あまぎり (護衛艦)

海上自衛隊の護衛艦、あさぎり型護衛艦4番艦 ウィキペディアから

あまぎり (護衛艦)

あまぎりローマ字JS Amagiri, DD-154)は、海上自衛隊護衛艦あさぎり型護衛艦の4番艦。艦名は「大空の霧」(天霧)に由来し、旧海軍吹雪型駆逐艦天霧」に続いて日本の艦艇としては2代目。

概要 あまぎり, 基本情報 ...
あまぎり
Thumb
洋上航行中の「あまぎり」(旧塗装)
基本情報
建造所 石川島播磨重工業東京第1工場
運用者  海上自衛隊
艦種 汎用護衛艦
級名 あさぎり型護衛艦
母港 横須賀
所属 護衛艦隊第11護衛隊
艦歴
発注 1984年
起工 1986年3月3日
進水 1987年9月9日
就役 1989年3月17日
要目
基準排水量 3,500 トン
満載排水量 4,900 トン
全長 137m
最大幅 14.6m
深さ 8.8m
吃水 4.4m
機関 COGAG方式
主機 川崎ロールス・ロイス スペイSM1Aガスタービン × 4基
出力 54,000PS
推進器 スクリュープロペラ × 2軸
最大速力 30kt
乗員 220名
兵装 62口径76mm単装速射砲 × 1門
Mk.15 Mod2 高性能20mm機関砲CIWS)× 2基
ハープーンSSM4連装発射筒 × 2基
GMLS-3型A シースパロー短SAM8連装発射機 × 1基
74式アスロック8連装発射機 × 1基
68式3連装短魚雷発射管 × 2基
搭載機 HSS-2B/SH-60J哨戒ヘリコプター × 1機(最大2機)
FCS 81式射撃指揮装置2型-22A/2型-12E
SFCS-6C 水中攻撃指揮装置
C4ISTAR OYQ-7B-1 戦術情報処理装置
OYQ-101 対潜情報処理装置
レーダー OPS-14C 対空
OPS-28C 水上
OPS-20 航海用
ソナー OQS-4A
OQR-1曳航式
電子戦
対抗手段
NOLR-8 ESM
OLT-3C ECM
Mk.137 デコイ発射機 × 2基
その他 AN/SLQ-25 曳航式デコイ
テンプレートを表示
閉じる

本記事は、本艦の艦暦について主に取り扱っているため、性能や装備等の概要についてはあさぎり型護衛艦を参照されたい。


艦歴

要約
視点

「あまぎり」は、中期業務見積りに基づく昭和59年度計画3,500トン型甲型護衛艦2225号艦として、石川島播磨重工業東京第1工場で1986年3月3日に起工され、1987年9月9日に進水、1989年3月17日に就役し、同日付で第1護衛隊群隷下に新編された第46護衛隊に「ゆうぎり」とともに編入され、横須賀に配備された。

1989年10月24日館山湾にて厚木航空基地から飛来した第51航空隊所属のSH-60J次期艦載ヘリコプターが第1回目の発着艦適合試験を行った。

1991年7月1日から7月31日、護衛艦「はるな」、「はまぎり」と共にフィリピン方面海上実習に従事。

1992年8月28日午後7時頃、房総半島南東約550Kmの太平洋上で夜間洋上給油訓練中に僚艦「はまぎり」と衝突事故を起こした[1]。船腹に「はまぎり」の艦首が右舷中後部のCPO室にめり込み、「あまぎり」は浸水・傾斜とも甚大であった。死傷者が無かったのは夜間補給訓練中で、ほとんどの乗員が反対舷に整列していたためであるが、「はまぎり」が回頭中していたのも補給訓練を先に終えての遷移運動中であったからである。 「あまぎり」は その後、修理を経て戦列に復帰している。

1994年、護衛艦「くらま」「さわかぜ」、「はたかぜ」、「こんごう」、「あさぎり」、「ゆうぎり」、「はまぎり」、補給艦「ときわ」、潜水艦「たけしお」と共に環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加。

同年12月20日から12月23日、護衛艦「はまぎり」と共に東京に寄港した韓国海軍天池級補給艦天池 (チョンジ)」等からなる練習艦隊と交歓する。

1997年2月4日、犬吠埼東南東約60㎞の洋上で遭難した船舶の横浜海上保安部からの情報を受信し、護衛艦「うみぎり」、「むらさめ」、「ちとせ」、第21航空群(HSS-2Bヘリコプター7機、SH-60Jヘリコプター1機)、第4航空群(P-3C対潜哨戒機2機、UH-60Jヘリコプター1機)、下総教育航空群(UH-60Jヘリコプター1機)とともに救助活動を実施し中国人と思われる乗員34名をヘリコプターが救助(海上保安庁ヘリコプターが救助した9名と合わせ全員救助)する。

1997年3月24日、隊番号の改正により第46護衛隊が第5護衛隊に改称。

1999年5月11日から8月12日の間、護衛艦「ひえい」、「みょうこう」とともに米国派遣訓練に参加。 同年11月7日、横須賀周辺および相模湾にて在外邦人等輸送訓練を行う。この訓練では他に「しらね」(DDH-143)、「むらさめ」(DD-101)、「うらが」(MST-463)、「とわだ」(AOE-422)の艦艇、陸上自衛隊からは第1空挺団で編成された誘導隊が参加した[2][3]

2001年1月27日、インド建国50周年記念国際観艦式参加のため、横須賀を出港した「あまぎり」は、1月26日に発生したインド西部地震に対応するため、1月29日沖縄勝連において、急遽、毛布や食糧、医薬品などを積み込み、インドに向かう。2月14日にムンバイ(旧ボンベイ)に入港、2月17日インド建国50周年記念国際観艦式参加した。なお、物資は、国際緊急援助活動とは別に、ムンバイにおいて、見舞品としてインド海軍に引き渡された。2月20日ムンバイ出港後、観艦式に参加したインド、アメリカ、イギリス、オーストラリア、南アフリカ、フランス及びロシア艦艇とアラビア海で親善訓練を行った。

2002年8月16日、編成替えにより第3護衛隊群第3護衛隊に編入され定係港が舞鶴となり、同地に転籍。

2004年、環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加。

2006年3月21日、第56期一般幹部候補生課程卒業生近海練習航海に参加するため、練習艦「かしま」、「やまぎり」とともに江田内を出港、日本各地を巡航し、4月9日東京港に寄港。4月19日、同港を出港し、北米方面への遠洋練習航海に参加。9月5日に東京港に帰投。

2008年3月26日、護衛隊改編により第2護衛隊群第2護衛隊に編入。

2009年6月23日海賊対処法の成立に伴い、第2次派遣海賊対処行動水上部隊の概要が発表され、本艦と「はるさめ」の2隻が派遣された[4]。同年7月6日に舞鶴を出港し、7月28日から11月2日まで合計34回、248隻の船舶を護衛して、11月29日に帰港した[5]

2010年3月18日沖縄本島の西南西約180㎞を行動中の中国人民解放軍海軍瀋陽級駆逐艦「瀋陽」、江衛型フリゲート「錦陽」を視認する。

同年10月15日から10月24日函館港に寄港したロシア海軍ウダロイ級駆逐艦「アドミラル・パンテレイエフ」と交歓する。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東日本大震災に対し、災害派遣される。

2012年1月20日、編成替えにより定係港が佐世保となり、同地に転籍。

同年2月27日、九州北西海域にて日米仏3ヶ国としては初となる親善訓練を実施した。他の参加艦艇はアメリカ合衆国海軍掃海艦「ディフェンダー」(MCM-2)、フランス海軍フリゲート「ヴァンデミエール」(F-734)[6]

2014年11月15日、第20次派遣海賊対処行動水上部隊として護衛艦「はるさめ」と共にソマリア沖・アデン湾に向けて佐世保から出港し[7]2015年5月20日に帰国。

2017年8月6日、第28次派遣海賊対処行動水上部隊としてソマリア沖・アデン湾に向けて佐世保から出港した[8]。任務終了後の帰国途上の2018年1月25日~27日にはマレーシアのポートクランに寄港し、マレーシア海軍フリゲートLEKIU」と親善訓練を行った[9]。また、2月2日にはフィリピン親善訪問のためマニラ港に入港し[10]2月4日にはフィリピン海軍の「Rajah Humabon」(旧護衛艦「はつひ」)と親善訓練を実施した[11]2月11日に佐世保に帰港[12]

2018年3月7日あさひ型護衛艦1番艦「あさひ」就役にともなう編成替えにより、護衛艦隊直轄第11護衛隊に編入され、定係港が再び横須賀となり、同地に転籍[13]

2020年8月6日、関東南方海空域において米陸軍と共同訓練を実施した。米陸軍からはUH-60L 2機が参加し、発着艦訓練を実施した[14]

2022年6月30日伊豆大島東方海域において、護衛艦「やまぎり」、SH‐60Kとともに海上保安庁との共同訓練を実施した。海上保安庁からは巡視船あきつしま」・「みやこ」、スーパーピューマ225が参加し、情報共有訓練、護衛艦と巡視船との運動要領に関する訓練を実施した[15]

同年9月12日から22日にかけて、東シナ海を含む日本周辺海空域において米海軍空母「ロナルド・レーガン」、巡洋艦「チャンセラーズビル」、駆逐艦「バリー」・「ベンフォールド」、補給艦「ラパハノック」と日米共同訓練を実施した[16]

現在は第11護衛隊に所属し、定係港は横須賀である。

歴代艦長

さらに見る 代, 氏名 ...
歴代艦長(特記ない限り2等海佐
氏名在任期間出身校・期前職後職備考
01井上義昭1989.3.17 - 1990.3.7防大11期あまぎり艤装員長海上自衛隊東京業務隊
02新海博夫1990.3.8 - 1991.8.4防大12期海上幕僚監部防衛部通信課舞鶴通信隊司令
03安孫子宏1991.8.5 - 1993.2.4 いわせ艦長海上自衛隊幹部学校研究部員
04角田 繁1993.2.5 - 1994.8.29防大14期第4海上訓練指導隊砲術科長運用開発隊運用開発第1科長
05福永宗義1994.8.30 - 1996.3.21 海上幕僚監部防衛部運用課佐世保地方総監部管理部総務課長
06寺岡忠昭1996.3.22 - 1997.7.31 電子業務支援隊電子第1科長第3海上訓練指導隊船務科長
07白土雅彦1997.8.1 - 1999.8.19防大20期おおよど艦長佐世保地方総監部管理部総務課長
08高橋賞三1999.8.20 - 2001.3.22 いしかり艦長運用開発隊
09原 正朗2001.3.23 - 2002.4.11 海上自衛隊幹部学校付大湊地方総監部防衛部
10平野晃胤2002.4.12 - 2003.8.19防大27期くらま船務長海上自衛隊幹部学校付
11桑野弘道2003.8.20 - 2004.8.19防大27期海上自衛隊幹部学校付横須賀地方総監部防衛部
第3幕僚室長 兼 第5幕僚室長
12大判英之2004.8.20 - 2005.7.31防大30期第1護衛隊群司令部幕僚海上自衛隊幹部学校付2005.1.1
1等海佐昇任
13佐々木輝幸2005.8.1 - 2007.3.25防大29期海上自衛隊幹部学校付横須賀地方総監部管理部総務課長
14福田達也2007.3.26 - 2008.3.25防大34期海上幕僚監部防衛部防衛課統合幕僚監部防衛計画部計画課
15岡田岳司2008.3.26 - 2010.3.24防大31期統合幕僚監部運用部運用第2課海上自衛隊幹部学校付 
16佐々木透吏2010.3.25 - 2011.3.24慶大
43期幹候
海上幕僚監部人事教育部教育課海上自衛隊幹部学校付 
17藤原幸孝2011.3.25 - 2012.3.15防大33期護衛艦隊司令部付基礎情報支援隊副長
兼 基礎情報第3科長
18一柳公大2012.3.16 - 2013.3.21 護衛艦隊司令部幕僚統合幕僚監部運用部運用第1課 
19矢野浩美2013.3.22 - 2014.3.9防大40期第1護衛隊群司令部海上幕僚監部人事教育部補任課 
20青木邦夫2014.3.10 - 2015.5.31第3護衛隊群司令部海上幕僚監部防衛部装備体系課
21江田大興2015.6.1 - 2016.7.31防大43期海上幕僚監部防衛部防衛課
22森 陸晃2016.8.1 - 2018.3.15防大41期おうみ副長大湊地方総監部管理部
23谷 雄一2018.3.16 - 2019.10.29防大36期横須賀地方総監部管理部人事課長護衛艦隊司令部
兼 自衛艦隊司令部
24川浪 祐2019.10.30 - 2020.11.19防大47期護衛艦隊司令部海上幕僚監部防衛部防衛課
25羽坂拓也2020.11.20 - 2022.7.3いなづま砲雷長 兼 副長護衛艦隊司令部
26齋藤雄介2022.7.4 - 2023.3.19護衛艦隊司令部
27末吉康平2023.3.20 -
閉じる

ギャラリー

脚注

参考文献

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.