オンライン時2 - 30人 |
メディア | ダウンロード |
発売日 | 2023年12月14日[注 2] |
対象年齢 | IARC 12+ |
エンジン | Unreal Engine 4 |
その他 | オンラインモード、「ぐらぶるレジェンドばとるっ!」はPlayStation Plus加入が必要 |
Cygamesのスマートフォン向けRPG『グランブルーファンタジー』(以下:『グラブル』)のスピンオフ作品で、『グラブル』としては初のコンシューマ向けタイトルとなる。ジャンルは対戦型格闘ゲームだがRPGモードが導入されており、公式では「対戦アクションRPG」と謳っている。
開発は「GUILTY GEARシリーズ」などを代表作に持つアークシステムワークスが担当する[3]。
2023年12月14日には続編となる『グランブルーファンタジー ヴァーサス -ライジング-』が発売[4]。ダウンロード専売タイトルで対応プラットフォームはPlayStation 5・PlayStation 4・Steam[5]。略称は『GBVSR』。
本作の基本的な操作系は1レバー+5ボタン(弱・中・強の3種類の攻撃、投げ、オーバーヘッドアタック)の5ボタンである。
格闘ゲームの初心者でも遊びやすいよう、アビリティ(必殺技)は通常のコマンド入力に加え、方向キーとアビリティボタンを押すだけでも発動させられるほか、ガードも同様の操作系で発動させられる。
本作におけるアビリティはゲージを消費して発動する通常の格闘ゲームの仕様とは異なり、アビリティを一度使ったら一定時間使用不可となる「クールタイム」方式が用いられている[6]。また、アビリティボタンによるアビリティ発動は通常のコマンド入力よりもクールタイムが長い。
本作では、『グラブル』に近いシステムを持つ「RPGモード」が導入され、クエスト形式で物語が進行する[2]。このモードのクエストバトルにおいてキャラクターは2Dで表現される一方、ストーリーパートでは3Dモデルで表現される[2]。
『ライジング』ではRPGモードが簡略化された「ストーリーモード」として実装[5]。第1作のストーリーは全て収録されるほか、新規のストーリーも追加される[5]。
『ライジング』で追加されるミニゲーム[5]。大人数で遊べるパーティーゲーム[5]。
障害物競走「ライジングダッシュ」や、時間内にヒヒイロカネを集めた数を競う「ヒヒイロカネパーティー」などの複数のゲームが収録される[5]。
Cygamesは家庭用ゲーム機とスマートフォン向けアプリのファンに双方の面白さを知ってもらい業界を盛り上げていくという考えのもとで、自社IPの中で最も規模が大きく、家庭用ゲーム機との親和性の高いファンタジーRPG作品の『グラブル』の家庭用ゲーム機向けソフトの制作を決めた[3]。
Cygamesはeスポーツの発展に寄与していきたいとも考えており、eスポーツの中核的なジャンルの1つである対戦型格闘ゲームを『グラブル』で行うことによってプレイヤー人口の増加と観戦を通じて、eスポーツそのものの認知度を上げられることを期待して、本作の制作を決めた[3]。
アークシステムワークスはGUILTY GEARシリーズや、ブレイブルーシリーズなどといった格闘ゲームの開発で知られており、これらの作品が『グランブルーファンタジー』と親和性が高いとみなされ、本作の開発を担うこととなった[3]。 また、同時期に発表が行われた『グランブルーファンタジー Relink』同様、『グラブル』のディレクターである福原哲也が全体の監修に携わった[3]。福原は学生時代から『ギルティギア』シリーズに親しんでおり、ファミ通とのインタビューの中で『ギルティギアX』からゲーム作りにおいて影響を受けたことを認めている[3]。
音楽は『グラブル』に引き続いて成田勤が担当した[8]。
本作は格闘ゲームに慣れていないユーザーが遊ぶことを想定し、すべての必殺技を1つのボタンで出せるような仕組みになっている[3]。前述の通り、eスポーツを前提として作られている本作は観戦者がゲームの状況を理解できるようにするため、ゲームスピードは抑えめで、コンボも極力シンプルにするといった方針がとられた[3]。同様の理由から、エリアル(空中技)といった初心者が理解しにくい要素も限定的な状況でしか発生しないような仕組みがとられた[3]ほか、演出面においても、立ちガード状態の相手に下段攻撃が成功した際に「!」を出すなどの施策が取られた[9]。一方で、『グラブル』の雰囲気に合わせるため、画面端からのコンボはある程度つながるように調整が施された[9]。 福原は「当初、本作のプレイ感覚がアークシステムワークスが得意とするコンボ主体ではないため、期待と不安でいっぱいだった。だが、グランとカタリナだけが遊べる最初期のデモバージョンに触れた際、GUILTY GEARシリーズなどのアークシステムワークスの代表作と比較しても違和感がなく、早い段階からこれはいけると感じた」と、ファミ通とのインタビューの中で振り返っている[9]。
また、福原はシステム構築の方針について「『ストリートファイターII』のように10年ぶりに触ってもすんなり楽しめるものを目指した」とファミ通とのインタビューの中で述べている[3]。
また、『グラブル』のプレイヤーの中には「格闘ゲームが苦手だが、本作で初めて格闘ゲームをやってみたい」という者が出てくることから、『グラブル』のシステムに似た「RPGモード」が導入された[2]。このため、「RPGモード」の難易度は、アクションゲームが苦手でも、1周目のエンディングまでたどり着けるように設定された[2]。
本作のストーリーは原作の「どうして空は蒼いのか」というイベントを踏まえたオリジナルのものとなっており[10]、メインクエストで64章以降の時間軸という位置づけだが、原作を知らないプレイヤーでも遊べるように配慮がなされている[11]。
本作は初期キャラクターとして11人を選出し、発売後にダウンロードコンテンツとしてキャラクターを追加する方式がとられた[1]。また、各キャラクターのアビリティや奥義は必殺技および超必殺技として組み込まれている[3]一方、アークシステムワークス側からの提案で追加された技も存在する[10]。福原はファミ通とのインタビューの中で、アーク側の開発スタッフにも『グラブル』のヘビーユーザーが何人もいたため、彼らがネタを拾ってシステムに昇華してくれたと話している[3]。 当初、アークシステムワークス側から、全キャラクターが「星晶獣奥義」で星晶獣を召喚するというシステムを入れてはどうかと提案されたものの、キャラクターと星晶獣が共闘する理由がなかなか見つからず、最終的に仕様を詰める直前にアークシステムワークス側から取り下げられた[9]。その代わり、「奥義の上をいく」解放奥義というシステムが導入された[9]。 本作のアートディレクターを務めたアークシステムワークスの澤田秀明は原作のキャラクターデザインはアクションゲーム向けではないことから、当初はキャラクターをデフォルメすることも考えたが、最終的には原作のデザインを徹底的に再現するという方針をとったとファミ通とのインタビューの中で述べている[10]。 外連味のある映像表現をするため、本作においては1つ1つアニメーションが作られた。このため、コスチュームが変更されるとモーションを作り直す必要があるという理由から、追加コスチュームの配信は見送られた[9]。一方で、原作で露出度の高い衣装を着ているキャラクターについては、RPGモードクリア後に原作の衣装を利用できるようにするという措置が取られた[10]。
本作のプレイアブルキャラクターの選定はキャラクターの知名度に加え、格闘ゲームとして落とし込める設定を持っているかということを基準として行われた[12]。本作のキャラクターの多くは剣を使うため、キャラクターの性格や得意分野をモーションに反映させて個別化する方針も取られた[10]。また、格闘技を主体とするキャラクターについては、剣を使うキャラクターよりも個別化が難しいため、選定には細心の注意が払われた[9]。当初は、原作の主人公であるグランとジータを登場させないことも検討されていた[13]。福原は東京ゲームショウ2019内のセッションの中で、その理由として、ジョブシステムといった独自の要素を持っていたことや、どちらか一方だけを出すことができなかったこと等を挙げており、様々な葛藤があったと話している[13]。その間、開発スタッフがカタリナの3Dモデルを作ってみたところ、うまくかみ合ったことから、まずはカタリナが基本的な性能を持つキャラクターとして作られた[13][12][14]。その後、原作の主人公の1人であるグランの参戦も決まり、同様の性能を持つカタリナとの個別化を図るため、少年漫画の主人公のようなモーションが設定され[10]、テレビアニメ版の設定をもとにしたセリフやボイスが用意された[3]。また、原作におけるもう1人の主人公であるジータはダウンロードコンテンツという形で参戦が決まり、グランの対になる存在として設計された[15]。
ランスロットは『四騎士』[注 3]の中では最初に参戦が決まった[12]。二刀流から素早い連続攻撃を繰り出すというランスロットの特徴はスピードタイプのキャラクターという方向性につながったため、格闘ゲームのキャラクターとして非常に作りやすかったと開発チームからは語られている[12]。四騎士の一人であるパーシヴァルは第3の主人公として位置づけられ、1つ1つの攻撃が重めに作られており、王者の風格を示すためにに堂々としたモーションにするという方針が取られた[10]。その一方で、アビリティ「トロイメライ」で自己強化をするなど、テクニカルな面を持つキャラクターとなっている[12]。また、原作では敵のチャージターンをたまりにくくする効果のあった「イクスゼーレ」は相手を恐怖に陥らせることをわかりやすくするため、相手にしりもちをつかせて追撃する投げ技に変更された[10]。
ファスティバは投げキャラとしてすぐに参戦が決まった[12]。ファスティバの解放奥義は本作のリードバトルプランナーである関根一利がプロレス好きだったことに由来しており、関根はこの技を提案した理由について「自分が知る限り、対戦格闘ゲームの勝利演出でレフェリーが3カウントをしてフォールして勝つというものがなかったので、本作でぜひやりたかったんです。」とファミ通とのインタビューの中で話している[10]。Cygamesはこのアイデアを採用しただけでなく、レフェリーのデザインを用意し、さらにはレフェリーをPVにも登場させた[10]。
シャルロッテはちびキャラ枠で参戦が決定したものの、身体が非常に小さいため、格闘ゲームのキャラクターとしての調整には時間がかかっている[12]。一度は彼女の身体を大きくすることも検討されたが、最終的には彼女の冠に喰らい判定をつけるという方法がとられた[12]。
ローアインは開発の後半に色物枠として参戦が決定したキャラクターであり[12]、トモイ、エルセム、ユグドラシルが演出に登場するため、開発に4人分の労力がかかっている[12]。
メーテラは遠距離攻撃を得意としつつも、近接戦を苦手とするキャラクターとして設計され[12]、飛翔術の使い手という設定を反映して2段ジャンプする特殊技「ゼファー」が用意された[10]。また、演出面では彼女の魅力である色気にこだわるという方針が取られ、負けた相手へのご褒美として勝利演出で倒れた相手にキスする場面が用意された[10]。
ゼタは本作の開発が始まった時点において参戦が決まっていたものの、『グラブル』での最終上限解放は未実装だったことから、本作のために最終上限解放時の奥義や設定画などが作られ、開発の資料として用いられた。また、『グラブル』においてバザラガの鎧がグロウノスの解放によって損傷する場面があったたことをヒントに、ゼタにも鎧が壊れる演出が追加された[9]。
バザラガは最初期に投げキャラ候補の1人として挙がっていたが、ファスティバが投げキャラに確定したことから、重厚なキャラクターに変更された[9]。
ボスキャラクターである黒衣の男は「最強のボスが欲しい」というアークシステムワークス側の要望を受け、Cygames側が用意した[10]。 いきなり出てきても説得力に欠けることから、原作のイベントシナリオ「どうして空は蒼いのか」にて先行して登場させることとなった[10]。 黒衣の男の技はアークシステムワークスとCygamesが共同で考案し、同シナリオで用いられた技が採用されている[10]。ダウンロードコンテンツキャラクターの1人である格闘家のソリッズは本作にインファイターや老人、もしくは大柄なキャラクターがいないことに加え、『グラブル』の最初期から登場していたことから、参戦が決定した[9]。
RPGモードでは、非プレイアブルキャラクターが多数登場するほか、魔物などがRPGモード用に作られており、アバターはラスボス戦を盛り上げる存在として開発期間の後半に作られた[9]。また、ダウンロードコンテンツにはRPGモードのクエストが追加される予定である[9]。
第1作においてキャラクターパス等のダウンロードコンテンツ(DLC)を導入することにより使用可能となるキャラクター[18][15]。『ライジング』では初期段階から使用可能となる[5]。
『ライジング』から新規に追加されるキャラクター。
『ライジング』においてキャラクターパス等のダウンロードコンテンツ(DLC)を導入することにより使用可能となるキャラクター。
RPGモード(『ライジング』以降はストーリーモード)や、各キャラクターの技演出・掛け合いに登場するキャラクター。
ストーリーなどに登場せず、ロビーアバターとしてのみ登場するキャラクター。
発売日 | タイトル | 備考 | |
---|---|---|---|
2020年02月06日 | グランブルーファンタジー ヴァーサス 特製サウンドトラックCD | グランブルーファンタジー ヴァーサス(プレミアムエディション) | |
1st | 2020年06月17日 | GRANBLUE FANTASY: Versus ORIGINAL SOUNDTRACK | |
2nd | 2021年12月14日 | GRANBLUE FANTASY: Versus ORIGINAL SOUNDTRACK Vol.2 |
本作は1月19日から1月25日までのAmazon予約数ランキングで1位を獲得した[25]。 また、発売から2日もしないうちに15万部を売り上げた[26]。 Cygames専務・木村唯人は、稲垣宗彦とのインタビューの中で、『グラブル』ファンだけでなく格闘ゲームファンからも受け入れられていることを明かしており、eスポーツの競技種目として期待されていることや、PS4に合った操作性が受け入れられているのではないかと推測している[27]。
また木村は、本作が海外でも受け入れられた理由について、国内外で人気のある『グラブル』のキャラクターの違いが少なかったことを挙げており、本作を足掛かりに原作を全世界に展開していきたいと話している[28]。
プロゲーマーで、本作をよく遊ぶという小路KOGはAUTOMATONとのインタビューの中で、人気IPを題材とした格闘ゲームであると同時に、Cygamesにとって初めての格闘ゲームだったため、発売前から注目が高い印象を受けたと述べており、発売後にプレイしてみて原作再現度が非常に高くて驚いたとも話している[29]。
AUTOMATONのKeiichi Yokoyamaは、3Dグラフィックを2Dのように見せる技術を評価したほか、アビリティボタン使用時におけるクールタイムの長さについても、確実にアビリティを発動できる利点が大きかったと考えている[6]。同じくAUTOMATONのKashiwagi Tomatoもクールタイムの導入は永久コンボ防止に役立っていると評価している[6]。さらに、Kasiwagiはシンプルな操作体系を評価しており、アークシステムワークスの他作品とは毛色が異なるものの、カール・ツェルニーの教本のようだったと評価している[6]。
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