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主にアメリカ合衆国大統領の警護を行う執行機関 ウィキペディアから
アメリカ合衆国シークレットサービス(アメリカがっしゅうこくシークレットサービス、米: United States Secret Service, USSS)は、主にアメリカ合衆国大統領の警護を行う執行機関。
アメリカ合衆国シークレットサービス | |
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United States Secret Service | |
シークレットサービスの旗 | |
シークレットサービスのロゴマーク | |
シークレットサービス特別捜査官バッジ (伝統の五芒星が連邦機関であることを表す“ハクトウワシと盾”の上に重なっている) | |
組織の概要 | |
設立年月日 | 1865年7月5日 |
継承前組織 |
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管轄 | アメリカ合衆国連邦政府 |
本部所在地 | ワシントンD.C. |
人員 | 8,300人以上(2024年)[1] |
年間予算 | 32億ドル(2025年度)[1] |
行政官 |
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上位組織 | アメリカ合衆国財務省→ アメリカ合衆国国土安全保障省 |
ウェブサイト | United States Secret Service(英語) |
元々は1865年、南北戦争時に偽造通貨の横行に対しての防諜・捜査機関として創設されたアメリカ合衆国として最初の国内諜報機関で、1883年に財務省の麾下(きか)となる。その後連邦捜査局(FBI)・アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局(ATF)・入国税関管理局(ICE)・内国歳入庁(IRS)等へ警察機構の任務は移行され、財務省の傘下になり、貨幣の取締とともに伝統的に[注 1]大統領警護の業務も置かれていた(2001年まで)。
2001年のアメリカ同時多発テロ事件の影響で、国土安全保障省(DHS)が設置され、シークレットサービスも財務省から同省へと移管された。
シークレットサービスは、警護を担当するエージェント3,200人、制服部門(Uniformed Division)1,300人、技術・管理部門2,000人からなる6000人以上の職員を抱えている[5]。
シークレットサービスが担当する警護任務全般を管轄する。その対象は大統領やアメリカの要人に留まらず、アメリカを訪れた各国首脳なども含まれる。
シークレットサービスの任務として広く知られているものは、
の警護・警備[10]である(ちなみに、彼らのうち現職正副大統領及び次期正副大統領以外は、警護を拒否することもできる[11])。
合衆国大統領とその家族が旅行する際には、地元警察(アメリカ国内なら訪問先の州警察、日本外遊時なら訪問先の都道府県に関わらず警視庁警備部警護課)及び軍と協力してエアフォースワンやマリーンワン等の内部、また大統領専用車両から警護を行う。
シークレットサービスの大統領護衛部門の仕事はシフト制であり、2週間単位で昼勤、深夜勤、夜勤が入れ替わる。これが終わると2週間のトレーニング期間に入り、トレーニング期間が終了すればまた仕事に戻る形となっている。警護中は食事を摂ることも、雨の中で傘をさすことも出来ないなど肉体的に過酷であり[注 2]、だいたいは4、5年で限界が来るとされる[12]。
シークレットサービスは、新大統領が就任するとコードネーム(米国大統領)を付ける。オバマには「レネゲード(反逆者)」、バイデンには「ケルティック(ケルト人)」、などがある[13]。
しかしながら、シークレットサービス設立時の本来の任務は、偽造通貨などの取り締まり、様々な不正経理犯罪・個人情報窃盗の捜査、地域犯罪における科学捜査情報の提供である[14]。これらの任務では、政府小切手・トラベラーズチェックのような通貨等価物の偽造、いわゆるナイジェリアの手紙として有名なナイジェリア刑法第419条に抵触するような詐欺、クレジットカード詐欺の捜査を行う。
また、連邦コンピュータ犯罪法に対する司法権も有している。シークレットサービスは合衆国全域に15の電子犯罪特別対策部隊 (Electronic Crimes Task Forces:ECTF) を設立している[15]。ここでは、技術的な犯罪を防止するためにシークレットサービス、連邦/地方警察、民間部門、学術部門との協力関係が構築されている。
シークレットサービスの捜査官と職員には、合衆国法典第18編2部203章3056条により以下の権限が認められている[11][16][リンク切れ]。
シークレットサービスの私服部隊は、TPOに応じた服を着用する。これは多くの場合、控えめなビジネススーツを意味する。 しかしながら、前述のようにTPOに応じた服を着用することから、彼らの衣服はタキシードからジーンズ、スポーツウェアまで多岐にわたるようである。例えば大統領がパーティーに出席するにはタキシード、大統領が乗馬やジョギング、ゴルフなどのスポーツを楽しむ際にはジーンズやスポーツウェアを着ている警護官を写真や映像などで確認することが出来る。
また、写真や映像などでも多く確認されるように、任務中は無線のアコースティックチューブ(透明シリコンのコイル型イヤホン)を着用していることが多いほか、外での警護任務の際などには状況に応じてサングラスを着用する[17]。
制服部隊については、ホワイトハウス警護官向けに儀礼服が用意されている。この儀礼服に関しては、通常の警察官の制服とほぼ同様のものとなっている。
また、専門的な作業・任務にあたる職員には、専用の衣服が用意されている。調査官のためには専用の作業服が、カウンタースナイパー(ホワイトハウス屋上から狙撃銃と双眼鏡を手に24時間外周監視に当たっている[18])のためには作業服・識別ベストが用意されている。
2019年の時点で、特別捜査官と制服部隊の警護官が自動式拳銃の中でも強力な火力(装弾数が多い)を有するとされるSIG SAUER P229の.357SIG弾仕様[19]、グロック29、グロック19 MOS Gen5、グロック47 MOS Gen5[20]、およびFN Five-seveNを携行している[21]。 また、特別捜査官に関してはレミントンM870・FN P90・H&K MP5などの近接戦闘用武器の訓練も積んでいる[19]。
1981年に起こったレーガン大統領暗殺未遂事件の際に、警護官がIMI ウージーを秘匿携行していることが明らかとなった。
シークレットサービスの新人職員は全員、犯罪捜査官訓練プログラム(Criminal Investigator Training Program (CITP))下のジョージア州グリンコの連邦法執行訓練センター(Federal Law Enforcement Training Center)で、法運用・火器操法・防御戦術・報告書の書き方等の基礎的な警察技術についての訓練を11週間受ける[22]。
その後、彼らはワシントンD.C.に戻り、郊外のシークレットサービス訓練学校で17週間に及ぶ追加的な訓練を積む。ここでは、偽札やクレジットカード詐欺の見破り方・物理的防護の方法・特殊な車両運転法など、シークレットサービスの二つの任務である「警護」と「経済犯捜査」に焦点を当てた訓練を行う。
これらの訓練終了後も、シークレットサービスの職員と捜査官は現役の間常に、火器操法・緊急医療などの訓練を行う[23]。
シークレットサービスの捜査官の中でも、警護・警備の任務に就く者は、警護対象に関する様々な緊急事態シナリオをシミュレーションした訓練に参加する[23]。これらは、シークレットサービス以外の様々な捜査機関・司法機関等と連携して行われる場合もある。
大統領に対する襲撃を防いで死亡したエージェントは、ホワイトハウス警察隊(White House Police Force)に所属していたレスリー・コッフェルト (w:Leslie Coffelt) ただ一人である[24]。ホワイトハウスが改築中のため、ハリー・S・トルーマン第33代大統領は通りを隔てたブレアハウスに滞在していた。
1950年11月1日午後2時過ぎ、プエルトリコの国家主義者グリセリオ・トレソーラとオスカー・コラッツオの2人が大統領を暗殺する目的で近づき、コッフェルトを含むホワイトハウス警護官3名に対して発砲した。コッフェルトはルガーから発射された3発の銃弾を胸部と腹部に受けながらも応射し、トレソーラの頭を打ち抜いて射殺している。 コラッツオは負傷するものの生き残り、1979年にプエルトリコに戻る前に29年間服役している。
シークレットサービスニューヨーク事務所は、2001年9月11日の同時多発テロでニューヨーク世界貿易センタービルのノースタワー (1WTC) とサウスタワー (2WTC) と共に崩壊した7WTCに位置していた。 攻撃の直後、ニューヨーク事務所に駐在していた特別捜査官と他の職員は真っ先に応急処置の対応を行った。ニューヨーク事務所に配置されていた67人の特別捜査官は、トリアージエリアの設置やタワーからの避難の手助けをすることで地元消防・警察救助隊の支援を行った。シークレットサービスの職員、Master Special officerのクレイグ・ミラーがこの救助作業中に命を落としている[25]。
2002年8月20日、長官のブライアン・スタフォードは救助活動に参加したすべての特別捜査官と従業員に対してディレクターズ・バロー賞を授与し、彼らの勇敢さを讃えた[26]。
CNNの報道によれば、犯人は集会会場のすぐ外の建物の屋上から何発も発砲したという。なお犯人はシークレットサービス狙撃隊員によって殺害されたと報じている[27]。また、アメリカのABCニュースも警察当局筋の話として、犯人はAR型ライフルで8発もの弾丸を発射したと報じている[28]。
FBIの声明によると、「容疑者の身元が判明したと考えているが、「捜査上の非常に微妙な点」であるため名前はまだ公表していない。なお現時点では、犯人は「一匹狼だと考えている」と報じている。さらに犯人はトランプが演説していたステージから200〜300ヤード(約180〜280m)離れたビルの屋上からライフルで発砲したが、その後シークレット・サービスの狙撃チームが犯人を即座に射殺したとも報じている[29]。
2012年4月、コロンビアで開催される米州首脳会議に向けて事前に派遣されていた特別警護官と制服部隊の11名が、宿泊していたカルタヘナの「ホテルカリブ」[30]のバーで出会った女性11名を自室に連れ込んだとして本国に送還された[31]。このうち一部の隊員は、連れ込んだ女性が売春婦であることを認めた[31]。
2014年9月19日、刃物を持った男が柵を乗り越えてホワイトハウスの敷地内に入り込んだあと、さらに建物内部に上がり込み、大統領居住地区の近くにあって記者会見などがおこなわれる「イーストルーム」と呼ばれる大広間まで侵入して取り押さえられる事件が発生した[32]。大統領一家は事件数分前にホワイトハウスを離れていて、怪我人は出なかった[33]。事件を巡っては取り押さえられた場所が当初「玄関」とされていたものが、実際には建物の奥深くまで侵入していたことが内部告発で発覚するなど発表が二転三転した[34]。さらに同年9月にオバマ大統領がアトランタを訪問した際には、犯歴のある銃を所持した民間警備員をエレベーターに大統領と同乗させるなど、不祥事が続いたことから、ジュリア・ピアソン長官が引責辞任することとなった[35]。
2023年4月、ジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官の自宅に不審者が侵入したことにシークレットサービスが気付かなかった。事件はワシントンの自宅で未明の時間帯に発生し、在宅していたサリバンは家内で不審者と遭遇していたが、無事だった。その後、不審者はシークレットサービスに気づかれることなく立ち去った[36]。国家安全保障担当大統領補佐官は24時間体制の警護を受ける重要人物であり、特にイラン革命防衛隊はトランプ前政権がイラン核合意を一方的に破棄したという理由で、トランプ前政権のジョン・ボルトン国家安全保障補佐官、マイク・ポンペオ国務長官などに対する暗殺を企てた。バイデン政権発足直後にこのことが明らかになると、シークレットサービスはボルトン、ポンペオ、サリバンに対する警護を大幅に強化していたが、不審者の侵入を許す結果となった[37]。
シークレットサービスの事務所の一覧[38]
カッコ内は地域内の事務所数。
カッコ内は所在都市
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