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1996年・1997年公開の日本映画(ウルトラシリーズ) ウィキペディアから
『ウルトラマンゼアス』は、1996年から1997年にかけて公開された特撮映画、またはその作品に登場する架空のキャラクターの名称。
ウルトラマン生誕30周年を記念して誕生した、ウルトラシリーズ初の「完全新作の劇場映画オリジナルウルトラマン」にして[1][2]、シリーズ初の「企業タイアップウルトラマン」でもある[3]。
電通のコーディネイトにより、出光興産のクリーンな「ゼアスガソリン」をグッズ配布やイベントなどで多方面でアピールするためのコマーシャル・キャラクターとして企画された[4][2]。テレビシリーズの成立を目指して、当時正統派方向に振ったウルトラマンとして製作される予定であった『ウルトラマンネオス』との差別化[5]に加え、新たなウルトラマン像の模索という意図もあり[6]、パロディ・コミカル調で親しみの持てる「三枚目ヒーロー」として制作されることが決定し、ウルトラマンの特徴である赤と銀のトレードカラーの配置を入れ替え、コメディ路線を強く意識したデザインがなされた[出典 1]。
そして1996年、『ウルトラマン80』以来16年ぶりとなる国内製作新作ウルトラマン作品として劇場映画が公開された。監督はケムール人が出演したサントリー「アイスジン」のCMを担当していた縁で中島信也が起用された[出典 2]ほか、脚本は『ウルトラマンA』以来24年ぶりの登板となる長坂秀佳、プロデューサーは撮影技師出身で『ウルトラマンG』や『ウルトラマンパワード』でも活躍した鈴木清が担当した[11]。鈴木は本作品以降、ウルトラシリーズ映画作品のプロデュースを務めることになる。
主演には、当時出光興産のイメージキャラクターを担当していたお笑いコンビのとんねるずと、そのマネージャーだった関口正晴が起用され、過去のウルトラシリーズ出演経験者も多数カメオ出演した。当初は木梨憲武が主人公、石橋貴明が悪という構図であったが、2人から関口を主人公とすることを出演の承諾の代わりとして提案され、本作品の形となった[8][2]。映像面では、予算圧縮のために本編と特撮パートを同様のスタッフと監督によって、35mmフィルムで撮影されたほか、新しいチャレンジとしてウルトラマンや戦闘機の飛行シーンの大部分がCGで作画されたほか、光線も従来のオプチカル合成ではなくデジタル技術による合成で処理された[5][9]。合成作業も一度フィルムで撮影されたものを圧縮した高画質のデジタル情報に置換されて行われ、キネコの原版をD1上で作成して35mmフィルムに戻された[出典 3]。
1997年には続編『ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影』が公開(本項では以降それぞれ「第1作」「第2作」と呼称する)。第2作は、子供向け映画では弱くなりがちな夜の回の動員を強化するため、格闘技が企画陣の要望で導入され、一転してややハード気味な演出の演出に調整されたスポ根タッチのストーリーとなり、総合格闘技「K-1」の全面協力のもと、本格的な格闘シーンが展開されたほか、『最強への道』が夜のみの併映作品として用意された[12][8][9]。
第2作は「ウルトラ版『ベスト・キッド』」という意図の下、コメディのさじ加減も従来のウルトラ路線に寄せられ、ゼアスを模した悪のウルトラマンを登場させ、ゼアスが技術ではなく精神を学ぶことで恐怖心を克服する内容となった[8][2]。スケジュールの都合からとんねるずを物語の中心に据えることができなかったため、新隊長役に『ウルトラセブン』の森次晃嗣が起用され[注釈 1]、それに伴ってカプセル怪獣やロボット系にせウルトラマンの設定が導入された[13][2]。鈴木は、第1作よりも尺が増えたことで物語構成を変える必要があったと述べている[13]。
『ウルトラマンゼアス3』も企画されたが、企画が提出された際に『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』の製作がすでに決定していたため、実現しなかった[注釈 2]。
第1作の上映当時にはとんねるずのバラエティ番組『とんねるずのみなさんのおかげです』でパロディコントが放映され、木梨が勝人(ウルトラマンゼアス)、石橋が悪神(ベンゼン星人)とコッテンポッペ、関口が大河内、高岡が透を演じた。クライマックスではウルトラ兄弟も客演する。
なお、第1作での戦闘シーンの舞台が市街地ではなく架空の山や平地になっているのは、撮影時期が阪神・淡路大震災の発生から間もなかったことから、市街地の破壊や炎上について観客の感情に配慮した結果である[6]。第2作では市街地での戦闘シーンが存在する。
地球から299万光年の彼方にある、Z95星雲・ピカリの国出身のウルトラ戦士。汚れた地球をクリーンにする使命を帯びてやって来たが、まだ半人前の「落ちこぼれヒーロー」のため、優れた運動神経を持つものの、さほど戦闘力はない[11][29]。遠縁[30]でもある初代ウルトラマンに憧れている。地球上ではMydoの見習い隊員(第2作で正隊員に昇格)・朝日勝人に姿を変えて活動する。
名前の由来は出光のガソリンブランド名「ゼアス」[10]。小学館刊『ウルトラマンゼアス2超全集』では「天空を意味する『zenith』と地球を意味する『earth』の造語」としている[31]。
第1作では極度の潔癖症で体が汚れると変身さえできなかったが、精神力を鍛えることで克服した[29]。第2作では自分の力を信じることを知り、一人前と呼べるまでに成長を果たす。
勝人がゼアスに変身する際に使用する電動歯ブラシ型の変身アイテム[29]。変身に必要な光の超エネルギーが内部に満ちている[29]。第1作では白い配色だったが、第2作ではゼアスのトレードカラーである赤色のピカリブラッシャー2に変わった。
勝人がピカリブラッシャーで歯を磨いて口内を除菌し、ピカリブラッシャーを高く掲げると、ブラッシャーから発生した光のエネルギーが勝人を包み込んでゼアスの姿に戻る[29]。第1作では口内の除菌中に、首を左右に高速で振っていた。
本編未使用の能力は、小学館刊『ウルトラマンゼアス超全集』にイラスト(絵:岡本英郎)付属で記載されたもの[35]。
20世紀末に頻発した異星人のものと思われる怪事件や怪現象を機に、地球防衛連盟が中心となって結成された超宇宙規模の国際防衛組織[44][18][45][20]。組織名「Mydo」は、Mysterious Yonder Defence Organizationの略である[17]。
国家を越えたユニバーサルな組織であり、アジア本部の下、北アメリカ・南アメリカ・ヨーロッパ・アフリカ・南太平洋、外宇宙のドランブル(月)・エララ・シノペ(共に木星)・タイタン(土星)・アリエル(天王星)に支部基地を置く[44]。
「地球上の国際紛争が事実上消滅したこの時代に、あからさまな軍事組織の存在は市民の反感を買う」との考えから、アジア本部は東京都心にある出光興産のガソリンスタンドにカモフラージュされており、隊長・副隊長・隊員は平時は身分を隠して店長・副店長・店員として勤務している[45]。本部基地の機能はミドリによって制御されているため、少数の常駐員でも滞りなく活動可能[44]。
第1作と第2作の間に大規模な組織改革が行われ、アジア本部は日本支部となり、本部基地機能はアジア某所に移った。
プレイステーション用ボードゲーム『ウルトラマンゼアス』の登場怪獣は後述。
キャッチコピーは「地球はもう、ウルトラマンにしか救えない。」、「TVじゃ見れない、新しいウルトラマン!」。
決定稿や予告篇では「蒼き星永遠なれ」というサブタイトルが付いていたが、完成作品ではカットされ、劇中のベンゼン星人の最後の台詞に反映された[2]。
キャッチコピーは「最強の敵は、ウルトラマンだ。」。
どちらも公開当時は出光のキャンペーン特典および劇場前売り券の購入特典として配布された非売品「ウルトラまいどCD」にしか収録されておらず、2006年12月27日発売の「ウルトラマンシリーズ生誕40周年記念 ウルトラマン 主題歌大全集」への収録が初の市販化となった。
「まいどCD」と「主題歌大全集」以降のCDでは楽器のバランスなどが異なる音源が収録されており、第1作では「主題歌大全集」以降の音源、第2作では「まいどCD」の音源がEDで使用されている。
出光のキャラクターとして生み出されたウルトラマンゼアスであるが、1995年に放送された出光石油のCMに、第1作のセットを流用して、「神秘のエネルギー」を護るゼアスがベンゼン星人に率いられるメフィラス星人、ゴモラ、ゼットン、エレキングら強敵怪獣軍団と戦うものがある。
プレイステーション用ボードゲーム。
怪獣の説明文はゲーム内の怪獣図鑑に準ずる。
『とんねるずのみなさんのおかげです』内で、第1作の公開終了前に「ウルトラマンゼアス・パロディ篇」を放送。パロディであるが円谷プロダクションの承諾を得たものとなっている。昭和仮面ライダーシリーズ第1期と『仮面ノリダー』に登場した立花藤兵衛とウルトラ兄弟がゲスト出演している。BGMは本家のものが使用された。
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